夏野林太郎は勇者部顧問である   作:うりぼーノック

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Gジェネ面白ーい!(殴


今回は書きたいものを書きたいように書きました。何時もの事?そうだネ!(えー
 
 
 
本作においては「あたし」「わたし」は「私」に統一させていただいております。よしなに。
それと活動報告にて、リクエストなぞを募っております。良ければ書いていってくださいな。


ゆゆゆい - 6

 

 

 

 

 

 

クリスマスも近くなったある休日。私はイネスで人を待っていた。

余裕を見てやや早い時間に待ち合わせ場所に来たので、何となくクリスマスツリーに飾られたオーナメントの数なぞを数えてみる。

 

 

「あら、先生! もういらっしゃっていたんですか?」

 

「む。 待ち合わせまでにはまだ時間があったはずだが……」

 

 

後からの声に振り返ると、そこには待ち人である上里ひなたと乃木若葉の姿があった。

私は、はは、と少し笑う。

 

 

「君たちこそ、ずいぶんと早く来ているじゃないか。 まだ三十分前だぞ?」

 

「先生を待たせるわけにはいかないからな」

 

「そんなに気を使わなくても……」

 

 

乃木の答えに正直な感想を漏らす。

 

 

「先生こそ、どうしてこんなに早くから?」

 

 

今度は上里が先ほどとは反対に問いかけてきた。

なので、私も先ほど反対の答えを返す。

 

 

「生徒を、しかも女の子を待たせる訳にはいかないだろう」

 

「あら、まぁ……」

 

「む……」

 

 

頬を赤らめる上里と乃木。 何も間違ったことは言ってない筈……だよね?

ここは気づかないフリをするのが得策だと思う。

 

 

「……じゃあ予定より早いけど、さっそく用事を済ませるとするか。 まずは雑貨屋だったか?」

 

「え、ええ。 児童館に集まる子供たちへのプレゼントの購入ですね」

 

「で、では、行くとするか!」

 

 

乃木がどこか固い動きで、我々を先導して歩き出す。私と上里もそれに続いて、歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、我々がイネスへと赴いたのは勇者部の活動に関する事柄である。

 

 

 

クリスマスにチャリティーイベントを行う団体からの依頼で、我々にもイベントに参加して、何かしらの演目を行ってほしい、という事であった。

 

 

 

検討の結果、勇者部は演劇と、その後のクリスマスプレゼントの配布の一部を担当することになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

雑貨屋へと到着。早速プレゼントに適した物を探し始める。

 

 

「予算は相当に確保できたからな。 ちょっと高い物でもいいぞー」

 

「予算の確保、か……」

 

 

私の言葉に乃木が苦笑する。

 

 

「大赦との打ち合わせの時のひなたは凄かったなぁ」

 

「うふふ……」

 

 

乃木の言葉に上里が不敵に笑う。怖い。

予算確保のための打ち合わせの場所には、上里の他に乃木と私がいたのだが、大赦との折衝の殆どは上里がやってしまった。

乃木と私は大赦の予算担当官が涙目になっていくのを、見ているだけであった。

 

 

「ですが、それもこれも先生の事前の根回しのおかげですから♪」

 

「……まぁ、多少はやったけども、ね」

 

 

関連部署に軽く探りを入れて、予算編成の『余分』な部分をリスト化。それを監査部署に提出しただけだ。

 

 

「監査部署には同期がいてね。 リスト化した後はそいつに丸投げしたようなものだよ」

 

「そのリストがエグいのなんの♪ あちらこちらに伸びた監査の手が、私の追い風となりましたから♪」

 

 

上里がスゲー楽しそうに言う。怖い。

思わず乃木に視線を向ける。乃木が首を振る。じゃあ、もうしょうがないネ!

