国際連邦日本エリア召喚   作:こたねᶴ᳝ᵀᴹᴷᵀᶴ᳝͏≪.O

28 / 30
竜の伝説 6

「おのれぇっ!!!ここまでかき回されるとは……敵はたったの1騎ぞ!!」

 

 敵には空で戦える戦力など、無いと思っていた。

 しかし、1騎の謎の飛行物体が戦場をかき回す。

 

「ええい!!何をやっておる!!!」

 

 マウリ・ハンマンは吠える。

戦場とは、こうも思いどおりにはいかないものか。

敵は速度でも火喰い鳥を上回っているし、何より自在な機動をする。

左右上下はともかく、後ろ向きにすら移動できるというのは脅威だ。

 

 すでに見える範囲だけでも火喰い鳥を5騎も撃墜されたし、陸の戦力もかき回されている。こちらの攻撃はろくに当たっていないし、敵の攻撃は全てが見事に命中している。恐ろしいほど精密な戦闘だ。

 敵はたったの1騎、こちらはまだ50騎以上が健在だ。そのうち敵もスタミナ切れを起こすだろうから、この戦いに勝つ事自体は間違いないだろうが、あのような化け物が存在するならば、世界の外へ侵攻する場合は、航空兵力を整える必要がある。

 マウリ・ハンマンは、今後の展開を考察する。

 

 

「……しかし、あれだけのことをしていながら、全く魔力を感じないとはどういうことだ?青白い光を伴って放たれている攻撃からすら何も感じないとは……」

 

大魔導士オルドは、現れた物体の不可解さに眉をひそめていた。

 

 

 

 あの黒い飛行物体が現れてから、もう1時間にもなろうとしている。

あれが現れてから、王都の王国軍は皆防戦に徹し始めた。

黒い飛行物体が戦場をかき回すせいで、その防御を打ち破ることも難しい。超魔獣や戦車の活躍で第二の城門を突破することはできたが、そこまでだ。あとは市街地を蹂躙するだけだというのに、あと一歩を攻めきれない。

黒い飛行物体。あれが強く、また的確に動いている。あれ一騎のために時間がかかっている。しかも、ここまで来ても全くスタミナ切れの気配がない。化け物め。

 

 

マウリ・ハンマンに化け物と言われていた飛行ビークルだが、スタミナ切れを起こさないというわけではない。生物などよりよほど長く戦えるのは確かでも、流石に弾薬と電力が少なくなってきていた。

しかし、そろそろ時間だ。

 

 

「52分経過。……来た」

 

TT-1が告げる。

どこに居るのか、公爵には分からなかったが、TT-1の指さす方を見てみてわかった。空に紛れるような色をした何かがこちらへと向かって来ている。

 

「王国軍を退かせてください」

 

「何!?しかしそれでは……」

 

「このままでは、王国軍を巻き込まないよう避けて攻撃しなければならない。それでは遅すぎる。敵は戦車や強力な魔獣を投入してきた、何とか持ちこたえられたが、防衛線は限界です。」

 

 

 戦場に到達したのは、多数のCP-237だった。

到達するや否や、攻撃を開始。ガンポッドの精密射撃、空を飛ぶ火喰い鳥騎士を撃墜、一騎、二騎、一度の航過の間に火喰い鳥は全滅。

対空戦闘を担当するCP-237の後ろを飛ぶ爆撃担当のCP-237が、抱えた無誘導爆弾を投下する。

機首を小刻みに振るCP-237からばら撒かれるように投下される大量の小型無誘導爆弾だが、その実確かな照準のもとに投下されたものだった。

落下してくる異物に気付いて退避した脚の速い戦力を除き、地上の反乱軍もとてつもない勢いで殲滅されていく。退避したものも、空の敵を殲滅して地上攻撃に映ったCP-237のガンポッド攻撃に斃される。

 

 あまりに突然で強烈な展開に、反乱軍も、また王国の人々も呆気に取られる。

ガンポッド攻撃や小型爆弾攻撃を受けなかった戦車と超魔獣ジオビーモス。敵はこの防御力を打ち破る攻撃を持っていないのか?と気を取り直して再び進撃を始めようとしたそれらは次の瞬間、衝撃と爆音、爆炎に包まれて鉄くずと化し、あるいは絶命する。

