「うぇへへ〜渡さんのごっはん〜ごっはん〜♪」
「もう響ったら……渡さんすみません、家にお邪魔しちゃって」
「いや構わないよ。一人で食べるのも寂しかったから大歓迎だよ」
僕の名前は世界 渡、異世界転生しちゃった高校一年生の男です。残念ながら前世で僕がどんな人間だったか分からないけど、まぁ別に困らないからそこまで気にしてない……というか僕が転生した世界はちょっと技術が進んでるから助かってる。
例えば携帯電話。前の世界では二つ折りの携帯電話しかなかったけど、この世界ではスマートフォンという画期的な物がある。これ一つで様々な機能がアプリという物をダウンロードすることで楽しめる優れた機械になってる。
まぁそんな良い事ばかりじゃなくて悪い事もある。それはノイズという正体不明の生物? 兵器? がいる事。これの発生自体はかなり低いから遭遇する可能性も低い、けど遭遇したら絶望的でしかない。このノイズに直接触ってしまったらそのノイズごと炭になる、頭てっぺんから足の裏まで炭になる…唯一救いがあるとしたらノイズは一定の時間が経つと自壊する事。自壊したらどうなるかというと炭になる、どんだけ炭にしたりなったりするのが好きなんだと思う。
「はいハンバーグ出来たからご飯よそって、お茶注いで待ってて」
「ふぁかりましたっ!」
「響っ!? す、すみません、響待てなかったみたいでご飯だけで食べちゃって」
「謝らなくていいよ未来ちゃん。響ちゃんが美味しそうに食べる姿、僕は好きだから」
今話しているのは立花響ちゃんと小日向未来ちゃん。ほっぺにご飯がパンパンに入ってるのが響ちゃん、それを見て驚いてるのが未来ちゃん。二人は親友でとても仲がいい…ちなみに僕の近所に住んでるのが響ちゃんで、たまにお腹を空かしているのを見たとき家に食べに来てもらってる。
響ちゃんは忘れ物が多くて、よく響ちゃんのお母さんに届けてもらうように頼まれるおっちょこちょいな子だけど周りから好かれやすい子でもある。未来ちゃんはそのおっちょこちょいな響ちゃんに対してしっかりした子……なんだけど時々響ちゃんを見る目が怖い時がある。響ちゃんは何かやっちゃったからそんな目になるんだと思う。
「はい、お待ち遠さま。じゃあいただきます」
「「いただきます」」
「ん〜〜やっぱり渡さんのご飯美味しい!」
「響、ほっぺにご飯ついてるよ…ほら」
「ふぁっみふふぁりかとー!ん、んぐ、はー美味しい!」
「そんなに美味しそうに食べてくれると、作ったこっちも嬉しくなるよ」
美味しそうに食べる響ちゃんと未来ちゃん……平和な光景を見ながらのほほんとする。のほほんとすることでこの世界と前の世界の大きな差を忘れる事ができる、そうノイズと同じくらい大きな差を
「あの渡さん、私達だから襲わないですけど他の女性を家に入れない方が良いですよ」
「未来大丈夫だよ! 何かあれば私が渡さんを守るから……その為に体を鍛えてるんだから!」
「あ、あははは……響ちゃんありがとう、それに未来ちゃんも心配してくれてありがとう」
そう……前の世界と貞操観念があべこべになってる。だからこの世界で女性を家に入れるという事は………それなりの関係といえる。それに男性の人数も少なく、女性の方が力強い=色んな意味で危ない
響ちゃんと未来ちゃんは僕にそういう感情を持ってないから今まで安全に暮らしている。響ちゃんはご飯だし、未来ちゃんは……分からないけど別の何かに興味があるみたいだからね!
「もう渡さんは……私の気も知らないで。もう少しで襲っちゃいそうだよ」
「響…それはやったら駄目。やるときは二人で外堀を埋めてからじゃないと」