亡くなった祖父様(じじさま)は所謂"死が視える"人だった。
死は身近にあって生き物の周りをうねうねと黒い手のようなものが地面からはえている。
その姿はこちらを手招きしているようにもみえ、幼い頃の祖父様は不思議に思い触ろうとしたらしい。しかし黒い手はするりと避けムキになって何度も触ろうとしたが結局触れることはできず祖父様も特に害のない手を無視するようになった。
しかしある日黒い手が近所に住む男性の足を掴んでいるのをみた。
そして翌日父からその男性が亡くなったと知らされた。
そんな事が何度か続き祖父様はこれは"死"そのものだ、と気づいた。黒い手が死を呼ぶのか呼ばれて集まるのかはわからないが触れられたら終わる。
その恐ろしさに数日部屋に閉じこもったらしいと懐かしむように婆様が教えてくれた。
なるほど…
私は辺りを見渡し"黒い手を視た"。
私も祖父様と同じ視える人間だった。
便りが届いてから皆そわそわと落ち着きがない日々を過ごす中兄様は帰ってきた。
「皆ただいま」
「「「おかえりなさい‼︎」」」
「あ、こらっ!」
「大丈夫ですよ母上」
ゆったりした歩みで門をくぐった兄様に私と鳴、練は駆け寄って飛びついた。
兄様は私達を抱きしめるともう一度ただいま、と呟き私は擦り寄って肺いっぱいに空気を取り込んだ。
兄様の匂いだ。見たところ怪我もない…よかったぁ
「晋、よく無事で帰ってきてくれた。今日は一日いれるのか?」
「はい、父上。」
「ならよかった。さ、立ち話もなんだ家へ入りなさい。」
「あ、待ってください。友人も呼んでるんです。」
「友人?」
後ろを振り返った晋がおーい、と呼びかけると門のかげから元気な声と共に炎のような羽織を靡かせ、少年が現れた。
「お久しぶりです‼︎」
「‼︎杏寿郎殿も来てくれたのか‼︎」
「はい‼︎こちらの方面で仕事がありましたので。」
「それは大変だっただろう!尚、茶を用意してくれるか?」
「すぐ用意します。」
煉獄 杏寿郎様は兄様と同じく鬼殺隊に所属し兄様を通じて家族同士の交流があり、私はもう1人の兄のように慕っている。
「凪‼︎また見ないうちに背が伸びたな。元気にしていたか?」
「はい!杏寿郎様もお元気そうでなによりです」
「うむ!だが"様"はいらないぞ‼︎もっと気軽に呼べばいいと前にもあっただろう」
「そう、ですけど…」
「杏兄‼︎前みたいに高い高いしてくれよ‼︎屋根に届くくらい‼︎」
「あ、ずるいー‼︎私も‼︎」
「ああ、いいぞ‼︎」
あー、もう…練ったら…
「ははっ、目上の人を敬う気持ちは大切だがお前はまだ子供だ。そんなに気にしなくていいんだぞ。」
「兄様まで…むう。」
ぽんぽんと頭を撫でてくる兄様に頬を膨らませ尚姉様が呼びにくるまで常人では届かない高さまで練を投げる杏寿郎様…じゃない、杏寿郎さんを見ていた。
晋はこの時19歳、煉獄さんは15歳くらいです。何歳で柱になったのかわかりませんがこの話ではまだ柱ではありません。
主人公の設定上、書かねばならないことがあり最初はオリキャラ中心のところがありますが日常編が終わったらキャラともばんばん絡んでいってもらいます。