〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれ・真こと、やさぐれショウです。

アタラクシアの攻略は完全ではないが、ひとまず終了したDollsと翔とN。しかし、デウスに利用されていたことを理解した翔の精神状態は、安定していなかった。
メンバー達の調子を見た斑目は……

では、本編へどうぞ


第八十一話 休息

翌日、ドールハウスにて……

 

翔が観測室に向かうと、

カナ「おはようございます、翔君。Dollsの皆さんも、ゆっくり休めましたか?」

カナを初めとする、ドールハウス3巨頭の姿があった。もちろん、DollsもNもいた。

アヤ「……あんまり、かな。」

ユキ「悪い夢をみました。とても、とても怖い、夢でした……」

ヒヨ「ヒヨも……パンドラちゃんの叫び声……ずっと、頭の中に残ってるんだ…」

昨日の出来事の影響なのか、彼女達の調子は良さそうではない……。

サクラ「最近は色々ありましたから……ちょっとだけ、疲れちゃいました。」

ミサキ「--情けない。あれくらい、何てことはないでしょう。」

ナナミ「でました、ミサキさんの根性論。」

ナナミはボソッと言う。しかし、ミサキの言葉に強く反応を示したのは……

翔「……あれくらい、だと?」

翔だった。

翔「おいミサキ!お前どういうつもりだ!?俺らはアイツに利用されていたんだぞ!?お前は悔しくねぇのかよ!?」

感情的になった翔はミサキの胸ぐらを掴み、彼女に問い詰める。

ミサキ「っ!?しょ、翔さん…」

翔「……。」チッ…

翔はミサキを離すと、舌打ちをした。

愛「翔君。」

愛は翔に声をかける。

翔「俺は、悔しいんだよ……」

愛「悔しいよね……でも、それは皆も同じだと思うよ?」

翔「…なら、それを『あれくらい』の一言で片付けようとすんなよ……」

翔の言葉を聞いた愛は、

愛「…そっか、そう言うことか…」

ミサキが昨日の出来事を『あれくらい』の一言で表現したのが、彼は気にくわなかったことを理解した。

ミサキ「翔さん…ごめんなさい……心無い一言を言ってしまって……」

翔「…もう良いよ…俺の方こそ、いきなり胸ぐらを掴んで悪かったよ……」

ミサキと翔は互いに謝罪をした。

ナナミ「まぁ、いつも以上にハードワークでしたから皆さん、疲れるのは仕方ないですよ。」

ナナミが言うように、Dollsはまだ疲れが取れてない様子である。

ヤマダ「ヤマダはいつも通りっすけど、空気読んで黙っておきます。」

シオリ「やっぱり、皆さん…少し、元気がないみたいですね……」

レイナ「正直、私も疲れが残っているわ。それも当然。過酷な戦いだったもの。」

ここで、斑目が口を開いた。

斑目「青空。」

翔「…?」

斑目「今日は終日、休養日とする。」

斑目は休養日を設けることにした。

斑目「今日の予定はこちらで全てキャンセルしておく。」

翔「……。」

カナ「外出は許可しますが、何が起こるか分かりません。あまり遠出はしないようにしてくださいね。」

カナも言う。しかし、

ミサキ「私は体調に問題はありません。引き続き、池袋の巡回に----」

ミサキは巡回に行くと言い出す。

レイナ「駄目よ、ミサキ。気がはやるのは分かるけど、ここは我慢して。」

そんな彼女を、レイナは止める。

レイナ「今のDollsに必要なのは、心と体をメンテナンスする時間。」

ミサキ「……私には必要ない。」

それでも聞かないミサキに、

翔「レイナの言うとおりだ。」

翔がミサキを説得する。

翔「休める時には休んでおけ。十分に休める時間は、中々取れねぇぞ?今日巡回に行ったとしても、十分な力は発揮できない。そんな状況で事故や事件とかに巻き込まれたら、元も子もねぇだろうが。」

