〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
前回、新たなジャドウに襲撃された青空 翔とDollsだったが、撃退に成功した。しかし、その後…翔は吐き気を訴えるようになってしまった。
巡回を終え、ドールハウスへ戻った翔とDolls。だが、翔は調子が悪そうで……
では、本編へどうぞ
Nを撃退した翔は、Dollsと共に、ドールハウスに戻って来たのだが……戻っている途中、嘔吐してしまうことが何度かあった。
斑目「池袋の巡回、及びモノリス1基の破壊、ご苦労だった。EsGの分析により、池袋の汚染値が8%軽減されたことが確認できた。」
今回の巡回で、汚染値を下げることができたようだ。
斑目「初日にしては、十分な戦果だ。今後も引き続き、池袋を中心に巡回を行ってくれ。」
今後は、池袋の巡回がメインになりそうである。だが、任務はそれだけではない。
カナ「もちろん、アイドル活動もこれまで通り…いいえ、これまで以上に頑張ってもらいます!」
アイドル活動も、重大な任務だ。
カナ「どんどん忙しくなりますから、休息は取れるときにしっかりと取ってくださいね。」
もちろん、休憩も重要な任務に含まれている。
レイナ「体調管理はアイドルの基本。寮での生活指導は、任せてちょうだい!」
シオリ「そうですね。引き締めていきましょうね!」
レイナとシオリの言葉に、
ヤマダ「うええ……」
ヤマダは気分が悪そうな感じのリアクションを見せた。
レイナ「…では、今日は解散ね。ゆっくり、美しく休みましょう。」
そして、メンバー達は解散していった。寮に戻る前、翔に声をかけてみたメンバー達だが、「大丈夫だ。」と反応があった。
帰りの打ち合わせにも、翔は参加していた。終了後、翔は斑目とカナ、愛に尋ねる。
翔「なぁ。」
斑目「どうした、青空?」
翔「前から、気になっていたんだが……斑目さんや南田さん、片山さんが言う『EsG』って…いったい、何なんだ…?」
EsGについて気になっていたのは、翔だけではなく……
サクラ「わ、私も、それ、気になってました。」
サクラもだった。
斑目「……。」
斑目は少し黙り込んだが、EsGについて説明を始める。
斑目「我々の言うEsGとは、ドールハウスの基幹システムの通称だ。EsGは高度な演算機能を持ち、あらゆる計測を行うドールハウスの切り札。」
翔&サクラ「「……。」」
斑目の説明に、黙って耳を傾ける翔とサクラ。
カナ「ピグマリオンやモノリスの感知、ギア適合者の選出や、ドールの能力分析。ファクトリーの保守・運営にも、EsGは利用されています。つまり、ドールハウスで行っているあらゆる活動を統括、管理するシステムです。」
斑目とカナの説明に、
サクラ「す、すごい…そうだったんですね……」
サクラは感心するが…
翔「……。」
翔は険しげな顔を浮かべていた。
斑目「聞きたいことは以上か?」
翔「あぁ、一先ずは、な?……ありがとう。」
翔はそう言って、事務所を出ようとしたが……
翔「っ!?」
突然の吐き気に襲われ、嘔吐してしまった。幸い、エチケット袋を持っていたため、床に吐き散らすことは無かった。
斑目「青空、大丈夫か?」
斑目は翔の側に寄り、彼の背中を擦る。
翔「ゴホッ……最悪だ……」
サクラ「…翔さん…」
サクラは翔を心配する。
斑目「ゆっくり休め。…最近、顔色が悪いぞ。」
斑目は心配そうに、翔の顔を覗きこむ。
翔「コホッ…平気だ。」
翔はそう言うが、顔色が悪い。
カナ「無理はしないでくださいね、翔君。」
カナも、翔を心配し、彼の顔を覗きこむ。
翔「……。」
翔はフラリと立ち上がると、重い足取りで事務所を出た。
翔「…っ、くっそぉ……」
翔はフラつきながら、自室に戻っていた。道中……
あから「隊長殿!?」
元ストライカーの1人、あからに会った。
翔「…?…おぉ、あから…」
あから「具合、悪いのかい?」
翔「…大丈夫だ。」
翔はそう言うも……
あから「大丈夫そうには見えないよ?顔色も悪いし…」
あからは余計に心配してしまう。
翔「…そんなに顔色悪いのか、俺……?」
翔の言葉に、あからは手鏡を翔に向ける。そこに映っていたのは……
翔「……コイツは、ヒデェな……」
青白い顔をし、両目の下にはクマができており……髪の毛もボサボサになった自分の姿だった。
あから「隊長殿……」
翔「…悪い…少し休むことにする……」
あから「ボクも付き添うよ、自室までかい?」
翔「…あぁ。」
翔はあからに付き添ってもらい、自室に戻った。自室に戻った後、翔はすぐにベッドに入り、死んだように眠った。
翔「……?」パチッ…
ふと、翔は目を開く。そんな彼の目に飛び込んできたのは……
地面には花々が咲き誇り、上を見上げると……青空、夕暮れ空……更には、星空が広がっており、天空には断崖が見られ、そこから滝が流れ落ちており……美しく、幻想的な世界だ。
翔「またか……何なんだよ、ここ……」
翔は美しく、不思議な世界を見渡す。
翔(あの声は聞こえねぇな……ただ……匂いが、する。
甘い…花の、香りが……)
その時……
???『待っていたわ。』
どこからか、“あの声”が聞こえてきた。
翔「っ!?」
翔(この声…!)
