〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
やさぐれショウ「ねぇ、翔?」
翔「あん?」
やさぐれショウ「弓削さんが何者か知って、ビックリした?」
翔「…いや、薄々感じていた。」
やさぐれショウ「…まじ?」
翔「でも、驚かなかったってのは嘘だ……まさか、黒崎さんの友人って予想が的中するとは思ってなかったし。」
やさぐれショウ「成る程ね。今日は所長さんとご対面だよ。」
やさぐれショウ「んでは、どうぞ。本編に、ね?」
翔「…。」
弓削を事務所前に連れてきた翔は、
翔「ここで待っててくれ。」
と、弓削を待機させ、ドアをノックする。
『はーい?』
翔「青空だ。斑目さんはいるか?」
『あ、今はここにいないんです。』
翔「…そうか。まぁ良い、客人だ。」
すると、ドアが開き……
カナ「翔君?」
1人の若い女性が出てきた。青い服装に、ヘッドホンと首にはマイクのような物を装着しているのが特徴だ。
翔「南田さん、俺の知り合いの知り合いの『弓削 明良』さんだ。」
翔はカナに弓削を紹介する。
弓削「はじめまして、弓削です。」
カナに自己紹介する弓削。
カナ「はじめまして、弓削 明良さん。私は南田 カナと申します。」
カナも自己紹介すると、綺麗なお辞儀をした。
翔「立ち話は疲れるだろ?さ、入ってくれ。」
弓削を事務所に案内する翔。
カナ「あ、翔君。お茶菓子は私が用意しますよ?」
翔「大丈夫だ。あんたも仕事で疲れてんだろ?それに、弓削さんをここに呼んだのは俺なんだ。」
翔はカナにそう言うと、せっせと茶菓子を用意した。そして、湯飲みにお茶を入れると、
翔「弓削さん、茶でよければいただいてくれ。」
と、弓削の元に持ってきた。
弓削「あぁ、ありがとう。」
翔にお礼を言う弓削。
翔「南田さんも、良かったら飲みな?」
カナ「ありがとうございます、翔君♪」
カナはお茶を持ってきた翔にお礼を言う。そこに、
コンコンッ……
カナ「はい。」
斑目『斑目だ。』
カナ「はーい、どうぞー。」
ガチャッ……
斑目「失礼する。」
斑目が事務所に入ってきた。
翔「お、やっと来たか。」
斑目「おぉ、青空じゃないか。どうしたんだ?」
翔「客人だ。」
翔は弓削の近くに歩み寄ると、
翔「俺の知り合いの知り合いの『弓削 明良』さんだ。」
と、弓削を紹介する。
翔「ドールハウスの所長『斑目 セツナ』さんだ。」
そして、弓削にも斑目を紹介する。
弓削「弓削 明良です、お初にお目にかかります。」
斑目「所長の斑目だ、よろしく頼む。」
弓削と斑目が互いに自己紹介した所で、
翔「斑目さんも座ってくれ。弓削さんについて話しておきてぇことがあんだ。」
翔は斑目を空いている席に案内し、お茶を入れて持ってきた。そして、自分の席に座り……話し始める。
翔「さて、本題に入るぞ?前に、『黒崎 拓斗』さんらがここに来たこと、覚えているか?」
翔は斑目とカナに尋ねる。
斑目「あぁ、覚えている。」
カナ「確か、翔君とどのようにして接していけば良いか…私たちにアドバイスをしてくれましたよね?」
翔「そうだ。弓削さんは、その黒崎さんの友人なんだよ。」
翔がそう言うと、
斑目「そ、そうだったのか!」
カナ「そうでしたか!弓削さん、先程は失礼しました!」
斑目とカナは目を丸くして驚いた。
弓削「いえ、お気になさらず。」
翔「ところで弓削さん。あんた、昔はどんなことをしていたんだ?……って、まずは俺の過去を話す必要がありそうだな。ていうか、見せた方が早ぇか。」
翔(女神様、いるか?)
翔はテレパシーでアフロディーテに語りかける。
アフロディーテ(はい、どうしました?)
翔(弓削さんに、俺の過去を見せて欲しい。)
アフロディーテ(分かりました、少しだけお待ちくださいね?)
