星と翼のパラドクス~巡り会う星と翼~   作:A.J

2 / 5
※この小説はアーケードゲーム「星と翼のパラドクス」の2次創作です。

世界観、設定、解釈、キャラ及びその性格言動、描写
等原作ゲームと異なる点がございます。ご了承ください。

この話から一気に設定と世界観が飛びます。特に説明もないまま進みますので、
脳死状態で読み飛ばしていただいても構いません。

用語などの解説はあとがきにて



1話「星と翼」

暗い―――暗い、夢の中―――?

 

何もない、何も見えない空間にただ漂っているような感覚。

 

暗いけど怖さはない。むしろ心地よくて、ずっと漂っていられるくらいだ。

 

けど何かが足りない。なんだろう、この気持ちは。

 

目を開けようとする。でも開かない。夢の中なのにまるでいつまでも寝ていたい休みの日くらい目

 

を開けたくても開けられない。

 

何とかして、薄目を開ける。ふと、見えたのは誰かの手。誰かが僕に向かって手を伸ばしてるのが

 

見えた。

 

この感じ、知っている。そう、僕も手を伸ばすんだ。そして―――

 

 

 

突如、薄明りの浮かぶ部屋に警報音が鳴り響く。ぼんやりと光る円柱型の水槽が泡立ち満たしてい

 

た中身がまるで即死攻撃を受けたHPゲージのごとき勢いで排水されていく。おおよそが液体で満

 

たされていたが、中には固体もあった。そう、人だ。

 

「げほ、げほ、う、けほ」

 

液体と一緒に部屋へ流された人は大量の水を吐き出して顔を上げる。

 

その人は少年。齢にして10代中頃だろうと思われるその体は何も身に着けておらずひどくやせ細っ

 

ていた。

 

部屋にいた少女は突然の事に慌てふためきながらも少年に声を掛けた。

 

「―――、――――――?」

 

少年は話しかけられている言葉を理解できなかった。それどころか今自分がどんな状態にあるのか

 

すら把握できない状態だった。

 

少女は何はともかくうなづき、部屋をかけて出ていった。少年は1人取り残され、肌寒さを感じつ

 

つ、部屋を見渡す。

 

だが、部屋は全体的に暗く、見渡しても何もわからない。音もはっきり聞こえないが何かの機械が

 

ぼー、と動いているような音しか聞こえない。

 

「う、あ、っ」

 

喋ろうにも口が上手く動かずただ冷たい床に無様に体を丸める事しかできなかったのだ。

 

続く無言、暗闇。

 

ようやく少年は意識がはっきりしてきたのか今の状況に恐怖を感じ始めた時、

 

「また何をやらかしたヒカリぃ!」

 

と、部屋の扉と思われる所が開き、暗闇に明かりが差す。

 

大きな男性の声。

 

その声の主は少年に近づくと、

 

「まさか、このタイミングで目を覚ますとはな…」

 

少年には言葉は聞き取れたが、その意味まではわからなかった。少年がその言葉に対しリアクシ

 

ョンを取るまでもなく、男性は少年を抱え、暗闇から連れ出すのだった。

 

 

 

少年は暗い部屋から連れ出された後、なすがままに様々な機械で検査をさせられた。健康診断の

 

ようなものだったのだろう。一通り終わり今は固めのベッドへ寝て天井を眺めていた。そんな時

 

、仕切りカーテンの向こうから会話が聞こえてきた。

 

「以上、メディカルチェックの結果です。バイタルは概ね正常。腕と足に痣が見られますが培養槽から出た時に打ち付けたのでしょう。それ以外異常はみられませんでした」

 

「ありがとう、ドクター。この後、彼と少し話がしたいんだが構わないな?」

 

「ええ、それは問題ありません。ただ、」

 

「ただ?」

 

「あくまで体のチェックしかしてませんのでデータには載せてませんでしたが、問診の中で意識祖語と記憶障害が見受けられました」

 

「つまり記憶喪失?」

 

「まだ断定はできませんが、今はあまり過去や自身の記憶に関する事は…」

 

「わかった。配慮する」

 

会話が終わったのかカーテンを開け、1人の男性がベッドの脇に椅子を置き、座る。

 

男性は禿頭で筋肉モリモリマッチョマンの男性。そして、室内にも関わらずサングラスをかけてい

 

