〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
アタラクシアの攻略は完全ではないが、ひとまず終了したDollsと翔とN。しかし、デウスに利用されていたことを理解した翔の精神状態は、安定していなかった。
メンバー達の調子を見た斑目は……
では、本編へどうぞ
翌日、ドールハウスにて……
翔が観測室に向かうと、
カナ「おはようございます、翔君。Dollsの皆さんも、ゆっくり休めましたか?」
カナを初めとする、ドールハウス3巨頭の姿があった。もちろん、DollsもNもいた。
アヤ「……あんまり、かな。」
ユキ「悪い夢をみました。とても、とても怖い、夢でした……」
ヒヨ「ヒヨも……パンドラちゃんの叫び声……ずっと、頭の中に残ってるんだ…」
昨日の出来事の影響なのか、彼女達の調子は良さそうではない……。
サクラ「最近は色々ありましたから……ちょっとだけ、疲れちゃいました。」
ミサキ「--情けない。あれくらい、何てことはないでしょう。」
ナナミ「でました、ミサキさんの根性論。」
ナナミはボソッと言う。しかし、ミサキの言葉に強く反応を示したのは……
翔「……あれくらい、だと?」
翔だった。
翔「おいミサキ!お前どういうつもりだ!?俺らはアイツに利用されていたんだぞ!?お前は悔しくねぇのかよ!?」
感情的になった翔はミサキの胸ぐらを掴み、彼女に問い詰める。
ミサキ「っ!?しょ、翔さん…」
翔「……。」チッ…
翔はミサキを離すと、舌打ちをした。
愛「翔君。」
愛は翔に声をかける。
翔「俺は、悔しいんだよ……」
愛「悔しいよね……でも、それは皆も同じだと思うよ?」
翔「…なら、それを『あれくらい』の一言で片付けようとすんなよ……」
翔の言葉を聞いた愛は、
愛「…そっか、そう言うことか…」
ミサキが昨日の出来事を『あれくらい』の一言で表現したのが、彼は気にくわなかったことを理解した。
ミサキ「翔さん…ごめんなさい……心無い一言を言ってしまって……」
翔「…もう良いよ…俺の方こそ、いきなり胸ぐらを掴んで悪かったよ……」
ミサキと翔は互いに謝罪をした。
ナナミ「まぁ、いつも以上にハードワークでしたから皆さん、疲れるのは仕方ないですよ。」
ナナミが言うように、Dollsはまだ疲れが取れてない様子である。
ヤマダ「ヤマダはいつも通りっすけど、空気読んで黙っておきます。」
シオリ「やっぱり、皆さん…少し、元気がないみたいですね……」
レイナ「正直、私も疲れが残っているわ。それも当然。過酷な戦いだったもの。」
ここで、斑目が口を開いた。
斑目「青空。」
翔「…?」
斑目「今日は終日、休養日とする。」
斑目は休養日を設けることにした。
斑目「今日の予定はこちらで全てキャンセルしておく。」
翔「……。」
カナ「外出は許可しますが、何が起こるか分かりません。あまり遠出はしないようにしてくださいね。」
カナも言う。しかし、
ミサキ「私は体調に問題はありません。引き続き、池袋の巡回に----」
ミサキは巡回に行くと言い出す。
レイナ「駄目よ、ミサキ。気がはやるのは分かるけど、ここは我慢して。」
そんな彼女を、レイナは止める。
レイナ「今のDollsに必要なのは、心と体をメンテナンスする時間。」
ミサキ「……私には必要ない。」
それでも聞かないミサキに、
翔「レイナの言うとおりだ。」
翔がミサキを説得する。
翔「休める時には休んでおけ。十分に休める時間は、中々取れねぇぞ?今日巡回に行ったとしても、十分な力は発揮できない。そんな状況で事故や事件とかに巻き込まれたら、元も子もねぇだろうが。」
翔はミサキを叱る。
ミサキ「……む。」
ミサキは渋っていたが、
ミサキ「納得はしませんが、了解はしました。……今日は事務所からは出ません。」
