ーーー「炭治郎・禰豆子ヲ拘束、本部へ連レ帰ルベシ!!」
ーーー「炭治郎及ビ鬼ノ禰豆子、拘束シ本部ヘ連レ帰レ!!」
ーーー「炭治郎額ニ傷アリ、竹ヲ噛ンダ鬼禰豆子!!」
カアァ、カアァと鳴きながらバサバサと飛ぶカラス。
カラスが喋るなんて、もしかしてこれ夢かな?
ーーーじゃあ、お兄ちゃんが死んだのも、夢だったのかなあ?
そうだったら、いいのに。
「カアァァァァ!!追加伝令!追加伝令!異人ノ血が混ジッタ少女ヲ保護シ、タダチニ連レ帰レェ!!」
お姉さんとクソ男の視線が私に注がれる。
異人って、おそらく私のことだよね…。
「白銀ノ髪ニ、薄イ藍色ノ瞳ノ少女!!カアァ!!」
ーーー私は思わず、その場から逃げ出した。
早く、あの小屋に帰りたい。
あの小屋はお兄ちゃんの匂いと思い出でいっぱいだ。
早く、速く、疾く。
ーーー「まあ、どうして逃げるんです?可愛らしいお嬢さん」
* * * * * * *
「…お姉さん、どうして私は連れて来られたんですか?」
「わかりません。」
「お姉さん、どうしてカラスが喋ったんですか?」
「わかりません。」
「…お姉さん」
「なんですか、お嬢さん。」
ーーー私の周りには、変な人達がたくさんいる。
私はお姉さんの後ろに隠れてお姉さんに話しかけるが、全て素っ気なく返されてしまった。
「お姉さん。あの変な人達はなんですか?」
気になったので、お姉さんに尋ねてみる。
「あの人達は柱ですよ。柱というのは鬼殺隊の中で最も位の高い9名の剣士のことです。」
丁寧に質問に答えてくれる。
『きさつたい』って何だろう?
「へぇ、お姉さんも柱なんですか?」
「ええ、そうですよ。」
「強いんですか?」
「あなたよりはずっと強いですよ」
「若いのに大変ですね」
「あなたの方が若いでしょう?」
少しずつ会話が弾んできた。
でも、このお姉さんは優しいけど怖いから苦手かも。
そんなふうに何故連れて来られたのかも分からないままお姉さんと話していたら、あの優しいお兄さんが黒衣みたいな人に運ばれてきた。
改めて見ると、お兄さんはボロボロだった。
…お兄ちゃんとの戦いで、怪我したのかな。
お兄ちゃんの首を斬ろうとしたのは許せないけど、お兄ちゃんの首を斬ったのはこの人じゃないし、お兄ちゃんの着物を足蹴にしたクソ男にも反論してくれた。
お兄ちゃんが灰になる前、お兄ちゃんの背中に優しく手を当ててくれたし、泣き崩れた私を抱きしめてくれた。
ーーー酷く、やさしくて、そばにいる心地良さがお兄ちゃんに似ていた。
ーーーぐるぐると思考が絡まる。
お兄ちゃんを殺そうとした人。でも殺してない人。
お兄ちゃんを憐れんでくれた人。抱きしめてくれた人。
(…お兄ちゃん)
まだ拳の中に握っていた石と、羽織っているお兄ちゃんの着物をぎゅっときつく握りしめた。
「起きろ。」
「起きるんだ」
「起き…オイ。」
「オイコラ、やいてめぇ」
「やい!!」
優しいお兄さんに向かって、黒衣みたいな人が起きろと声をかける。
いささか言葉が乱暴な気もするけど、誰も気にした様子はない。
ーーー「いつまで寝てんださっさと起きねぇか!!」
バチッ、と目を開くお兄さん。
バッと顔を上げて状況を確認しようとするが、周りを見て唖然とした。
「柱の前だぞ!!」