なんかまた新しい構成を思いついてしまった。
うちの邪ンヌが書けって言ってた気がした
翌日のHRにて。
「では1年1組のクラス代表は織斑一夏君に決定です。1繋がりでいい感じですねぇ」
嬉々として喋る真耶。
それに対し反応は3つに分かれている。
一夏のクラス代表決定に喜ぶ者達、八雲がクラス代表にならなくて落胆する者。
そして第3の、男がクラス代表になったのが許せなかった数名の女尊男卑思想の者。
「先生、質問です」
「はい、織斑君どうぞ」
「俺は昨日1勝しかしていないのですけど、どうしてクラス代表になっているのですか?」
一夏の質問に言い淀む真耶。
どうやって説明したものかと。
そんななか八雲が口を開いた。
「簡単な話だ、俺が代表に推薦しておいた」
「何で!?」
唯一2勝した八雲の言葉に驚きを隠せない一夏に八雲はたった一言言い放った。
「勝者の命令」
俺が勝ったのだから負けたお前がやれということである。
実に単純で、理不尽な命令である。
「じゃあオルコットさんはどうなるんだよ、1番やりたそうだったじゃないか」
「ああ、彼女なら快く了承してくれたさ。だから逃げるなよ?責任重大だからな」
「ぐっ……分かった、やるよ」
渋々ながらも了承した一夏にクラスが沸き立つ。
そして代表就任挨拶が行われ更に沸き立った。
余談だが、救護室で寝ていなきゃいけない筈のセシリアが突如教室に現れて土下座を刊行したのは些細なこと。
代表を決める際に言ってしまったことを謝りたかったらしい。
だがまたもや無断で救護室を抜け出してきた事に今度は千冬もキレて、強制的に連れ戻された挙句に1時間の説教を食らった模様。
翌週。
桜の花弁も全て散っている頃、1年1組はISの実習が始まった。
「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実演してもらう。織斑、鷲崎、オルコット。試しに飛んでみせろ」
千冬の指示に各々展開する。
1番早かったのはセシリアである。
念じる必要もない、流石代表候補生である。
一方の八雲だが…
「Stalker、起動シーケンス開始」
『Stalker、通常モードを起動します』
機体に呼びかけてボディーアーマーのようにスリムな機体が呼び出される。
それは先週見せた八雲の機体とは全くの別物であった。
「鷲崎。色々言いたいことはあるが、それは口に出さないといかんのか?」
「ええ。俺の機体は少々特殊でしてね、万が一奪われた場合を想定して音声認識によるパスロックが掛かっているので。うちの技術班か俺の声でロック解除しなければそもそも起動しないようになっているんですよ」
NEXTであるが故の弊害。
どんな状況にでも対応出来る単体勢力として作られたStalkerが敵対者の手に渡る事は絶対に避けなければならない、故に渡ったとしても起動出来ないようにしたのだ。
「そうか、所でその姿は?」
「装甲は未調整で使った影響で再調整行きです、この姿はまあ骨格だと思ってください」
現在の八雲の姿はそれはもうスリムでISと呼べるのかと思うほどだった。
ブランク体とトーラスでは呼ばれており、これに追加装甲を随時展開させることでどんな状況でも活動するコンセプトを満たしている。
「そうか。所で織斑、何時まで掛かっている」
千冬が視線を向け、慌てふためくように機体を展開させる。
完全に八雲の機体を見て気が逸れていたのが分かる。
急かされた一夏は右腕のガントレットに手を当てて集中する。
通常はアクセサリーになるはずの待機形態が何故防具なのか疑問が残るが、一夏は心の中で来いと叫んだ。
そうして白式が展開される。
「ふむ、まだまだだな。まあいい、よし飛べ」
突如突風と轟音が突き抜け八雲が独走する。
クイックブーストでの01加速。
停止状態から瞬時にトップスピードになる。
置いてけぼりを食らった一夏もセシリアもポカンとしていたが、すぐにセシリアは八雲を追い掛けた。
一方の一夏だが、現行のISよりもずっと高性能な機体の筈なのにその速度は遅かった。
「織斑、遅いぞ。鷲崎のは例外としてもスペック的にはブルー・ティアーズよりも出力が上だぞ」
と言われているが一夏の内心は穏やかでは無かった。
まあ、急上昇急降下を習ってすぐの実習の為、初心者の一夏がすぐに出来たら余程の天才である。
ようやく追いついてきた一夏が愚痴をこぼす。
