セクシーコマンドーはありふれているのだろうか   作:桐原

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 カナタのステータスと独自考察、メルド騎士団長との戦闘のみです









第五話

 前回のあらすじ

なっくん達は身分証明書代わりにステータスプレートというアーティファクトを手に入れた。

しかし、いつものように不思議なことが起こり、セクシーコマンドー部の部員達と頭を悩ませていたのだがそこに部長であるカナタは無かったのである。

そこになっくんを先頭に、ステータスプレートを覗き込んだまま動かないカナタに近づいた。

 

 

 ある程度近づかれたところで、セクシーコマンドー部の部員達の接近にカナタは気づく。

 

「ん?みんな集まって、どうかしたのかい」

「どうしたって、ついさっきまでお互いのステータスプレートを見せ合っていたんだけど、いつもならいるはずのカナタくんが居なかったから探したらステータスプレートを見たまま動かないでいたからどうしたのかなって」

 

 なっくんがそう言うとカナタはバツが悪そうにやや顔を逸らして歯切れが悪そうに、

 

「僕のステータスプレートがちょっと変でね」

 

 部長だけ集合していなくてごめんね、というカナタの様子になっくん達は意外に思った。

 そういえばステータスプレートを覗き込んでいたとき今まで見たことのないほど真剣な表情だったな、と今更ながら気づく。

 

「みんなのステータスプレートは一体どうだったのかな。ちょっと見せてくれないか?」

「いいけど、後で部長のも見せてくれよ」

「ああ、勿論だとも」

 

 そう言うとカナタは五人分のステータスプレートを見せてもらい、しばらくして納得したよう表情になった。

 

「ああ、なるほど」

「何がなるほど、なんだカナタ」

「ふふ、単にステータスプレートの仕組み…というよりは何が基準となって天職、技能がステータスプレートに表れるのか、についてだよ、マイケル」

 

 部員達が驚く様子を見ながらカナタは語りだす。

 

「まずおかしいと感じたのはなっくんのステータスプレートを見たときだ」

「僕の?」

「そう、まずは技能にプログラミング、作画といったプログラマーや漫画家に関係する技能が無かったことだ。それらに関して明らかに高校生レベル以上の技術を持つなっくんがステータスプレートに一つも表示されない、別の何かに置き換えられた技能があっていいのにね」

「あ!」

「確かに」

「後は天職について。これについてはみんな察していると思うけどこの世界にある、または認知されている職業からしか選ばれない」

「私もそれはなんとなく感じていたよ」

「まあ、ファンタジーの世界に機械があったら不自然だよな」

「メルド騎士団長が言っていたが技能=才能というのは普通に考えておかしくないか?戦闘の才能と生産の才能を持っていたらどうなんだ?まだ自分のものを含めて六人分のステータスプレートを見ていないけど、恐らくどちらかに偏っていると思うよ」

「「「………………」」」

「それも天職に関係しない技能は恐らく表示されていない。周りからちらほら戦闘系の天職が聞こえてきたり、この中のほとんどが戦闘に関する天職、これはきっと召喚時に大きな補正が掛かったと僕は考える」

「………………カナタ、貴方は結局何を言いたいの?」

「本当はもっと話を続けたかったけど、ルイルイの言う通り長くなりそうだし、手短に言おう………………この世界はエヒトという神の遊技場だという可能性が高い」

 

 カナタは最後の言葉をセクシーコマンドー部にだけ聞こえるように小さな声で言った。

 なっくん、ユッキー、マイケル、サッキー、ルイルイは自分の耳を疑いながらもカナタの一言に納得していた。

みんな少なくてもこの世界のことをこう思っていたのだ、

 

 この世界はまるでゲームのようだ

 

 急に無機質を見るような視線を幻視して得体の知れない恐怖を感じるが、誰一人取り乱すことも無く。

 カナタに視線を向けてアイコンタクトを送る、それでどうすればいいのか、と。

 

「一番可能性が高いのはお、ゴホン、僕が分断されること」

「部長が魔人族に人知れず暗殺されたなんてことになれば、帰還はできないし、復讐とかで理由付けして戦争に参加させて一石二鳥だろうな」

「これでも修羅場を何度もくぐり抜けているから安心していいよ。二番目は人質だけどこれはほぼ大丈夫、仮にも〝勇者様一行〟には手出しはしない、教会の力が大きいからね」

「………………万が一、攫われたりしたらどうする?狙われる確率が高いのはここにいる五人だぞ」

「みんなヒゲは持っているな?そのヒゲを持っていれば大体の方角は勘で分かる」

 

(((いや絶対頭のアホ毛レーダーだろ)))

 

 カナタ(本人)は自覚していないが十中八九、例のアホ毛がレーダーのような役割をしていて目的のものを発見、他には何か色々な電波を受信する。

 部員達の心情に全く気づかず、話を続けようとするが雰囲気がガラリと変わった。

 

「よく聞いてくれ、まず無いと思っているけど、起こったら最悪の場合のことを」

「さ、最悪?」

 

 話の流れから相当なことだと思い、一言も聞き逃さないようにカナタに注目する。

 

「それは………………………………」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ステータスプレートの出来事からしばらくして、戦闘訓練を行う時間となった。

 教師である畑山先生は最初、難色を示していたが、すぐに帰還するということもあって護身術のようなものだ、と納得している。

 戦闘訓練が始まり、一部の武道経験者以外はメルドに手も足もでない、その一部の武道経験者もいかに恵まれていても(優秀な技能などを持っていたとしても)経験の差で現在二人の生徒以外負けてしまった。

