天使少女の演習記録   作:奇稲田姫

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少し遅くなりましたが、VSエリナ戦の後日談になります。

ちなみに、最初に行っておきますが今回の後日談にドミノは出ません。
…………というか出れません。
ただいま天界にて治療を受けておりますがまだ意識が戻っていないとのことなので←


そんな設定で進める後日談です。






そして、おなじみ活動報告板へのリンクを下に貼っときます←

・キャラ募集板
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=221467&uid=156950


・本編感想+α板
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=222058&uid=156950


第3戦目 VS エリナ・ダンタリオン 後日談

「…………ん…………はっ!!!?」

 

私は体を包み込む柔らかな違和感を感じて文字通りその場で飛び起きた。

 

勢いよく上半身を起こし、かかっていた布団を握り直す………………布団?

 

なるほどこの包み込むような違和感は布団のせいか。

軽く視線を一回りさせて状況を把握。

 

ここはどこかの…………おそらく魔界の割と田舎の方でよくみかける石造りの部屋のようだ。

その一角にあるベッドの上に私は寝かされていたらしい。

 

それにしてもベッドの他には家具がほとんどない…………必要最低限のタンスのような家具と小さな丸椅子がひとつある以外何も無い言わば殺風景な部屋だ。

 

そんなことを考えていると部屋の扉がガチャりと開き1人の悪魔が下手な口笛を吹きながら入室してくる。

 

「♪〜♪ん?おや、ようやくお目覚め?どうだい?傷の調子は。」

 

「……ベルトーレ?なんでここにいるのよ。」

 

私の正直な一言に目の前の少女はわざとらしくクスリと笑った。

 

「なんでって言われてもね…………ベルさんが自分の家にいることがそんなに珍しい?」

 

()()()()?」

 

「そう。ベルさんだっていつもいつも野宿してる訳では無いのですよ。ちゃんと自分の家だってあるんだからね。一応。」

 

「………………。」

 

そう言いながらベルトーレはくるんとつま先を軸にして一回転するとそのままカタンと丸椅子へ綺麗に腰掛けた。

 

「にしても、惜しかったですなぁ〜。途中までは君の押せ押せムードだったのに〜。ね〜、エリナちゃん♪」

 

相変わらず真偽の分からないニヤニヤ顔をしながら丸椅子を前後に揺するベルトーレはわずかに目を細めてこちらに視線を向けた。

 

「ほっといて。というか、誰かさんが横槍入れなければ私の勝ちだったのよ。」

 

「はて、そんな無粋な真似をするような輩はどこのどいつだい?」

 

「とぼけないでよ。隠す気なんて全くなかったくせに。」

 

「さすが、読心のダンタリオンは伊達じゃないね。ついでに生涯独身って言うことも噂されております。」

 

「…………根も葉もないわ。それに、お互い様でしょうが。」

 

「おっと、毒針(どくしん)がこっちにまで飛んできたようだ。毒は怖いね〜。刺さったら一瞬でなむあみだぶつ〜。」

 

丸椅子をカタカタと揺らしながら時折椅子の足を器用に使ってくるんと回転するベルトーレ。

 

何かの経文のようなものをペラペラと喋りつつ両手を合わせる仕草は悪魔の彼女からは違和感しか感じないが、それを突っ込む気にも今はなれないでいた。

 

「それで?私はさっきまで天界にいたはずなんだけど。」

 

「なんで魔界の、しかもベルさんの家にいるのかって?それはね〜…………」

 

「私が頼んだからよ。」

 

聞き慣れた…………と言うほど聞いてはいないがこの先絶対に忘れないであろう軽めな口調の中にも強者としての威厳も兼ね備えた声がベルトーレの背後辺りから室内に響く。

 

直後その付近の空間に歪みが生じ、また1人、今度は天使の少女が優雅に降り立った。

 

純白の6枚の翼とランダムに遊ばせたオレンジ色のショートヘア、極めつけは最高位の天使らしからぬ白無地ベースに『てんし』の文字が縦に入ったかなり安価なTシャツにデニムというどこぞのニートかなにかと勘違いしそうな見た目の少女だった。

