国際連邦日本エリア召喚   作:TOMOKOTA

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18 カイオスの決断

「確か、まずはこのボタンを長押しする、と言っていたな……」

 

 パーパルディア皇国第3外務局長カイオスは意を決し、日本から渡されていた通信機のボタンを強く押し込む。

 

「反乱……か……。皇国の裏切り者としての汚名を背負う事でしか皇国を救えぬ……皮肉な事よ。」

 

『Powered on. Bluetooth,connected. Powered off. Powered on.

Bluetooth,connected. Powerd off……』

 

 

「あれ?」

 

通信機はひたすら同じ文面を繰り返しており、会話ができるような様子は一向にない。

 

「ま、まさか!!」

 

 まさか故障か?

 

「じょ……冗談じゃない!!こんなっ!こんな事で皇国の未来がつぶされてたまるか!!!」

 

 通信機はひたすら呪文を吐き出し続けている。

 

「そっそんな!!こんな事で、皇国が滅びるというのかっ!!!」

 

 カイオスの目に涙が浮かぶ。

 一時たったが、通信機に反応は無く、カイオスは脱力する。

 

『Powored on. Bluetooth,connected.』

 

奇跡的なタイミングだった。

 

『こちらは日本国外務省、外交支援コンピュータ。応答せよ。』

 

「あれ!?」

 

『声紋より、あなたは第3外務局長カイオスであると認識される。

先ほどより、あなたの通信機から断続的な接続が何度もなされている。

異常であると判断できるほどの頻度と継続時間である。

無事か、状況を知らせよ。』

 

「あ、ああ、私は無事だ、問題はないが…… あれ?」

 

『機材の動作状況を確認したところ、あなたはメインボタンを長押しし続けたと推測される。認めるか。』

 

「ああ、そうだが……」

 

『この機材のメインスイッチは、電源のオン、接続、そしてオフを兼用している。接続後も押し続けた場合は電源が切れる。

この旨は説明されていたはずである。』

 

 外務省の人間との会話を思い出したカイオスは赤面し、日本国との無線によるやりとりを開始した。

 

 

 

 日本国の経済、政治の中枢、東京都、この約1500万人の蠢く町の、行政の中枢者の住まう首相官邸で、第3文明圏の列強パーパルディア皇国の運命を決定づける重要な会議が行われていた。

 

 会議には内閣総理大臣や各大臣と共に、各省庁の幹部、及び現場サイドの中核が顔をそろえる。

 

「それでは、これより本件戦争に関する会議を開始いたします。」

 

 司会が話をはじめる。

 

「……とは言ってもな。正直、奴らのことなどどうでもいい、構っていられん。」

 

首相が発言し、全員がそれに同調する。

 

「そうは言っても、こちらに協力してくれている人もいますし、罪のない人々が多いのは確かです。どうとでもなるがいい、というのは危ないのではないですか?」

 

「それもそうだな。しかし、パーパルディア皇国は事実上の敗戦国になるはずだし、クーデターがうまく行けば罪深い例の皇族などが拘束されることになる…… 属領の蜂起で国力もなくなり、暫定国家元首になる予定の人間はこちらに協力的、ここまで来れば、もうどうとでもなるのではないか?

 ふむ、戦略コンピュータ、今の話を聞いていたか?」

 

『聞いていた。』

 

「罪のない人間や無関係な人間、こちらへの協力者などがあまり困らないように配慮しつつ、最大限こちらの利益を図るよう、うまくやってくれ、可能か?」

 

『あなたの指定条件に適うような処理は、想定外の事態がなければ、可能である。』

 

「だ、そうだ。

では、戦略コンに任せてしまおうか。私はそれを提案するが。」

 

全ての参加者が賛成し、会議は終了した。

 

 

 

 その後カイオスによるクーデターは成功、日本エリアとパーパルディア皇国は講和した。


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