〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。



今回は、池袋浄化ライブ終了後の話を書きました。

では、行きましょうか。本編へどうぞ


第百二十五話 後日談~友との別れ~

池袋浄化ライブが成功したことで、一先ず池袋は安全となった。

 

 

 

ある日の朝、翔は早く起きると……こっそりドールハウスを抜け出した。彼は、いったい…どこへ行くのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔がやって来たのは、とある小さな墓である。ここには、池袋で命を落とした友人が眠っている。翔は花を供えると、墓の前でしゃがみ……語り出す。

 

 

 

翔「……N…お前、酷すぎるぞ?

 

 

あんなに明るい性格のお前が…俺たち差し置いて、先に逝っちまうなんて……

 

 

まだ、俺たちと……やらなけゃいけねぇこと、沢山あっただろう…?」

それは、『転生者 N』の墓だった。身寄りのなかった彼は、ここに埋葬されたのだった。

 

翔「…ハワイアンズに行った時……お前、言ってたよな…?

 

 

『本当に良かった。また行きたい。』って……

 

 

それは、叶わなかったな……

 

 

お前は…俺を、責めないでいてくれたけど……

 

 

俺は、未だに……自分を、責めちまうよ……

 

 

ドールハウスの人達も…元ストライカー達も…ルリちゃんも……皆、悲しんでた……

 

 

その原因を作ったのは……俺なんだからな……」

翔の目からは、大粒の涙が、溢れ始めていた。

 

翔「……天でも地でも…お前の持ち前の、オネェキャラで……そっちの人達に、笑顔……届けてくれよな?

 

 

それと…こんなこと、言って良いのか……分からねぇけど………俺は……俺は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……俺は…お前を……『友』だと、思っていたよ…!」

翔は涙を堪えきれず、俯いて泣き出す。

 

翔「……あの時、身体を張って……俺を庇ってくれたんだってな……

 

 

すまない…すまない……本当に、すまなかった…!

 

 

謝っても、当然……赦されることじゃねぇ……でも、言わせてくれ……本当に、すまなかった……

 

 

そして……ドールハウスを、明るくしてくれて……

 

 

俺の、友でいてくれて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ありがとう…っ!!」

翔はNの墓の前で、Nにお礼を言い……泣き崩れた。そして1人、声を上げて泣いていた。

 

 

 

1人、悲しみに暮れる彼を、近くで見守る者達がいた。

一海「…翔。」

一海達だ。

友香「…翔さん…!」

友香は翔を慰めに行こうとするが、

トンッ……

友香「…っ!?」

紫「……。」

紫は黙って友香の肩に手を置き、静かに首を横に振った。

諒芽「友香、気持ちは分かる……だけど、今は……そっとしてやろう。」

諒芽も友香にそう言う。友香は黙ってそれを受け入れた。そして、翔が泣き止むまで……一海達と待っていた。

 

 

 

翔は10分も泣き続け、漸く泣き止んだ。だが、彼の目は赤くなっていた。

翔「……すまなかったな、N……みっともねぇとこ、見せちまって……でも、俺は……大丈夫だからさ、心配せず……ゆっくり休んでくれ。」

翔は立ち上がり、

翔「……じゃあな、N。」

Nの墓から立ち去って行く。そんな彼の前に、一海達が姿を見せた。

翔「……。」

一海達「「「「……。」」」」

一海達は、翔にかける言葉が見つからず…黙っていた。

翔「…見ていたのか?」

翔は一海達に問う。

一海「……ご、ごめん。」

観念したのか、翔に謝罪をする一海。

翔「…別に、謝ることはねぇよ。むしろ、謝んのは俺の方だ……悪かったな、みっともねぇとこ見せて……」

紫「お前の言ったことをそのまま返す。翔、謝ることはないぞ?」

翔「…フッ、ブーメラン飛ばしちまったか……」

翔はそう言って、歩き出す。一海達も歩き出し、翔の横に並んだ。

諒芽「翔ちん。俺たちのこと、ちょっとだけ……ほんのちょっとだけでも良いからさ……時には、頼ってくれよ。」

翔「……。」

友香「私たち、もう友達ですから……微力ですけど…いくらでも、翔さんの力になりますよ。」

翔「……。」

紫「翔。何か困ったことがあれば、いつでも頼ってくれ。どんな些細なことでも構わない。」

翔「……。」

一海「また友達同士で、語り合おうぜ、翔!」

翔「……っ!」

一海達の言葉を黙って聞いていた翔だが、また涙が溢れ出す。

翔「…バカ野郎……泣かすんじゃねぇよ…!」ポロポロ

そして、一海達に悪態をついてしまう。その後……

翔「……ありがとう……一海…紫…友香…諒芽……っ!!」

涙ながらに、一海達にお礼を言った。一海達に心を開いた翔は、彼らと再び『トモダチ』になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