 

「熾天使様?」

 

…………しかし、彼女には歯向かってはいけない。

 

初めて彼女の姿を目にした時から私の本能が警笛をガンガン鳴らしまくっていた。

そのせいでどうしても彼女の前だと口調が敬語になってしまう。

 

「『様』は勘弁してよ。ユーでいいから。まぁ、それは置いておいて。ちょっとあまりドミノには聞かれたくない内容の話があるからベルに頼んでこっちに運んでもらったの。ドミノは天界(むこう)の自室で寝かしてるし、相当ダメージも溜まってるからまだ起きてないと思うから気にしないで。」

 

「はぁ、なんでしょうか。」

 

「単刀直入に聞くけど、あの娘と…………ドミノと実際に対峙してみてどう感じた?」

 

「どう、とは?」

 

「ん〜〜なんかこう、違和感とかなんかおかしい、とか?」

 

「言ってる意味が、よく分かりません。」

 

「ユーちゃん…………語彙力無さすぎだよ。つまり、あの主天使クンの戦い方でエリナちゃんの直感でなにか引っかかる所とかあった?ってこと。主天使クン自身が気づいていなくても客観的に見たら、あれ?って部分が見つかるかもしれないでしょ?」

 

「それ、それが言いたかったの。」

 

「あぁ、なるほど。」

 

「で、どうだった?」

 

熾天使の少女、ユー・フォルティーナ・サヴィラスに言われて再びベッドに体を預ける。

 

「……まず、正直に言わせてもらいますと、負けるとは微塵も思っていませんでした。」

 

「それにはベルさんも同意見♪」

 

「実はあたしも。」

 

「え?それは………………言っちゃっていいんですか?」

 

「だから場所を魔界に変えたんじゃない。でも勘違いしないで欲しいんだけど、別にあたしがあの娘のことを嫌ってるとかそういう訳じゃないわよ?これはある意味天使としての事情よ。あたしとしては自由気ままにやりゃいいと思ってるんだけど、うちの古参の堅物連中はそうはいかないからさ。形だけは、ね。じゃあ、話を戻しましょうか。」

 

「エリナちゃんの動きがぎこちなくなったのはちょうどベルさんが横槍を入れたあたりからだったかな?」

 

「そうよ。あそこであなたが肩入れしなければそのまま押し切れたのに。」

 

「いやぁ、正直あそこまで効果が現れるなんて思ってもいなくてさ〜。でも、あのまま押しきってたら確実に息の根まで止めてたでしょ?」

 

「まぁ、たしかにそのつもりでやって欲しいとはお願いしたけど、本当にやったらその場であたしがガチで裁くだけだから。」

 

その言葉を聞いた瞬間背中がゾクリと震えるのと共に安堵の息が無意識のうちに口からこぼれ落ちた。

 

「まぁ、それはもういいとして、あの時ベルが肩入れをしたことでなにか変化が起きたの?例えば……………………戦い方が変わった、とか。」

 

「変わったこと…………戦い方は武器が変わったので当然だったと思います。他なんて……………。」

 

言われてふと思い出してみる。

 

特にこれといって戦い方に変化が出た訳では無い。

たしかに今まで近接系はショートブレードで攻撃力こそ数段劣るもののその機動力を活かした連撃を主とするスタイルから、武器(エモノ)を大鎌に変更したことによって持ち味の機動力の1部を攻撃力へと変換した1発の威力を重視した強撃が軸のスタイルへ変わったことはある。

ただ、それは武器(エモノ)が変わったのであれば当然の事だろう。

 

そもそもそれ以前の話なのだ。

初めて大鎌を扱ったとは思えないほどの鎌さばきを見せつけてきたこと自体変な話と言えばそうなのだが、世の中には「ビギナーズラック」という言葉も存在するくらいだ。

もしくは武器を扱うセンス、なのだろうか。

故にあまり深く考えても仕方なさそうではある。

 

