〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウこと、やさぐれ・真ではなく……やさぐれ・真こと、やさぐれショウです。

木場 一海と再会した翔は、彼のことをあまり覚えていなかった。それでも、一海は再び翔と友達になるため、奮闘することを決意し、襲って来たストライカーチームを返り討ちにした。

その後、ハワイアンズで何事も無く過ごした翔達……しかし、ハワイアンズでの一時に、終わりが近づいていた。

では、本編に行きますか。どうぞ


第八十九話 さらばハワイアンズ

次の日……

 

早く起きた翔は、ロビーへと足を運んだ。

翔「…。」

翔が見ていたのは、昨日一海から貰った彼の連絡先だった。

翔(アイツ、裏切り者達に偽情報を提供して、奴らを妨害していたようだが……奴らから狙われねぇのか…?)

ふと、翔は彼の行動に疑問を抱いた。

翠「どうかしましたか、お客様?」

そこに、従業員の翠が翔に話しかけてきた。

翔「…いや。」

翔はそう言って、一海の連絡先が書かれたメモ用紙をしまった。

翠「今日も良い朝ですね♪」

翔「…そうだな。」

翔は自動ドアから見える朝焼けの景色を見ながら言う。

翔「……お前も、泊まり込みでバイトに来てるのか?」

翠「お、よく分かりましたね。そうなんです、わたしも泊まり込みで、アルバイトに来ているんです。」

翔「……1人でか?」

翠「いいえ、友人とです。」

翔「……そうか。」

翔は翠の方を向くと、

翔「友人と、いつまでも仲良くな。」

と、言い残し、その場から立ち去って行った。

翠「…好い人だ。」

翠はそう言うと、従業員控え室に戻って行った。

 

 

 

朝食を食べ終えたメンバー達は、自分の好きな時間を過ごすことにした。ホテルにあるゲームセンターやエステに行く者、プールに行く者等…メンバー達は最終日に、それぞれの楽しい一時を過ごす。翔はと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「…ふぅ~……」

プールに足を運び、スパガーデンパレオにある寝転び湯『バブルシート』に来て、リラックスしていた。寝転び湯を気に入った翔は、もう1度入りたいと思い、ここに来たのだ。

翔「……。」

寝転び湯を堪能しながら、翔は青空を流れる白い雲を見ていた。

翔(こうして、空を眺めるのも…悪くはねぇな。)

そう思いながら、翔は青空を眺めていた。そこに、

愛「しょ~う君♪」

愛がやって来た。

翔「…ん?…おぉ。」

愛「ここにいたんだ。」

翔「あぁ。」

愛は翔の右隣のバブルシートに寝転ぶ。

愛「はぁ~、これ気持ちいいねぇ~♪」

翔「…あぁ、最高だ。」

愛は翔の顔をチラッと見る。翔の顔は、リラックスした笑顔だった。

愛(翔君、寝転び湯を気に入ったのかな…?)

愛「翔君?」

翔「…ん?」

愛「この寝転び湯、気に入った?」

翔「…あぁ、気に入ったよ。」

翔は空を眺めながら言う。

翔「…なぁ、片山さん。」

愛「なぁに?」

翔「あんたもこうして、空を眺めてみな。」

愛「お、わかった。」

翔にすすめられ、愛も寝転びながら青空を眺める。どこまでも広がる大空には、大小様々な大きさの白い雲が、ゆっくりと流れていた。

愛「…良いね、これ。」

翔「…だろ?」

翔は相変わらず、青空を眺める。愛は青空を眺めながら、翔に言った。

愛「ねぇ、翔君?」

翔「…?」

愛「あたし、皆とここにこれて良かった……何より、翔君とここにこれて、本当に良かった。」

翔「……。」

翔は黙って、愛の話に耳を傾ける。

愛「翔君に水着似合ってるって言われた時、すごく嬉しかったよ。それに、N君も皆とすぐに打ち解けたり…こうして、温泉でゆっくりしたり、プールではしゃいだり……途中、ハプニングもあったけど、夏らしい青春を味わえて、楽しかったよ。」

翔「……。」

愛「天国にいる聖にも、この幸せ……分けてあげたいな……」

愛は寂しげな笑顔を見せ、首にかけているネックレスを見る。

翔「…そのネックレスは?」

愛「これね、聖があたしにくれた……最初で最後のプレゼントなの。」

翔「……。」

愛「聖…昔から、心臓が弱くて……こうして、当たり前のような日常を、中々味わえなかったんだ。入退院を繰り返していたから、治療費も結構かかったの。あたしは聖を失いたくなかったから、少しでも治療費を稼ぐために、軍人になったの。勿論、人々を守るためでもあるよ?」

翔「…分かってる。金で買えねぇモンだって、あるからな。」

愛「…うん……そうだね。」

愛はネックレスをギュッと握りしめ、胸の真ん中に持ってくる。

愛「……。」

愛(聖……あたし、こんなに幸せを味わって…良いのかな?あたしには、分かんないよ……)

愛は目を閉じる。

翔「……。」

翔は愛にかける言葉が見つからず、黙っているしかなかった。しかし…

スッ……

愛の肩に、手を置いた。

愛「……!?」

愛が目を開くと、左肩に手を乗せ、黙っている翔の姿が目に入った。

愛「…翔、君?」

翔「……天にいる聖さんの分も、生きようぜ。」

愛「…そう、だよね…うん、そうすれば聖も、安心して休めるよね。」

愛は元気を取り戻した。翔は愛の肩から、手を退けた。

愛「翔君。」

翔「……?」

今度は愛が、左手で翔の右手を優しく握った。

愛「翔君には、幸せでいて欲しいから……何かあったら、いつでも頼ってね♪あたしでよければ、翔君の力になるから……翔君を、守って見せるね。」

翔「守るのは、お互い様だろ?」

愛「あはは、それもそっか。」

翔は愛と共にバブルシートで心地好い温もりを感じながら、語り合った。

 

