〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
木場 一海と再会した翔は、彼のことをあまり覚えていなかった。それでも、一海は再び翔と友達になるため、奮闘することを決意し、襲って来たストライカーチームを返り討ちにした。
その後、ハワイアンズで何事も無く過ごした翔達……しかし、ハワイアンズでの一時に、終わりが近づいていた。
では、本編に行きますか。どうぞ
次の日……
早く起きた翔は、ロビーへと足を運んだ。
翔「…。」
翔が見ていたのは、昨日一海から貰った彼の連絡先だった。
翔(アイツ、裏切り者達に偽情報を提供して、奴らを妨害していたようだが……奴らから狙われねぇのか…?)
ふと、翔は彼の行動に疑問を抱いた。
翠「どうかしましたか、お客様?」
そこに、従業員の翠が翔に話しかけてきた。
翔「…いや。」
翔はそう言って、一海の連絡先が書かれたメモ用紙をしまった。
翠「今日も良い朝ですね♪」
翔「…そうだな。」
翔は自動ドアから見える朝焼けの景色を見ながら言う。
翔「……お前も、泊まり込みでバイトに来てるのか?」
翠「お、よく分かりましたね。そうなんです、わたしも泊まり込みで、アルバイトに来ているんです。」
翔「……1人でか?」
翠「いいえ、友人とです。」
翔「……そうか。」
翔は翠の方を向くと、
翔「友人と、いつまでも仲良くな。」
と、言い残し、その場から立ち去って行った。
翠「…好い人だ。」
翠はそう言うと、従業員控え室に戻って行った。
朝食を食べ終えたメンバー達は、自分の好きな時間を過ごすことにした。ホテルにあるゲームセンターやエステに行く者、プールに行く者等…メンバー達は最終日に、それぞれの楽しい一時を過ごす。翔はと言うと……
翔「…ふぅ~……」
プールに足を運び、スパガーデンパレオにある寝転び湯『バブルシート』に来て、リラックスしていた。寝転び湯を気に入った翔は、もう1度入りたいと思い、ここに来たのだ。
翔「……。」
寝転び湯を堪能しながら、翔は青空を流れる白い雲を見ていた。
翔(こうして、空を眺めるのも…悪くはねぇな。)
そう思いながら、翔は青空を眺めていた。そこに、
愛「しょ~う君♪」
愛がやって来た。
翔「…ん?…おぉ。」
愛「ここにいたんだ。」
翔「あぁ。」
愛は翔の右隣のバブルシートに寝転ぶ。
愛「はぁ~、これ気持ちいいねぇ~♪」
翔「…あぁ、最高だ。」
愛は翔の顔をチラッと見る。翔の顔は、リラックスした笑顔だった。
愛(翔君、寝転び湯を気に入ったのかな…?)
愛「翔君?」
翔「…ん?」
愛「この寝転び湯、気に入った?」
翔「…あぁ、気に入ったよ。」
翔は空を眺めながら言う。
翔「…なぁ、片山さん。」
愛「なぁに?」
翔「あんたもこうして、空を眺めてみな。」
愛「お、わかった。」
翔にすすめられ、愛も寝転びながら青空を眺める。どこまでも広がる大空には、大小様々な大きさの白い雲が、ゆっくりと流れていた。
愛「…良いね、これ。」
翔「…だろ?」
翔は相変わらず、青空を眺める。愛は青空を眺めながら、翔に言った。
愛「ねぇ、翔君?」
翔「…?」
愛「あたし、皆とここにこれて良かった……何より、翔君とここにこれて、本当に良かった。」
翔「……。」
翔は黙って、愛の話に耳を傾ける。
愛「翔君に水着似合ってるって言われた時、すごく嬉しかったよ。それに、N君も皆とすぐに打ち解けたり…こうして、温泉でゆっくりしたり、プールではしゃいだり……途中、ハプニングもあったけど、夏らしい青春を味わえて、楽しかったよ。」
翔「……。」
愛「天国にいる聖にも、この幸せ……分けてあげたいな……」
愛は寂しげな笑顔を見せ、首にかけているネックレスを見る。
翔「…そのネックレスは?」
愛「これね、聖があたしにくれた……最初で最後のプレゼントなの。」
翔「……。」
愛「聖…昔から、心臓が弱くて……こうして、当たり前のような日常を、中々味わえなかったんだ。入退院を繰り返していたから、治療費も結構かかったの。あたしは聖を失いたくなかったから、少しでも治療費を稼ぐために、軍人になったの。勿論、人々を守るためでもあるよ?」
翔「…分かってる。金で買えねぇモンだって、あるからな。」
愛「…うん……そうだね。」
愛はネックレスをギュッと握りしめ、胸の真ん中に持ってくる。
愛「……。」
愛(聖……あたし、こんなに幸せを味わって…良いのかな?あたしには、分かんないよ……)
愛は目を閉じる。
翔「……。」
翔は愛にかける言葉が見つからず、黙っているしかなかった。しかし…
スッ……
愛の肩に、手を置いた。
愛「……!?」
愛が目を開くと、左肩に手を乗せ、黙っている翔の姿が目に入った。
愛「…翔、君?」
翔「……天にいる聖さんの分も、生きようぜ。」
愛「…そう、だよね…うん、そうすれば聖も、安心して休めるよね。」
愛は元気を取り戻した。翔は愛の肩から、手を退けた。
愛「翔君。」
翔「……?」
今度は愛が、左手で翔の右手を優しく握った。