了解はしたようだ。
シオリ「あらあら。翔君には従うんですね。うふふ♪」
シオリがそう言うと……
ミサキ「はあ!?翔さんは、翔さんは……///」
ミサキは次第に顔を赤くしていく。
翔「俺がどうしたんだよ…?」
翔がミサキに問い詰めると、
ミサキ「そ、それは…その……///」ゴニョゴニョ……
ミサキは何も答えられず、聞き取れない声で何かを呟き始めた。
愛「翔君はミサキちゃんのことを考えてくれているから……そうだよね、ミサキちゃん♪」
愛がそう言うと、ミサキは図星を突かれたのか、どんどん顔を真っ赤にしていった。
翔「ミサキ…納得はできなくても、ちゃんと休んでおけ。」
ミサキ「は、はい…」
シオリ「では、今日は終日オフということで…みなさん、女子寮に戻りましょう。」
そして、Dollsは寮に戻って行った。
観測室には、ドールハウス3巨頭、翔、Nが残った。
カナ「…Dollsの皆さんは、それぞれ自室に戻ったようです。」
斑目「…よし、では青空、N。改めて、だが……」
翔「…。」
N「は、はい。」
斑目「ゴーレムとデウスの出現。それにアタラクシアとパンドラ--目まぐるしい出来事の連続にドールたちも混乱していることだろう。」
斑目は言う。
カナ「肉体面のメンテナンスはドールハウスが責任を持って行いますが…メンタルケアは、片山さんだけではなく、お二人の力も必要です。」
カナの言葉に、Nは真剣な表情を見せる。翔は真顔だが、心は真剣である。
斑目「…任せていいな?」
斑目がそう言うと、
翔「任せる前提で聞くのか。」
と、翔は言う。
N「ちょっ、翔君!?」
Nがテンパる寸前でいると、斑目とカナは「あはは」と苦笑いする。
愛「翔君、お願いしても良いかな?」
愛が手を合わせてお願いすると、
翔「分かったよ。」
翔は迷うことなく了承した。
愛「N君、君にもお願いしても良い?」
N「わ、分かりました!アタシ、頑張りますから!」
Nは元気よく了承した。
愛「二人ともありがとう♥️」
愛は翔とNにお礼を言った。
斑目「…では、よろしく頼む。」
翔「…あぁ。」
N「はいぃ!」
愛「あ、そうです!」
愛は何かを思い出したようなリアクションを見せる。
カナ「どうしました、片山さん?」
カナは愛に尋ねる。
愛「こうして、翔君とN君がいるんだから、お茶でも飲みながら話そうかなって思ってね。所長、どうですか?」
愛は斑目に言う。
斑目「私は構わないが、青空とNはどうだ?」
N「あ、アタシは大丈夫です。」
Nはすぐに賛成する。
翔「……。」
愛「…どうかな、翔君?」
翔「……そうだな、Nも大丈夫そうだから、俺も賛成する。」
翔も愛の提案に賛成した。
斑目「ならば、場所を変えよう。」
斑目はそう言うと、席を立った。
翔「…俺はここでも構わねぇけど?」
翔がそう言うと、
カナ「恐らく、解放感のある場所でやるのが良いと、斑目さんは考えたんですよ。」コソッ…
カナがこっそりと翔に教えた。
翔「その解放感のある場所って、どこなんだ?」
カナ「まぁ、斑目さんについて行きましょう。」
そして、斑目に案内されたのは……
翔「何だよ、ここ…?」
緑や花々に囲まれたガーデンだった。
愛「ここね、ドールハウスの屋上なんだよ?」
愛は言う。
愛「初めは何も無かったから寂しいな~って思ってね、所長から許可を得てこうしたんだ♪」
翔「へぇ…すげぇな。」
N「なんて素敵な場所なのかしら!」
屋上のガーデンを見渡すと、花には蝶々や蜜蜂等が止まっていたり、小鳥が来たりしていた。
カナ「提案したのは片山さんですが、一番張り切っていたのは斑目さんなんですよ♪」
斑目「か、カナ…」アセアセ
斑目は少しだけテンパる。
N「……。」
N(所長さんって、何だか怖そうなイメージがあったけど……そんな事は無いの、かも……?)