「どうにもイメージが掴めないんだよなぁ」
参考通りのセシリアや全く参考にならない八雲、2人のを見てもイマイチ理解できない一夏。
セシリアのならなんとなく教本通りの飛び方だと分かるが、一夏には八雲の飛び方が参考になるとは思えなかったのだ。
どう見てもブースターの暴力的な出力に任せて機体を吹き飛ばしているようにしか見えないからだ。
「こんなもの所詮イメージだ、教本通りのイメージで飛べるのは余程の理論派だ。こんなもの動けば飛ぶんだよ」
「そうは言ってもなぁ。だいたい空を飛ぶ感覚自体あやふやなんだよ、どうやって浮いているんだこれ」
ブースターを吹かさずとも空中に浮いていられる原理を、一夏は理解していない。
そこに話を聞きつけたセシリアが近寄ってくる。
「説明して差し上げましょうか?とても長いですが、反重力力翼と流動波干渉の話にーー」
「止めておけ、今のコイツに理解出来る話では無い」
長くなりそうだったセシリアの話を途中で遮る八雲。
以前なら憤慨していたセシリアが遮られても無反応、それどころか八雲と会話しよう等とは以前からは考えられない。
「あの、私も八雲さんに教わりたいことがーー」
『一夏っ!!!!何時までそこに居る!早く降りて来い!』
突如通信回線から響く怒号、下を見れば真耶のインカムを奪い取った箒が声を荒らげていた。
「貴様は何をしている、教師の物を奪うな!」
それを見た千冬がインカムをボッシュート、出席簿アタックが炸裂した。
その際千冬はインカムを使っていなかったにもかかわらず八雲達まで声が響いた。
「ハイパーセンサーって凄いな、この距離で箒のまつげまで見える」
「因みにこれでも機能面でのリミッターが掛かっているんでしてよ。元々宇宙空間での稼働を想定してますもの、この程度の距離なら見えて当然ですわね」
セシリアが一夏に説明を入れる。
あれ以来友人関係になった3人は、以前のような険悪ムードとは程遠いものになっていた。
「織斑、鷲崎、オルコット。次は急降下からの完全停止だ、地表10センチを目標に止まれ」
「了解です。ではお2人共、お先に」
すぐさま地上へと急降下していきみるみるうちに小さくなっていく。
その姿に感心をこぼす一夏。
「うまいもんだなぁ」
「伊達や酔狂で名乗れるほど代表候補生と言うものは軽くはない、あれくらい当然だろうさ。さて先行くぞ、止まる時は思い浮かべればだいたい応えてくれる」
そう言って八雲は背中を下にした落下体制を取った。
その行動に千冬を含めクラスメイト達や先に降り立ったセシリア、挙句近くで見ていた一夏すら首を傾げる。
「PICカット、アフターバーナー起動」
突如轟音と共にそのままの体制で急降下する八雲。
その行動に悲鳴に近い声がちらほらと上がってくる。
地上に対して背中から落下するなど正気の沙汰ではない。
「PIC強制再起動、メインブースター出力80%。姿勢制御スラスター稼働、正位置に強制移動」
あわや激突といった瞬間に八雲が急停止した。
その瞬間砂埃が舞八雲の姿が完全に隠される。
砂埃が晴れると、そこにはジャスト10センチで停止している八雲の姿があった。
「馬鹿者!心臓に悪い降り方をするな!貴様は恐怖心まで擦り切れているのか!!」
それはそれはお怒りの千冬。
「多少インパクトがあったほうが印象に残るかと思いまして」
「そんなインパクトなぞ要らんわ馬鹿者、何かあったどうするつもりだ」
嫌に心配する千冬に苦笑で返すしかない八雲。
千冬としては怪我に気付けない八雲に怪我をされて悪化したら大変だからである。
「八雲さん、心臓に悪いのであまりしないで欲しいですわ」
「ああ、以後気を付けるさ」
隣に来たセシリアにも心配を掛けたということを悟り、八雲は反省したという。
その後八雲の忠告を覚えていた一夏が墜落事故を引き起こす前に止まれたといった事があったが割愛する。
「次は武装の展開だ。織斑、接近武装を展開しろ」
一夏は瞬時に意識を切り替えるが、如何せんすぐには集中出来ない。
右腕を左手で握りしめ、集中力を高めていく。
あるところで右手に現れた虚像が実を結び現像として雪片弐型が握られていた。
「まだまだ遅いな、まあ初心者にしては早いほうか…次オルコット、武装を展開しろ」
「はい」
千冬の指示を受け、セシリアが左手を肩の高さまで挙げ、真横に手を突き出す。一瞬の爆発的な光の奔流の直後光が消えると、その手にはスターライトmk−IIIが握られていた。