愛「翔君には、幸せでいて欲しいから……何かあったら、いつでも頼ってね♪あたしでよければ、翔君の力になるから……翔君を、守って見せるね。」
翔「守るのは、お互い様だろ?」
愛「あはは、それもそっか。」
翔は愛と共にバブルシートで心地好い温もりを感じながら、語り合った。
その後、プールに行ったメンバー達は更衣室で着替えを済ませ、ホテル内の娯楽施設に行ったメンバー達とレストラン前で合流し、昼食を済ませた。そして、部屋に戻り荷物をまとめる。
アヤ「忘れ物は無い?」
ナナミ「そんな子どもじゃないんですから…」汗
アヤ「念のためよ、念のため!」
シオリ「私は大丈夫です。雪枝さんとほたるさんは大丈夫ですか?」
雪枝「はい、平気です。」
ほたる「あたしも大丈夫です。」
アヤ「OK、翔は大丈夫?」
翔「……。」
翔は黙っていた。
アヤ「…?…翔?」
翔「…あ、あぁ。大丈夫。」
やっとのことで、翔はアヤの質問に答えた。
シオリ「どうかしました、翔君?」
シオリは翔を心配する。
アヤ「具合悪いの?」
アヤも翔を心配する。
翔「…いや。」
翔は少しだけ黙り……
翔「…何だか、帰りたくねぇなって思ってさ……」
と言い、苦笑いした。
ほたる「あたしも、もう少しここに居たかったです。」
ほたるも名残惜しそうに言う。
雪枝「楽しかったですもんね。」
ナナミ「まぁ、そうですね。悪くは無かったです。」
アヤ「そんな事言っちゃって…楽しかったんでしょ?」
ナナミ「なっ!?ま、まぁ…///」
ナナミはアヤにからかわれ、顔を赤くする。
シオリ「お気持ちはすごく分かります。ですが、ドールハウスが寂しい思いをしてしまいますので。」
翔「…そうだったな。」
翔は旅行バッグを持つと、
翔「じゃ、行くか。」
メンバー達と共に、泊まった部屋を出た。
ロビーには、他のメンバー達も揃っていた。
ルリ「…何か、まだ帰りたくないな……」
ルリは名残惜しそうに言った。
翔「…奇遇だな。俺もルリちゃんと同じ気持ちさ。」
翔はルリに言う。
ルリ「え、お兄ちゃんも?」
翔「あぁ。けどな…」
翔はルリの前でしゃがみ、
翔「ドールハウスに戻んねぇと、ドールハウスが寂しい思いをしちまうからな。」
と、ルリに言う。
ルリ「そうだね。ドールハウスさんが寂しいって言うもんね。」
翔「そうだな。だから、帰ろうぜ。」
ルリ「お兄ちゃん、また来れるかな?」
翔「来れるとも。いつかまた、皆で行こうな?」
ルリ「…うん!」
翔の言葉に、ルリは笑顔を見せた。そして、一同はチェックアウトを済ませ、東京駅行きのバス停が停まるバス停へと向かう。メンバー達がバス停へと向かう中、翔はこっそり引き返した。そして、客を見送るスタッフ達に……
翔「俺らを歓迎し、もてなしてくれて…ありがとう。最高の青春を味わえた。」
と、お礼を言った。
スタッフ「いえ、とんでもございません。お客様をおもてなしする……それが、我々の仕事ですから。」
スタッフ達は笑顔を浮かべる。
翔「…また来ても、良いか?」
小春「はい!いつでもいらしてくださいね♪」
翠「わたしたちは、いつでも歓迎します♪」
スタッフの小春と翠も笑顔を見せる。
翔「…改めて、礼を言わせてくれ……
……ありがとな。」
その時の翔は、優しい笑顔を浮かべていた。そして、見送るスタッフ達に背を向け、去って行く。
スタッフ「ありがとうございました!!」「お気をつけて!」「また、いつでもいらしてください!」
スタッフ達は、去り行く翔の姿が見えなくなるまで、彼を見送った。
そして、バス停にやって来た翔。
N「あら、翔君…どうしたの?」
翔「…1つだけやり残したことがあってな、さっきやって来た。」
翔はNに言う。
翔「N、お前はやり残したこと、ねぇか?」
N「…えぇ。アタシ、ずっと夢だった青春を味わうことができたもの……悔いは無いわ。」
Nは笑顔を浮かべ、満足していた。
翔「…そうか、良かったな。」
N「本当に良かったわ!また、行きたいわね。」
翔「そうだな。」
そうこうしている内に、東京駅行きのバスが到着した。一同はバスに乗り、席に座った。数分後、バスは東京駅に向けて発車した。段々遠くなっていくハワイアンズを見届け、一同は東京へと帰っていく。翔は遊び疲れたのか、眠ってしまっていた。
愛「……。」
愛は眠っている翔を見て、微笑んでいた。
愛「…楽しかったね、翔君♪また、いつか来ようね♪」
愛はそう言って、彼を優しく撫でた。
ヴーッ、ヴーッ……
愛「…ん?」
愛のスマホが鳴った。メールが来たようだ。愛はメールを見ると……
愛「……♪」
笑顔を見せた。送り主は、ハワイアンズのスタッフからで……
『最後に、スタッフ一同にお礼を言っていただけました。本当に素敵な弟さんですね。』
と、書かれていた。
いかがでしたか?今回はここまでです。
もうそろそろ、夏も終わってしまいますね……この時期になると、不思議と寂しさを感じてしまうのは、何故でしょうかね?
この物語の水着回も、一旦ここまでにしておきましょうかね。
では、次回もお楽しみに。
最後まで良い夏を、お過ごし下さい。またね~!