戦争は続く。
私は、古く、そして伝統的でもあるこの指揮官業に誇りを持ちつつも、少しやるせない気分であった。
人間は戦争と友達だ。世界大戦を二度経験し、もうそんなことをしてはならない、と誓った矢先に、E.L.I.Dが現れた。そのときまでとは比べ物にならないような量が。
中学生のイタズラで滅びたのは、今や有名な話だ。IMCは自らの失敗は隠すが、他人の失敗は凄まじいぐらいのAMPをかける。
結局人間というのは、余裕がないと優しくなれないらしい。
そのときの先進国も、世界連合も、優しさを欠片も失くしてしまった。
きっと誰も責めることはできない。死にたくないのは誰もが一緒だ。
そしてそれらと、私がやるせない気分なのとの関係性はと言うと、現代における優しさの欠片もない組織代表、IMCの犬が、私に協力しにきたからだ。
結局第三次の、人間同士の住みかを巡る争いは、住みかの減少を引き起こしたのみで、何もよくはならなかった。
それはまあ仕方ない。生きるためだ。
そのあとの南極連合とルクセトなんたらの戦いも、まあ、わかる。人間同士の、思想による因縁は深い。
だがわからんのはそのあとだ。IMCは今コア星系といわれている、太陽系を中心とした世界を手に入れるために、必要に迫られたのではなくただ成長の過程で戦争を起こしたのだ。今も空の向こうで戦争しているらしい。
もはやE.L.I.Dも、そして鉄血も、一捻りどころかボタン一つで滅ぼせるだろうに、彼らは生きるためではなく、成長の為にその力を振るう。
つまり、合法的にぶん殴れる敵をのこしつつ、平和の維持費を居住区の奴等から巻き上げて、その欠片をPMCの俺たちに死にきらない程度に与えている。癪に触る。
俺は平和の為に戦う、とまではいかなくても、そこにいる人の為に戦いたかった。
が、今やってるのはIMCの舞台装置だ。E.L.I.Dや鉄血を殺しきろうにも、IMCが先に住民と契約を結んでるので、俺たちはそのおこぼれをもらうしかない関係上、そんなに戦力を得ることができなかった。
正直、IMCが憎い。圧倒的且つ凄まじいパワーを、さらに自らの強化に使おうとする。異常だ。
そして、そんなIMCの産み出した人間やめた人間が、今目の前にいるのだ。そりゃ気分も悪くなる。
「で...お前はなんのために来たんだ、IMCのお使いさんよぉ?」
性急にもおもえ、そして乱暴だが、俺は取り合えず威圧しておく。嘗められるとやってけないのがこの仕事だ。
「あなたは何か勘違いしている。我々パイロットは、皆IMCに所属している訳ではない。」
こいつは何を言っている?パイロットは、IMCのみが保有する優秀な兵士ではないのか?
「いえいえ、我々は元IMCというだけで、今はIMCと敵対しているのですよ。脱サラみたいなものです。懐かしい響きでしょう?」
なんだと?やはりIMCは都合の悪いことを隠す。
「共に戦おうじゃありませんか、指揮官殿。」
おもしろくなってきた。やはり、他人の隠す嫌なものを暴くというのは、人間の本能的な快楽なんだろう。
俺は普段ならば聞かない怪しい話を、IMCへの溜め込んだ不満も手伝って、食い入るように聞くのだった。