国際連邦日本エリア召喚   作:こたねᶴ᳝ᵀᴹᴷᵀᶴ᳝͏≪.O

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忘れられた世界
忘れられた世界 1


―北海道北方 上空

 

 

 雷雨の中、1機の航空機が飛行していた。

国連所属の無人輸送機。軍事に関する任務ではなく、民間の商品を輸送するために飛行していた。

雷雨の中であってもその飛行は安定していた。貨物を十分に保護するための分厚い皮膚を雨が打つ。

搭載されている各観測装置も正常に作動していたし、超高精度な速度その他の計測機器によって、たとえ外部の情報を失ったとしても、少ない誤差で目的地付近へ向かえるだけの性能を備えていた。

 しかし、突如としてその計器類が狂い始める。外部を観測するための装置だけでなく、速度計の類なども含めてだ。

機の頭脳は各観測機器の情報を統合した判断として、これが異常な状況であると認識してはいたが、どうしようもなかった。

機を雷が打つ、問題ない。しかしエンジンへの大量の大型物体――おそらくは鳥――の激突、侵入にまでは耐えられなかった。

輸送機はエンジンから煙を吐きながら降下していった――

 

 

 

―エスペラント王国 カルズ地区

 

 王国の数ある壁内地区の中でも、外縁部に位置するカルズ地区、同場所は魔物たちの闊歩する土地と接しているため、街の人口は少なく、田舎ではあるが余りある土地を利用して農業が行われていた。

 王国の食料基地そして都会を守るための南部前線基地としての機能を与えられていた。

 そんな田舎の地区で、1人の少女が絵を書く。

 

「うーん、なかなかうまく書けたよ!!」

 

 父親は、この地区では珍しい医者であり、国内では比較的裕福な家庭に生まれた彼女は、美しい畑の絵を描く。

 

「サフィーネちゃん、今日もうまく描けたかい?あんたの絵を見ると、私しゃ心が温かい気持ちになるんだよ。」

 

 農家のおばあちゃんが話しかけてくる。

 

「うん!!とびっきり上手く描けたよ!!」

 

 彼女は明るく答える。

 国家存亡の危機にあるエスペラント王国、そんな国の一角では、平和な光景があった。

 

そんな時、何か恐怖をかき立てるような重低音が聞こえる。

 彼女は音のする方向を見る。

 

「え!?何あれ!!!」

 

 理解できない物体が目に映る。

 

「鳥?でも、火を……煙を吐いている!!!」

 

 一見魔物のようにも見えるそれは、翼の付近から煙を吐きながら落下してきた。

 ケガをして、必死に落ちまいと、もがく鳥のようにも見える。

 やがて「それ」は、彼女から約1km離れた小高い丘に激突し、土煙を上げながら停止した。翼は折れ、痛々しい姿を晒す鳥……。

 

「……行ってみよう!!!」

 

 彼女は決心し、走り出す。

 

「ちょっとやめなされ!!魔獣の類と思うよ!!!」

 

 後ろから聞こえるおばあちゃんの声を無視して彼女は走る。

 

 やがて、それの墜落現場に彼女は到着した。

 

「つっ!!!」

 

 息を呑む……あまりにも酷い光景が目の前に広がっていた。

 雑多な物がそこには散らばっていたが、中には、衝撃でちぎれてしまったのだろうか、『人』の腕や脚も見られた。

 動く者は一人もいない……。

 彼女は叫びそうになる。その時……。

彼女は、眠る少女らしきものを見つけた。箱のようなものに入った彼女は、眠っているようには見えるが、怪我をしているようには見えず、綺麗だった。

 他にも生きていそうな人がいるのか、彼女は探すが、見つける事は出来ない。

 

「この人だけでも助けなきゃ!!」

 

 彼女は、今目の前にいる人を助ける事を決意する。

 彼女は気を失っている。怪我をしていないか確認するが、やはり傷はなかった。やがて村人がこちらに向かってくる。

 

「な……なんじゃこりゃ!!」

 

「全く解らん。」

 

 各々の感想を口にする。

 

「みなさん!!生きている人がいます。手を貸してください!!」

 

 村人はサフィーネを見る。

 

「私の父は医者です!!家に運びます!!!みなさん、手を貸してください!!」

 

 村人たちは、彼女に言われるがまま、目を覚まさない少女を医師の家に運んで行った。

 

 

―――CoreSystem Boot...

―――Checking Update...fail. disconected

 

「……息を……いない、心臓も、彼女はもう……」

 

―――Loading Mentalmodel...complete

 

「そんな……」

 

―――Boot...

 

 医師の家、ベッドの上、寝かされた彼女……あるいは『それ』は目を開けた。

彼女のシステムは自らの姿勢を認識し、設定された初起動後プロトコルに基づいて起き上がる。

 

「え……?」

 

 そこにいた少女、サフィーネがそれを見て目を見開いた。

 

「どうした?……何、何だと!?」

 

 背を向けていた男性……医師であるサフィーネの父親も娘の視線を追い、驚きに目を瞠る。

 

「はじめまして、わたしはセンバ型コンパニオンロボット、あなたがたがわたしを購入されたお客様でしょうか?」

 

 彼らと目を合わせる少女の瞳の中では、レンズがピントを合わせるべく前後していた。

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