他に変わったことと言えば………………。

 

「いや……」

 

あった。

一つだけ。

 

前半で出来ていたことが後半出来なくなった事。

 

「一つだけ、ありました。」

 

その一言にベルトーレは僅かに目を細め、熾天使様は腕組を解いた。

 

「教えてくれる?」

 

「はい……。あの時、ドミノがベルトーレの鎌を使って戦い始めたタイミングだったと思いますけど。」

 

「ふむふむ。」

 

「あの瞬間から、今までずっと読めていたはずの心にまるで真っ黒なカーテンでもかけられたかのように読めなくなったんです。読心が出来なくなった。そう、まるで…………。」

 

そう言って視線をベルトーレの方へ向ける。

 

「あなたと対峙している感覚、だった。」

 

「ほう…………。」

 

「なるほど。」

 

「おそらくそのくらいだったと思いますが、何故か右目の色が気持ち紅から紫に変わっていたような気もします。私が気を失う直前、あからさまに色が紅に戻ったので。」

 

「ほうほう♪それだけいい傾向が出ればまずまずの成果なのではないかな?ユーくん?とは言ってもそれを本人がまだ自覚出来ていないんだろうけど。」

 

「右目の色が変わる、か。そうね。ベルの言う通りいい傾向なのかもね。」

 

「いい傾向、ですか?」

 

「そう。いい傾向。エリナちゃんだって薄々気づいてるんでしょ?ドミノには同調者(シンクロゲイザー)の他にもうひとつ、能力があるって。」

 

多重能力者(マルチアビリティ)

たしかに可能性はある。

普通なら固有能力を封じられたらがくりと戦闘能力は低下するはずなのだ。

一応前半は例に漏れずこの力は半減以下にまで低下した訳だが、どういう訳か後半に入って戦闘スキルが格段に上昇したことを加味すると多重能力者という説が1番有力と言えるだろう。

 

「じゃあ、本当に…………。」

 

「まぁ、そういうことよ。」

 

「それじゃあ、つまり…………。」

 

「そ、この企画はドミノの能力覚醒を促す意味が最も強いの。」

 

それを聞いて私はベッドの上でため息を零した。

 

つまりあれか。

私は天使のレベルアップに一役買ってしまったわけか。

 

なんか複雑。

 

「はぁ、つまり私は利用されたわけですね?」

 

「隠すつもりは無いから肯定しとくわ。」

 

「それもそれで反応しづらいんですが。」

 

「別にいいじゃない。どうせ退屈してたんでしよ?退屈しのぎに加えて新しい能力のお披露目かつクラスアップによって増加した魔力の安定化、身体への負担率の把握とかその他諸々出来たんだから。」

 

「私、死にかけたんですけど。」

 

「その時はベルさんの知り合いの閻魔ちゃんに頼んで生き返らせて貰ってたから安心していいよ♪あの緑色の髪をしたちまっこい白黒閻魔ちゃん♪」

 

「あぁ、あの娘。いつも赤髪の死神に説教してるイメージしかないけど仕事できるの?そういえば、天界()で暇してた時にたまたま遊びに行ったら説教のとばっちりを受けたこともあったっけ…………。」

 

「何してるんですか、熾天使様ともあろう人が。」

 

「それほど天界って退屈なのよ。」

 

「じゃあこの際堕天しちゃえば?ww 楽だよ〜?」

 

「それが出来ないからこうして嫌々仕事してんじゃない。あたしの体質的に無理なのよ。」

 

「はぁ…………」

 

「そんなことより、一応お互いの利益にはなったんだからwin-winよ。責任は企画立案者のあたし全持ちだし。あ、そうそう、忘れるところだった。ドミノの能力を解凍する方法教えてくれる?いつまでも封印されたまんまじゃあの娘も可哀想だし。頼みのあんたも動けない状態(その調子)でしょ?あたしが代わりに解いておくから。」

 

