〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
前回、ゴーレムや妖魔と共に襲撃してきた裏切り者のストライカーと白河 昇。戦闘中、翔は昇に撃たれ、負傷してしまった。
ドールハウスへと撤退した翔を守るため、Dollsとイクサに変身した愛は、再び戦いを繰り広げることになる。
戦闘終了後、謎の声の主が、遂に……その姿を現す。
謎の声の主が姿を消した後、負傷した翔は手当てをうけるが……
では、本編へどうぞ
大乱闘を終え、ゴーレムも妖魔も全滅し、ストライカーも白河 昇も戦闘不能になった。
レイナ「ひとまず、見えている敵は倒しきったかしら…」
レイナは辺りを見ながら言う。
ナナミ「はぁっ……はぁっ……はぁっ……!」
ナナミは激しい戦闘による疲れからか、呼吸が荒い。
ユキ「ナナミさん、もう限界です…」
ユキはナナミを心配するも…
ナナミ「だだだ誰が限界ですか!」
ナナミは強がってしまう。
ナナミ「私は1番若いですからね。持久力には自信が、ゲホッ!ゲホッ!」
レイナ「もう…!こんなときに、強がりなんて…」
すると、
「ほら。」
誰かがナナミにスポーツドリンクを渡した。
ナナミ「い、要りません!」
ナナミはこれを拒むが、
「良いから飲め!」
ナナミ「っ!!」
その声に聞き覚えがあり、振り向くと……
ナナミ「しょ…翔、さん…?」
そこには、スポーツドリンクを持った翔がいた。
ナナミ「しょ、翔さん!…ご、ごめんなさい…!私…」
翔「気にするなよ、ほら。」
翔はナナミにスポーツドリンクを渡す。
ナナミ「あ、ありがとうございます…」
ナナミはスポーツドリンクを受け取り、飲み始めた。
イクサ「翔君、休んでなくていいの!?」
イクサに変身した愛は翔の近くに寄る。
翔「…休んでられるかよ。」
イクサ「…え?」
翔「緊急事態なんだろ?そんな状況の中じゃあ、安心して休めねぇよ。」
翔はそう言うと、立ち上がるが…
翔「っ!」ズキッ!
手当てされた右肩をおさえる。
ユキ「翔さん、ケガが…」
レイナ「翔君…!」
ユキもレイナも翔の近くに寄る。
PPP--
カナ『翔君!第1陣は撃破しました。1度、事務所に戻って--』
しかし、
カナ『っ!!』
翔「第1陣ってことは、まだファイナルラウンドじゃあねぇだろ…?」
まだ、戦いは終わっていなかった。
カナ『さらにゴーレム出現!場所は皆さんの目の前です!』
再び、メンバー達の前にゴーレムが現れたと、カナは告げる。
サクラ「め、目の前!?」
シオリ「それってどういう」
その時……
ズドドドドド、ゴゴゴゴッ!
メンバー達の前に、ゴーレム達が姿を現した。
翔「やっぱりか……」
アヤ「なにこれ…コイツらどうなってんの!?」
ミサキ「目の前の瓦礫が……ゴーレムになった……?」
何と、そのゴーレムは瓦礫が集まって生まれたモノだった。
ヤマダ「ヒャーッハッハ!何すかコレ!?マジっすか!?」
ヤマダは楽しんでいる様子。
ミサキ「瓦礫だろうが何だろうが…!動かなくなるまで、壊し続けるのみ!愛さん、早く命令を!」
ミサキは愛に指示を出すように頼む。
イクサ「うん!皆、あともうひと踏ん張りだよ!それと、翔君を守ろう!」
イクサに変身した愛が指示を出すと、メンバー達は「了解!」と言い、戦闘体勢に入る。
イクサ「こうなったら、奥の手を使っちゃうよ!皆、翔君の近くを離れないでね!」
イクサはパワードフエッスルを読み取り、
《パ・ワ・ー・ド・イ・ク・サ・ー》
パワードイクサー『ブォォオオオン!』
パワードイクサーを呼び、そこに乗り込む。
イクサ「いっくよー!」
イクサはパワードイクサーを操縦し、パワードアームを回転させ、次々とゴーレムを粉砕して行く。パワードイクサーから逃れたゴーレムは、ドールハウスの方に向かうが、これをDollsが撃破した。
昇「っ!?……何なんだ、あの重機……!」
昇は僅かな力を振り絞り、パワードイクサーを目の当たりにし、言葉を失った。そこに……
シャルロッテ「何をしてるデス!」
ストライカーチーム『アマンド・フォーマルハウト』と陽奈と小織が姿を現す。
昇「アマンドの皆……て、撤退するぞ…!」
フェイ「何でよ!?たいちょーはあそこに居るんでしょ!?」
昇「よく考えろ…!…あんな重機に敵う訳が無い!」
昇はそう言うも…
シャルロッテ「行けっ!」
シャルロッテは昇の話に耳を傾けず、指揮棒を振るい、爆撃機を呼んだ。
翔「おい!爆撃機が来るぞ!!」
翔はイクサに声をかけた。
イクサ「ありがとう、翔君!!くらえぇっ!!」
イクサはパワードアームで爆撃機を捕らえ、
イクサ「それっ!!」
昇達目掛けて投げ飛ばした。
ドッガァァアアアアアアンッ!
