kuroariさん 紅 零さん、誤字報告ありがとうございます
貞操観念が逆転してるといっても変わってない事もある。
例えば部屋の綺麗さ、元の世界なら女性の部屋は綺麗で男の部屋はちょっと散らかってる…というイメージがあったけど、それはイメージなだけで当たり前な事だけど違う人もいる。この世界でもそれは同じで男の部屋は綺麗で女性の部屋はちょっと散らかってる…というイメージだけどそうじゃない人もいる。
だけどそうじゃない人もいるっていう事は、そういう人もいるという事になる訳で……
「翼ちゃん、奏さんからの荷物はテーブルの上に置いておいたからね」
「渡……いつもごめんなさい」
それは人気上昇中のツヴァイウィングの翼ちゃんも同じという事になる。
翼ちゃん、本名風鳴翼ちゃんは天羽奏さんとツヴァイウィングっていう音楽ユニットを組んでいる同じ年の女の子。長くて青い髪をサイドポニーテールにしてるスレンダーな見た目綺麗な女の子……そんな翼ちゃんと知り合いなのは父さんが翼ちゃんの父親代わりの人と知り合いだったから、という理由もあるけどそれだけじゃ翼ちゃんの部屋にいる理由にはならない。じゃあなんで僕が翼ちゃんの部屋にいるかというと
翼ちゃんはありえないくらい家事が出来ない
翼ちゃんは家事が出来ない、という言葉ですまないくらいひどい。まず脱いだ衣類は脱ぎっぱなし、飲みかけのペットボトルが地面に転がってる、リモコンが机の上にない、食器を洗うと何故か箸を立ててその上に皿を置く、米を洗うときに洗剤を入れる、味噌汁を作るとき味噌を入れれば入れるほど美味しくなると思ってる、多分本当だと思うけど火気厳禁の場所で蚊取り線香を使ったなど……
最初はマネージャーの緒川さんにやってもらってたらしいけど、改善の余地がないと判断されてどうしようかと思ってた時に僕という存在が現れた。翼ちゃんと同い年の男で家事が出来る知り合いの息子、流石に僕にやってもらえば翼ちゃんも少しはマトモになると判断して翼ちゃんの父親代わりの人が父さんに相談し、父さんが母さんに相談し、母さんが僕に伝えて、僕がOK出して…という流れで今にいたる。月に一回掃除をしてそこそこのお金が貰える…初めて部屋を見たとき絶望したけど
「でも翼ちゃんも成長したよね……今は脱いだ衣類は一箇所にまとめてるし、飲みかけのペットボトルも机の上にまとめてるし、リモコンも机の上に置いてあるし」
「わ、渡っ! 私だって成長する……渡は意地悪だ」
「ごめんごめん、それで奏さんからの荷物開けないの?」
「奏から? 私に直接渡してくれればいいのに一体何が…」
今では少し成長してくれたお陰で掃除しやすくなって料理する時間もある……えっなんで料理してるかって? それは時間が余るようになった時に緒川さんから料理も作っておいてほしいって言われて、その分のお金も貰ってるから作るようになった……何か裏があるようだけどマネージャーである緒川さんが何かするとは思えないから気のせいだと思う。
「それで一体何が………あっごめん」
「ち、違うの渡っ!! こ、これは奏が送ってきたから私のしゅ、趣味じゃなくて…そ、そのっ奏ーーー!?」
奏さんからの荷物はデッカイ付箋のついたエロ漫画だった。付箋には疲れたらアレだからなって書かれてて、奏さんがサムズアップしてるのが目に見える……因みに表紙には所々破れてる執事服をきた少年が書かれてる。奏さんがまったく興味のない物を送るとは思わないから、翼ちゃんはこういうのが好きなんだろう……
「分かってるから、分かってるよ翼ちゃん」
「いやそんな優しい顔で言わないで渡!? 本当に奏が送ってきただけだからっ」
「うん分かってるよ……あれ? 今更だけど手に持ってるのって赤飯だよね?」
「あ、あぁ緒川さんが大人になりますからねって言って渡してくれたの。まったく緒川さんは……渡とはそういう関係じゃないのに」
前言撤回、緒川さんは家事のできない翼ちゃんと僕をくっつけようとしてる。このままいけばドンドン仕事が増えていって最終的に結婚することになりそうで怖い。いや見た目綺麗で中身可愛い所あるから嫌ではないけど、このやり口は汚い…忍者汚い、いや緒川さんは忍者じゃなくてマネージャーだけど
「翼ちゃんも来たから僕は帰るけど、料理はいつも通り冷蔵庫に入れてあるからレンジでチンしてね」
「毎月ありがとう……あとあの本は奏が送ってきただけで私は関係ないからっ!!」
「うんうん分かってるよ……じゃまた来月」
「だから笑顔で言わないでっ」
大丈夫だよ翼ちゃん。響ちゃんという異性の家にエロ本を隠しといて、と頼む女の子がいるから……顔を赤くして否定するのは女の子らしい反応だよ。
「今回も駄目でしたか……でも諦めませんよ。翼さんにとって良い人をくっつけるのもマネージャーである僕の仕事ですからね」