夏野林太郎は勇者部顧問である   作:うりぼーノック

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第四回です。かなり散らかった内容になってしまった……。けどお出しします。
こういうのは開き直りが大事だと思うんですヨ!(虚ろな目



当作品では「ワタシ」と「アタシ」は「私」で統一させていただいております。
よしなに。


ゆゆゆい - 4

 

 

 

 

 

 

郡千景。乃木若葉らと共にこの世界へと来訪した、西暦に活躍した初代勇者の一人……らしい。

何故、らしい、という曖昧な表現になるのかというと、郡千景なる勇者の記録がどこを探しても存在しないからである。

 

 

「うーん……やっぱり見つからない」

 

 

西暦の勇者達が来訪してから、私は折を見ては大赦の資料室に籠るようになった。

各時代の記録を調べ上げて、勇者補佐として各勇者様達へ違和感のない生活を提供できるように、という理由だ。

その【ついで】に、郡千景なる勇者の記録を探していたのだが……。

 

 

(一向に見つからないとはネ)

 

 

確証はないものの、郡千景という勇者は間違いなく存在していたと私は考えている。

初代勇者様達の彼女への接し方を見ればその信頼関係は一目瞭然であるし、そもそも実際に勇者システムを起動して造反神と戦っているのだから疑う余地はないだろう。

だからこそ、記録が見つからないのが不可解なのだ。

 

 

「検閲事項が多いし……」

 

 

膨大な資料の半分は検閲済みの記録であった。正直歴史資料としては価値がないといってもいいぐらいだ。

大赦の秘密主義は知っていたつもりだったが……こうもまざまざと見せつけられると思う所も出てくるなぁ……。

 

 

「神樹様の内包世界なんだから、もうちょっと融通が利いてもさぁ……」

 

 

いくら現実世界を再現しているとはいえ、少しくらいは余地を残してくれてもいいじゃん!

……などとと思うのは神樹様への不敬が過ぎるだろうか。誰かに聞かれれば事かもしれない。

まぁ、心中で思った時点で、神樹様には筒抜けなんだろうけどもね。

 

 

「……帰ろう」

 

 

ふ、と時計に目をやると、そろそろ昼飯時が近かった。

午後には予定があることだし、資料を片付けたら帰ることにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅(木造の平屋)に帰ると、居間で勇者部の数人たちがゲームに興じていた。

 

 

「あ、お帰りなさい、先生」

 

「……こんにちは、伊予島」

 

 

少し離れたところで本を読んでいた伊予島の言葉に、私は苦笑いで挨拶を返す。

ここで「ただいま」なんて言おうものなら、ますます彼女達に生活を侵食されてしまう気がしたのだ。

もう遅いとかいう人は嫌いです。

 

 

「あ、ゲーム機借りてまーす!」

 

 

そう申告したのは銀ちゃんだった。ちなみに視線は画面にくぎ付けのまま。勝手知ったる……といったところか。

部屋を見渡すと、他に土居球子に郡千景がゲームに興じており、それを高嶋友奈や乃木園子(中&小)、鷲尾須美らが眺めているのが解った。

 

 

「あ、お帰りなさい、先生!」

 

 

台所からエプロン姿の部長が顔を出した。居間にいるので全員じゃなかったんだ……。

 

 

「もうすぐお昼ができるから。 今日のメニューは肉うどんよ!」

 

「……それは美味しそうだね」

 

 

部長の言葉に、私は絞り出すような声で答える。

肉うどんかー……部長のうどんは美味しいもんなぁ……楽しみだなー……。

 

 

「あ、鞄は私が預かります。何時もの書斎においておけばいいんですよね?」

 

「うん……」

 

 

手に持っていた鞄が伊予島に奪われる。 わぁ、気が利くなぁ……。

……何で?何で皆、我が家の事に詳しいの?