斑目の様子を見たNは、彼女に対するイメージが少し変わった。
愛「さ、お茶会を始めましょうか♪」
翔は斑目と愛の間、Nは愛とカナの間に座り、お茶会に参加した。
愛「さて、このお茶会は楽しむことはもちろん…N君との交流のためでもあります!」
N「へ、あ、アタシ…?」
愛「そう!だから、N君にいっぱい質問しようと思うんだ♪あ、答えたくないことがあったら、答えなくても大丈夫だからね♪」
N「分かりました。アタシの答えられる範囲でよろしければ。」
愛「ありがとう!まずは、所長から!」
斑目「私からか、そうだな……」
斑目は少し考え、
斑目「では、何故我々の手助けをしようと思ったんだ?」
Nに質問した。
N「はい。正直に言いますと……Dollsの皆と仲良くしている翔君が羨ましかったから、ちょっかいを出したんです。でも、それは違うと思うようになって…誰かを傷付けるのではなく、誰かを助けたい……そう思ったからです。」
斑目「…なるほど。緊張している中、答えてくれてありがとう。」
斑目はNにお礼を言った。
N「い、いえ!」
愛「あははは、まだ緊張しちゃってるか……大丈夫だよ、気楽に行こ?次は、カナちゃん!」
カナ「わ、私ですか!?」
カナは戸惑ったが、
カナ「えっと、そうですね……Nさんが持ってる、USBメモリーのような物が気になったんですが、これって何ですか?」
N「はい。これですね?」
Nはルナメモリーをテーブルに置く。
カナ「そうそう、それです!」
N「これは『ガイヤメモリー』です。これをアタシのおでこに挿して、ドーパントに変身できるんです。」
カナ「そうなんですね。」
Nの説明に、カナは納得した。
愛「さてと、次は翔君!」
翔「…ん?」
翔はティーカップを置く。
翔「悪い、まだ質問を考えて無かった。」
愛「あ、分かった。なら、あたしが行っちゃっていいかな?」
翔「あぁ。」
愛「了解。そうだなぁ……N君は、ドールハウスで何かやりたいこととかってある?」
N「やりたいこと……」
愛「うん、何でもいいよ?」
Nは少し黙り込み、
N「アタシ、1度で良い……たった1度で良いから……青春を味わってみたいの……今の季節は夏だから、何か夏らしい青春を、味わってみたいわ。」
愛「青春かぁ…イイじゃんイイじゃん!」
愛(夏らしい青春か……今度企画してみよっかな?)
愛は何かを企画しようと考えた。
愛「さて、翔君。」
翔「あぁ。」
次に、翔がNに質問をする。
N(翔君、どんな質問をしてくるのかしら?)
翔「N……お前は、斑目さんが怖いか?」
斑目以外「「「え”っ!?」」」
翔の質問に、斑目以外が驚く。
カナ「しょ、翔君!その質問はちょっと…!」アセアセ
斑目「気にするな。」汗
斑目は続ける。
斑目「はは、青空らしい質問だな…」
斑目は苦笑いしていた。
N「えっと、翔君……答えないと、ダメ…かしら…?」
翔「いや、別に…お前、斑目さんとやり取りしてる時、やけに緊張しているように感じてな。気になったから、聞いただけだ。答えたくなけりゃ、答えなくても構わねぇよ。」
N「じゃあ…ノーコメントで……」汗
翔「…分かった。」
愛「ビックリしたぁ……あまりにもドストレートな質問だったから……」
斑目「それが青空の個性だからな。」
その後は、お茶を飲みながら談笑をするドールハウス3巨頭と翔とNであった。
いかがでしたか?今回はここまでです。
メンバー達の様子を見た斑目は、休養日を与えることにした。
その後、Nとの交流を深めようと愛はお茶会を提案し、彼と交流することができた。
今回は、後半からほのぼの回(?)を書きました。
次回も、おったのしみにぃ~!
では、まったねぇ~