死がふたりを分かつまで   作:ナイジェッル

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第21戦:賢者の導き

 サーヴァント、ベオウルフとマルタの召喚による一大戦力の投入。鹵獲対策として行われた戦乙女(ワルキューレ)の自害。そして巨人族の召喚。日に日に神霊ブリュンヒルデの対応が厳しいものになっていると実感せざるを得ない今、どれだけ早急に決着が為せるか否かが焦点となっている。元より後手に回っていては詰むのは明白な戦況。それはシグルドも理解できていた。

 

 「これ以上、神霊ブリュンヒルデに時間の猶予を与えることは得策ではない」

 

 洞窟拠点の最奥で行われた作戦会議。シグルドの発言に皆が頷いた。

 ジークフリート、戦乙女(ワルキューレ)の傷は癒えた。あの激戦から既に二日。状況は刻一刻と変化している。

 

 「我々の利点は相手の拠点を知り得ていること。そして神霊ブリュンヒルデがまだ自分達を補足しきれていないことに尽きる」

 「だが……見つかるのも時間の問題だな」

 

 ジークフリートの言う通り、これだけの大所帯となれば動きを察知されやすくもなる。幾ら原初のルーンで隠蔽しているとはいえ、神霊ブリュンヒルデもまた原初のルーン使い。いつまで誤魔化し切れるか分からない。

 

 「猶の事、残された時間は少ないと認識する。此方にアドバンテージが少しでも残されている状況で、尚且つ最大戦力で事に当たらなければならない。そして昨夜神霊ブリュンヒルデの城に偵察に向かったトイネンから報告があった……あの城が何かしらの戦闘で損壊していた痕があったと」

 

 シグルドの報告に皆が反応する。

 それもそうだ。あの鉄壁の城に異常があった。それは何かしらのイレギュラーに見舞われているに他ならないのだから。

 

 「詳しいことはまだ不明だが……少なからず、神霊ブリュンヒルデにとって喜ばしくない事態が起きていると推測される」

 

 尤もそれが何なのかは、シグルド自身は大方のことを知っている。いや、予想できていたというべきか。

 難攻不落の要塞が外部から突破された形跡がないのならば、内部から発生した歪みであることは間違いなく。

 二日前にシグルドのもとに現れたあの鳥から推察するに、恐らくその損害を出しているのは英霊ブリュンヒルデだろう。

 それでも敢えて詳細を省いたのはソレがあくまで予想であり確定要素ではないことと、スルーズ達に大きなショックを与えない為。

 

 「敵にとって不測の事態が起きているのであれば是非もない。この機を逃す術はないだろう」

 

 ジークフリートはシグルドの方針を肯定した。

 元より不利な状況下での戦いだ。守りに徹し、様子を見続けていても勝機はない。むしろ取り零すこともあり得る。

 

 「……しかしあの炎の壁をどう突破するつもりですか。アレは神霊の炎。北欧神由来のファイアーウォール。近づくだけでもその身を焼かれます」

 

 スルーズの言う通り、あの城を360°覆い被さるように展開されている炎の壁は生中な攻撃では突破できない。あの防壁を突破できないことには攻勢に転ずることも難しいだろう。

 

 「当方は生前、あの炎の壁を突破したことがある。対処の仕方も理解しているつもりだ」

 「皆が皆、貴方のように強くはありません。シグルドが突入に成功しても、他の戦力がそこで足止めを受けます」

 

 かつてシグルドは神々の盾を、大神の最期のルーンを破壊した経験がある。

 しかしそれはシグルドの能力があってこそ。ジークフリートならまだしも、ほかの戦乙女(ワルキューレ)に同じことをせよと言われても土台無理な話だ。

 一部箇所が破壊できて侵入できたとしてもそれは人一人分。炎の壁は速やかにその箇所を修復してしまうだろう。

 

 「ですから根本的にあの焔を断たねばなりません」

 「無論、理解している。そこで要となるのが……人間だ」

 「人間?」

 「量産型戦乙女(ワルキューレ)に襲われたあの街で出逢った兵士と魔術師を覚えているか? スルーズ」

 「……ええ。勇士足り得る資格を持った良き兵士。忘れるわけがない」

 「彼らにも協力要請を出している」

 「いったいいつの間に………それでも、それでもです。彼は優秀な兵士ですが、たかが人間の協力であの壁が無力化できるとでも?」

 「神に等しき貴殿らならばそう思うと信じていた。だからこそ、彼らはこの戦いの要になる」

 「それはいったい……」

 