 

 

「何をボーっとしてんの! 早く手を洗ってきなさい!」

 

「はい……」

 

 

部長の急かす言葉に、私は洗面所へと向かう。もう何だろう……取り返しのつかないことになっている気がする。

……悲しみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員で部長の作った肉うどんを啜る。美味しいなぁ。

 

 

「……先生が遠い目を!」

 

「状況に心がついてきていないのね……可哀想に」

 

 

高嶋と郡が言う。 だったら勝手に家にあがらないでくださいます!?

……と口に出して言えない私。だからダメなんだ、という自覚はあります。

 

 

「あの……何と言ったらいいのか……申し訳ありません」

 

「いや……まぁ、別に怒っているわけじゃないから。そんな風に謝らなくていいよ」

 

 

心底から謝意を伝えてくる須美ちゃんに、少し心が癒される。

でも結局は彼女も家に上がっているんだけどね……。

 

 

「そうだよ、リトルわっしー。 別に泥棒をしたりしてるわけじゃないんだから~」

 

 

乃木はもう少し遠慮してくれない?

 

 

「しっかし先生の家にはいろいろなものがあるよなー!」

 

「もうタマっち先輩ったら……でも本にゲームに、CDやDVD……トレーディングカードとかもあるからね」

 

「しかも全部にラベリングして、ジャンルや媒体ごとに綺麗に棚にしまってあるもんね~。 色々と探しやすくて便利です~」

 

 

土居の言葉に伊予島が苦笑しつつも同意し、園子ちゃんは目を輝かせながら言う。

泥棒はされてないらしいが、家探しはされているらしい。まぁ、ここまで生活を浸食されたならそれぐらいは気にならないけど。

諦めとかやけくそとも言う。

 

 

「掃除も洗濯も完璧なのにねぇ……どうして、食事だけは疎かにするのか理解に苦しむのよねぇ」

 

 

そんな私に向かって、部長が嘆かわしげに言った。そんなに言うほど?

 

 

「食事なんて、ただの栄養摂取の作業じゃないか」

 

「栄養は美味しく摂ってこそ、よ! 作業とかいうんじゃないの!」

 

「夏野さん……それは流石に改めたほうがいいっすよ」

 

 

私の反論に部長が怒声を上げ、銀ちゃんには悲しそうな目を向けられる。

というか、周りの全員が悲しそうな目で私を見ていた。

うーん……まぁ、確かに美味しいご飯のほうが嬉しいとは思う。

 

 

「ごめんなさい」

 

「……解ればいいのよ」

 

 

私の言葉に、部長が言う。しかしやはり不満げな様子だ。

その一方で、

 

 

「……園子先輩、これ少し調べたほうが~……?」

 

「そうしよっか~……絶対に何かあるからね~……」

 

 

乃木園子(中&小)が何事かを囁きあっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼食後。何故か郡と格闘ゲームで対決することになってしまった。

どうしてこうなった、とは思うのだが、昼食時に食卓を変な空気にしてしまった負い目があるので大人しく参加する事にした。まぁ、少しぐらい生徒の前で息抜きしても良いよね!

……とか思っていた過去の自分に後悔している。。

 

 

「中々やるわね……!」

 

「……っ!」

 

 

郡強い。めっちゃ強い。相当なゲーマーとは聞いていたが、こんなのプロレベルじゃないっすか!

1R目はカウンターで一気に潰されたので、2R目は弱攻撃で隙を伺い続ける。隙なんてないけど。

 

 

「おお……本気の千景と対等に渡り合ってるぞ!?」

 

「夏野さん、スッゲー!」

 

「ふっ……ここまで本気を出すのは久しぶりだわ……!」

 

 

郡の猛攻を防ぎ続ける私に、土居と銀ちゃんが驚きの声を上げた。

驚いているところを申し訳ないが、郡みたいに喋る余裕とかないですぅ!負けそうですぅ!