「あぁ、そういえば。あれは一応解呪(ディスペル)で解けますけど、通常の魔術に比べて能力封印用に特殊な魔力の編み方をしてるので…………。発動ポイントを少しでもずらしてしまうと逆効果になってしまうことがあるので、そこに注意してくだされば大丈夫だと思います。」

 

「ふ〜ん。解呪(ディスペル)でいけるのね〜。」

 

私の説明に何やら右手をパカパカさせながら聞いている目の前の最高位天使様に一抹の不安を抱く。

 

「ま、パッと見だと左の肩甲骨のちょっと下あたりでしょ?心臓の裏っかわ。」

 

それでもピンポイントに力を加える場所を言い当ててくるあたり流石としか言いようがないのだが。

 

「やっぱり敵いませんわ…………。」

 

「ん?なにが?」

 

「いえ、なんでも。」

 

「あ、そう。それじゃああたしはこれくらいでお暇するわ。長居しすぎるとうちの連中がうるさいから。」

 

「はいは〜い♪」

 

そんな天使と悪魔の軽いやり取りをベッドの上から眺めながら私はため息をついた。

 

それから横目で熾天使様がしっかりと空間内に姿を消したのを目視で確認するともう一度大きく息を吐き出した。

 

「っ…………はぁ〜〜。やっと行ったわ。なんなのあのオーラ。あれで能力抑えてるとか冗談じゃないんだけど。」

 

「まぁ、あれだけ自由奔放なユーちゃんだけど一応熾天使だし。」

 

「熾天使って………………。」

 

みんなあのくらいぶっ飛んでるのかしら。

と言おうとしてやめた。

 

「それ以上言わなくて正解。どうせユーちゃんの事だから帰ったと見せかけて空間内からベルさん達の会話を聞いてるんだよ。ま、こんなことをするってことは何言われても不干渉ですよ〜って言ってるんだよきっと。」

 

「不干渉ね〜。なら遠慮なく色々言わせてもらおうかしら。」

 

「あまりおすすめは出来ないけど。」

 

「なんなの。まぁ、いいわ。そういえば、聞きたいことって言ったらどちらかと言うとあなたの方にあるんだけど。」

 

「ベルさんに?」

 

わざとらしく自分を指さすベルトーレに向かって無言で頷いた。

 

「ま、答えられる内容なら答えますとも〜。なんたってベルさんはファーストネームが『アプリコット』って言うくらいだからね。花言葉の()()()()()が示すよ〜に、君の純粋無垢なその肢体に危険な果実の甘〜い甘〜い、底なしに甘〜い蜜をね〜っとりと教えこんであげますとも〜♪ふふふふ♪」

 

そのセリフと共に異様なまでに両手の指を蠢かせながらそこはかとなく悪いにやけ顔をこれでもかと晒してこちらに詰め寄ってくるベルトーレ。

指1本1本に至るまでがまるで生き物のように動いているもんだから反射的に背筋が凍りついたのは言うまでもなかった。

 

「ストップ!その手の動きはやめて!布団の中に入ってくるなぁ!!!///」

 

「ほらほら〜、遠慮することないって♪全ておじさんにまかせて〜♪うふ、うふ、うふふふ♪」

 

「なにがおじさんよ…………ひっ!!?」

 

不意にベルトーレの生き物のように気持ち悪く蠢く左手の指が脚の…………それも太ももあたりに触れ、逆に右手はするりと首の裏を伝って右の脇の下から這いだしてネグリジェの胸元のリボンに指をかけた。

それと同時に体の中心に電気のようなものが走り抜け、ビクリと体を震わせてしまう。

 

その反応がお気に召したのかベルトーレはその指をゆっくりと上へと移動させて………………。

 

「どう?どうどう?いい反応になってきてるじゃないか〜♪このまま天国へ登っちゃお〜か♪」

 

「ま……待っ……//…………止め……。」

 

「ほらほら〜♪そろそろご昇天の時間かな〜?ん?ん?♪じゃあ、最後は飛びっきりの快楽で………………。」

 

「う、嘘!?…………んむっ///…………はぁ//…………(ま、まずい!このままじゃ!!)」

 