た。

 

その男性に見覚えがあったのか、少年は声を発する。

 

「店、長………?」

 

「俺はテンチョーではない。隊長と呼んでくれ」

 

「たい、ちょー…」

 

「そうだ。私はここ、ヴ・レード惺王国所属ジ・オーダーエアリアル部隊を任されている。ここでは私が隊長だ」

 

「……………」

 

「君は、ヴ・レード惺王国について何かわかる事はあるか」

 

ヴ・レード惺王国。少年の頭にその単語が浮かび上がる。

 

「…確か、巡星でア・スレッガていう国と争いをしてる…」

 

「なるほど。なかなかどうして」

 

隊長、と名乗った男性は得心がいった顔をする。

 

「では、他に覚えている事はあるか」

 

「覚えている事?」

 

「例えば…」

 

「例えばエアリアルについて!」

 

「あ、コラ!ヒカリ!まだ入ってくるんじゃない!」

 

男性の後ろからヒカリと呼ばれた少女が話しかけてきた。少女は白をベースとした複雑な形をした

 

スーツ?を着ていた。ピンクと紫の間の明るさの髪に健康的な唇、何より好奇心に目をキラキラに

 

輝かしていた。

 

「ヒカリ・ソラ…」

 

少年はその少女の名前を口走る。まるで最初から知っていたみたいに。

 

「そう!私ヒカリ・ソラ!やっぱりあなたが私のヒーローなんだね!」

 

「ええい、ヒカリ余計な口出しはするな。レイカとナギはどうしたおいレイカ!」

 

隊長が後ろへ呼びかけると他に2人、ヒカリと同い年くらいの少女、少年がいそいそと入って来た

 

。2人もヒカリと似たような恰好をしているが、普段着の様には見えない。

 

「申し訳ありません隊長。ヒカリあなたの後先考えない行動、最の低ですよ」

 

「そうですよヒカリ。特に彼はまだ意識に混乱がみられるんです。僕たちとの会話はまだ避けるべきです」

 

「でもヒーロー目が覚める前に私と手を合わせてくれたんだよ。ね」

 

少年は思い、だした。

 

自分はこの少女を知ってる、と。この少女とどこまでも空を翔んでいた気がする、と。

 

「それに、私はこれを渡しにきたんだよ、はいこれ」

 

と、ヒカリは少年にあるものを渡す。

 

それは、バッジ。紫色をした羽の形を象った勲章の様なバッジだった。

 

「それは、僕の…う」

 

それを見た途端、少年の頭の中に様々な映像が流れた。そのどれもが少年と少年を取り囲む人々と

 

のやりとりだったが、あまりにも大量の思い出が流れていき、少年に頭痛が走る。その無視できな

 

い痛みに目を閉じ、頭を抑える。

 

「ほら言わんこっちゃない。レイカ、ナギ!ヒカリを連れてミーティングルームへ行ってろ!」

 

「「はい」」

 

怒鳴られたレイカとナギは、ヒカリを両脇から挟み、半ばひきづる様に連れて部屋を出ていった。

 

「大丈夫か少年」

 

「はい、なんとか」

 

ようやく頭痛が収まり、目を開く。

 

「すまなかったな。説明が遅れたが、君は今まで体の治す為に長い間、あのメディカルポッドの中にいたんだ。そのせいか治療は完了したが、記憶に障害が残ってしまったようだ。すぐに、とは言わないが後々には本来の君を取り戻してほしいと思っている」

 

「本来の、僕」

 

「そのバッジに見覚えはないかい?」

 

聞かれて、もらって握っていたバッジを改めて見つめる。そう、これは、

 

「これはスターウィングの証。これを、僕はもらったんです」

 

「誰に?」

 

「それは、店、長」

 

そう、段々と思い出してきた。

 

「自分は最年少でスターウィングになって、皆に祝ってもらって、それから翔握戦で、」

 

そこまで言うと、隊長の胸ポケットからバイブ音がする。

 

「悪い、ちょっと待ってくれ」

 

隊長は少年の話を遮ると、端末を取り出し、画面を見る。すると、顔をしかめて席を立つ。

 

「仕方ない。君には悪いが今すぐ着替えて俺についてきてくれ」

 

