「何が増幅壁じゃ!力押しでぶっ壊してくれるわ!!」
その見た目に似合わない古風な言葉遣いで、これまた似合わない破滅的な攻撃力でパイロットへ猛攻を仕掛けているそのセーラー服少女。
が、増幅壁の前ではその攻撃力も無に等しい。
「うるせ~~~~~~~~~~~!効かね~~~~~~~~!!」
パイロットの方が叫びながらスピットファイアをお返しと言わんばかりに連射している。
圧倒的な射程、暴力的な破壊力、ビックリたっぷり80発の装弾数を誇る最新鋭の銃器は、ハイエンド型とは言え数世紀も前の人形に対しては効果覿面だ。
「知性の欠片もないな。なあ、エマ?」
物陰に飛び込みつつ通信を飛ばすアンナだが、それに対しての返事はない。
「エマ?おいエマ?」
まずいことになったか、あるいは発作か。
後者であってくれと願わざるを得ない。
だが予想通り、そして安全安心なことにどうやら今回も後者の理由で返事が遅れていたようだ。
「あの娘......かわいい!!」
「おっそうだな。」
こういうときは適当に返事をするに限ると、彼女はよくよく知っていた。
エマはこうなるともうとまらない、とめられない。
良くわからんがあのセーラー服を着た人形はやたら様々な人間あるいは人形に好かれるらしい。
狙われてばかりいるのが少し滑稽だった。
「おのれグリフィンゥゥゥ!ずーっと定点射撃ばかりしよって!卑怯だぞ!」
「知らね~!!!!!定点に負けるクソザコ地走ライフルマンがわりーんだよ!」
「やかましいわい!しょうがない、撤退じゃあ!」
あっ、逃げた。
そうアンナが認識するより前に、すでに手は打たれていた。
「パルスブレードオオオオ!逃がすかぁ!かわいいかわいい女の子!!」
やべえよやべえよ......
アンナは心の中でそう言わざるを得なかった。
こいつらパイロットは皆どこか頭がおかしい。
人間らしくない。
いや、そのような偏執こそが人間性なのだろうか。
「嘘じゃろ!?動けるデブとかチートじゃ!チーターじゃ!」
「デブ言うな装備じゃ!本体は痩せ型細マッチョじゃ!」
「そのかわいい子は私が捕まえるのよ!デブは引っ込んで!」
そのような難しいことを考えている間に、パルスブレードで簡単には見つけられたその人形はあっという間に捕まってしまった。
いや、なんだか、そのかわいそうだなと。
そうアンナは感じてしまった。
「なんじゃこの妙ちくりんなボディは!せめて人型にしろ!」
「だまれ贅沢言うな!
現実世界に体作ってやっただけありがたく思え!
それにシミュラクラムの奴等がその台詞を聞いたらガチギレするぞ!」
「だからといってマーヴィンはないじゃろがぁああああああ!!!」