 何を根拠にそれほどまで彼らを信じられる。

 神性もなく、英雄でもなく、それこそ量産型の戦乙女(ワルキューレ)にすら劣る人に。

 

 「分からねぇか、お嬢ちゃん。それが神の落とし穴だとそこの男は言ってるのさ」

 「「「!?」」」

 

 突如として割って入ってきた男の声。

 シグルドではない。ジークフリートでもない。

 ではこの声の主は誰だ。

 

 「「「侵入者か!!」」」

 

 スルーズ、オルトリンデ、ヒルドは光の槍(グングニル)を召喚し、声が聞こえた場所に立つ男に向ける。

 その男はフードを深くかぶり、顔を見せず、壁にもたれ掛っていた。

 いったいいつの間に。何時からそこにいた?

 

 「待て。その男は当方が招き入れた」

 「シグルド!?」

 「先日、この拠点まで辿り着いたはぐれサーヴァントのキャスターだ。事前に伝えるつもりだったが、せっかくだから驚かせたいという本人の要望ゆえ伏せていた」

 「そういうことだ。だからあんまりシグルドを怒ってくれるなよ、姉ちゃん方」

 

 キャスターはカラカラと笑う。

 それでも戦乙女(ワルキューレ)は笑えるはずもなかった。

 気付かなかった。気付かなかったんだぞ。今ならば知覚できる。この男も勇士だ。

 問題なのは、勇士がこれほど近くにいて戦乙女(ワルキューレ)が一切気付くことができなかった事実。

 それに気になることは他にもある。

 

 「貴方から感じる神性は……」

 「おうよ。原初のルーンこそ使うが……北欧のじゃねぇよ、俺は。ケルト由来だからな」

 「………合点が行きました。ここまでのルーン使いであり、ケルトの神性を持つ勇士となれば一人しかいない。光神ルーの子、アイルランドの光の御子―――クー・フーリン」

 

 原初のルーンとは大神オーディンが編み出した真理。それを扱えるのは直属の娘である戦乙女(ワルキューレ)、英雄シグルド、そして女神スカディとその影であり同一存在として知られるケルト神話のスカサハ。その弟子も原初のルーンを受け継いだと聞く。それが噂に名高いケルト神話最強の英雄。

 

 「ちなみに言うと、さっきから黙ってるそこのセイバーは気付いていたぞ。気付いた上で俺の悪ふざけを無視しやがった。見た目のわりに冗談が通じるみたいで安心したぜ」

 「ジークフリート!? 貴方、分かってて黙ってたのですか!?」

 「敵意がなく、そもシグルド殿も気付いていた……それらを加味すれば味方であるのは分かっていた。だからこそ自ら名乗り出るまで見て見ぬふりをしていただけなのだが……すまない」

 「なんて不甲斐ない……気づかなかったのは私達だけ……!」

 

 悔しさ以上に情けなさが先に来る。

 してやったりと微笑むクー・フーリンだが、改めて彼はシグルドと目を合わせた。

 

 「はぐれサーヴァントだった俺を潔く招き入れてくれたシグルドには感謝している。本職のランサーではないが、それなりの働きはするぜ。その為に俺はこの世界に呼ばれたんだろうからな」

 「………」

 「どうしたシグルド。俺の顔になるかついてるか?」

 「……いや、言動を控えよう。今はその力、ありがたく使わせてもらう」

 「おう、存分に使ってくれや」

 

 ここにきて戦力の増強は確かに頼もしい。既にここの霊脈はジークフリートを一体召喚したことにより力が弱まっていた。新しいサーヴァントを呼ぼうにも出力不足。こうしてはぐれサーヴァントを味方に加えられた僥倖に感謝しなければならない。

 ショックから立ち直ったスルーズは頭を押さえながらそう自分に言い聞かせる。

 

 「……それで、作戦は? 時間はもう掛けられないのでしょう?」

 

 スルーズの言葉にシグルドは頷く。

 

 「今から、神霊狩りの作戦を述べる。決行は―――夜明けと共に」

 

 

 …………

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

 

 

 

 

 ――これは会議が始まる2時間前の話――

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………何者だ」

 

 拠点前にて門番の役割を担っていたシグルドはすらりと短剣を抜き放った。

 フルフェイスに可変した叡智の結晶越しに映されている彼の視界には誰も見えていない。

 目の前には広大な森林、背後には拠点に通ずる岩壁。

 人の影どころか、隠蔽のルーンにより隠されたこの一帯に人が近寄れるわけもない。

 それでもシグルドの直感が告げている。

 この領域に誰かが侵入している。そして己を観察しているのだと。

 誰だ。どこから。それとも気のせいだとでも?