翔はミサキを叱る。

ミサキ「……む。」

ミサキは渋っていたが、

ミサキ「納得はしませんが、了解はしました。……今日は事務所からは出ません。」

了解はしたようだ。

シオリ「あらあら。翔君には従うんですね。うふふ♪」

シオリがそう言うと……

ミサキ「はあ!?翔さんは、翔さんは……///」

ミサキは次第に顔を赤くしていく。

翔「俺がどうしたんだよ…?」

翔がミサキに問い詰めると、

ミサキ「そ、それは…その……///」ゴニョゴニョ……

ミサキは何も答えられず、聞き取れない声で何かを呟き始めた。

愛「翔君はミサキちゃんのことを考えてくれているから……そうだよね、ミサキちゃん♪」

愛がそう言うと、ミサキは図星を突かれたのか、どんどん顔を真っ赤にしていった。

翔「ミサキ…納得はできなくても、ちゃんと休んでおけ。」

ミサキ「は、はい…」

シオリ「では、今日は終日オフということで…みなさん、女子寮に戻りましょう。」

そして、Dollsは寮に戻って行った。

 

 

 

観測室には、ドールハウス3巨頭、翔、Nが残った。

カナ「…Dollsの皆さんは、それぞれ自室に戻ったようです。」

斑目「…よし、では青空、N。改めて、だが……」

翔「…。」

N「は、はい。」

斑目「ゴーレムとデウスの出現。それにアタラクシアとパンドラ--目まぐるしい出来事の連続にドールたちも混乱していることだろう。」

斑目は言う。

カナ「肉体面のメンテナンスはドールハウスが責任を持って行いますが…メンタルケアは、片山さんだけではなく、お二人の力も必要です。」

カナの言葉に、Nは真剣な表情を見せる。翔は真顔だが、心は真剣である。

斑目「…任せていいな?」

斑目がそう言うと、

翔「任せる前提で聞くのか。」

と、翔は言う。

N「ちょっ、翔君!?」

Nがテンパる寸前でいると、斑目とカナは「あはは」と苦笑いする。

愛「翔君、お願いしても良いかな?」

愛が手を合わせてお願いすると、

翔「分かったよ。」

翔は迷うことなく了承した。

愛「N君、君にもお願いしても良い?」

N「わ、分かりました!アタシ、頑張りますから!」

Nは元気よく了承した。

愛「二人ともありがとう♥️」

愛は翔とNにお礼を言った。

斑目「…では、よろしく頼む。」

翔「…あぁ。」

N「はいぃ!」

愛「あ、そうです!」

愛は何かを思い出したようなリアクションを見せる。

カナ「どうしました、片山さん?」

カナは愛に尋ねる。

愛「こうして、翔君とN君がいるんだから、お茶でも飲みながら話そうかなって思ってね。所長、どうですか?」

愛は斑目に言う。

斑目「私は構わないが、青空とNはどうだ?」

N「あ、アタシは大丈夫です。」

Nはすぐに賛成する。

翔「……。」

愛「…どうかな、翔君?」

翔「……そうだな、Nも大丈夫そうだから、俺も賛成する。」

翔も愛の提案に賛成した。

斑目「ならば、場所を変えよう。」

斑目はそう言うと、席を立った。

翔「…俺はここでも構わねぇけど?」

翔がそう言うと、

カナ「恐らく、解放感のある場所でやるのが良いと、斑目さんは考えたんですよ。」コソッ…

カナがこっそりと翔に教えた。

翔「その解放感のある場所って、どこなんだ?」

カナ「まぁ、斑目さんについて行きましょう。」

そして、斑目に案内されたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「何だよ、ここ…?」

緑や花々に囲まれたガーデンだった。

愛「ここね、ドールハウスの屋上なんだよ?」

愛は言う。

愛「初めは何も無かったから寂しいな~って思ってね、所長から許可を得てこうしたんだ♪」

翔「へぇ…すげぇな。」

N「なんて素敵な場所なのかしら!」

屋上のガーデンを見渡すと、花には蝶々や蜜蜂等が止まっていたり、小鳥が来たりしていた。

カナ「提案したのは片山さんですが、一番張り切っていたのは斑目さんなんですよ♪」

斑目「か、カナ…」アセアセ

斑目は少しだけテンパる。

N「……。」

N(所長さんって、何だか怖そうなイメージがあったけど……そんな事は無いの、かも……?)

