国際連邦日本エリア召喚   作:TOMOKOTA

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閑話 各所の事情2

 ロウリア王国軍でも同じように、WW2時の機体をもとにした航空機が運用されていた。

こちらで運用されていた機体のベース機はP-61。

はじめ、アーカイブ内を調べようとした時に偶然資料が発見され、その機体の特徴から人的資源の多いロウリア王国に適するのではないかと選ばれたのだが、こちらの機体は零式艦上戦闘機からナル戦闘機以上に変更が加えられていた。

 まず、機首が少し延長、拡幅されている。乗員は横並びに搭乗するのではなく、中央部に主操縦士が一人、その後ろに一人目の銃手兼副操縦士が一人、機体後部に二人目の銃手が一人、さらに主操縦士の少し前、下に三人目の銃手兼爆撃補助手が一人である。その爆撃手のために、小さいものではあるが機首下部に窓がついていた。

機首内部に搭載されていたレーダーはなくなり、夜間戦闘には暗視装置でもって対応することとなっていた。地球の技術による暗視装置は、地球における最新型ではないとはいえ、視界が緑になるのを除けば昼間同然に良く見えた。

そして、機体上部の12.7mm4門のターレットは12.7mm3門に、機体後部にも12.7mm1門の銃座、さらに機首下部にも12.7mm2門の銃座が取り付けられて各銃手が操作するようになっていた。逆に固定兵装の20mm機関砲4門は12.7mm2門に減らされていた。もちろん、全てレールガンである。

 エンジンは当然コンデンサと電気モーターによるものだ。

翼に加えられた調整と合わせ、機の速度は原型機から大きく落ちて406km/hほどであるものの、これだけの人員を搭載した上でさらに爆弾やロケット弾を搭載できるだけの積載量を持っている。

ナル戦闘機同様の、タブレット端末を転用したアビオニクスもある。

 総じて、戦闘機というよりは爆撃機のような状態となっており、実際、爆撃を加え、またガンシップのような運用を行うことを想定されていた。夜間戦闘機としての任務にも、当然対応できる。

ロウリア王国の豊富な人的資源を存分に活用できる設計のこの機は、今日も多数の人員から整備や弾薬の補給を受け、磁励音を響かせながら、4人の乗員を乗せてロウリア王国の飛行場から空へと飛び立って行っていた。

 

 

 

 パーパルディア皇国において、元第三外務局長、現暫定国家元首のカイオスは、執務室にて度重なる問題、そして大量の政務に頭を抱えていた。

日本側はパーパルディア国内、元国内での問題のほとんどを自分に丸投げしてきた。それはまだいい、自国の問題は自国で解決するのが当然だ。

しかし、賠償金については良しで流せるものではなかった。

 日本国およびフェン王国への賠償、この額だけで、国家予算の何年分かが飛ぶ。

 日本国からの使用した燃料・弾薬・電力料は、極端に高いというわけではないが決して安いとは言えない。レミールが責任を取ったおかげで人的賠償料が、市民を異様なほど大切にしている彼らにしては常識的な額で済んだのは救いだったが、それにしても国力を大幅に落とされた皇国にはとても支払える額ではなかった。

 カイオスは、請求書を何度も熟読する。

 

 上記を金に変えて支払うか、もしくはパルサ地区の地下資源のすべてを無償で日本に譲り渡す。なお、この場合の採掘は日本国及び国連主導で執り行う。

 

「これは……選択肢は無いではないか。」

 

 国土の一部を差し出すかのような、屈辱的な要求、しかし、パルサ地区の地下には大した金属資源は無く、カイオスをはじめとする皇国首脳陣は誰も何故ここを日本側がほしがるのか理解できなかったが、何も無い場所の地下資源を差し出す事で、日本側の提示した、当初覚悟していたものと違い常識的な額とはいえ、それでも天文学的な数値の賠償額をチャラに出来るのであれば、むしろ好都合だった。

 

 そしてもう一つ。日本側から届いた、こちらは要望書。要望とはいえ、彼我の力の差や事実上の戦勝国と敗戦国という関係を鑑みれば命令に等しいそれの内容、その背景となるはずの日本側の意図を、彼は理解しかねていた。

 

 パーパルディア皇国、工業都市デュロに残存しているはずの機関魔導砲を解析し、国産の機関魔導砲を開発することを要望する。

しかる後に、下記のような性能を持った2種の機関魔導砲を開発し、こちらに輸出して欲しい。

 解析・開発に際しては、こちら側からの支援も行う。

輸出の対価としては資金による支払い以外に、技術支援や何かしらの現物による支払いも可能である。こちらとしては、技術支援による支払に積極的である。

 

 要求する機関魔導砲は、

 口径47~70mm程度、大規模な目標を攻撃するのに充分なだけの破壊力とそこそこの連射力、20発以上を装填できる弾倉を持ち、魔法を用いない物理的な手段によって発砲が可能であること。総重量は――

 

