良心的な逸般人ウェスカーの幻想入り   作:カンダム

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気が向いたので投稿。
見てくれてる方がいて嬉しいです。


diary2 協力者は河の城

「ここが、入り口です」

 

「岩の影に作る基地か。それ程の物を隠したいのか、それとも隠れていたいだけか。

 まあ、それにさほど影響はない」

 

 河の影に隠れるようにある岩影に、木の扉が取り付けられている。ようやくたどり着いた協力者になりうる人物に会うべく、ウェスカーは先行してドアを開けた。

 中では様々な物が散らかり、配線がでたらめに伸びていて、とても危ない部屋だ。

 

「誰かいないのか………ん?」

 

 彼はその観察力で、人形の何かが棒立ちしているのに気が付いた。色は解らないが、恐らく光学迷彩の様なものをしているのだろうと察する。

 どうしたものかとウェスカーが頭の中で挨拶のシミュレーションをしていたところに、空気を読まずに犬走が入り込み、その人形に怒鳴る。

 

「河城!姿を見せろ!」

 

「お、おい流石にそれは」

 

「ウヒャイ!?椛?!」

 

 怖がる少女がその怒鳴りに恐れたのか、光学迷彩を解除した。その光景にウェスカーはやれやれと首を横に降って、軽いチョップを椛の頭に当てる。

 

「つっ………何ですか」  

 

「こういうものは然り気無くするのがベストだ。ほれ見ろ、怖がっているではないか。

 協力者になるかもしれないと言うのに」

 

「貴方の姿が怖いのでは?」

 

「どっちも怖いわ!!………はぁ、椛と盟友が来たということは、匿ってほしいんだよね。いいよ、匿わさせてもらうよ。

 椛は早く行ってきな、疑われちまうよ」

 

「ああ」

 

 犬走はドアを閉めてその場を去った。残ったのはウェスカーと、光学迷彩を使用していた少女だけが残った。

 少女は安心したかのように息を吐くと、ちゃぶ台を引っ張り出して、座布団を向かい合うように置いて、座るように促す。

 

 ウェスカーは頭を下げてから座布団の上で正座して、少女の方は座らずに、戸棚を開ける。

 

「お宅はなんでこの山に来たんだい?あ、飲み物は何がいい?」

 

「ここが綺麗だったから来ただけだ。それと、飲み物は珈琲はないか?出来れば角砂糖を一つ」

 

「はいよ」

 

 珈琲がウェスカーの前に置かれ、少女は座布団に座り胡座をかいて、自分で用意したお茶をちびちびと飲んでいる。

 

「君は、何かを研究などをしているのか?部屋に散乱する機類を見る限り、相当な熱の入りようだ。

 それとも、気になるものは片っ端に調べ、興味が薄れたものはこの様に処分する物だろうか」

 

「あー、どちらかと聞かれたら後者さ。調べても、直ぐに解明出来てしまうから……ところで、そのアタッシュケースは何だい?なんだか薬品の匂いが少しするんだ」

 

「………。まあ良いだろう、この中に入っている物はある意味、毒素だ。

 くれぐれも破壊しないように」

 

「な、なんだいこりゃ!」

 

 開かれたアタッシュケースの中には数種類のウィルスと、それぞれの解毒剤が入っている。

 彼が再現したウィルス達、その性能は変わりなく、傘印のお墨付き。

 

「さあ、研究するといい」

 

「ひゃぅほい!!あんがとー!」

 

 少女は一つのウィルスをひったくり、部屋の奥へと走り込んでいった。

 しかし、数分で戻ってくる。

 

「よし、解析は終わったよ……面白いねこれ。これを盟友達が作ったと思うと、鳥肌がたつ。

 いったい何人の人間を犠牲にしたんだ」

 

 口は笑っているが、その目は笑っていなかった。その瞳に写る顔は、とても笑っている。

 先程の空気から一変。

 殺気が漂う、殺伐な空間になってしまって、今にも死人が出そうな勢いになる。

 

「さあな、私はいちいちパンの食べた枚数を数えるほど暇ではない。

 その質問で君の探求が終わるのならば、約束を果たそうではないか。

 君は満たしただろう、次は私だ」

 

「そうさね、何がお望みだい?」

 

「私の仲間になれ」

 

 その言葉に少女は俯き、加温見せないようにして立ち上がった。

 少しの沈黙のあと、顔が上がる。

 

「……ハハッ。

 やーだね、私が叶えるのは人間と優しいやつの願いだけさ。お前のような人間とは言えない薬中野郎の願いなんざ、叶える義理はない!」

 

「なら、強引に行かせてもらう」

 

 ウェスカーは足元から触手を生やして、地中に潜らせ、飛び出させるように触手で攻撃する。

 その攻撃は少女に聞くようで、避けることしかできていない。

 

「おらおら!河城ニトリ様の発明品!

 特と味わうといいさ!」

 

「発明品か。匂いは……ふん。

 重火器だろう?鉛の匂いがするぞ」

 

「ご名答、正解者には素敵な贈り物。

 鉛弾を差し上げまーす!」

 

 少女が指をならすと、天井からガトリング等の重火器が取り付けられた柔軟性の高いアームが飛び出す。

 重火器から無数の弾丸が射出されて、弾がウェスカーを正確に捕らえる。

 

「あー、やり過ぎたかな?