このままベルトーレに触れられ続けたら本当に危ない。

直感的にそう感じて体を捩って脱出を試みるが、ダメージの蓄積された体に自分の弱い所をピンポイントに責められ続けたおかげで上手く身体に力が伝達できない。

しかもこちらが抵抗すればするほどそれ以上の力で抑え込まれてしまった。

 

「さぁ〜、抵抗は無駄だよ〜ん♪素直になりなって♪ふふふふ♪それじゃあ盛大に!!イッ……………………(ドスッ)…………んぎゃっ!!?」

 

「……ふぇ?…………はぁ……はぁ……。」

 

不意に私の上でマウントポジションを取ってニヤニヤとしていたベルトーレが何かに脳天をド突かれてこちらに倒れ込んでくる。

 

その髪からふんわりと漂うローズマリーの香りに少し驚きつつ彼女をド突いた張本人に視線を向けた。

 

「だ、誰…………。」

 

比較的高めな身長に加えて真っ赤に染まった鋭い瞳と白と黒が同比率で入り交じった肘付近まで伸ばした長髪、更には着ている服も白と黒が目立つ男がド突いた時に使用したのであろう巨大な魔剣を霧散させながらため息をついていた。

 

「ふむ、誰、とはな。まぁしかしその質問に答える前に…………。」

 

男は私の上で目を回しているベルトーレの首根っこを持って私から引き剥がして丸椅子に座らせると、表情を変えず淡々と私の胸元を指さした。

 

「?」

 

「まずは()()を何とかしろ。」

 

「ソレ?…………………………っ~〜〜!!!!!//////」

 

その一言で今自分がどんな格好をしているのか完全に理解してしまった。

 

「ふむ、白のネグリジェとはまた珍しい…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「み、見るなぁ!!!!!!////」

 

 

 

 

 

 

 

叫ぶのと同時に反射的に真紅の魔法陣を展開した。

 

 

 

 

 

 

 

この後、魔界のとある部屋で小規模であるが爆発が起こったのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それで?ベルさんになんの用かな?ジーク。」

 

脳天に巨大なたんこぶと左頬に真っ赤な手形を浮かばせてその場で正座をするふんわりとしたツーサイドアップの少女が軽く口元をヒクつかせながら隣の男に声をかけた。

 

「……惚けるな。お前が来いと言ったから来てやったのであろう。」

 

『ジーク』と呼ばれた男もまた頬に真っ赤な手形を浮かべながら正座をさせられていた。

 

「ははぁ、()()()()()?これはまたずぅ〜いぶんと偉くなったものだ。ベルさんは君の襲名した当時を知ってる数少ない悪魔なんだけど〜。」

 

「分かっている。」

 

「それをわかっててよくそんな口が利けたものだよね〜♪」

 

「…………茶番をしている場合ではなさそうだ。」

 

「…………だね。もう般若だよあの顔。」

 

「Shut Up!!!」

 

「はいほ〜い♪」

「ふむ。」

 

ネグリジェを直した私の一喝によってペラペラと茶番をかましていたベルトーレと男がそれぞれの反応を示して黙り込む。

 

「全く。2人して何してくれてるのよ。もう。それから、結局あなたは誰で、いつから私たちのことを見ていたわけ?」

 

「ふむ、オレはジーク……ジーク・バアルモントだ。ソロモン72柱序列1位。」

 

「序列1位………………『バアル』。」

 

「ご名答。そして先の2つ目の問の回答だが。ちょうど熾天使のお嬢が天界に戻ったあたりからだな。」

 

「1番見られたくなかったところ全部見てるんじゃない!」

 

「あっはっはっは♪ww いいじゃないか、()()のダンタリアンに見せる相手はいないでしょ?w」

 

「うるさい。それに、私は()()のダンタリアン!断じて()()じゃないから!」

 

「む、そうなのか?そんな話は聞いていないぞ?」

 