 度重なる難敵との会敵により神経が敏感になったとでもいうのか。

 否、否である。そのような不備は我が肉体に起こり得る可能性は少ない。自動攻撃及び自動防御を司る我が身は確かな違和感を感じている。

 魔力感知のルーンに何かが引っ掛かっているわけではないが、それでもこの言い知れぬ気持ち悪さは確かに存在する。

 

 「すぅぅ……ふー………」

 

 シグルドは大きく息を吸い、集中する。

 叡智の結晶を第一段階から第二段階まで移行し、フルフェイスからマルタと戦ったあの姿に戻る。臨戦態勢とも言えるが、我が本能が囁く。今すぐ手を打てと。

 静かだ。どこまでもここは静かな拠点。神霊ブリュンヒルデの目を欺き続ける要たるアジト。動物の吐息も聞こえぬ無音の世界。あるとしたら、この絶壁を掘り進めた拠点の奥で休養を取っている者達の息遣い。それ以外の音は―――あっていいはずがない。

 

 「識別確認」

 

 如何な達人と言えど、気配を殺すことはできても存在自体を無にできるわけではない。

 何も違和感を覚えない者であれば終始気付かないままであるが、シグルドはその違和感に気付いた。

 息を殺すことも。音を殺すことも。魔力を殺すことも。

 どれだけ隠蔽が得意だとしても限度と言うものが存在するのだから。

 

 シグルドは林間目掛けて短剣を一本、投擲する。

 適当に投げたにしてはあまりにも淀みなく、迷いなく、真っ直ぐ飛ばされたそれは樹木の一本に突き刺さる。

 これは警告である。場所は特定したという最初にして最後通告。

 

 「次はない。初弾は加減したが……二撃目はその樹木を貫通し、貴殿の肉体に風穴を開ける」

 

 事実、シグルドの膂力であれば短剣が樹木に突き刺さって終わるなどあり得ない。

 二撃目こそ樹木を薙ぎ倒し、此方を監視するアンノウンを討ち取るだろう。

 だが敵意がないのもまた事実。その正体を見極めなければ、初見必殺は宜しくない。

 

 「そう殺気立つなと言いたいところだが、成程。殺意は収めている。ただどうしようもない苛立ちは隠し切れていないな。お前らしくもない」

 

 短剣が投擲された樹木近くの林間から、男は現れた。

 フードを深くかぶり、蒼の外套を羽織るその存在は人の気配に非ず。

 なんらかの術を行使している為か、その魔力をうまく探ることはできない。

 だが、間違いなくその者はサーヴァント。シグルドの叡智はその男の構成物質がエーテル体であると看破する。

 

 「(当方を知っている……?)」

 

 男は口にした。お前らしくない(・・・・・・・)と。

 それはシグルドを生前から知るものでしか口にできない言葉だ。

 それでもシグルドは彼を知らない。あのような装束を身に纏う知古はいなかった。

 というより、生前のシグルドは人間と接したことはそう多くなく、仮にもサーヴァントとして召喚された者であるならば、その強烈な存在感を忘れるわけもない。

 では誰だ。目の前の男は、いったい。それに男から感じられる微かな神性は異国のもの。シグルドとの共通点はますます遠ざかる。

 

 「……改めて問う。貴殿は、何者だ」

 

 シグルドは無意識にグラムを召喚し、その柄を握ろうとしていた。

 本当にらしくない。今まで、初対面の相手に対して魔剣グラムをいきなり抜こうなどということはなかった。

 

 「お前の血が一番知っているのではないのか? シグムンドの子よ」

 