と、隊長は少年に服を差し出すのだった。

 

 

 

着替えが済み、隊長の後に続いて長い廊下を進む。先程の隊長の話が本当らしく、久しぶり

 

に歩くせいかどんどん距離が離れていく。

 

もはや小走りという体でついていくと、隊長が扉の前で止まる。ぶつかりそうになるが、少

 

年もなんとか立ち止まった。

 

「待たせたな」

 

隊長はそう声を掛け、部屋に入っていく。中には教室の様な空間になっており、机が6つ並

 

び、その前方に教壇の様な台が置いてあった。隊長は台へ立ち、少年を座席へと座るよう指

 

さす。

 

机は横に3×2で並びであり、前の3つの内2つには先程レイカとヒカリと呼ばれていた二人

 

が座っていた。

 

そしてナギ、と呼ばれた少年も後ろの席に座っており、少年は横にヒカリ後ろにナギがいる席

 

に座った。

 

「これからミーティングを始める。正規の翔握戦ではない緊急事態だ」

 

「あの、シャーリーはどちらに?」

 

おずおずといった感じでレイカが隊長の合間に言葉を挟む。

 

「シャーリーは現在各エアリアルの調整を手伝ってもらっている。今はその方が良いだろうからな」

 

「じゃあカズマとイサドラは?」

 

「2人は治療室だろうが。続けるぞ。現在ジ・オーダー及びキザナによる合同採掘調査班から連絡が入った。この星にも星血が確認された。が、どこから嗅ぎつけたのか調査中の採掘場をア・スレッガの連中が強襲。

調査中の採掘場に多くのマグが放たれ占拠中とのことだ。また、未確認だが、避難中の非戦闘員の報告によると敵のAR。エアリアルが発見されたそうだ」

 

隊長の話に3人は沈黙を続ける。だが、その沈黙はあまり良いものではないらしい。

 

「本部よりこちらからも急遽エアリアルを出撃させ、採掘場を占拠中のマグを撃退せよとの命令が下った」

 

そこで、

 

「そこで、今出撃できる状態なのはソリディア、カーディナル、そしてⅭ・Uレイターの3機だ。だが現在の我々では1機分のエネルギーしか供給できない」

 

隊長は1呼吸置き、

 

「出撃したいものはいるか」

 

この言葉に最初、3人から言葉を発するものはいなかった。しかし、

 

「隊長、現実問題。今から採掘場まで出撃は間に合うのですか」

 

レイカからの質問。これに対し隊長は顔色を変えずに答える。

 

「ジ・オーダーも動かせない現状だと間に合わないだろう。既にマグによる占拠は始まっている。取り戻すまでに全てのマグは排除できない。そうなれば翔握戦を待たずに新しい採掘場、資源は奴らのものだ」

 

「でしたら」

 

「だったら!」

 

ヒカリが声を上げる。

 

「私が出る!」

 

「ヒカリ…」

 

「ヒカリさん…」

 

ヒカリは立ち上がり、少年へと手を向ける。

 

「私達ならできるよ。絶対に!」

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。

1話ですね。とうとう投稿してしまいました。
現在の所で3話まで書いてありますのでそこまでは確実に投稿予定となります。

さて、1話ですが、見返すと文が拙いですね。
本編では少年と書かれていましたが、彼はプロローグで出ていた「ツバサ・ソラ」君です。
バッジの描写で気が付いていただければ幸いですが、改めてこちらでも。
もちろん「ツバサ・ソラ」はPNですので、本名ではないのですがどうなるやら。
後、主人公の他に隊長という存在もオリキャラです。こんな筋肉モリモリマッチョマンの変態がゲームにいるわけないだろ…!
「マグ」について。
ゲーム内に出てくる雑魚、お邪魔キャラですね。足と手の生えた戦車のようなものを想像していただければ。描写が少なく申し訳ない。
これ自体は自動で動いており、操縦者は乗っていません。所謂ドローン。なので細かい説明は今後もされることはないと思いますのでこちらで。

実はこれを書いている時、2、3話をぶっ続けかつ1話の編集をしていたので疲れてます。いや、首が痛い。
こんなあとがきですがこの様なノリで解説をしていきますので、物好きな方はどうぞ。

では、巡星で、会いましょう。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。