 工業都市デュロに残存する機関魔導砲? 機関魔導砲というのは、神聖ミリシアル帝国などが使う魔光砲のことだろうか。機関砲と呼ばれる武器の特性からすれば、まず間違いなくそうだろう。

調べてみると、リバースエンジニアリング目的でミリシアルから一基の対空魔光砲が密輸入されていたことがわかった。成果は上がらなかったようだが。そして、デュロでの戦いにおいて持ちだされていたこと、無視されるかのように攻撃を受けず、他が壊滅したにもかかわらず無傷で残存していること。

 戦争中から戦後のこれを予定して、攻撃してくる敵を無傷で残していたとすれば、なんとまぁ、その余裕と演算能力、それを生む圧倒的な力の差を改めて実感させられることだ。

 しかし、この要望の内容は、ほとんどパーパルディア皇国に利があることばかりではないか。カイオスは疑問に思う。

 日本側の支援を受けてリバースエンジニアリングを行い、魔光砲を開発し、それによって我が国の軍事技術は向上する。

その上それを無償で引き渡せというのではなく、資金や技術支援などを対価に輸入するという。それも技術支援による支払いに積極的だ。

輸入も単数ではなく、継続しての供給だ。運用するつもりなのだろうか。日本側の兵器への搭載を考えているような要求内容があるから、これもまず間違いないだろう。

 しかし、日本側には我が国よりも圧倒的に高性能な武器があり、それをいくらでも作れるはずだ。我が国が対空魔光砲を解析し、日本側の支援のもとに武器を開発したとしても、恐らくは全く及ばないだろう。

地球の兵器の性能は、対空魔光砲の出元である神聖ミリシアル帝国のものをも圧倒しているようだからだ。

 そうなれば、ほとんど我が国にしか利がないレベルだ。

まるで温情をかけ、復興に手を貸そうとしているのではないかとすら思えるほど。しかし我が国のしたことからして、人間でもそんなことはしないだろうし、ましてやコンピュータたちには情そのものが存在しないだろう。

一体、何を考えている……?

 

 

 

 フェン王国の練兵場。そこに居る兵士たちの様子は、一見以前と変わりないようにも見える。しかし、その剣、その鎧、その弓、その盾……

全ては地球の最新素材によって作られたもので、堅牢、鋭く、極めて軽量で柔軟。さらにその手足には、がっちりと装甲されているようなタイプではないので目立たないのだが、元々作業用のパワードスーツが纏われていた。

 フェンの剣士たちの旧来から培ってきた技量を存分に活かしつつ、戦力を大幅に向上させる。マスケットを持った兵士はおろか、地竜すら生身で、剣を以って討ち果たせるようになった兵士たちは、今まで磨いてきた剣の技量を活かせるとあって、大いに奮い立っていた。戦後まで続くほどである。

 フェンの国王、剣王シハンは、少し肩透かしを受けたような気分になっていた。

継続して戦力として使われるのかとも思ったが、フェン以外での対パーパルディア戦にも援軍を要請されただけで、対皇国戦が終わればおしまい、しかも装備や技術の支援はそのまま。

 戦争中のフェン兵の扱いも、決して使い捨ての特攻兵といったものではなく、きちんとした友好同盟国の援軍として扱われていた。

 コンピュータに詰問された時に受けた印象とは全く異なる。

賊対策や抑止力としての利用を考えているのなら、こういうこともあるのだろうか?

砲弾の破片を受けて頬にできたごく軽い傷跡を撫でながら、剣王シハンは考えていた。

 

 

 

 列強第二位の国、ムーでは、ある意味での嬉しい悲鳴が上がっていた。

日本に兵器の輸出などを求めていたのだが、その一環として今回届いたものは、古い時代(とは言っても10~20年ほど前のムーの水準である)から凄まじい技術の時代(とは言っても2020年までのものであり、地球からすればかなり前の古い時代である)までの大量の兵器資料であった。

その間開発・検討された兵器のほとんど全てがあるのではないかというその資料たちはしかし、全く未整理の紙媒体でその量というのがあって、情報を読み取るためにとてつもない労力を要したのである。

この資料と技術支援をもって輸出の代わりとする、自国で兵器を作るといい、というのが日本側の回答というわけだ。

 ようやく資料の整理と読み取りがひと段落した段階で、ムーでは作る航空機を検討する会議が開かれていた。

 

「このF-22というのはどうだろう、最強の戦闘機、航空"支配"戦闘機と呼ばれた有名でとてつもない機体だ。レーダーに映りにくく、巡航速度で音速を超え、その上運動性までとてつもない、まさに最強だ!!」

 

「我が国にいきなりそんなものが作れるか、たわけ!」

 

「このP-36というのはどうだろう、エンジン周りの技術支援を受ければ、我が国でも作りやすそうだ。」

 

「I-153。究極の複葉戦闘機と呼ばれたらしい。複葉機だし、作りやすいだろう。性能も良い。」

 

「確かに良いが、もう少し欲張れるのではないか?あまり段階を踏みすぎてもごちゃごちゃになる。」

 

「零式艦上戦闘機、『ゼロ戦』だ。伝説の戦闘機らしいぞ。それも、まさに今来ている日本の。」

 

