鴉天狗と言ったか、何人で対処するのかは知らないが、危険すぎる。T-002と酷似するが、その身体能力は優にC型を越える早さを持つ。謂わば早さに重点を置いたT-002の改造型。通称T-002αと言う。
「私は対処しに行かせてもらう、では我々はこれで。イワン、早急に装備を整えるぞ」
「ん……」
「あ!お待ちやがれください!」
「早苗、ステイ」
早足で神社を後にした。後ろから待てだとか色々な罵声が飛び交っていたが、無視した方がいいとイワンに首を横に降られた。
ここに来るために通った道を辿り、にとりの家、兼研究基地へと帰る。
用意するものは色々とあるのだが、拳銃は確定。RPGもだ、あれがあればスタンはとれるだろう。
河辺に置かれた岩影の扉の前に立ち、赤外線認証で中へと入った。帰ってきたと実感できる場所なのだが、不可解な点が見受けられるな。
滴ったかのような血が数滴延びている。花のように飛び散った血液もあり、悲惨であったことを物語っている。
形から思いっきりやられた事が解ってしまう他、この血がほんとりと暖かいと解ってしまう。
まだ血は、固まってはいない。要するに、血溜まりだ。
「この血……」
「イワン、解るのか?」
その言葉に返答するように、イワンは片膝をつけて腰を下げ、そのまだ暖かいそれに人差し指で触れて口へと運んだ。
「オリジナルです」
「……襲われたのか。暴君だろうな、犯行をすることができるのはここに入れる設定をされた者に限られる。
にとりはまだ帰ってきていないらしいが…………調べてみるか。
イワン、検査室でその血液を調べ、記憶を読み取れ。機類は何れでもいいから使え」
「………準備は」
「私が行う。イワンには悪いが、留守番してもらう。にとりが来たら出掛けたと伝えてくれ」
「それなら、これ」
「これは?」
「インカム……新型。耳に」
「そうか」
イワンには検査室に行かせ、私は扉を通った人物の学歴を調べる。ここ最近通った人物は何人だ?
パソコンからコードを伸ばし、接続し、学歴が記録されているシステムを観覧する。
私を含め、通ったのは三人か。犬走 椛の名前はあった、私の名前もある。しかし、もう一人の名前が解らない。
暴君かと思ったが、肝心の暴君は他の方法で抜け出したらしく、通った形跡がない。あるのは三人の跡と、私達が出掛けたとき、にとりが出たときだ。
何回もにとりの方は過去に何回も出入りしているが、今日の学歴では出ていった記録しかない。
「抜け道か?」
抜け道、その発想が頭に浮かぶ。あり得る話だが、何処に造ると言うのだ……にとりの部屋?
可能性は否定できない。足跡を調べるしかないようだ。
「赤外線のペンは…あった。これで調べられるだろう。当たってはほしくないが」
もしも、侵入者が居たときのために造り置きしていた赤外線ペンを、散らばる物を退かして手に入れる。
ペンを使って照らしていくと、足跡がくっきりと見えた。この足跡、いや、まだ確定した訳ではない。
「イワンにこれも頼んでおくか」
RPGを細長い入れ物に入れて、私は犬走椛の記憶遺伝子を元に作り出した地図を懐に入れ、検査室で血液を調べているイワンに、調べるよう伝えた。
早く、一刻も早く止めなければ被害は出る。拡大もする。
河に出て、山の奥まで進んでいく。地図とあの写真の位置を可能な限り合わせる。写真に写っていた地面は舗装されていた所から、僧侶達に使わせる道だと思える。その近くには白浪天狗が宿泊する小屋があるようだ。
「小屋の付近に居座っていそうだな。何処まで行ったのかは解らないが、危険極まりないのは変わりない」
『パパ……あの靴跡は、ママの』
「何だと?」
耳につけているインカムから通信が入り、イワンから伝えられた。靴跡はにとりの物で、記憶を読み取ったところ、何かに頭を引っこ抜かれたらしい。
にとりは裏切っていたのか。まあ、仮初めだったから何時かは来ると思っていたがな。
イワンにはまだ待機してもらうことにする。にとりが来たら、警戒するようにとも伝えた。
「助けてくれえええ!!」
「っ?!」
丁度、通信が終わった瞬間に悲鳴が上がった。この悲鳴は、男か?