アマンド「「「「わぁぁああああああああ!!」」」」
昇「ぐわあああああぁぁぁぁぁ!!」
アマンド・フォーマルハウトと昇は爆風に吹っ飛ばされた。
シャルロッテ「っ!!」
昇「だから言っただろう…あんな重機には敵わないって…!!」
ノエル「で、ですが!」
昇「良いから撤退だ!トルテの皆を救助しろ!!早く!!」
昇が怒鳴り立てると、アマンドの4人は戦闘不能になったアルタイル・トルテを救助し、撤退していった。昇は陽奈と小織に連れられ、撤退した。
その頃、ドールハウス前では……
アヤ「な、なんとか…だけど…ぜんぶ…倒した…?もう、流石に動いてこないわよね…?」
ひとまず……戦闘を終え、ドールハウスと翔の防衛に成功した。
ヤマダ「ふひひひひ…いやー相当手応えある防衛戦でしたなぁ…」
ヒヨ「はぁ…はぁ……ひ、ヒヨ…怖かったけど、がんばったよ!」
シオリ「ヒヨちゃん、勇敢な戦いぶりでしたよ。本物のヒーローみたいでした。」
ヒヨ「ほえっ!?ホント?ホントー!?」
メンバー達は戦闘を終え、ホッとしていた。
翔「本当に終わったのか…?」
しかし、翔は未だに警戒している。その時……
???『さすがにもう打ち止めさ。』
謎の声が響いた。そして……メンバー達の目の前に、短い白髪とマゼンダ色の瞳が特徴の、謎の少女が姿を現した。
???「いや、素晴らしいね。」
謎の少女は微笑む。
ユキ「……!」
サクラ「あなたは……」
サクラはその少女に問う。
???「ボクの自信作だったんだけど、こうもアッサリと切り崩されるとはね。」
しかし、少女はその質問に答えることなく、話続ける。
ミサキ「貴女……何者?自信作っていうのは」
サクラ「もしかしてゴーレムのこと、ですか…?」
ミサキとサクラの言葉に、
???「キミたちはアレのことをゴーレムと呼ぶんだね。…うん、いいね。ボクもそう呼ぶとしよう。」
少女は自分の人形を『ゴーレム』と呼ぶことにした。
翔「おい…てめぇがこのゴーレムの主人なんだな?」
翔は少女に敵意を向けながら問い詰める。
???「あぁ。キミたちの想像通り、ボクはこのゴーレムたちのマスターさ。」
この少女こそ、ゴーレムの主人であった。
アヤ「アンタは…何者なの?」
アヤが少女に問い詰めると、
デウス「お初にお目にかかる。ボクの名は『デウス』と言うんだ。」
少女は自己紹介をした。
翔「……。」
翔(デウス……コイツのせいで、街は大パニックになったんだ…!)
