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1戦目
「んん~。ここは?あ、そう言えば熾天使のユーちゃんから流石に働けコールを貰っちゃったんだっけ?まぁいいか。さて、今度の対戦者は…………っと。」
私は音楽をガンガンに流していた下の世界でいう「WALKMAN」を一時停止して両耳からイヤホンを外した。
そろそろこのイヤホンの音質でも物足りなくなってきたのでヘッドホンとかもっと低音がズムズム来るようなやつに変えようかな。
そんなことを考えていると、さっそく今日の相手がやって来た。
「ん…………ここか。」
「やっほー。あんたが今日の挑戦者?」
「は?」
「私に腕試しをするために来たんでしょ?ここに。」
「あぁ、まぁ、そうだな。」
「だったら話が早いじゃない。さっさとやるわよ?ほら、自己紹介して!」
私に急かされた…………少年?はため息をひとつついて立ち上がる。
「ルビート・アモンベルス。ルビーでいい。」
「そう。ルビーね~?覚えたわ。じゃあ、始めましょう?ほら、あなたに先手はあげるから、かかってきていいわよ?」
私は挑発するように指をクイッと曲げる。
「む。挑発する気か?」
「負ける気がしないからね。」
「言ってくれるな。いいだろう。後悔するなよ!」
初撃。
先に動いたのはルビーだった。
2、3度軽く跳ねた後、勢いよく地面を蹴った。
そして………………一瞬にして蒼炎と共に巨大な狼の姿に変わり、私に噛みついてくる。
その牙を軽く半身になる事で避け、左前脚の一撃を上半身を後ろにそらすことで空振りさせた。
すぐさま、左手を後方の地面について距離をとり、体勢を立て直しながら黄色の光弾を数発飛ばす。
その光弾は全て巨狼に命中はしたものの、ルビーは軽く頭を振るだけでそれを受けきって見せた。
「へぇ、名前からもしやとは思ったけど………………本当にそうなのね。」
「グルルルル…………何のことだ?」
ルビーが小さく喉を鳴らす。
「……アモン…………でしょ?」
「…………。」
「ソロモン72柱、序列7番。」
「…………悪いが、俺はその名前が嫌いなん……だっ!!」
その言葉と同時にルビーが上に強く跳躍し、飛びかかる。
「あれ?逆鱗だったかな?」
私も瞬時にバックステップで避け、追撃に備える。
避けられたルビーもすぐさま体勢を変え、蒼炎のブレスを放った。
「っ!?」
続けざまに飛びかかって来るかと思っていた私は、予想外の出来事に一瞬だけ反応が遅れた。
そのせいで、ギリギリ防御壁は間に合ったものの体勢が崩れる。
「うぅ…………っ!!」
体勢を崩された状態のまま、蒼炎を受け止める事で精一杯の私は、ルビーの次の一手への反応も極端に遅れた。
「グルルァァァア!!!!」
「なっ!?」
防御壁に当たる蒼炎によって視界が閉ざされたことで、ルビーがそれに乗じて飛びかかってきていたのに気づかなかった。
巨狼の一撃が防御壁にヒビを入れる。
それに気づいたルビーは一瞬で体勢を切り替えて体当たりを仕掛けてきた。
防御壁は完全に崩壊し、ルビーの巨体によって後方に吹っ飛ばされる。
「うっ………………まさかブレスを撃つ姿を幻影として残しておくなんて、やるね!流石はアモン………………の、末裔って言う理解であってる?」
「その言い方、嫌いだ。」
続けざまに跳躍からの飛びかかり、初撃と同様私は小さく体を逃がしそれを躱すが、第2波は最初とは異なり近距離からのブレスが襲ってきた。
「うわっ!?」
カウンターを準備していた私はまたしても、回避行動までに遅延が生じる。
それでも無理矢理体を投げ出して直撃だけはさせるが後ろ髪の先端が焦げた。
その緊急回避を読んだかのようにルビーが左前脚を振るってくる。
「守れ!」
それを咄嗟に霊力変換した簡易結界で受け止める。
「っ!!」
なるほど、やはり霊力で編み込んだ簡易結界とはいえ、侯爵の階級を持つ悪魔相手では………………受け止めきれないようだ。
「グルルルル…………」
「…………やるね。この力………………予想外よ?」
