ドラえもん「のび太のムー大陸伝説」   作:ノンちょろた

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◆第二章 『自由研究』

「……それなら、こういうテーマなんてどうかしら?」

 

 しずかがみんなに意見を言おうとした時、勢いよくドアが開きのび太が部屋に入ってきた。

 

「遅くなってごめーん!」

「遅いぞのび太!」

 

 後ろ頭をかき、申し訳なさそうな顔をしながら謝るのび太にスネオは軽く文句を言った。

 

「どうせ母ちゃんに捕まってたんだろー?」

「う、うん……まぁね……」

 

 スネオとジャイアンにからかわれながらも、強く言い返すこともできず、やや照れながらのび太は言葉を濁して腰を下ろした。

 

「ま、通知表を親に見せるのが怖い気持ちはわかるけどな」

「そうなんだよ……通知表を見せちゃうと、しばらく外に出してもらえなくなるんだよなぁ……」

 

 めずらしくジャイアンがフォローしてくれたことで少し気が楽になったのび太は、疲れ切った顔をしながらそう答えた。

 

「そりゃぁ、頑張って勉強して成績を上げるしかないんじゃない? ぼくなんか三つも成績を上げたから、今度ご褒美を買ってもらえるんだ! いいだろ?」

「そんな簡単にはいかねぇんだよ!」

「そうだ! そうだ!」

「わ、悪かったよ、ジャイアン……」

 

 間髪入れず怒鳴り返してきたジャイアンとのび太の反応で、スネオはすっかり萎縮した。

 

「そしたら今度、みんなで一緒に勉強会でもしましょうよ。その方が自分の苦手な部分がよりはっきりすると思うわ」

「しずかちゃん……」

 

 しずかのやさしさにのび太は目を潤ませて感激した。

 

「いいね! やろうやろう!」

 

 ジャイアンの怒りの矛先を変えようと調子よく答えるスネオ。

 

「おれ、おやつが出るならやってもいいんだけどなぁ」

「もう、たけしさんたら」

 

 少し目的が違うジャイアンの言葉に全員が笑った。

 

「さぁ、話を戻して、自由研究のテーマを決めましょう!」

「うん、そうだね! それで、どういう話になっているの?」

「みんなをアッと言わせる大きな謎を解き明かすような、そんな大きなテーマってないかな? って話してたところだよ」

「そんじゃUFOとか宇宙人とかか?」

「ジャイアン……テーマとしてはいいんだけど、それだと、とっかかりの情報がなさ過ぎるよ……なんせ神出鬼没だからね」

「しんしゅつきばつ……ってなんだ?」

「いつどこに現れるかわからないってこと」

「そうか……確かにそうだなぁ」

 

 クスっとしずかが小さく笑った。

 

「ねぇ、この間、テレビでやっていたんだけど……」

 

 しずかの意見に対して全員が注目した。

 

「ムー大陸なんてどうかしら?」

「ムー大陸?」

「ムー大陸ってあの大昔にあったとされる巨大な国のこと?」

「そう!」

 

 未知の存在に期待するしずかの瞳は、心なしかキラキラと輝いているように見えた。

 

「でも……あれこそ謎だらけなんじゃないの?」

「そうね。でも年代や存在した場所の情報は今でも大きくは変わってないわ」

「確かに……」

 

 しずかとスネオのやりとりを、のび太とジャイアンが興味深く見つめている。

 

「時期や場所ははっきりしてるのに、何も見つからないなんて不思議じゃない?」

「そうだけど……その矛盾が謎として残っているわけで……それこそ情報がないに等しいんじゃない?」

「そうね。だから、私たちで確認に行ってみない?」

「そうか! タイムマシンだ!」

 

 待ってましたとばかりののび太の発言に、みんなの顔が興味の色で包まれた。

 

「ドラちゃんに頼んでみて、ムー大陸があったとされる時間と場所につれてってもらうの」

「うんうん!」

「実際にあるかどうかはわからないけど、なかったという事実だけでも大きな収穫になると思うんだけど」

「でも……なかったら自由研究のテーマとしては使えないんじゃ……」

 

 無駄足を踏むのが嫌なのか、スネオは少し否定的な心持ちになった。

 

「そんなことはないわ。見つからなかったら「ムー大陸は存在しない」ことを考察すればいいのよ」

「考察??」

 

 のび太とジャイアンが声をそろえて言った。

 

「おいのび太、考察ってなんだ?」

「ぼ、ぼくだってわからないよ。読書感想文とかならわかるけど……」

「考察っていうのは、ある事実を元に自分たちでさらに深く考えることよ」

「へ、へ〜……?」

 

 のび太とジャイアンは、明らかにわかっていないような弱々しい声を発した。

 

「でもよ、おれたちがムー大陸を発見したら、ものすごい大発見だよな!」

「世間があっと驚くだろね!」

「こんなにわくわくすることなんて、なかなかないよ。絶対に見つかる! いや、見つけてみせる!」

「珍しくのび太が頼もしいことを言ってやがる」「そうさ! ぼくに任せてよ!」

「そんなこと言って最初にへばるんじゃないの?」

「ふふ、頼りにしてるわのび太さん」

「じゃあ、ドラえもんに頼んでみるね。で、出発はいつにする?」

『明日ーっ!』

 

 のび太が聞き終わる前に、力強い返事が一斉に返ってきた。

 

「わかった。じゃあ、明日の午前十時に僕の部屋に集合だ!」

『おー!』

 

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