……前にもこんな事があったな。

 

 

「しかし何と言っても、若葉ちゃんの存在は外せません♪」

 

「わ、私か? ただ座って見ていただけだぞ……?」

 

「あー、それは解るなぁ」

 

 

上里の言葉に戸惑う乃木だったが、私は彼女の存在の大きさを感じていた。

 

 

「海千山千の妖怪達が、乃木が視線を向けるだけでおろおろしていたからな……」

 

「妖怪……?」

 

「言葉の綾だよ」

 

 

首を傾げる乃木に、私は力のない笑顔を返す。

あの老人達の悪どさなんて、乃木が知る必要のない事だろうし。

 

 

「要は若葉ちゃんが偉大な勇者である、という事に尽きます。 ね、先生?」

 

「そういう事だ。 あの交渉の場に乃木がいて、私たちは随分助かったよ」

 

「そ、そうか……」

 

 

尚も納得していない様子の乃木。だが、そんな乃木だからこそ、あの妖怪達もたじろぐのである。

彼女の真っすぐな視線は、それだけの力がある。そして彼女が前を見据え続ける事ができるのは上里の力があってこそなのだ、とも思った。

私は何となく、上里にも声をかけておいたほうがいいような気がした。

 

 

「……上里」

 

「何ですか、先生?」

 

「何と言ったらいいか……」

 

 

声をかけておいて言葉を濁す私に、上里が首を傾げる。

そして私は、思ったことを素直に口に出すことにした。

 

 

「乃木の傍にいるのが、君でよかったと思うよ。 一人の大人として……そして教師としてそう思う」

 

「……そうですか」

 

 

上里が笑う。私の言いたいことは伝わっただろうか……自信がなぁい……。

 

 

「先生」

 

 

そんな私に、上里が何でもないように言った。

 

 

「この束の間の時間であっても……貴方が私達の先生で、よかったと思っています」

 

「そうか」

 

「ひなた!先生! 子供たちのプレゼントにこんな物はどうだろうか!?」

 

 

しんみりとした空気の私達に、突然タコっぽいキャラクターが付いたボールペンを差し出す乃木。

……うむ。

 

 

「……いいんじゃないかな?」

 

「若葉ちゃんらしいものを選びましたねぇ……」

 

 

その謎のチョイスに対し、私達はどうにか感想を絞り出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマスプレゼント選びはつつがなく終了。モノは私の自宅へと配送してもらう事にして、後は三人で昼食でも取ってからお開き―――――

 

 

 

 

 

 

 

だった筈なのだが。

 

 

「わぁ……大きな映画館ですねぇ」

 

「イネスは凄いな……本当に何でもある」

 

 

母さん、僕は今教え子二人と映画館に来ています。

なんでぇ?

 

 

「……あの、上里。映画なら乃木と二人っきりで楽しんできたほうがいいのでは?」

 

「いえいえ、先生にもいてもらわなければ!」

 

 

そう言って上里が上映中映画のポスターを指さした。

 

 

「何せ、今から見る映画の入場特典は三種類あるのですから!」

 

「……そういう事らしい、先生」

 

 

目を輝かせて喋る上里に、乃木が苦笑する。

 

 

「連続ドラマの劇場版らしくてな……ひなたがドハマりしていたんだ」

 

「何だか、意外な一面を見た気がするな」

 

「私も、あんなひなたは初めて見た気がする」

 

「だって、本当に面白いドラマだったんですよ!?」

 

 

目を輝かせて、そのドラマの魅力を語りだす上里。

まぁ、普段大人びた――良い意味でも悪い意味でも――上里の、俗っぽい一面が見れたのは良いことなのかもしれない。

 

 

「解った。 一緒に見るよ」

 

「ありがとうございます!」

 

「じゃあ、チケットを買いに行くか」

 

「私は飲み物やらを買ってくるかな……乃木。チケット代を渡しておくから、そっちは頼むぞ」

 

「……金額が多すぎないか?」

 

「三人分なら、そんな物だろう?」

 

「そんな!こちらの我儘に付き合わせるのに、チケット代を出してもらう訳にはいきません!」

 

「そこまで先生に甘えるわけには……」

 

 

上里が勢い良く、首を振る。乃木も慌てた様子だ。

私は少し笑ってしまう。

 

 

「女の子と映画を見るのに、割り勘というのはどうもね……」

 

「女の子……」

 

「ですか」

 

 

あ、今地雷っぽいものを踏んでますね……。流石に解る。

とは言えども、このまま突っ切ってしまおう。

 