翔は眉を寄せる。
レイナ「…教えてくれないかしら?どうして、こんなことをするの?」
レイナはデウスに、ゴーレムを襲撃させた理由を問い詰める。
デウス「なに…ただの挨拶さ。まがい物同士…楽しんでくれたかな?」
デウスは『挨拶』と解釈し、ニヤッと笑う。
ユキ「まがい物……」
デウス「キミたちはまがい物だろ?」
デウスは無表情になる。
デウス「止まった心臓に奇跡を刺して動いてる…その生き様は“醜悪”の一言に尽きる。命の在り方として絶望的に終わっている。」
ユキ「私たちが……醜い……?」
その時、
翔「コイツら(Dolls)が醜い?……さっきから言ってくれるじゃねぇか。」
翔が前に出てきた。
デウス「フフフ……キミが…まがい物たちのマスターかな?」
デウスは翔の方に振り向く。
翔「違う。あくまでも俺は、ここで保護されてる身だ。それに…Dollsはまがい物じゃねぇ!」
翔がそう言うと、
デウス「そう『思い込む』なら、そう『思い込む』といい。あらゆる“妄信”に敬意を払うのがボクの役割だ。」
と、デウスは言う。
デウス「さて、マスター」
翔「俺はマスターじゃねぇ、何回も言わせんなよ?」
翔は低くドスの効いた声でデウスに言う。
デウス「…なら、何て呼べばいいんだい?」汗
さすがのデウスでも、翔のこの声にビビったようだ。
翔「俺は『青空 翔』だ。」
デウス「そ、そうかい。なら、翔と呼ばせてもらうよ?」
デウスはそう言うと、軽く咳払いした。
デウス「さて、翔。挨拶ついでに手土産があるんだ。」
デウスはそう言うと、左手から怪しい光を出し、そこから1つの鍵を出した。
翔「これ……」
サクラ「黒い鍵……?」
デウス「その鍵があれば、あの汚物の塔の上階へ至れるはずだ。」
レイナ「汚物の塔……もしかして、アタラクシアの…?」
レイナがそう言うと、
デウス「塔の奥にある閉ざされた扉。そこを開けるための鍵だ。」
と、デウスは言う。この黒い鍵は、あのアタラクシアにある、巨大な扉の鍵だった。
翔「おい、何の真似だ…?」
翔はデウスに問い詰める。
デウス「ボクからの招待状代わりさ。」
デウスはそう言うと、ニヤリと笑う。
翔「…何だと?」
デウス「あの塔で、キミたちを待っている。きっと来てくれると信じているよ。」
ユキ「あなた……誰なの…?」
デウス「フフフ…そのうちわかるさ。さて、今日はここらへんで失礼するよ。さあ、鍵を受け取ってくれ。」
デウスは鍵を差し出す。
愛「あたしが受けとるよ。」
愛がそう言うと、
デウス「キミに受け取って欲しいんじゃない……翔に受け取って欲しいんだ。」
デウスは翔に鍵を差し出した。
愛「全く、我が儘だなぁ……翔君、良いかな?」
愛は翔に聞く。
翔「…良いぜ?」
翔がそう言うと、デウスはニコッと笑顔を見せた。そして、翔が前に出ると、
デウス「さあ、ボクからキミへのプレゼントだ。」
デウスは翔に鍵を渡す。だが……
パァンッ!
デウス「っ!?」
翔はねこだましをすると、デウスの前から姿を消した。
デウス「っ!?」
その時、背後に気配を感じたデウスは、後ろを振り向くが……そこには誰もいない。そして、前を向くと……
デウス「うっ…!?」
そこには、アマゾンブレードを突きつけた翔の姿があった。ブレードの切っ先は、デウスの鼻に触れる寸前で止まっていた。翔はデウスから鍵を奪い取り、
翔「フンッ。」
皮肉を込めたのか、鼻で笑ってブレードを収納した。
デウス「…流石だね、翔。」
デウスは翔を褒めると、
デウス「次、会うときまで--よき妄信を。」
と、言い残し…姿を消した。
アヤ「待ちなさいよ!アンタの目的は」
アヤは去り行くデウスに問い詰めようとするも、
ミサキ「……止めても無駄。もう、行ったわ。」
デウスは既にいなくなっていた。
シオリ「翔君…愛さん…どう…しましょう……」
シオリは翔と愛に聞く。メンバー達は不安げな表情を浮かべていた。
翔「まずは事務所に戻るぞ。……話はそれからだ。」
翔の言葉に、
愛「そうだね。それに、その鍵も解析しないとだし……」
愛も賛成した。メンバー達はドールハウスに戻って行った。
メンバー達は先に事務所に向かい、翔は手当てを受けていた。
愛「あぁ…弾丸が入ったままだね。」
翔「取ってくれるか?」
愛「うん…今からやるね?」
愛は器具を用意した。
愛「痛いと思うけど、我慢できる?」
翔「子ども扱いすんなよ…痛みには慣れてる。」
愛「あ、ごめんごめん。」汗
翔は服の上を脱ぎ、愛に撃たれたヶ所を見せた。
愛「っ!!」
愛は翔の身体を見て、言葉を失った。彼の身体中には……痛々しい傷痕が幾つも刻まれていたのだ。
翔「…どうした?」
愛「っ!?…あぁ、ごめんね?じゃあ、行くよ?」
