よく分からないボーダー隊員   作:フ瑠ラン

3 / 5
出水(いずみ)公平(こうへい)
学力はそこそこの弾バカ。顔もそこそこいいはずなのに、私服のセンスが全てを台無しにしている。時々、勉強のことで緑川に泣きついている慎太郎を見てそれでいいのかと思うけれど、自分の隊長もあまり変わらなかったのでなんとも言えなかった。とりあえず、隊長にも慎太郎と同じ小学生のテキストから始めさせようと心に決めた。

米屋(よねや)陽介(ようすけ)
髪を下ろせば意外とイケメンかもしれない槍バカ。慎太郎と会うと緑川のように試合を挑み尽く負けている。「………と、思うじゃん?」はそこそこに知れ渡る決めゼリフでこのセリフの後からは何かが変わる。勉強はかなりやばい方な筈なのに呑気に笑って戦闘しているので隊長の三輪に怒られることしばしば。本人曰く「未来の自分に全てを託した」との事。

木虎(きとら)(あい)
ツンツンツンツンデレ系女子。なお、デレをみたい場合は玉狛支部所属のとりまること烏丸京介を連れてくるとよい。基本、自分の目の前で他人が褒められている所を見ると機嫌が悪くなる。プライドが高く厳しい性格をしている為、慎太郎とは仲良く出来ていない。きっと彼女と慎太郎は地球が滅びても仲良くはならないだろう。因みに烏丸との恋は始まってすらない模様。

太刀川(たちかわ)(けい)
Dangerをダンガーと呼ぶボーダー最強人物。因みに、慎太郎もダンガーと読んでおり頭の中は同じくらいだと思われる。パソコンのコンセントが抜けていることに気付かず壊れた!と叫んでいる様を見て「親近感がわく」と慎太郎に言われたのはまだ記憶に新しい。それを聞いた風間に「お前はそれでいいのか、20歳」と言われ深く傷ついたらしい。

風間(かざま)蒼也(そうや)
小型かつ高性能の攻撃手3位。高いプライドを持ち冷静だが常に熱い男。基本、1個年下の太刀川の面倒を見ており、時には太刀川隊の救世主として降臨することもしばしば。これでも次男坊。なのにこの長男の包容力は果てしない。慎太郎も時々、面倒を見てもらっている。慎太郎曰く「ボーダーで1番尊敬してる人」だとか。尊敬していると言われたのが嬉しかったのかお好み焼き屋を奢ってくれた。

加古(かこ)(のぞみ)
とんでもないチャーハンを作り出すファントムばばあ。熊谷と同じく慎太郎とは一度も喋ったことがない。何度かチャーハンを作ると誘ったのだが、青白い顔をして物凄いスピードで逃げて行ったのを見て、面白がって喋りかけるようになった。慎太郎もあの噂を聞いており、女性の中で姉に次ぐ怖さだと認定している。勿論、加古は知らない。「チョコミントチャーハン」で堤が「イクラカスタードチャーハン」で太刀川が「蜂蜜ししゃもチャーハン」でもう一度堤が死んだ。太刀川を殺せる人間なんてきっと忍田本部長と加古しか居ない。尚、チャーハンと聞くと二宮隊の二宮が反応するのでもしかすると彼もこのチャーハンで殺されたことがあるのかもしれない。



戦闘は好きだけど、過激なのは止められてます!

「あ、ウラじゃねぇか!! どうだ、久々にランク戦でもしようや!」

 

 

ジュースを飲んで休憩していた時だった。太刀川さんが俺に気づいて肩をバンバンと叩きながらランク戦のお誘いをしてくる。受けようかと思ったが、そう言えばランク戦のことでこの前注意を受けたなと思い出した。

 

 

『小春花先輩。あの戦闘スタイル正直どうにかならないんですか』

 

 

キッと鋭い目を更に鋭くさせ、ゾエの後ろに隠れている俺を睨むようにして言うのはA級嵐山隊に所属している木虎(きとら)(あい)だった。

 

 

『貴方の戦闘スタイルを見て後輩は震え上がってるんですよ。周りにもあまり影響を与えないような戦闘をしてください』

『そう言っても、ウラのアレは色々なストレスを発散させてるようなやつだからやめられないんじゃないかな。ね、ウラ』

 

 

コクコクと頷けば、木虎の目付きは更に釣り上がる。

 

 

『貴方、女性が苦手なんですよね。過去に何があったかなんて私は知りませんが、女性と話す時、人の後ろに隠れて話すのは話す側としては不愉快極まりないです。せめて、辻先輩のように出会う前にどこかへ行ってもらいたいですね』

 

 

フンと鼻を鳴らしてどこかへと歩いていく木虎。やっぱり苦手なタイプだと思ってしまったのは仕方の無いこと。因みに後日、とっきーこと時枝君がお詫びの品を持ってきてくれた。さすがフォローの達人である。