斑目の様子を見たNは、彼女に対するイメージが少し変わった。

愛「さ、お茶会を始めましょうか♪」

翔は斑目と愛の間、Nは愛とカナの間に座り、お茶会に参加した。

愛「さて、このお茶会は楽しむことはもちろん…N君との交流のためでもあります!」

N「へ、あ、アタシ…?」

愛「そう!だから、N君にいっぱい質問しようと思うんだ♪あ、答えたくないことがあったら、答えなくても大丈夫だからね♪」

N「分かりました。アタシの答えられる範囲でよろしければ。」

愛「ありがとう!まずは、所長から!」

斑目「私からか、そうだな……」

斑目は少し考え、

斑目「では、何故我々の手助けをしようと思ったんだ?」

Nに質問した。

N「はい。正直に言いますと……Dollsの皆と仲良くしている翔君が羨ましかったから、ちょっかいを出したんです。でも、それは違うと思うようになって…誰かを傷付けるのではなく、誰かを助けたい……そう思ったからです。」

斑目「…なるほど。緊張している中、答えてくれてありがとう。」

斑目はNにお礼を言った。

N「い、いえ!」

愛「あははは、まだ緊張しちゃってるか……大丈夫だよ、気楽に行こ?次は、カナちゃん!」

カナ「わ、私ですか!?」

カナは戸惑ったが、

カナ「えっと、そうですね……Nさんが持ってる、USBメモリーのような物が気になったんですが、これって何ですか?」

N「はい。これですね?」

Nはルナメモリーをテーブルに置く。

カナ「そうそう、それです!」

N「これは『ガイヤメモリー』です。これをアタシのおでこに挿して、ドーパントに変身できるんです。」

カナ「そうなんですね。」

Nの説明に、カナは納得した。

愛「さてと、次は翔君!」

翔「…ん?」

翔はティーカップを置く。

翔「悪い、まだ質問を考えて無かった。」

愛「あ、分かった。なら、あたしが行っちゃっていいかな?」

翔「あぁ。」

愛「了解。そうだなぁ……N君は、ドールハウスで何かやりたいこととかってある?」

N「やりたいこと……」

愛「うん、何でもいいよ?」

Nは少し黙り込み、

N「アタシ、1度で良い……たった1度で良いから……青春を味わってみたいの……今の季節は夏だから、何か夏らしい青春を、味わってみたいわ。」

愛「青春かぁ…イイじゃんイイじゃん!」

愛(夏らしい青春か……今度企画してみよっかな?)

愛は何かを企画しようと考えた。

愛「さて、翔君。」

翔「あぁ。」

次に、翔がNに質問をする。

N(翔君、どんな質問をしてくるのかしら?)

翔「N……お前は、斑目さんが怖いか?」

斑目以外「「「え”っ!?」」」

翔の質問に、斑目以外が驚く。

カナ「しょ、翔君!その質問はちょっと…!」アセアセ

斑目「気にするな。」汗

斑目は続ける。

斑目「はは、青空らしい質問だな…」

斑目は苦笑いしていた。

N「えっと、翔君……答えないと、ダメ…かしら…?」

翔「いや、別に…お前、斑目さんとやり取りしてる時、やけに緊張しているように感じてな。気になったから、聞いただけだ。答えたくなけりゃ、答えなくても構わねぇよ。」

N「じゃあ…ノーコメントで……」汗

翔「…分かった。」

愛「ビックリしたぁ……あまりにもドストレートな質問だったから……」

斑目「それが青空の個性だからな。」

その後は、お茶を飲みながら談笑をするドールハウス3巨頭と翔とNであった。




いかがでしたか?今回はここまでです。

メンバー達の様子を見た斑目は、休養日を与えることにした。
その後、Nとの交流を深めようと愛はお茶会を提案し、彼と交流することができた。



今回は、後半からほのぼの回(?)を書きました。



次回も、おったのしみにぃ~!

では、まったねぇ~

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