 でもいいよねー、あんな薬を作る奴なんざ馬に蹴られたとにゴミの中に埋もれてりゃいいさ。

 まだまだたま切れしないよぉ!!ハハッハ」

 

「まだ詰めが甘いな」

 

「っ?!」

 

 触手は的確に少女の肩を切り裂かんと動く。その速さは尋常ではなかったが、少女はその場から飛び退く。

 所謂、野生の勘。その勘で避けたのだ。

 

「ふぃー、危ないね。

 しぶといね、まだ撃ち込まれてるのに。平気でしゃべるとかあんたヤバいな。

 ネジでもはずれたかい?」

 

「ネジなんて物は抜け落ちたさ、とっくのとうにな。まだ豆鉄砲を撃ち込むか?

 なら、貴様は馬鹿だな。河城ニトリ」

 

「なんで私の名前を?」

 

「…………自分で言っていただろう」

 

「あ、そっか。

 でも、それを覚えてても意味ないさ。

 ここで死ぬからね!」

 

 他のアームが持つ重火器よりも一周り巨大な重火器が取り付けられたアームがその重火器を構えた。

 その大きさといい、緑の弾といい、それはウェスカーがよく知る武器。RPGだ。

 

「ロケットランチャー……」

 

「んじゃま、裁かれるといい。

 後は閻魔様にお任させするから」

 

 弾は打ち出され、ウェスカーに当たり爆発が起こる。煙が充満し、次第に晴れていく。

 慢心したのか、ニトリはアームを全てしまう。

 

「このウイルスは全部貰うよ。

 死人に口無し、拒否はできないから」

 

 にやけ顔でウイルスが入ったカプセルを取り出し、そのウイルスを掲げる。

 腹を抱えて笑い、何に使おうかと考える。

 

「で?それをどうする」

 

「そら復讐に使う、あの天狗共にこのウイルスを使って実験する。

 あの忌々しい顔付きが消えるんだ」

 

「そんな事に使わないでくれ。

 私のウイルスは狂暴で、冷酷なのだから」

 

「はいは…………え?」

 

 煙が完全に晴れる。

 その煙の先に、上半身がはだけたウェスカーが無傷で立っていた。

 ズボンは穴だらけだが、血の跡が一つもない。まるで、銃弾が聞いていなかったと言っているようだ。

 

 触手がウェスカーの上半身の一部飛び出し、ニトリを拘束してから、カプセルを割らないようにぶん取って元の場所に戻す。

 

「さて、チェックメイトだ」

 

「あははは。

 や、やだなあお兄さん、こんないたいけな少女を殴るきかい?

 止めておくれ……止めてくれ!!」

 

「一発で許してやろう」

 

「ヒッ!!?」

 

 拳がニトリの腹を打つ。

 衝撃が走り、胃液が登り、気分を悪くなっていくニトリ。吐き気のお陰で涙が漏れる。

 

「これで許してやろう。

 本題なのだが」

 

「わ、解った………から。

 ゴメンナサイ……ゴメンナサイ」

 

 触手が引き、ニトリを解放する。

 涙がこぼれ、こんなことしなければと後悔する。後悔しても遅いのに。

 

「協力してもらうぞ、私のために。

 先ずは犬走のクローンだ」

 

「……クローン?」

 

「この仕事は、君の性格にあっている」

 

 ニトリは思う。

 それを先に言ってくれと。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何でしょうか、文様」

 

「侵入者についてよ。本当に追い返した?」 

 

 山奥に位置する小屋。

 そこで椛は報告した後に、上司である射命丸 文に呼ばれて、言葉攻めにされていた。

 侵入者が居たが追い返した。と報告した椛に、不信感を抱いた文は聞くことにしていたのだ。

 

「はい。この手で」

 

「ふーん、何か隠し事はないの?

 私は聞いてるじゃないの、これは尋問。

 答えてくれない?」

 

「私は追い返しました」

 

「……はあ」

 

 椛は追い返しましたと繰り返すだけで、文はますます疑い、目や挙動に細かく注目しながら話していく。

 一言一言言及していく中で、一瞬だけ目がずれた。汗も少量だが垂れている。

 

「椛──。なぜ目を見ないの?」

 

「っ」

 

「目が少しずれてるのよ、ちゃんと目を見てない。何で汗を流すの。

 言いなさい、侵入者はどうなったのか」

 

「それは。その………」

 

 顔がショボくれ、伏せてしまう椛。流石にかわいそうだと文は思う。

 

「後日に聞きに来ますので」

 

「………」 

 

 文がその小屋から出ていって、残った椛は手を握りしめる。

 怖いのだ、あのウェスカーよりも。

 

「あの人なら、強さをくれたあの人なら。

 私は強くなったんだ、強くなるんだ──」

 

 

 

 

 

「私は、もう虐められなくなるんだ」

 

 

 

 

 




次回も亀さん更新。
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