N(……。)

そんな彼らの背中を、Nは見送っていた。

N(翔君……アタシが死んだことを、こんなにも悲しんでくれていたのね。)

姿が見えなくなったNは、嬉しそうな顔をしていた。

N(それに、アタシのことを……友達だと思ってくれていたなんて、嬉しかったわ……やっぱり翔君は素敵……アタシの目に、狂いは無かったわ。)

そこに、

ヘルメス(…N。)

ヘルメスが現れた。

N(…神様。)

ヘルメス(ジャドウの中で唯一己の過ちを認め、行動を改めたのはお前だけだ。お前はまだ……天国へ行く余地はある。)

ヘルメスはNにそう言うが……

N(……。)

Nは静かに首を横に振ると、こう言った。

N(神様……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシを、地獄へ送って欲しいの。)

ヘルメス(…え?)

N(アタシが更正したって……アタシが犯してきた罪は、消えることは無いわ。翔君に出会う前、アタシは多くの人から幸せを奪って来た……そんなアタシに、天国に行く資格なんて無いわ。だから、アタシを……地獄へ送って頂戴。)

Nは真剣な表情でヘルメスに言う。

ヘルメス(……N。)

N(アタシは、翔君のおかげで…自分の過ちに気付くことができた……行動を改めることができた……それに、翔君と出会って……夢だった青春を、味わうことができたわ。アタシは、幸せだった……もう、悔いは無いわ。)

ヘルメス(…本当に、それで良いのか?)

ヘルメスは口角を下げながら、Nに問い掛ける。

N(…良いのよ。だってアタシは、罪を償わなければいけないもの。)

Nは切なげな笑顔をしていた。

N(…でも……)

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

N(…でも……翔君とお別れだなんて……寂しいわね……こんなアタシを、受け入れてくれた……優しい翔君と、ここでお別れだなんて……寂しいわ……)ポロポロ

Nは大粒の涙を流し、翔との別れを惜しんだ。

ヘルメス(……N、私に考えがある。)

ヘルメスは泣いているNに、とある提案をした。彼の提案とは、果たして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、一海達と別れ、ドールハウスに帰って来た翔。斑目とカナにめちゃくちゃ心配されたが、

翔「トモダチのとこに行ってた。」

と、告げ、その場を去って行った。

その後、屋上にある庭園へと足を運び、ベンチに座っていた。

翔「……。」

「翔く~ん。」

翔「……?」

翔が振り向くと、そこには……

蜜璃「ここにいたんだ。」

深雪「こんにちは、翔君。今日は良い天気ですね。」

愛「翔君。」

蜜璃、深雪、愛が優しい笑顔を翔に向けていた。彼女達は翔の近くに移動する。

愛「朝早くからどうしたの?」

翔「……Nのとこに、行ってたんだ。」

蜜璃「…N君のところに?」

翔「……あぁ。まだ、アイツに伝えてねぇことがあってな……それを、伝えに行ってた。」

愛「…そっか。」

翔の話に耳を傾ける愛と蜜璃と深雪。

翔「…届いてると、良いんだけどな……」

そう言って、空を見上げる翔。

深雪「…翔君。」

深雪は翔に話しかける。

翔「…?」

そして、翔の右手を優しく包む。

深雪「…翔君の思いは、きっと届いてますよ。」

翔「…本当か?」

愛「うん、本当だよ、ほら。」

愛は翔にある物を見せた。それは、こちらに向かって明るい笑顔を見せるNの写真だった。

翔「…!」

翔は少し驚いた。

翔「……。」

そして、優しく微笑むと……再び、大空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔(……ありがとな…N。)

 

 

 

ED~DA PUMP『Bright! our future』~♪




いかがでしたか?今回はここまでです。



これにて、メインストーリー『Case 1(第二章)』は、終わりになります。この小説は、まだ終わりではありませんよ!?

次は、『Case 1(第三章)』に入っていきます。まぁ、その前に……疲れているであろう翔やドールハウスの関係者達に、旅行にでも行って貰おうかな。



ちなみに…この小説のED曲は、私イチオシのライダーソング『Bright! our future』にしてるんですけど……翔達にいつか、明るい未来が訪れることを願って、この曲にしました。



次回も、お楽しみに。

では、またね!

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