一夏に比べ圧倒的に速い展開速度に八雲も手放しで拍手を無意識にしていた。それに少し照れながらも、セシリアが目線を送ればマガジンも接続されセーフティも外され射撃可能状態へと移行していた。
「流石代表候補生、だが横に向かって展開するのは頂けないな。一体誰を撃つ気だ、正面に展開できるようにしろ」
「で、ですがこれは私のイメージを固めるために必要な動作で…」
「真横から正面に構え直す時間が隙になる。直せ、いいな?」
「ー、はい…」
正論を言われてはどうしようもなく、セシリアは押し黙る。
「オルコット、接近武装を展開しろ」
「え。あ、はいっ」
唐突な事に反応が遅れたが、それでも流石代表候補生。
瞬時にライフルが収納され、右手の光が影を描く。
だがそこから光は像を結ばず、空中をくるくると彷徨っている。
「くっ…」
「……まだか?」
「す、すぐです。ーーああ、もうっ!!!『インターセプター』!!」
半ばヤケクソに叫んだセシリア。
武器名を声に出した結果イメージは纏まり武器として具現した。
だがこの方法は教本の1番最初に書かれている初心者用のやり方だった。
代表候補生であるセシリアにとって初心者用の手段を用いなければ展開出来ないというのは屈辱であろう。
「何秒掛かっている、先の模擬戦ではもっと速い展開速度だったと思うが?」
「あれは!その、無我夢中で」
「ほう、代表候補生ともあろうお前が無我夢中にでもならねば接近武装を素早くコール出来ないと」
「それはっ…直します、はい」
琴線に触れたのか、その目は強い意志が燃えていた。
「鷲崎、射撃武装を展開しろ」
ボケーとセシリアと千冬のやり取りを眺めていた八雲に飛んできた指令。
だが慌てふためく事すらも無く、軽く手を振った瞬間に既に握られていた。
04-MARVE
トーラスが開発した大口径アサルトライフルで、命中率や威力共に他社が開発したアサルトライフルを優に超える。
装弾数30と他社に比べると少ない。
「ふむ、妥協点だな。次は接近武装だ」
「了解」
持っていた04-MARVEを放り投げ八雲は右手にMOONLIGHTを展開した。
正式には 07-MOONLIGHT
剣としては特異な見た目をしており、刀身が全て高密度のエネルギーで出来ている。
因みに放り投げた04-MARVEが地面につく前に粒子となって消えた事で周囲を驚かせた。
遠隔収納だ、余程その武器のイメージが強くなければ無理な事なのだ。
特殊な改造が施されており、刀身を常時出しておく事もできるようになっている。
初期型の安定した試作品では斬る一瞬のみ刀身が出現する仕様だったが、それだとエネルギー消費が大き過ぎるとのことで変更になったもよう。
「射撃武装より早いな、癖か」
「恐らくは。剣ばかり使ってきたもので」
「ふ、射撃武装もそれくらい早くするように。では時間だ今日の授業はここまでとする」
号令をしたあと、千冬はそそくさと去っていった。
「織斑くん、クラス代表決定おめでと〜!」
夕食後の自由時間の寮の食堂にて織斑一夏クラス代表就任パーティが行われた。
クラッカーが乱射され飲み物片手にワイワイと盛り上がっている。
何故か他クラスの生徒も居る事から騒ぐ口実になっている模様。
恐らく夜遅くまで行われると思い、八雲は日課のランニングを終えた後に来たのだった。
「はいは〜い、新聞部で〜す。話題の新入生、織斑一夏君と鷲崎八雲君に特別インタビューをしに来ました〜!」
「「お〜!!」」
新聞部の登場に盛り上がる一同。
「私は2年の黛薫子、新聞部副部長やってます。よろしくね〜、はいこれ名刺」
そう言って手渡された名刺に書かれていた何とも画数の多い名前、八雲が知っている人達よりも倍以上画数が多いだろう。
「君が鷲崎君かぁ、あれ?さんの方が良いのかな?」
「いや、敬われる程上等な人間ではないし変に気を遣う必要もない。年上と言っても後輩として入っている以上な」
「そっか、うん。じゃあ君でも良いね。いやぁたっちゃんが体力馬鹿って言う鷲崎君には1度会ってみたかったんだよねぇ」
「ほう、アイツはそんな事を…いっその事ーー」
思考の海に沈んだ八雲を見て内心やらかしたかと思った薫子だったが、楯無の普段の行いの報いとして見ぬふりを決め込んだ。
「鷲崎君には後で話を聞くとして、ズバリ織斑君!!クラス代表になった感想をどうぞ!!!」