 

「じゃあ、後で清算すればいい。 もたもたしてると上映時間が来てしまうぞ?」

 

「……解りました。絶対ですよ!」

 

「解ってるよ」

 

 

受け取るつもりはないけどネ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ともあれ、乃木達はチケットを購入。私は適当に飲み物などを見繕って、三人そろって映画館の中へ。

 

 

 

上映終了。

 

 

 

 

 

 

 

「はー……感動してしまいました……」

 

「うぅ……ぐすっ」

 

 

内容としてはお涙頂戴系のラブロマンスだった。

上里は映画の余韻に浸り、乃木は感動のあまり、涙が止まらないというありさまだ。

 

 

「先生は如何でしたか?」

 

 

上里がキラキラとした目で、私へと問いかけてくる。

……うん、うん。

 

 

「中々興味深い映画だったと思うよ」

 

「……お気に召しませんでしたか?」

 

 

私が言葉を選びながら感想を述べると、見透かされたのか上里が表情を曇らせる。

うーん……まぁ、何というか……。

 

 

「単純に好みの問題だな……面白い、面白くないで言えば面白いとは思うよ」

 

「好み……ですか?」

 

「……誰かが死ぬことで、涙を誘うという展開は好きじゃないんだ」

 

 

映画の最後。ヒロインと大恋愛を繰り広げた彼氏が死んだ。

そしてヒロインは彼との思い出を胸に秘めながら、強く前を向いて、これからを生きていくことを誓う。

―――――そういう結末だったのだ。

 

 

「物語としては成り立たないだろうし、もしそうなったら駄作どころの騒ぎではないんだろうが」

 

 

映画の結末を見た時、私の脳裏には資料で見た歴代勇者の足跡が頭をよぎった。

お役目に殉じた勇者達の事を、美辞麗句によって賛辞する資料。

きっと尊い事なのだろうし、その犠牲があればこそ今の私達があるのも確かなのだろう。

でも、それでも。

 

 

「とんでもないご都合主義でも起きて……彼女らが二人で生き続ける終わりでもいいじゃないか、と思ってしまうんだよ」

 

「………」

 

「私は、二人が末永く添い遂げる未来が見たかった……」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

外出を終えたひなたは自室に戻ると、上着を脱ぎ棄てて、そのままベットへとその体を横たえた。

 

 

「……ご都合主義、ですか」

 

 

夏野が言った言葉を呟く。

 

 

(先生が言ったあの言葉は……あの映画に対してではないのでしょうね)

 

 

ひなたは思う。

 

 

(きっとあの言葉は……『私達』へと向けられた言葉なのでしょう)

 

 

薄々と気づいてはいた。きっとこの地に集まった勇者の中には、現実世界へと帰った後の戦いで命を落とすものがいるのであろう。

映画への感想だと思われた夏野の言葉は、全て勇者達へとむけた言葉だとひなたは直感していた。

 

 

(若葉ちゃんは、ボロボロ泣いていたから気づいていないでしょうけど)

 

 

あの会話の後の空気を和ませてくれたのは若葉だった。

もう、顔がぐちゃぐちゃになるまで泣いていたのだ。夏野と上里は若葉の顔を拭いたり、何かしら声をかけたりとてんやわんや。

その光景を思い出して、ひなたは少し笑った。

 

 

(……この世界は束の間の幻なのでしょう)

 

 

ひなたはそう思いながら、この地で出会った勇者部の仲間達を思い浮かべる。

 

 

(でも、元の時代へと戻れば全てを忘れてしまう)

 

 

対策を探して夏野が奔走しているのをひなたは知っていたが、恐らくどうにもならないだろう。

―――――それはきっと夏野自身も解っているはずだ。

でも、だからこそ。そうやって諦めずに、勇者達の為に奔走できる彼だからこそ。

 

 

(全て忘れてしまうのだとしても)

 

 

ひなたは思う。

 

 

(私は、貴方の教え子になれたことを嬉しく思っています―――――)

 

 

 

 

 




 
わかひなとデートしたい。
皆だってそう思うだろう?そうだろう、そうだろうともさ!


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