「そりゃどうも。ならそろそろそっちも本気を出してくれよ。さっきから手を抜いているの、気づかないとでも思っていたのか?」
「ありゃ?気づいちゃってたか。残念。」
「あんたが本気で来てくれないと、腕試しにならないんだが。」
「わかった。本気で…………………………。」
そう返すと私は全ての神経を目の前の相手に集中させる。
そして、ゆっくりと構える。
しかし、軽く身を引き半身の自然体で構えるのでもなく、かと言って何か武器を顕現させて構えるのでもなかった。
「なっ!?」
右足を僅かに引き、体勢を極力低くして両手を地面についた構え………………。
「」グルルルル……。」
荒々しい獣の如く喉を鳴らし、地面に爪をくいこませる。
言うなれば…………狼が狩りをする様な…………もしくは………………
……巨狼のルビーと全く同じ構え……。
「私の本気。あなたは自分自身に勝てるかしら?」
私は「シンクロ」によって真紅に変化した左目でルビーを睨みつけた。
「自分自身……だと?」
「人は自分自身と対峙した時少なからず恐怖心が芽生える。それが些細な欠点となって僅かな「差」が生まれてしまうものなの。だから、「人」は自分自身には決して勝てない。でも…………フフ…………「悪魔」はどうなのかしらね?」
「………………。」
「私の能力は「同調者(シンクロゲイザー)」。どんな相手であっても性格、能力、戦闘スタイル、思考…………まぁ、細かいのもいっぱいあるけど、全てをコピーすることが出来るのよ。まぁ、どう頑張っても「相手との実力が五分になる」だけなんだけどね。実力や戦闘スタイルが全く同じになるだけ。それ以上にはならない。だから、今あんたの前にいるのは……………………自分自身だ。」
一通り喋ったあと、最後に口調と声色をルビーと同じにして瞳を僅かに細める。
「そんな事…………。」
「試してみるか?」
「ちっ……。」
ルビーは舌打ちをするとノーモーションからブレスを放出した。
しかし…………ドミノもそれと「全く同じタイミングで」ブレスを放った。
同じ色、同じ性質、同じ速度のブレスが2人の真ん中でぶつかり合い、相殺された。
その衝撃で巻き起こった砂塵でカモフラージュをするように追撃を試みるルビー。
しかし…………
「っ!?」
「…………。」
ルビーが「飛びかかって右前脚の爪で切裂き」を繰り出すのとまたしても全く同じタイミングで飛びかかりからの切裂きを繰り出してくるドミノ。
お互いの爪は一寸すらも狂うことなく同時に頬を掠め、通り過ぎて行った。
そして、着地と同時に再び後方へブレス。
しかし、これも互いの中間で相殺された。
思った以上に「自分自身」というのは厄介だ。
思考、行動、戦闘スタイル、威力…………その全てが「全く同じ」と言うことは…………このまま続けても勝負がつくことは無い。
「(かと言って…………俺にこれ以上のことが出来るのか……?)」
2人はしばしの時間睨み合いを続けた末、ルビーが構えを解いて、巨狼の姿から人の姿に変化させた。
…………その動作ですら一部の狂いもなかった。
「………………不本意だが、降参だ。今の俺じゃ、自分自身に勝つことは出来ない。」
「…………ふぅ、ありゃ?なかなか呆気ないね。」
「自分の技量位自分が一番よくわかっているつもりだ。それこそ、お前よりずっとな。それを加味した上で…………降参する。」
「なるほど。」
「そうだ。また、ここに来てもいいか?」
「何度やっても結果は同じだけどそれでもいいなら来れば?」
「…………へっ、そうさせてもらうぜ。お前に勝てるようにしっかり準備してくるからな。」
「ま、逆効果にならないように気をつけてね~。」
そう言うとルビーはフッと笑みをこぼしながら光の中に消えていった。
ドミノ VS ルビート
勝者 ドミノ・ヴェイルパース
さて、どうだったでしょうか。
趣旨としては私の戦闘描写訓練用としての色も大きいので、もし表現方法で改善点などがあればメッセージでも感想欄にでも書いておいて貰えるとありがたいです!←
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