〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
Nが亡くなり、悲しみに暮れている翔の前に、あの女性が現れる。この回で、幻想的な楽園の主の名前が、明らかに……!?
本編行きま~す。どぅぞ
翔が目を開けると……また、あの幻想的な楽園に来ていた。楽園には心地よい風が吹き、花々の花びらが舞っている。
翔「……。」
翔は辺りを見回すが、誰もいない。
翔「…おい、いるんだろ?出てこいよ。」
翔がそう言うと、彼の前にあの女性が姿を現した。
???「お帰りなさい。」
翔「お帰りなさいだぁ?バカ言ってんじゃねぇ、ここは俺の家じゃねぇだろうが。」
翔は女性に悪態をつきながら言う。
???「それもそうね。でも……この庭が、アナタの役に立って嬉しいわ。」
女性は翔に言う。
翔「まぁ、今回ばかりは、礼を言う。…力を貸してくれて、ありがとう。」
真顔ながらも、女性にお礼を言う翔。
???「私は力なんて貸してないわ。ただ、私の庭園を貸しただけ。全てはアナタと人形たちが積み重ねてきた感情の賜物。でも、そうね……」
翔「……?」
???「お礼を言われるのは……なんだか嬉しい。」
そう言って微笑みを見せる女性。
翔「単刀直入に聞く。」
???「…?」
翔「お前が--『EsG』なんだな?」
翔は女性に言う。すると……
???「……ふふ。今日は楽しいお話ができそう。」
と、女性は笑った。
翔「質問に答えろ。どうなんだ?」
???「EsGは名前ではありません。私が作り上げた、この空間そのものの名前。」
翔「…何だと?」
???「『ES・GARDEN』--またの名を『果ての庭園』。」
彼女曰く……EsGというのは、翔が今いる空間自体の名前であり、正式名称は『ES・GRIDMAN(果ての庭園)』というらしい。
マキナ「私は此処の管理を務める者。名前は--
--マキナ。」
漸く、名前を名乗った女性。『マキナ』……それが、彼女の名前だ。
翔「マキナ……」
マキナ「アナタがデウスの名を呼んでいるのを聞いて、少しうらやましくなっちゃった。」
翔「……。」
翔(…コイツ、デウスのことを知ってるのか……?)
マキナ「あとで、あの子を呪っておこうかしら。」
マキナは、何やら不機嫌そうな顔をしていた。
翔「お前は本当に何者なん----」
その時……
マキナ「名前を、呼んで。」
と、マキナは翔にお願いしてきた。
翔「…は、はぁっ?」
いきなりお願いされ、困惑する翔。
翔「…マ、マキナ…?」汗
戸惑いつつも、マキナの名を呟く翔。すると……
マキナ「そう、もっと……」
マキナは翔の目の前にいた。
翔「っ!?」
ビックリした翔は、手が出てしまう。
ゴッ!
マキナ「痛っ!?」
翔の手は、マキナの頭に命中した。
翔「きゅ、急に近づくんじゃねぇよ!!ビックリするだろ!?」
翔は軽く過呼吸を起こしながら、マキナに怒る。
マキナ「ご、ごめんなさい!だから、もっと名前を呼んで!!」
翔「分かった、分かったから!!マキナ!!」
慌ててマキナの名を叫ぶ翔。そして……
プツンッ……
翔の視界が真っ暗になった。
翔「って、ちょっと待て!まだ、お前に聞きてぇことが----」
マキナ『時間なら、またいつでも。ずっと、そばにいるのだから。あ、叩いてしまったことは、気にしないで。私が悪かったのだから。』
翔「お前は--お前達は--いったい、何者なんだよ----!」
翔「っ!?」ガバッ!