「あなた達なんかに話すわけないでしょ?意図的に噂をばらまいて楽しんでる奴と無意識な口のかるさでペラペラと喋りまくるある意味無慈悲な序列1番なんかに!」

 

「ほう。ならばそういった相手がお前にいるということか。」

 

「え?なになに?その話詳しく〜♪」

 

「いや……その……///」

 

「ほらほら〜、早めに白状して楽になった方がいいよ〜♪あははは♪」

 

「いないってば!!」

 

あまりに脱線し過ぎた会話内容に思わずベッドの上で仁王立ちしてしまっていたことには驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃあ本題だけど。ジークに来てもらったのはエリナちゃんの次の対戦相手としてなんだよ。」

 

「オレにこいつと殺りあえって言うのか?」

 

「無理に決まってるじゃない!相性が悪すぎる。」

 

「あぁ〜違う違う。ついさっきなんだけどね?そこのエリナちゃんが主天使くんとタイマン勝負したんだけど。」

 

「ふむ。」

 

「で、その主天使くんと戦う次の対戦相手としてジークがいいんじゃないかな〜って思って呼んだんだよ。」

 

ベルトーレの一言にジークはふと軽く目を伏せ、腕を組んだ。

 

「相手にならん。」

 

「だからこそ、()()()()()()()。」

 

「…………お嬢はなんて?」

 

「ユーちゃん?あぁ、二つ返事でOK出してくれたよ〜♪」

 

ジークがため息を漏らす。

 

「思ったんだけど、あの熾天使様があそこまでする理由って何なのかしら。」

 

続けて今度は私が疑問を投げかけた。

 

「さぁね。どうせあの娘の事だから自分の面倒な仕事を押し付けられるような相手を育てたいだけかもしれないよ?案外。」

 

「分からんな。」

 

「私もわからない。」

 

「いやぁ、考えがまとまるってこういうことを言うんだね〜♪」

 

私はベルトーレの裏しか感じとれないような不敵な笑みを眺めながらもう一度ベッドの上に横になった。

 

「ま、明日あたりにまたユーちゃんが空間転移させるために来ると思うからその時に詳しいことは聞いてくれ〜。」

 

「ふむ、そうさせてもらうとしよう。」

 

そう言って首を軽くコキッと鳴らしたジークの姿が一瞬にして闇に溶けていった。

 

「さて、ベルさんは少し武器の手入れをしてから寝ようかな〜。あぁ、ベッドはエリナちゃんが使ってていいから。ベルさんは基本どこでも寝れるから大丈夫。」

 

「武器の手入れって………………意外と律儀なのね。」

 

そんな何気ない私の一言に、ベルトーレは本気で驚いたとでも言いたそうに珍しく驚愕して私をじっと見つめてきた。

 

「え?なに?」

 

「いや、手入れって常識でしょ?そもそも………………って、もしかしてエリナちゃんは自分の使う道具の手入れを怠る人?それはダメだよ、だからいざと言う時道具に見放されるのさ。それは殺し合いだろうが舞台パフォーマンスだろうが変わらないんだよ。昨日の負けももしかしたらそれじゃないの?原因。」

 

思い返してみて反論もまともに出来ないことに気づいてしまった。

 

「魔導書だからって手入れをしないのはナンセンスさ。」

 

「………………。」

 

正直今の一瞬だけで目の前の大悪魔と自分との力の差を痛感した私は、入って来た時同様に下手な口笛を吹きながら部屋から出ていく悪魔を見送ってから布団を頭まで被った。




さて、ようやく後日談が書き終わったわけですが…………


期間があいてしまってまずはすみません←

それでも読んでくれてありがとうございます←




まぁ、内容的に補足して欲しいとか質問とかがあれば感想板の方に書いてもらえれば答えられる範囲で答えるのでどしどし書いてもらえれば嬉しいです。


色々な指摘とかアドバイスとかあればよろしくお願いします!

最後になりますがアプリコット(杏)の花言葉はここでは「疑惑・疑い」をピックアップしております←
ついでにローズマリーも言うなれば「思い出・私を忘れないで」をピックアップしております←
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