 フードを脱ぎ、その容貌を露わにする男。

 紅い眼。蒼い髪。獣の如き獰猛さと全てを知る賢者が同居したかのような佇まい。

 何故だ。この男、見たことはないが、確かに知っている。

 己は、この存在と直接会ったことはないが、確かに縁が結ばれているのだと感じられる。

 まさか。先ほどの何者かである問いに答えた己の血というヒント。考えにくいが、この者は―――。

 

 「……貴殿……否、御身は……まさか」

 「正体は明かしはしたが……その名で呼んでくれるなよ。今はしがないのケルトのキャスター。かの勇士の肉体に仮住まいさせてもらっている身なのでな」

 

 ケルトのキャスター。その肉体に仮住まい。

 もはや確定的となった。

 

 「如何にこの世界が特異点から逸脱し始めているとはいえ、御身(大神)の介入はあるとしてもまだ先の段階のはず。戯れにしては些か度が過ぎている」

 「戯れで来るものかよ。俺……いや、(・・・・)は世界に呼ばれた。そして私もそれを受け入れた。ただそれだけのこと」

 「大神の目的があってこの世界に現れたわけではないと?」

 「ああ、約束しよう。今はこの世界に呼ばれた一介のはぐれサーヴァントとして動くのみ。お前なら分かるだろう? この身に流れる神性は正しくケルトのものなのだから」

 

 確かに、シグルドが彼から認識できる神性はケルトのもの。

 オーディンの神秘は―――今のところ、感じられない。隠していることも考えられるが。

 

 「………その肉体の持ち主もかなりの(つわもの)とお見受けする。本来の人格はどうされた」

 「この優れた器の名はケルト神話最大の英雄クーフーリン。人格からも協力を得ているが、『今回はアンタの好きにやってくれ。他神話のゴタゴタに付き合うのは面倒だ』と不貞寝している」

 「クー・フーリン……依り代としてはこれ以上にない勇士を選ばれた。それに最高神と肉体を同居していてその胆力。見事」

 「そうだろう? 文句なしの勇士だ。協力の褒美にヴァルハラに送ろうと思ってたが……」

 「ケルトの光神との抗争になりかねないと?」

 「うむ。スルーズらにも他の神性持ちはヴァルハラに送るなと託けている手前、私が率先して破るわけにもいかん」

 

 そう、例え魅力的な勇士であっても北欧外の神性持ちは原則としてスカウトを行っていない。

 それは即ち他神話の神に対して勝手に所有物をひっこ抜くが如き行い。

 神と神の因縁は不毛。同郷の神同士でさえそうなのだから、他神話になると更に厄介だ。

 

 「妹御らには?」

 「内密に頼む。アレに余計な影響を与えたくはない」

 

 大神オーディンの顕現で狼狽するスルーズが目に浮かぶ。

 

 「私も多くの世界を渡ってはいるが、このような世界もあるのだから世界は面白い。凡そ、ブリュンヒルデに埋め込んだ巨神(セファール)の欠片が暴走……いや、自己進化を果たしたか?」

 「巨神(セファール)……神々の叡智にもその存在は記録されている。異星から来たりし先兵。文明を破壊し、神々の元型を悉く滅ぼした光の巨人。それは原初の巨人ユーミルと後世に伝えられ、かの巨人王スルトもソレから派生したものだと」

 「そうだ。アレは、その巨神の神秘を内包している」

 「御身は何故その力を使いワルキューレを生み出した」

 「なに、ただの興味本位。使えるから使った。ただそれだけのことだ」

 

 クーフーリンの肉体を借りている大神は陽気に笑う。

 これが、魔術神の行動原理か。

 かつて自らを滅ぼさんとした敵でさえ、知識欲が勝り、利用する。

 この叡智でもってしても、目の前の神の底が見えない。

 

 「ともあれ、アレの暴走は私の責任でもある。こうして世界によって召喚もされた。かつての極東の都市ではこの肉体の主がよく働いてくれたのだから、今回は私が導き手となろう」

 「………」

 「その眼は信用していないな、シグルド。我が末裔でありながら源流を訝しがるのは宜しくないぞ」

 「当方は神の愛を信ずる者。なんであれ、星の触覚足り得る神は星の意思と言っていい。だからこそ大地には神々の愛が育まれていると考える……が、大神自らが手を貸す? 神は、人を愛でたとしても直接は助けないものだと当方は認識している」