 

木虎との会話を思い出し俺は太刀川さんの誘ってくれたランク戦を断った。ぶっちゃけた話、太刀川さんには勝てないし喧嘩沙汰で減点を食らっていてポイントもごっそり持っていかれていたので丁重にお断りした。これ以上、ポイントを減らすとC級へと後戻りだ。それはいかん。カゲに怒られる。

 

尚、太刀川さんが俺のことをウラと呼ぶのは「小春花」と書いて「うららか」と読む確信が持てないかららしい。もう少しわかりやすい苗字にして欲しいとも言われた。太刀川さん、人の苗字にイチャもんは付けないで貰いたい。

 

 

「風間さん」

 

 

太刀川さんの後ろに立っていた風間さんに気づき、名を呼ぶと太刀川さんの肩が大きく上下した。多分、風間さんに追われていたのだろう。追われていた理由としては、大学の単位がやばいのかはたまたは、レポートを提出していないのか。両方なのかは分からない。

 

 

「お、おう…風間さんじゃねぇか……」

「久しいな太刀川。と言っても……先程ぶりだが?」

 

 

「いやぁー」と言って一歩、一歩後退していく太刀川さん。冷や汗が凄い。しかし、太刀川さんは風間さんから逃げることは出来なかった。何故なら、太刀川さんの後ろに人が居たからだ。因みに俺は素早く小型高性能の風間さんの後ろに隠れた。

 

 

「ちょっと、ちゃんと前向いてあるいてよ」

「うおっ!? 加古!」

 

 

ドンと加古さんにぶつかる太刀川さん。俺はそっと風間さんの後ろに隠れる。正直、俺を隠せるぐらいの身長を風間さんに分け与えたいのだが、無い物ねだりをしても意味が無い。それに、本人は身長のこと気にしてないって言ってたし。かっこいいな…。

 

加古さんを見て隠れた俺を見て嬉しそうに加古さんは笑う。「性格悪ぃ…」と太刀川さんが呟いていたが、ヒールの靴で足を踏まれていた。

 

きっとあーいうのがカゲにファントムばばあと言われる所以なのだろう。詳しいことは知らないけど。

 

 

「うふふ、慎太郎君、チャーハン食べたいとか思わない」

 

 

ずいっと顔を出てきた加古さんの顔を見て発狂しそうになるのは仕方の無いこと。戦闘の時は大丈夫なのだが、それ以外は無理。女は苦手、苦手なのだ。

 

もう、これでもかってくらい首を横に振っていると「そろそろもげそうだからやめろ」と風間さんに止められた。相変わらず面倒見いいなこの人。かっこいい、惚れる。

 

 

「加古もあまりいじめてやるな」

「でも会ったら恒例なのよこれ」

「ウラが女嫌いで良かったな。こんなのが恒例だったら命がいくつあってもたりゃしねぇぞ」

「あら。それはどういう意味かしら?」

 

 

問い詰められてる太刀川さんに阿弥陀仏。色々な意味でご愁傷さまである。

 

時刻はお昼。12時を回っている。それを腕時計で確認した加古さんは「お腹減ってない?」と聞いた。

 

 

「確かに…減ったな」

 

 

それほどまでにレポートやらなんやらをしたくないのだろう。できるだけ時間稼ぎをしたい様子の太刀川さん。冷や汗が凄い。

 

それを横目で見た風間さんは「ああ。確かに空いたな」と言った。まさか乗ってくるとは思わなかったらしい。太刀川さんが驚いている。

 

しかし、これを見ていると本当に太刀川さんはバカなんじゃないかと思ってしまう。いや、バカなのだろう。加古さんの前でそんなこと言ってしまったら…。

 

 

「なら私がチャーハンを作ってあげるわ!」

 

 

ピシリと太刀川さんが凍った。

 

 

「太刀川はすごく腹が減っているらしい。沢山食わせてやってくれ」

 

 

太刀川さんが砂となって消えて行ってしまいそうだ。

 

 

「慎太郎君は?」

 

 

俺は首を横に振って丁重にお断りさせて頂いた。まだ死にたくない。

 

 

「あらそう? 風間さんはどうする?」

「俺も頂こう」

 

 

風間さん、本当に凄い。勇敢すぎる。もう尊敬を通り越して憧れの域だ。生まれ変わるなら風間さんになりたい。

 

そして後日、風間さんにどんなチャーハンを食べたかと聞くと風間さんは「カツカレーチャーハン」を太刀川さんは「鮭マグロ麻婆チャーハン」を食べたらしい。

 

風間さんは美味しかったのでまた食べたいと言っていたが、太刀川さんは死んだという。しかし、数分経って叩き起しレポートをさせたと言っていたので風間さん鬼だなと思ったのは心にとめておく。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。