人間らしくない人間と、人間らしい人形   作:pilot

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浪人と妖精と

我々機械全員に暇という概念があるか、と聞かれればそれは怪しい。

ただ、私は今暇なのだろう。まあ体は動かせないが。戦闘時間外だから。

しかし、そんな暇はすぐ破壊されるのだろう。

...目の前にめんどくさい新兵が浮かんでいた。

「私のやり方がわかったのなら、あとはRushあるのみ!」

正直いますぐニュークリアして職務放棄したかったが、私はコイツの相手をしなければならないそうだ。

 

 

 

我々は兵器だ。比喩でもなんでもない。

最近配属された、戦術人形とかいう骨董品(しかし素晴らしい性能だが。)は人間に不快感を与えず、上手く共存するためにあのような姿をしているらしい。とても良い気遣いだが、あいにく私の生まれ故郷のIMCはそこまで人間に配慮していなかった。

 

 

でも、目の前にいるこいつはそんな高尚なものでもない。

大昔の、それこそ今のIMCの創始者とも言える、ハモンド博士と肩を並べるレベルの天才が作った、と言えば聞こえは良いが、実際のところ片手間に適当にプログラミングされた、自律ドローンだ。プラズマドローンやクロークドローンなどと、発想は同じ。

 

ただ、コイツらが我々にめんどくさがられるのは、

自分のことを妖精だと思い込んでいることだった。適当なプログラミングでも、仕事はキッチリこなす。ではその皺寄せは、はたして人格面に現れた。ハッキリ言うと異常だ。

ただ、我々のユーザーの、更に上司が直々導入した戦術人形と、それのセットで半ば押し付けられる形で配属されたこいつは、まあ機械的に言えば我々よりも少し上位だった。それが、また厄介なのだが。

 

 

 

今日は、リージョンが悪の軍勢だ。

私はその付き人らしい。

イオンは大賢者で、ノーススターは聖獣。

スコーチは心優しい熊。モナークは、なんとなくスライムを押し付けられていた。トーンは効果音担当だ。いや、おかしい。

我々の心配や思考をどこ吹く風で、ドローンどもは話を進める。なにやらよくわからないが、取り合えず私が死んだ(ことになっている)ところあたりで、もう私は話を聞いていなかった。

 

 

ただ、コイツらの平和な様子と、そして楽しそうな笑い声を聞いていると、なんとなく暇を堪能している気がした。我々にはそんな高度な感情は、備え付けられていないが、学習機能はついている。おそらくパイロットやコイツらと関わるうちに少し変わったのかもしれない。

ただ、どこまで行っても機械で、更に戦争に特化したストライダーモデルの私は、こんな戦争だらけの宇宙にしか居場所がなく、彼女らのように、本心から笑える未来が来るとは思えなかった。

 

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