 一人はルイルイのこと八重樫(やえがし)(しずく)、最近長年の悩みから解放されて重荷がなくなったからか、急成長を遂げている。

 そんな彼女は引き分けに終わった、しかしあくまでこれは訓練であり決闘でもない、どれだけの実力があってそれがこの世界においてどれほど通じるかを確認するためだ、双方それがよく分かっていたからこそ無駄な怪我などをしないように引き分けで終わらせたのだ。

 もう一人だが、その生徒は天之河(あまのがわ)光輝(こうき)、天職:勇者であった。

 そして、勝敗は彼、天之河光輝の勝利。

 これはメルドが油断していたことと、天之河が単純に強かったということで大体の説明がついてしまう。

 まずはメルドの油断についてだが、メルドは天之河の前に何人か相手にしていて、勇者一行の大体力量を見極めていたつもりであった。

 その見極めは正確であった、しかし、その枠に天之河の力量は収まらないどころか、大幅に越えるものであったのだ。

 天之河が単純に強かった、ステータスも確かに()()()()()()()2()0()0()はレベル1では破格ではあるが、まだメルドのステータスの方が高かった。

 メルドが予想外だったのはステータスに表示されることのない()()()()()、子供でありながら自身を大きく上回る剣技と何が原因かは不明だが絶対に勝利するという執念に圧倒されてメルドは負けたのだ。

 最初から本気で勝負してもメルドの勝率はおおよそ五割あったら良い方だろう。

 その後のルイルイとの訓練では気を引き締めて本気で当たり、引き分けに終わる。

 現在、戦闘訓練も残るはあと一人、天空城カナタを残すのみとなった。

 

 

 

 

(ついにこいつ(カナタ)の番か)

 

 メルドは内心で呟きながら、意味がないと分かっていながらもカナタのステータスプレートの情報を思い出す。

 

 

 ===============================

天空城カナタ 17歳 男 レベル:1

天職:セクシーコマンドー

筋力:30

体力:30

耐性:60

敏捷:40

魔力:90

魔耐:70

技能:セクシーコマンドー・言語理解・ヒゲ(十段)

===============================

 

 

===============================

天空城カナタ 17歳 男 レベル:1

天職:セクシーコマンドー

筋力:10

体力:40

耐性:80

敏捷:90

魔力:20

魔耐:50

技能:セクシーコマンドー・言語理解・ヒゲ(十段)

===============================

 

 

 ===============================

天空城カナタ 17歳 男 レベル:1

天職:セクシーコマンドー

筋力:50

体力:90

耐性:60

敏捷:60

魔力:40

魔耐:90

技能:セクシーコマンドー・言語理解・ヒゲ(十段)

===============================

 

 

 (ステータスが常に変動するってのは、厄介極まりないな。どう加減したらいいのか分からないな)

 

 そう、カナタのステータスは常に変動していて、正確な値を知ることが出来なかったのだ。

 カナタの順番が最後になっていたのは、生徒達の力量を見極めてから当たった方が事故などのリスクが避けられるという考えもあったからである。

 ………………そして、何よりカナタの天職と二つの技能を持っていることが()()()()()()

 

「もうそろそろ始めようか」

「こっちは準備OKですよ」

 

 二人の言葉を聞いて審判が、始め!と合図を出す。

 先に動いたのは………………カナタであった、最初にギラッ!と目を輝かせてから一気に全身を輝かせた。

 恐らく相対しているメルドは光で視界を潰されただろう。

 

「先に仕掛けたのは部長か」

「あれはえーと、『真夏のサンライトフラッシュ』だっけ?」

「ああ、カナタが考案したって言う、セクシーコマンドー改だな。源流の『はじらいのひととき』や『夏★しちゃってるBoy』を改良したもの…だった気がする」

「……なんか俺たちこういう、どうでいいことばっかり何故か覚えているよな」

「これはもうカナタの勝ち…え?」

「「「はぁ?!」」」

 

 カナタが発光による目潰しでメルドの視界を奪い位置をつかませないように素早く走りながらフェイントを織り交ぜながら接近、サッカーのフェイントが一番近いのかもしれない、ルイルイはかつて自分も同じ手に見事に嵌ってしまいカナタに破れた経験から、これは決まったと思い、口に出して………………啞然とした。

 何も見えないはずのメルドがカナタにカウンターを決めていたのだ。

 観客に回っている誰よりもルイルイは驚いていた、第一にサッカーのフェイントに対処するとは違い視覚が使えない、第二に雑音が多い、これによりどこからか攻撃がくるのかはっきりと分からない、勿論カナタはこれ(雑音)を意図的に行っている。

 最後に完全に不意打ちが成功すれば人は動揺する、なので攻撃に反応はまずできない。

 しかし、現実ではメルドはカウンターに成功して、カナタは地面に叩きつけられていた。

 一体何故か、観客席が混乱に陥っていると、バタンと一瞬目を離した隙に今度はメルドが地面に伏していたのだ、その側に立っていたのは倒れたはずのカナタであったのだ。

 

 

 

 




 勇者との戦闘は意見が多ければ書いてみようかなと思います。


 次回予告
 カナタが考案したという、セクシーコマンドー改。
 それは一体何なのか、セクシーコマンドーの源流とは?そもそもなんで発光しているの?
 地球への帰還はどうなるのか?!
 次回、セクシーコマンドー部の危機?!


 新学期が始まり、色々と忙しくなるので落ち着いたらまた投稿します

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