「ふむ、魅力的だが、生産性が悪そうだな……」

 

「流星、どうだろう。戦闘爆撃雷撃すべてこなせるというのは優秀じゃないか。」

 

「素晴らしい機体だが、艦載機とはいえどうせこれを発艦させられる空母は我が国にはない、陸上機の方がより性能的に優位だろう」

 

「Mig-21、F-22よりはずっと旧式だし、極めて堅実な設計で発展途上国などでも多く使われた、とのことだが…… しかし、我が国にとってはこれでも超技術すぎる。」

 

「Me-262、世界初の実用ジェット戦闘機らしい、これはどうだ?」

 

「そもそもジェットエンジン自体が我が国には厳しいな、レシプロにしよう。」

 

「P-51、最優のレシプロ戦闘機だそうだ。技術支援を多めに受けて、頑張ればなんとかなるんじゃないか?」

 

「ファイアブランド。戦闘雷撃機だそうだ。便利そうじゃないか?」

 

「それならこっちのA-1 スカイレイダーはどうだ。このエンジンを作るのは厳しそうだが、少しそこを妥協してだな。」

 

「その機の高性能は、強力なエンジンの占める部分も大きいんじゃないか?

こっちのIl-10はどうだ。水冷で空力的に良さそうな形をしている。積載量ではA-1には及ばないが、同格の機体だ。

厳しそうならその前のIl-2もある。こっちはかなり活躍した機体らしい。」

 

「このイタリアという国の設計は我が国のものとよく似ているな」

 

「確かに外見はそうだ。だが、中身を見てみると、どちらかというとこっちのイギリスの方が似ている。」

 

「艦艇については日本がよく似ているな。」

 

「武装はどうする、何も原型機と同じ武装でなくてもいいんだ。」

 

「確かにそうだな。とりあえず国産の7.92mm機関銃を1門か2門積んでおくか? 自国産の安心感のある副兵装があった方がいいだろう」

 

「それはそうだな。国産7.92mmは積んでおきたい。」

 

「M134、7.7mm弾を超高速で連射できる!これを搭載すれば……」

 

「小口径が多数より大口径を少数の方が効率が良いと、実戦の戦訓で出たらしいぞ。」

 

「やはり20mmか?」

 

「いや、どうだろう。7.92mmもあるし、30mmというのは? この、リボルバーカノンというのは強そうだし」

 

「30mmは扱いづらそうだし、多用途に使うならリボルバーカノンは、レシプロ機には重すぎし大きすぎるだろう。」

 

「ブローニングM2、12.7mm機関銃だ。極めて安定した素晴らしい銃らしい。」

 

「ふむ、こいつは確かに素晴らしい。だが、7.92mmもあるのに12.7mmではな。3種類積むのは補給が煩雑になりすぎる。」

 

「P-39は37mm機関砲を積んだらしいぞ。結構良かったとか。」

 

「多用途にしたいならそういうのはなぁ。

こっちのJu-87、37mmガンポッドで活躍したらしい。これを積めるようにすればいいだろう。」

 

「爆弾だけでなく、ロケット弾や魚雷なんかも積めるといいな。」

 

「我が国には雷撃のノウハウはない、魚雷そのものが最近知った兵器だ。

魚雷を積めても使いこなせないんじゃないか?」

 

「この23mm機関砲はどうだ?一番丁度いいんじゃないか。」

 

「こいつはいいな。」

 

会議は続き、現実性を交えつつも、夢は膨らんでいった……




ムー国、マリン戦闘機の本作での解釈としては

全体的な外見としてはフィアット CR.32によく似ている。

しかし、細部を見てみると、脚が少々違ったり、発電用プロペラの部分がなかったりなど差異がある。
細部はグロスター グラディエーターをはじめとする英国機に似た部分が多々ある。
脚は九七式戦闘機によく似ている。

搭載した7.92mm機銃はMG 17とそっくり(あてはまりそうな機銃がこれぐらいしかなかった。スペインあたりの銃が良いと思ったけど7.92mmのは無い)


今のところ考えているムーの戦闘機が、

Il-10ベース

速度はちょっと落ちる
燃料タンクを増やして航続距離はちょっと伸びる

ムー国産 7.92mm機銃1門、ホ103 12.7mm機関銃1門を機首に搭載
NS-23 23mm機関砲2門を翼内に搭載

ムー国産7.92mm機銃1丁を後部銃座に搭載したもの、ホ103 1丁を銃座に搭載したもの、後部銃座を廃し単座としたものがある(前述から後述へ新しくなる。真ん中のは生産数が少ない、一番多いのが最初)。

爆弾、ロケット弾、ガンポッド、増槽を搭載可能

といったところなのですが、技術支援があったとしても果たしてムーに作れるのでしょうか。Il-10って結構新しい機体ですよね。
当初はA-1を考えていたのですが、エンジン作るのがキツそうだなっとボツにしたのですが……



没ネタ

剣王シハン「ビッグフェン、ェアァクション!」

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