対装甲兵力攻撃任務を負っていたCP-237の、通常サイズの無誘導爆弾による急降下爆撃だった。高空からの超音速での急降下爆撃を受けては、いくら戦車と言えどもひとたまりもなかった。

 

 

「ば……バカな!!そんなバカな!!」

 

 先ほどは有翼騎士団が失われ、今度は戦車と超魔獣、そして配下の魔獣の半分以上が倒された。

マウリ・ハンマンと大魔導師オルドは、味方の切り札がすべて失われた事を理解する。

 

「何だ、あれらは!?どういうことだ!!」

 

あまりにもあまりな光景に冷静さを失い叫ぶマウリ・ハンマン。

大魔導士オルドは錯乱してはいなかったが、その脳内では疑問と考察が渦巻いていた。

 

 あのような魔導……見たことがない。

古代の超文明を解析した力をもってしても勝てないとは信じられない。

いや、そもそもあれは魔導なのか?あれだけ派手に破壊をもたらした後にも拘わらず、魔力の残滓ひとつも残らないというのは魔導であればおかしい。

だが魔導でなければ何だというのだ、このような現象を引き起こせるのは、魔導以外に考えられない。

 

 内壁城門の方向から男たちの怒声と、馬たちが大地をかける音が聞こえてくる。

 

 オルドはその全霊をもって上空を周回する敵騎を観察し、魔法も使って分析しようと試みる。

何もわからない、何も感じられない。その精密な動きをする敵からは……何も?

いや、本当に何も感じられないとは、それもおかしいではないか。

全く人間味のない動き、おそらく人が乗っているわけではない。だとしたら従えた魔獣であるしかありえないというのに、この大魔導士オルドの全霊をもってしても何も感じられないなどというのは。

そうであるとしたら……

 

 内壁城門の方向から男たちの怒声と、馬たちが大地をかける音が聞こえてくる。

 

そうだ。

 

「精霊だ……」

 

「何?精霊だと?あれのどこが精霊だというのだ!」

 

「もちろん、神話にあるような精霊だと言っているわけではありません。あれは人が乗って操っているものではないらしい。魔獣でもない、魔導の気配を全く感じられません。

あれが人に操られているのではなく、魔導の引き起こすものでもないとするならば……

 精霊です。あれは、石が地面に落ちるように、雨が降るように、風が吹くように、自然の、当然の帰結の塊で動いているのだ。そうとしか他に考えられない。

 そしてそうだとすれば、あれらは自然の化身と言えます。それは、精霊でしょう」

 

「その理屈はおかしかろう!オルド、貴様あまりの状況に気が狂ったのではないか!?」

 

「そうかもしれません、気が狂ったのかも……

いや、もはやどうでもいい。精霊だったとしても、そうでなくとも。

私はあれを知りたい。あれらが何なのか、どのようにして動いているのか。世界征服などと、そんなものはあの神秘の前では下らない。

侯爵、私は逃げるぞ。こんなところで死んでたまるか、これから、自然の摂理の探求が始まるのだ、私はまだ死ねない」

 

「待て、このわしを置いてどこへ行くつもりだ、貴様、許さんぞオルドォ!」

 

「野望を抱いて死にたければ勝手にすればよろしい、私はまだ死ぬわけには行かないのだ!」

 

そう言い捨てて走り出すオルド。しかし知識職である彼の速度はあまり速いとは言えない。

 

 後刻、城門から撃って出た王国軍によって、街の魔獣たちは駆逐され、マウリ・ハンマンと、大魔導師オルド、その他の者たちは王国軍に捕らえられた。




竜の伝説おしまい!
いや、パーパルディア皇国やムーラ氏には申し訳ないが、その辺変えないとこの終盤まで原作と変わらなくなってしまうし、彼らが必要とされた問題も技術的に何とかなるんだもん……

多分オルドさんはこんなすごい感じの人じゃないとは思いますが、原作で詳細に人物像が描かれているわけでもありませんし。この人もあれですよ、あれ。
まあこの人物像が信じられなければ、地球軍を目の前で見た時のあまりの衝撃に人が変わってしまったとかそういうことで……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。