翔が目を覚ますと、そこは……ドールハウスの医務室だった。
深雪「目が覚めましたか?」
翔「っ!?」
声が聞こえた方を振り向くと、そこには深雪と蜜璃が心配そうな表情で、翔を覗き込んでいた。
蜜璃「翔君、ドールハウスに戻ってきた途端に倒れちゃったから……大丈夫?どこか痛いところとか無い?」
蜜璃は翔に訊ねる。
翔「…大丈夫だ、心配かけたな。」
翔はそう言うと、ベッドから降りる。
蜜璃「寝てなくて大丈夫?」
翔「平気だ……それより、Nは…?」
翔の質問に、深雪と蜜璃は思わず…言葉を飲んだ。
深雪「N君なら、あそこに……」
深雪の視線の先には、棺があった。翔は棺の方に行き、覗き窓を見る。そこには……優しい顔をしているNの遺体があった。
翔「……。」
翔は目を閉じ、俯いてしまう。深雪と蜜璃は、翔の背中を擦ったりして、静かに彼を慰めた。
その頃、ドールハウスにある観測室では……
翔が不在の状態で、話が行われていた。ちなみに、翔を不在にさせたのは、斑目だ。悲しみに暮れている中では、話の内容が耳に入って来ない……それなら、気持ちを整理する時間が必要だろう、という判断だ。
斑目「皆、改めて…タロスとの戦い、ご苦労だった。」
斑目は翔以外のメンバー達に言う。
斑目「あのとき、あの巨大テアトルの中で何が起こったかは、未だ以て不明だ。」
一海達「「「「……。」」」」
愛「……。」
巨大テアトルの中で起きていたことは、一海達と愛だけは知っていた。だか、口に出そうとは思っていなかった。
斑目「しかし、お前達が掴み取った戦果は、確かなものとして残っている。」
カナ「タロスの骸から、大量のサンプルとパンドラの心臓の回収に成功しました。現在、総力をあげて解析に当たっています。」
タロスの死骸からは、おびただしい数のサンプル…更には、あの“パンドラ”の心臓までも、回収されたのだった。今は、解析班が解析している最中だそうだ。
サクラ「あの…1つ、いいですか?」
ここで、サクラが口を開く。
サクラ「デウスさんの目的は、私たちのギアだって……」
ヒヨ「確かに…言ってた。それに、パンドラちゃんの心臓って……」
シオリ「パンドラの心臓は、まるでギアのように動いていました。」
そして、シオリは斑目に質問をぶつける。
シオリ「…“ギア”とは何なのですか?このギアは本来、誰のものなのですか…?」
その質問に、斑目は……
斑目「ドールに関しては未だに謎が多い。そういうもの、としか説明ができないな。」
と、言った。彼女でも、まだ分からないことが多いそうだ。
斑目「今は、まだ、な。
確かに、色々と話していないことはある。だが、それをここで言うつもりはない。時が来たら必ず話す。今は--断じて、その時期ではない。」
斑目の言葉に、カナは険しげな顔をした。
サクラ「…わかりました。斑目さんを信じます。」
ナナミ「私は納得いかないですけど…まあ、今のところは空気読んでおきます。それに、翔さんがここにいませんし、私たちだけ知るのも、何だか嫌な気がします。」
斑目の言葉に、メンバー達は複雑な様子だか……渋々ながらも、納得した。
斑目「----助かる。」
斑目はメンバー達に言う。
斑目「現在、池袋の汚染度を調査中だ。結果がでるまでは、1度、解散とする。」
斑目はメンバー達に解散を促した。メンバー達は解散し、観測室から出た。メンバー達全員が退出したことを確認したドールハウス3巨頭は、医務室へと向かった。
その頃、医務室では……
翔はNの遺体から離れず、ずっと近くにいた。
コンコンッ……
深雪「はい。」
斑目「斑目だ、カナと片山もいる。」
深雪「どうぞ。」
深雪がそう言うと、ドールハウス3巨頭が医務室に入った。室内には、Dollsと元ストライカー達、更に一海達もいた。
翔「……。」
翔はずっと、俯いたままだ。そんな彼の元に、愛が向かう。
愛「……翔君。」
翔「……。」
愛「……ごめんね……N君を…助けられなくて……」
翔に謝罪をする愛。
翔「……。」
未だに、黙っている翔。
斑目「……青空。」
Dolls「…翔さん…」「翔君……」「……翔…」
元ストライカー「隊長さん…」「…隊長殿…」「隊長サン…」
カナ「…翔君……」
一海達「翔……」「翔さん…」「…翔ちん。」
メンバー達は、酷く落ち込む翔を心配していた。
翔「……Nの奴、『オカマ』とか『オネェ』って言うと、すっげぇ怒ってたよな……」
愛「…うん。」
翔の話に、メンバー達は耳を傾ける。
翔「……任務にも協力してくれて、めちゃくちゃ助かったよ……」
愛「…うん。」
翔「…色んな表情を、俺たちに見せてくれた……けど……」
翔は顔をあげると、メンバー達の方に振り向く。
翔「……笑っている顔しか、浮かんで来ねぇんだ……」
翔は寂しそうな顔をしながら言った。彼の頭には、Nの色んな笑顔だけが浮かんで来ていた。
N『ホント!?…や、やったわ……やったやった!!やったわぁぁああああああ!!』
翔に受け入れられた時に、見せた笑顔……
N『あぁ、遂に…青春を味わえるのね♪』
N『…えぇ。アタシ、ずっと夢だった青春を味わうことができたもの……悔いは無いわ。』
N『本当に良かったわ!また、行きたいわね。』
ハワイアンズで青春を楽しんだ時に、見せた笑顔……そして……
N『…翔君……こんな、アタシを……受け入れて、くれて……ありが…と……う…………』
Nの最期の笑顔……
悲しみに暮れる翔からは、Nの笑顔が離れずにいた。
翔「俺……Nが死んだのが……未だに、受け入れられねぇ……何で、Nが……」ポロポロ……
翔は再び涙を流す。
愛「…翔君…っ!!」ギュッ!
そんな彼を、愛は抱きしめることしかできなかった。他のメンバー達は、かける言葉が見つからず、黙り込んでしまっていた。
Nの葬儀はドールハウスで行われ、ドールハウスの関係者、ルリ、元ストライカー達、一海達……そして、翔はNの死を痛み…そして、悲しんだのであった。
いかがでしたか?今回はここまでです。
ドラマ『信長協奏曲』の要素を入れました。皆さん、どこだかわかりましたか?
次回も、お楽しみに。