夜鈴 晋side
その知らせを宇髄の鎹鴉から聞いた時全身から血の気が引いた。
俺は何をしていたんだ、と
凪は幼いながらに周りを見ている子だった。
家の手伝いを率先して行い下の兄弟の面倒もよくみていた…俺が鬼殺隊に入り家にいなくなってからは特に。
自分がしっかりしなければ、と思ったのだろう。だから俺や両親に甘える事が極端に減った。
その姿に少し寂しさを感じたがその分俺の方から甘やかした。
そして凪は恥ずかしそうにするが最後には年相応に笑うんだ。
なのに
これはあんまりではないか…‼︎
「胡蝶‼︎」
「夜鈴さん…鴉からの連絡は来ましたので準備は万全です。」
「そう、か…ありがとう」
全速力で蝶屋敷まで走ると屋敷の主である胡蝶 しのぶが門の前に立っており、その後ろには数名の看護婦も待機していた。
本当は凪の元へ行きたいが入れ違いになる可能性が高い
…この何もできない時間に苛立ちがつのる。
鬼をこの世からなくすために鬼殺隊に入った。家族を守るために
しかし家族は鬼に殺され生き残ったのは重症の凪のみ
その場にいなかったから仕方ない、と言われるかもしれない。しかし俺は自分が許せない‼︎どうして俺はそこにいなかったのだと‼︎
すまないっ‼︎すまない皆‼︎
どうか凪だけは死なないでくれ‼︎
「……っ」
ギリッ
「…。あ、来たようですよ!」
「‼︎」
私は宇髄様に抱えられすごい速さで変わる景色を眺めていた。
熱は藤の家紋の家にいた時よりも悪化し、呼吸がしづらく頭がクラクラする。
宇髄様は私が意識を失わないようずっと話しかけてくれ、特に元忍でまきを様達は宇髄様のお嫁さんだというのは驚いた。
鬼殺隊は個性豊かな人が多いと兄様から聞いていたが本当にそうだった。
「ついたぞ」
宇髄様が止まったことにより今まで残像でしか見えなかった景色が安定した。見上げると大きなお屋敷が目に入りどこからか少し薬品の匂いがした。
視線を下ろすとそこには隊服を着た綺麗な人を含め女の人が数人いたが次には見えなくなった。
「凪っ‼︎」
懐かしい匂いと悲痛な声
「側にいてやれなくて…すまない…‼︎」
兄様だ
限界だった
私はボロボロと涙を流し枯れた声で泣く
皆いなくなってしまった兄弟を守れなかった痛かった。
全部吐き出した私を兄様は優しく、でも力強く包んでくれた。
あれから治療を受け一命を取り留めた私は痛む身体に耐えつつ日々をベットの上で過ごしていた。
蝶屋敷の人達は良い人ばかりだ。ここに訪れるのは鬼との戦闘で大怪我を負った人がほとんどだろうに私はまだ見ていない。同室の隊士の方は比較的軽傷の人が多く血生臭さから私を遠ざけてくれている。
そして兄様は時間がある限りずっと側にいてくれたおかげで精神的に安定し、色々と考えられるようになった。
絶望していたあの時、姉様の叫びで体が動いた
婆様が灯りを灯していなければ火事は起きず食われていた
そして宇髄様が私を見つけ、胡蝶様が治療してくださり今に至る
私は皆のおかげで生きている
助けられたこの命どう使うか、それはもう決まっていた。
私のように誰かが大切な人を失わぬよう
そして鬼がこれ以上罪を重ねないよう鬼を斬る
あの鬼は最後わけのわからない言動をとっていた。嘆き悲しみ、私に生きろと…
兄様に聞くと鬼は元々人間でその頃の記憶があったのだろう…と教えてくれた。
それを聞いてなんて救いがない生き物なんだと思った。
家族を殺されて憎い気持ちは消えない。しかしあの鬼は人を食った事を後悔していた
その姿を見てもう以前のようにただ滅する存在として見れない
だから私はこの2つを心に決め鬼殺隊に入るんだ
ついに凪の鬼殺の剣士としての地盤が出来始めました。
ここから蝶屋敷で療養生活がしばらく続きます。
良いこともあれば悪いことも起こります。
天元様の鴉はまず先にしのぶさんへ伝え晋に知らせました。
晋も柱合会議があるので近くまで来ていたのが幸いしてすぐ駆けつけれた
蝶屋敷の看護婦さんはアオイさん達ではありません。別の方です