???『……花は咲いた。お茶も入った。準備は万端。』
翔「誰だ!?姿を現せ!!」
翔が声をあげた次の瞬間……
翔「っ!!?」
翔の目の前に、眩い光が現れたが……やがて、光は消えていく。
翔「…?……っ!!?」
光が消えた時、翔の目の前には……
灰色の長髪に、黒い飾りを身に付け、純白のドレスにマゼンダ色の瞳が特徴の女性の姿があった。
???「…ようこそ、諦観の花園へ。」
その女性は、翔に微笑む。
翔「……。」
翔(これは……夢じゃ…ねぇ、のか…?)
翔が戸惑っていると…
???「はじめまして。英雄・『青空 翔』。」
女性は翔に挨拶し、
???「一緒に、お話しましょう?」
話しかけてきた。
翔「……。」
???「さて……何からお話をします?」
女性は積極的に、翔に話しかける。
翔「……。」
???「アナタの好きなものの話?それとも、アナタの嫌いなものの話?」
翔「……。」
???「どうせなら、好きなものの話がいいかしら!」
彼女言葉に反応を示さず、未だに戸惑っている翔は、彼女を警戒し、黙っていた。
???「お茶菓子はいかがです?…甘いものはお好きです?ええと、それから」
翔「…待てよ。」
そして、漸く口を開いた翔。
???「はい、なんでしょう?」
翔「ここはどこだ……誰だてめぇは…?」
翔は眉を寄せ、女性を警戒しながら問い詰める。
???「あら!…ごめんなさい。」
彼女は翔に謝罪する。
???「すっかり舞い上がってしまってでも恥ずかしい、恥ずかしいわ。」
翔「質問に答えろ。ここはどこだ?……誰だてめぇは?」
翔は警戒心を解かず、女性に問い詰める。
???「ここはーー『果ての庭園』。決して侵せぬ楽園であり…そして、アナタがいつかたどり着く場所…私はその管理をしている者です。」
女性は翔に説明する。
翔「果ての庭園……お前は…ここの管理者だと?訳が分からん……」
女性の説明に、困惑してしまう翔。
翔「…まぁ、これも夢なんだろうけど……」
翔は若干やさぐれ気味に言う。
???「厳密には異なるけれども…本質的には『夢』と同じといえるかしら。」
翔「…何?」
???「初めてですもの。分からなくても、仕方ないわ。」
女性は翔に微笑んだ。
???「…あ、そうでした!」
そして、何かを思い出した。
翔「…何だよ?」
???「最初にする質問を決めていたの。」
翔「……?」
翔(一体、何を聞かれるんだ…?)
ますます警戒心を強める翔。
???「1360万。これが何の数字かわかりますか?」
翔「……分かるかよ、何の数字だ?」
翔は女性に尋ねる。
???「東京の総人口。私が管理する--全ての命。」
翔「…東京の人口だと?……貴様、何のつもりだ…?」
翔は眉を寄せ、女性に問い詰める。
???「そこで1つ、質問なのです。アナタは、この数字を背負う覚悟がありますか?」
女性は翔に尋ねる。
翔「……。」
翔は何も答えられず、黙ってしまう。
翔「……俺は……」
その時、急に視界が真っ暗になった。
翔「っ!?」
???「…あら、ここまでみたい。いいところだったのですが…まあ、いいですわ。」
翔「良いわけねぇだろ!?おい!!」
???「そうカッカしないで。また、すぐにお会いしましょう。庭園は常に、アナタを歓迎いたします。」
翔「はぁ…!?」
???「では、ごきげんよう。英雄・『青空 翔』。」
翔「待て!お前は一体……」
翔「誰なんだ!?」ガバッ!
チュンチュン……チュクチュク……
翔「……あ、あれ?」
気が付くと、翔は自分の部屋のベッドにいた。
翔「また、あの夢……いや、これは夢……なのか……?」
軽く混乱していると、
翔「ぐっ……!?」ズキッ…
頭部に痛みが走った。
翔「頭が、痛い……それに……身体も、重い……」
更に、全身のダルさにも襲われた。
翔「…くっそぉ……」
その時、
PPP--
通信機が鳴った。
カナ『おはようございます、翔君。』
相手は、カナだった。
カナ『バイタルデータが乱れています。…何か問題がありましたか?』
翔「……。」
カナ『昨日も、具合が悪そうでしたし……大丈夫ですか、翔君?』
翔「……平気だよ。」
翔はため息をつきながら、ダルそうに言う。
カナ『問題ないなら、いいのですが……』
翔「だから平気だって…」
カナ『あ、はい、ごめんなさい……では、気を取り直して、本日の任務をお伝えしますね。』
翔「……。」
カナ『本日はアイドル活動の予定はありません。池袋の巡回業務を優先してください。』
翔「引き続き、池袋だな?…わーったよ。」
カナ『ドールのみんなは好調のようですが…くれぐれも無理はさせないようにしてください。』
翔「…できる限り、無理はさせねぇようにする。」
カナ『はい。では、今日もお気をつけて……
行ってらっしゃい、翔君♪』
カナがそう言うと、通信は切れた。
翔「……。」
翔は重い身体を、ベッドから降ろすと……身だしなみを整え、服を着替えた。
翔「…さぁて……行くか…」
翔は調子が優れないまま、任務へと向かって行った。
いかがでしたか?今回はここまでです。
昨日から体調不良を訴え、嘔吐をしてしまった青空 翔。眠りについた時……気が付くと、『果ての庭園』と呼ばれる不思議な世界にいて、そこで不思議な雰囲気の女性と出会った。しかし、彼女の名前は分からないまま、目覚めることとなった。
眠りから覚めても、調子は優れず、翔は任務へと向かうことにしたのであった。
次回も、お楽しみに。
では、まったね~ぃ