ボイスレコーダーを一夏にグイっと近付け、無邪気な笑みを浮かべる薫子。
対して一夏はあまり乗り気ではなさそうであった。
「えーっと、まあ。頑張ります?」
「えー、もっとこうなんかいいコメントちょうだいよ〜。俺に触れると火傷するぜ!とかさぁ」
「んー…自分、不器用ですから」
「うわぁ、前時代的だね」
自分で言ったセリフを忘れたのか、薫子の言葉に一夏は心の中でそうツッコんだ。
「んー、まあいいか。適当に造語しておくとして、八雲くーんそろそろ話聞かせてよー」
「ん、ああ。何が聞きたい?」
「たっちゃんが言ってたけど、どうしてクラス代表を譲ったの?贔屓目無しでも鷲崎君がクラス代表になった方が必勝間違いなしだと思ったんだけど…」
「それか、そうだな。アイツにも言ったがどこかの誰かが熱い事を語ってくれたからな、なあ一夏」
「えっと、それは忘れてくれると…」
一夏が恥ずかしそうに頭を書きながら懇願するが八雲はただ笑っているだけだった。
「まあ、それだけが理由ではないがな」
「ん、他にもあるの?」
「俺がトーラスの企業代表だというのは既に知れ渡っていると思うが、その会社からあまり乗る機会を作るなと言われてな。授業や催し物程度なら問題ないが戦闘行動や模擬戦はあまりするなってな」
「え…?」
その言葉に薫子、他その場に居た面々は首を傾げる。
本来企業から言われる事は率先して乗れと言われる筈であり、その逆は本来有り得ないのだ。
「これはオフレコで頼む。
俺の機体『Stalker』は高機動機体でありながら、そのコンセプトの影響で操縦者を保護する安全装置の類は一切無い。故に俺の匙加減1つで何処までも加速出来る」
「すげぇな、あれ以上もあるわけか」
「ああ、まだ早く出来るぞ」
それを聞いた一夏が目を輝かせながら近付いてきた。
だが薫子の顔は一夏とは真逆であった。
「え…嘘、それって…」
「ああ、あんたが思った通りだ」
唯一察したのが薫子だけであった。
この場に居るのは新入生、つまり1年生ばかりであり2年生は薫子のみ。
そして薫子は整備科所属の生徒だ、八雲が語った事がどういうことか理解出来るこの場唯一の生徒であった。
安全装置が無い。
つまり保護機能も働かないのだ、高機動から操縦者を守るものが何一つとして存在しない機体だということである。
これは1年の後期に習う事であるが、保護機能が無ければ高機動戦など常人なら1分と持たずにリタイアする程強烈な痛みが襲う。
実際2年に進級時に支障が出ない程度に保護機能を弱めた機体で高機動の体験実習が行われるのだが、それでも全クラスの約半数が体調を崩す程だった。
薫子も勿論やっており、その後1日寝込む程だった。それが数日前の出来事だったため未だにその時の痛みを鮮明に覚えていた。
そして整備科の生徒はそれをもっと掘り下げた事を教わる、保護機能の重要性とそれが無い事の危険性を。
体に支障が出ない程度に保護機能を下げただけでそれである、保護機能が存在しない機体等乗っただけで体がボロボロになることが目に見えていた。
「だからオフレコで頼んだんだ、言わないで貰えると助かる。この話は終わりだ」
「わ、分かったわ。流石に記事に出来ないから、いい話ないかな?」
「いい話か…生憎その手の話題に縁がなくてな。ひとこと程度なら、『汝に月光の導きあれ』とでも言っておこうか。導きと言っても引導だがな」
「斬って捨てる気だね、うん。かっこいいから採用!あ、最後セシリアちゃんもコメント良いかな?」
八雲の側に"偶然"座っていたセシリアにもコメントを求める薫子。
「その思い出したかのような言い方が物凄く気になりますが仕方ないですわね、次は私が完封して差し上げますわ。とでも書いておいてください」
「お、良いねぇライバル宣言かな?そういう熱い展開好きだよ私」
八雲に対して指で銃を形作って撃つような動作をしながら言った事に、薫子は気分良く答えていた。
「じゃあ写真撮ろうか。んーせっかくだし1組全員で撮ろっか、パーティーだし」
その事に沸き立つ1組の面々。
「じゃあ撮るよ〜467×467÷890は?」
「えっと…」
「「245.04382だ(ですわ)」」
「正解〜」
八雲とセシリアだけが答え、それとほぼ同時にシャッターが切られた。
あ然とした表情の一夏と引き攣った笑顔の八雲以外、全員しっかりとした笑顔だった事をここに記しておく。
そういえば投稿してた。
忘れてました。