「くそ、くそくそ!!やだ、やだやだやだ!!死にたくない、死にたくない!!」
「……」
「がっ」
悲鳴と音を頼りに着いた頃には、別の鴉天狗の首が飛んでいた。右腕、脇腹が抉り取られ、横たわってしまった。間に合わなかったか。
T-002αが気付く前にRPGを取り出して、即座に撃ち込む。吸い込まれるように入った弾は音をたてながら、風と火が吹き荒れた。
悲鳴は聞こえず、鳥が逃げるが如く羽ばたいた音がその場を支配する。その支配する音は、即座に切り替わった。
1本では止まらない、それが暴君。ダメージは与えられたから、後はチマチマと削るだけ。
弾は無制限ではない、確実に心臓を狙わなければ。
「グゥアアアアッア!!」
「来い!」
まず一発を発砲。心臓に当たる。仰け反る様子はないのだが、少し歩く歩幅が短くなった。効くことは効く、まさか自分で戦闘データを取るはめになるとは。
「ヴッ!!」
跳躍するように接近してくるT-002αだが、足に力を入れて駆けてすれ違うようにする。
そして振り向きざまにもう一発、弾丸は心臓に捩じ込んでいく。しっかりと着弾したことで、仰け反ったので、最初のRPGが余程効いたようだ。
次に造るときは爆発に耐えるような設計でT-002を再製造しなければ。それが完成したらT-103のようにコートを着させてみようか。
それならT-103をα型で作ればいい。となるとサンプルだとか、色々と手に入れなければなるまい。
「お前は、意識はあるのか」
「ヴぁ……………とう……さ……」
ある模様。そしたら手なずけられないだろうか、ゆっくりと一歩一歩距離を積める。
武器をしまい、確実に踏んでいくように。端から見れば不審者間違いなしだろうが、今はこれしかない。
殺さないで入手することが出来るのならば、様々な実験を長期間で行えるのだ。手なずけて損はない。
「お父…………さ……ん」
「お前は、どうしたい」
「着いて………いきた………い」
頭を撫で、落ち着けさせることに成功。堕ちたな。確信的な犯行に近いが、これで面倒後とが避けた上に、予想外の回収が完了した。正に一石二鳥のよう……であってそうではないが。
「帰るか?」
「(^_^ゞ」
「身ぶり手振り?」
「( *・ω・)ノ」
「そうか」
「(;`・ω・)」
「いや、そのままで大丈夫だ」
「(*´ω`*)」
会話方法が特殊だが支障はない、え?うん。知り合いがいる?
「( ´_ゝ`)」
知り合いってなんだよ……、しかも時間的に殺してるなかで見つけたって事だな。どうやって……。
お父さん心配です。
「その子は何処に?」
「( ゚∀゚)ノ」
「そっちか」
指した方向には草むらがあり、ガサガサとずっと揺れている。少し間が空いて、それが顔を出した。
ワニ、爬虫類。そうとしか言いようがない。これは何だ?T-002αとただの爬虫類が仲良くなるとは思えないのだが。
「ようくそったれの人間……じゃあないな。嬢ちゃん、こいつが探し相手か?」
「(^_^)v」
「喋れるのか……」
「どうすればいいんだ……。なぜ収容違反したと言うのに、何処へ消えた。
監視カメラは全てショートして使い物にならんし、まさかあの博士、何かやったか」
SCP財団日本支部、そこでは毎度のことながら収容違反が起こったのだが、今回は多少どころか全然違う違反の仕方だ。
消えるってなんだ、カメラが全ショートってなんだ。くそっ、一時的に預かっていたあの爬虫類が逃げ出してしまうなんて。
「博士!何者かが侵入しています」
「は!?ちょ、ブライト博士を退避させろ!あの人が何をしでかすか解らん!」
「もうしでかしました……、その侵入者に、抱きついて……ぐふぅ」
「大変!入りたての職員が死んじゃった!」
「「「「「「この人でなし!!」」」」」」
あの博士は何をしてるんだ、あろうことか抱きつくなど。頭がカチ割られたような痛みがががが。
と、兎に角緊急要請を……、駄目だ!!あの博士のお陰で呼べないんだった!他の収容違反を対処していたんだ!
「ヤッホー☆連れてきちゃった☆」
「どうもー?妖怪でーす」
「ブライトぉぉぉおおお!!f〇ck!!」
「どうも、
「ヴッ」
「「「「博士が死んだ!この人でなし!」」」」
クソッタレガ………早くどうにかしなければ。あの不死身の爬虫類だけは。SCP-682だけは。
永遠に呪われちまえ……ブライトぉおぉ。
いっそのこと
SCP入れちゃった☆でもワニしか入れたくなかったけど平行して入れていきます。
鍋はもっと紫にしなきゃ。
そしてあの二人は小説中でも言われましたが、ブライト博士が抱きついています。無論、猿ですが。
でも悪気は十割しかないとかあるとか。
因みに不死身だから出したかった。椛タイラントとほのぼのしているのを書きたかったんや。
SCP財団日本支部
http://scp-jp.wikidot.com/
登場したSCP
SCP-963 - 不死の首飾り -
執筆者:AdminBright
http://ja.scp-wiki.net/scp-963
SCP-682 - 不死身の爬虫類 -
執筆者:Dr Gears
http://ja.scp-wiki.net/scp-682