 「頭の固い奴め。お前は確かに私の最高傑作……優れた一族から、選りすぐりの血脈と祝福を以って生まれた存在だが、如何せん性格がシグムンド譲りすぎる」

 

 信奉はしているが信用はしていない。

 少なくとも全幅の妄信的な喜びは見られない。

 それがシグルドの目の前のキャスターに対する評価。

 それでも彼の力は絶大だ。力が制限されているとしてもその叡智は無視できるものではない。

 

 「勿論、私とてただ働きする気はない。私が生み出した最高傑作のお前たちの行く末を千里の瞳ではなく、直接鑑賞させてもらうのだから」

 「協力するのはその対価とでも?」

 「そう思ってくれても構わん。鑑賞料は高くしておこう。なにせ、力を落としているとはいえ魔術の神がお前達の味方をするのだ。本来ならばお釣りがくるレベルのはずだろう」

 

 猫の手も借りたい現状、この提案は確かに破格。

 

 「………有難く、御身の力をお借りする」

 「任せたまえ」

 「ただ、御身に問いたいことが一つある」

 「なんだ?」

 「神にとってこの世界は理想ではないのか。むしろ、手を貸すのであれば彼方につくのが自然。なのに何故、神の長が此方に?」

 

 正しき北欧の神代(テクスチャ)は終わりを告げた。

 スルトによって世界は焼かれ、生き残った人類が未来を担った。

 この世界は違う。神があり、真エーテルが残り、終焉を乗り越えている。

 神にとってこの世界は都合がいい。上手く利用すれば正史にとって代われるものにもなる。

 そのチャンスを前にして、大神は後押しするどころか不出来と断じ、処罰しようとしている。

 その胸の内を聞かないことには、シグルドのオーディンに対する認識にもまた懸念が残る。

 

 「知れたことよ」

 

 男は神霊ブリュンヒルデが城を構える方向を見据えて、こう宣った。

 

 「あのようなヴァルハラは認められぬ」

 

 神が人間を自ら管理し、生殖させ、その中でも出来の良い個体を重宝する神霊ブリュンヒルデが打ち出した新たな楽園(ヴァルハラ)

 

 「ヒトは過酷な環境に置いてこそ命の輝きを発露させる。生温い環境下で増やしたところでなんになる? あのまま行けば今は良くともいずれ袋小路に突き当たる」

 

 人間は闘争があってなんぼの生き物だ。

 戦争を果てることなく繰り返し、その中でも一際輝く黄金の魂。

 それこそが真の勇士足り得る。

 

 「まぁ、完結に言うとな―――気に入らないだけだ。我が娘のやり方が、な」

 

 どこまでも、その男は超常の存在である。

 かつての神霊と巨人の娘であるスカディはオーディンをこう評した。

 『あの男は良い男ではあるが、人間の弱さをまるで気にする素振りも見せぬ』と。

 大神は人の弱さを許容しているのではない。人の弱さを無価値と断じているに過ぎないのだ。

 だからこそ、ただ品質を求めるだけの神霊ブリュンヒルデのやり方が気に食わない。あのようなやり方は大神の意志に反する。

 ただ、二柱の似ているところがあるとすれば、それは―――どちらも、人間そのものの視点から立たず、神の視点から物事を考えているところだろう。

 

 尤もそれが、神が神たらんとする証明なのかもしれない。

 




 キャスニキ=オーディン説が根強くなってきている昨今。
 果たしてこのネタを積極的に使うべきか使わないべきか悩みに悩みました。
 バレンタインのキャスニキ、紫式部のイベント、絆礼装(ユグドラシル)
 そしてFGOマテリアルでのシグルド→キャスニキへのコメント……。
 疑いは深まるばかりですが、如何せん公式からのハッキリした動きがない。
 それにキャスニキもキャスニキで

 ・オーディンがキャスニキの演技をしている状態
 ・オーディンの力を借りてる状態で主導権はキャスニキ状態
 ・オーディンとキャスニキが混ざっている状態
 ・各々共有して使い分けている状態

 と、キャスニキ=オーディン説にも諸説あるので難しい。
 今回は一応オーディンとキャスニキが一つの肉体で使い分けてる説を採用。
 例えるならライネス/司馬懿の関係性で行こうかと思います。
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