愛はまず、傷口を少し濡らし、ピンセットを使って翔の傷口から弾丸をゆっくりと抜いた。
翔「…っ!」
翔は痛みを感じ、顔を歪めた。
愛「痛い?」
翔「いや、大丈夫だ…」
愛「強いんだね、翔君。」
愛は翔の傷口から、弾丸を抜き取ることに成功した。そして、消毒液がついた布で傷口の周りの血液を拭き取る。最後に消毒液を着けたガーゼを傷口に貼り、包帯を巻いた。
愛「はい、終わったよ。」
翔「ありがとう。」
翔は愛にお礼を言う。
翔「……ん?」
ふと、翔は医務室の出入口に目を向ける。
メンバー「「「……。」」」
そこには、Dollsと元ストライカー達……斑目とカナがいた。
愛「所長、カナちゃん……Dollsの皆に、元ストライカーの皆……」
愛は申し訳なさそうな顔を浮かべる。
斑目「…青空……その、身体中の傷……」
斑目はやっとのことで、翔に言う。
翔「…この傷は、裏切り者達につけられた……もう2度と、消えることはねぇ……」
翔はそう言うと、目を閉じた。
愛「所長…翔君が負傷したのは、あたしの判断ミスです……申し訳ありません……」
愛は斑目に謝罪する。
斑目「…。」
斑目は黙っていたが……
翔「片山さん、あんたは何も悪くねぇ……この傷は、俺の注意不足でできたんだ。」
翔が愛を庇ったため、斑目は愛に何も言わなかった。いや……むしろ、何も言えなかった。
サクラ「…翔さん……」
ミサキ「……。」
シオリ「その傷痕…!」
レイナ「…っ!?」
アヤ「…かわいそう……こんなにも、傷が……」
ナナミ「…まるで、翔さんの抱える…痛みや悲しみが……具現化したようです……」
ヒヨ「…翔さん…痛そう……」
ユキ「…翔、さん……」
ヤマダ「…あのストライカー共……!」ギリッ
メンバー達は驚きのあまり、言葉を失った。ミサキは目を閉じ、悲しげな表情を浮かべていた。
翔「さて…」
翔はゆっくり立ち上がると、服の上を着た。
翔「事務所に行かなくて良いのか?」
翔は斑目に聞く。
斑目「いや、ここで良い……皆、揃っているな。」
斑目は医務室で、話を始めた。
斑目「厳しい戦いだった。…よくぞ、ここと青空を守り抜いてくれた。」
斑目はメンバー達に言う。
愛「所長……」
斑目「片山、もう良い……大丈夫だ……青空も私たちも、お前を責めない。」
斑目は愛に微笑んだ。
愛「……所長。」
しかし……責任を強く感じている愛は、口角を下げてしまう。
カナ「デウス、それに黒い鍵……謎は深まるばかりです……」
斑目「黒い鍵についてはこちらで解析を進めることにする。その結果が出るまで、池袋の巡回とアイドル活動を継続しろ。」
斑目はメンバー達に言う。
サクラ「で、でも…!また、ここが襲われたら」
サクラがそう言うと、
カナ「そうならないように、巡回はローテーションで行います。」
と、カナが言う。
サクラ「…で、でも!!」
レイナ「サクラ、気持ちは分かるけれど。ファクトリーの結果を待ちましょう。」
レイナはサクラに言う。
レイナ「トラブルの時ほど、冷静に。いつも、私が教えているでしょ?」
サクラ「ご、ごめんなさい。いきなりだったから、私、不安で……」
サクラはレイナに謝罪した。
アヤ「ま、気持ちは分かるけどね。」
アヤはサクラに言う。
ミサキ「では、結果が出たら教えてください。それまでは巡回業務に務めます。」
ミサキは斑目とカナに言う。
斑目「もちろんだ。青空、それで良いか?」
翔「それで良いかって…あんたが決めたことだろ?それと……」
翔は口を開く。
翔「奴らに……俺がここにいることが…裏切り者達に、とうとうバレた……それでも俺は、ここにいて良いのか…?」
翔は…珍しく声を震わせていた。彼からは、多大なる不安や恐怖、悲しみといった負の感情が伺えた。
斑目「…!」ギュッ…
斑目は思わず、翔を抱き締めた。
翔「…っ!?」
斑目「青空……大丈夫だ。我々は、お前を追い出すような真似はしない。お前がここに居たいと思うなら、ここにいても構わない。だから、心配しなくて良い。」
斑目がそう言うと、
翔「……っ!」
翔の目から、一筋の涙が流れ落ちた。
翔「……ありがとう……っ!」
翔は斑目にお礼を言うと、静かに泣いた。斑目は翔が泣き止むまで、彼を優しく抱き締め、泣いている彼を受け止めた。
いかがでしたか?今回はここまでです。
ゴーレムのマスター『デウス』は、翔たちに謎の鍵を渡した後、姿を消した。
翔は愛に傷口の手当てをしてもらった。しかし、そこで……ドールハウスの関係者は、翔の身体中に刻まれた幾つもの痛々しい傷痕を見て、言葉を失った。更には……翔がドールハウスに居ることがストライカー達にバレてしまった。それでもドールハウスは、決して……翔を追い出そうとはせず、彼を受け入れた。
次回も、お楽しみに。
では、またね。