 

 

「ぐんちゃん!先生は余裕ないみたいだよ!押しきっちゃえ!」

 

「解ったわ、高嶋さん!」

 

 

高嶋の言葉に郡の動きが更に早くなる。要らない事を言ってくれちゃうなぁ!

うぬぬ……!

 

 

「1F読みとかずるくない、ぐんちゃん……!」

 

「え?」

 

「へ?」

 

 

突如郡が間抜けな声を上げて固まった。その瞬間、私が破れかぶれで入力した必殺コマンドがさく裂。

まさかの大逆転勝ちー! ……でいいのかしら?

 

 

「何があった……?」

 

 

横にいる郡は顔を真っ赤にして固まり続けている。そして周りを見回せば、やはり固まっている面々が。

何があったんだ……。

 

 

「先生……今、何て言った?」

 

「え?」

 

 

何やら部長が震えた声で問いかけてくる。何って……。

 

 

「何か言ったっけ?」

 

「……今、千景さんの事を「ぐんちゃん」って呼びましたよね?」

 

「?」

 

 

伊予島の言葉に首を傾げ……先ほどの勝負の最中のことを思い出した。

言いましたね。生徒の事を、反射的にあだ名で呼んじゃいましたね。

ふむ。

 

 

「辞表書きます……」

 

「「早まるなぁ!」」

 

 

部長と土居に取り押さえられる。

 

 

「離してくれ! 生徒との垣根をなくしてしまった教師など碌でもないに違いないんだ……!」

 

「お、落ち着きタマえ! 生徒を自宅に上げている時点で垣根なんて無いようなものだろ!?」

 

「辞表書くー!」

 

 

どったんばったん。 そして私は簀巻きにされた。

 

 

「許してくれ、郡……決してハラスメントとかそういう意図はなかったんだ……」

 

「そんな事思ってないわよ……」

 

 

私の謝罪に、郡は呆れたようにため息を吐く。

 

 

「どうせ高嶋さんの呼び方に釣られたんでしょう? どれだけゲームに必死になってるのよ」

 

「いや、そっちこそ1F読みは酷くない? ガチすぎるでしょ」

 

「だよなぁ、先生! 千景はもう少しタマ達に華を持たせてくれてもいいよな!」

 

「はい、タマっち先輩はこっちに来ましょうねー?」

 

 

土居が伊予島に引きずられていく。ドナドナ……。

 

 

「……とにかく私は気にしていないわ。本人がそう言っているんだから、それでいいでしょ?」

 

「むぅ……」

 

 

郡の寛大なお言葉に乗ってもいい物かどうか悩む。

でも本人が言っているんだから、これ以上騒ぐのはあれだよなぁ。

 

 

「解った、辞表書くのやめます」

 

「それでいいのよ……という訳で」

 

 

郡がゲームコントローラーを差し出してくる。

え?またやるの?

 

 

「負けっぱなしは性に合わないの」

 

「それにさっきのは不意打ちだもんね! 先生、ぐんちゃんの挑戦をもう一度受けてくれますよね!」

 

「……仕方がない。受けて立つよ」

 

 

高嶋の言うとおりである。先ほどのは所詮ラッキーパンチにすぎないのだ。

ここはたとえ負けしか見えていなくとも、勝負を受けるべきだろう。それがせめてもの礼儀……!

 

 

「せっかくだから罰ゲームとか設定しちゃう~?」

 

 

突如乃木園子(中)が言った。

え?

 

 

「先生が負けたら~……今日一日は私達の事を名前で呼んでもらいま~す」

 

 

え?え?

 

 

「……やれる、千景?」

 

「任せて、犬吠崎さん。 どちらにせよ負けるつもりはないもの」

 

「ぐんちゃん! 頑張って!」

 

 

え?え?え?

 

 

「……ご愁傷様です」

 

 

須美ちゃんの一言で、私は目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辞表書きたい……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





風先輩が通い妻面してて草。
勝手にキャラが動くというか、自分の欲望が駄々洩れになっているというか。
……解るでしょ?(同調圧力


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