 

 

その後、プールに行ったメンバー達は更衣室で着替えを済ませ、ホテル内の娯楽施設に行ったメンバー達とレストラン前で合流し、昼食を済ませた。そして、部屋に戻り荷物をまとめる。

アヤ「忘れ物は無い?」

ナナミ「そんな子どもじゃないんですから…」汗

アヤ「念のためよ、念のため!」

シオリ「私は大丈夫です。雪枝さんとほたるさんは大丈夫ですか?」

雪枝「はい、平気です。」

ほたる「あたしも大丈夫です。」

アヤ「OK、翔は大丈夫?」

翔「……。」

翔は黙っていた。

アヤ「…?…翔?」

翔「…あ、あぁ。大丈夫。」

やっとのことで、翔はアヤの質問に答えた。

シオリ「どうかしました、翔君?」

シオリは翔を心配する。

アヤ「具合悪いの?」

アヤも翔を心配する。

翔「…いや。」

翔は少しだけ黙り……

翔「…何だか、帰りたくねぇなって思ってさ……」

と言い、苦笑いした。

ほたる「あたしも、もう少しここに居たかったです。」

ほたるも名残惜しそうに言う。

雪枝「楽しかったですもんね。」

ナナミ「まぁ、そうですね。悪くは無かったです。」

アヤ「そんな事言っちゃって…楽しかったんでしょ?」

ナナミ「なっ!?ま、まぁ…///」

ナナミはアヤにからかわれ、顔を赤くする。

シオリ「お気持ちはすごく分かります。ですが、ドールハウスが寂しい思いをしてしまいますので。」

翔「…そうだったな。」

翔は旅行バッグを持つと、

翔「じゃ、行くか。」

メンバー達と共に、泊まった部屋を出た。

 

 

 

ロビーには、他のメンバー達も揃っていた。

ルリ「…何か、まだ帰りたくないな……」

ルリは名残惜しそうに言った。

翔「…奇遇だな。俺もルリちゃんと同じ気持ちさ。」

翔はルリに言う。

ルリ「え、お兄ちゃんも?」

翔「あぁ。けどな…」

翔はルリの前でしゃがみ、

翔「ドールハウスに戻んねぇと、ドールハウスが寂しい思いをしちまうからな。」

と、ルリに言う。

ルリ「そうだね。ドールハウスさんが寂しいって言うもんね。」

翔「そうだな。だから、帰ろうぜ。」

ルリ「お兄ちゃん、また来れるかな?」

翔「来れるとも。いつかまた、皆で行こうな?」

ルリ「…うん!」

翔の言葉に、ルリは笑顔を見せた。そして、一同はチェックアウトを済ませ、東京駅行きのバス停が停まるバス停へと向かう。メンバー達がバス停へと向かう中、翔はこっそり引き返した。そして、客を見送るスタッフ達に……

翔「俺らを歓迎し、もてなしてくれて…ありがとう。最高の青春を味わえた。」

と、お礼を言った。

スタッフ「いえ、とんでもございません。お客様をおもてなしする……それが、我々の仕事ですから。」

スタッフ達は笑顔を浮かべる。

翔「…また来ても、良いか?」

小春「はい!いつでもいらしてくださいね♪」

翠「わたしたちは、いつでも歓迎します♪」

スタッフの小春と翠も笑顔を見せる。

翔「…改めて、礼を言わせてくれ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ありがとな。」

その時の翔は、優しい笑顔を浮かべていた。そして、見送るスタッフ達に背を向け、去って行く。

スタッフ「ありがとうございました!!」「お気をつけて!」「また、いつでもいらしてください!」

スタッフ達は、去り行く翔の姿が見えなくなるまで、彼を見送った。

 

 

 

そして、バス停にやって来た翔。

N「あら、翔君…どうしたの?」

翔「…1つだけやり残したことがあってな、さっきやって来た。」

翔はNに言う。

翔「N、お前はやり残したこと、ねぇか?」

N「…えぇ。アタシ、ずっと夢だった青春を味わうことができたもの……悔いは無いわ。」

Nは笑顔を浮かべ、満足していた。

翔「…そうか、良かったな。」

N「本当に良かったわ!また、行きたいわね。」

翔「そうだな。」

そうこうしている内に、東京駅行きのバスが到着した。一同はバスに乗り、席に座った。数分後、バスは東京駅に向けて発車した。段々遠くなっていくハワイアンズを見届け、一同は東京へと帰っていく。翔は遊び疲れたのか、眠ってしまっていた。

愛「……。」

愛は眠っている翔を見て、微笑んでいた。

愛「…楽しかったね、翔君♪また、いつか来ようね♪」

愛はそう言って、彼を優しく撫でた。

ヴーッ、ヴーッ……

愛「…ん?」

愛のスマホが鳴った。メールが来たようだ。愛はメールを見ると……

愛「……♪」

笑顔を見せた。送り主は、ハワイアンズのスタッフからで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『最後に、スタッフ一同にお礼を言っていただけました。本当に素敵な弟さんですね。』

と、書かれていた。




いかがでしたか?今回はここまでです。

もうそろそろ、夏も終わってしまいますね……この時期になると、不思議と寂しさを感じてしまうのは、何故でしょうかね?



この物語の水着回も、一旦ここまでにしておきましょうかね。



では、次回もお楽しみに。

最後まで良い夏を、お過ごし下さい。またね~!
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