アフロディーテはテレパシーでそう言うと、翔達の前に姿を現した。
斑目「お前は…!」
カナ「め、女神様!?」
アフロディーテ「お久しぶりです、斑目さん、南田さん。」
アフロディーテは斑目とカナにお辞儀をする。
翔「今から弓削さんに、俺の過去を見せる。んじゃ、女神様。」
アフロディーテ「はい。」
アフロディーテは1度手を叩いた。
その時、翔の過去が映像として映し出された。時空管理局の職員に、半ば無理矢理…五稜館学園に連れられ、やむを得ず隊長となった。初めはストライカー達と馴染めていたのだが……ある日、彼女達は毎日のように翔に罵詈雑言を浴びせるようになった。そして、彼女達の仕打ちは次第にエスカレートしていく……ある時には、翔の身動きを封じ、殴る蹴る…更に、剣等の武器を使って彼に暴力を振るい……ある時には、充分な証拠も無い中で翔に言い掛かりをつけ、皆の前で土下座をさせ、その様子を見ては大爆笑し……ある時には、翔が大切にしていた仮面ライダーの人形を、彼の目の前で破壊……更に、ある時には殺害予告まで……何故、彼女達がこんなことをしていたのかというと…翔の前任の隊長が、とんでもなく歪んだ人物であり、その隊長から理不尽な仕打ちをずっと受けていたのだ。その報復として、現隊長の翔に理不尽な仕打ちをするようになったのだ。いつの日か、彼女達と分かり会える日が訪れる……この時の翔はずっとそれを信じ、味方のストライカー(今の『元ストライカー』)達に支えられながら、精一杯ストライカー達に尽くしてきたが……遂に、限界が訪れた。
それは、ストライカー達全員に休暇を与え、一人で学園を掃除していた時、食堂で一枚の手紙を見つけた。それを見てみると、そこには……
『時空管理局とストライカー達がグルを組み、隊長である翔を徹底的に追い詰めるように。』
と、書かれていた。これを見た瞬間、彼の精神はボロボロに破壊され……ストライカー達に尽くしてきた意味が分からなくなり……彼は悲しみや苦しみ、憎しみ等といった、様々な負の感情に包まれた。そして、ストライカー達に黙って、隊長を辞め……時空管理局の本性をビデオカメラで映像として撮影し、ネットで世間に暴露したのだ。結果……時空管理局が隠していた数々の不祥事がどんどん明らかになり、世間から信頼されなくなった。これをニュースで見て、スカッとしていた翔だったが……ある日、ストライカー達が自分を探していることを知り、行動をしようとしたが……次の日、何故か五稜館学園に連れ戻されていた。五稜館学園から脱出に成功したが、しつこく追ってくるストライカー達に次第に追い詰められ、仲間達と突き放され……最後は海に身を投げて、命を落とした。
死後、ヘルメスとアフロディーテに出会い、悪質転生者『ジャドウ』討伐の使命を背負い、【プロジェクト東京ドールズ】の世界に転生した。そこで、Dollsと斑目、カナ達に出会ったが、中々人を信じられず、彼女達を罵倒することもあった。だが、彼女達にありのままを受け入れられ、漸く彼女達心を開くことができて今に至る。
弓削「……。」
翔「今のが、俺の過去だ。」
翔の過去を見た弓削は、言葉を失っていた。
翔(斑目さんと南田さんには、もうこれは見せたくねぇな……)
アフロディーテ(大丈夫です、お二人には見えないようにしましたから。)
翔(…助かる。)
テレパシーで会話をする翔とアフロディーテ。彼としては、もう自分の過去をドールハウスの関係者達には見せたくなかった。
弓削(16歳の少年にとって、こんなの……あまりにも悲惨だ…悲惨すぎる……!)
翔「さて、弓削さん。あんたの過去を教えて欲しい。ただ、知られたくないことがあれば、それは教える必要はねぇ。女神様と打ち合わせでもしていてくれ。」
翔は弓削にそう言うと、お茶を啜った。
弓削「女神様。彼には私が色々な組織に報復していた過去を教えて欲しい。消防士としての過去は、まだ教えずに……」コソッ
アフロディーテ「分かりました。」コソッ
弓削とアフロディーテは簡単に打ち合わせをし、
アフロディーテ「では、こちらが弓削さんの過去です。」
アフロディーテは1度手を叩き、弓削の過去を映し出す。
それは、彼が中学2年生の頃の記憶……
友人が金を巻き上げられた挙げ句、袋叩きにされていたことを知り、怒りに燃えた。しかも、加害者側は、なんと……クラスの教師と協力していたのだ。教師まで一緒になっていたため、その友人は生きる希望を失い、絶望していた。怒りに燃える弓削は、加害者側に復讐するため、計画を練って実行した。その結果……
学校からは苦情の電話が毎日ずーっと鳴りやまず…教師陣や校長は頭を抱える事態となった。それだけではなく…イジメに関わった連中は、全員やつれた表情をしたり、顔にアザや傷がついたり等していた。彼らに加担していた教師も、職員会議から総スカンされたり…周りから無視されたりしてる始末。その上、彼らの家には毎日の様にイジメに対する怒りの手紙が送られたりしている。仕舞いには、イジメ主犯の一人が……
イジメ主犯A「俺らが悪いのは分かった…被害者にも謝るから…助けてくれないか…?」
と、助けを弓削に頼んできた。そんな甘い考えを持った彼に、弓削は……
弓削「自業自得だろ、お前らを助ける気なんて俺は無い!とっとと消えろ、目障りだ!!」
助けを求められた奴に対して冷たい言葉を良い放った。しかし……
イジメ主犯A「頼むよ…お前、あいつと仲良かっただろ…だからさ…。 俺、正直辛いんだよ…親から殴られたり…休みたいって言っても無理に行かされたり…登校や下校の際に周りの人から物を投げられたり…暴言言われたり…。」
と、イジメ主犯Aは弓削に言う。だが、イジメを受けていた弓削の友人は…買いたい物も…何もかも買えずに…挙げ句の果てにボロボロにされた。しかも誰に相談しても…誰も助けの手を差し伸べてくれない…誰に相談することも出来ず…孤独で辛い毎日をずーっと…過ごしてたのだ。そのため、弓削は主犯Aに…
弓削「ふざけんな!!! 何で俺に頼み込む? 本人に直接言えば良いだろうが、バカが!!! 言っとくけど、お前らに"蜘蛛の糸"なんて俺もあいつも垂らす気は無いからな!!! 謝って許せるなら、こんな事態になってねえだろうが!!!!! 学習しろ、クズが!!!!!!」
と、言い、突き放した。加害者側の末路として……主犯達全員は失踪、取り巻き達は精神的に壊れ、全員が引きこもり。そして問題の教師は…教員免許剥奪の上に懲戒免職…主犯達と同様にどこかへ失踪したらしい。
当時の弓削にとっては良い気味だった。そして被害者の友人は、イジメられる事が無くなったからか性格は明るくなり、弓削以外にも友人が出来たりして、その後は順風満帆な学校生活を送ることが出来たそうだ。
学校側は急遽記者会見を行い、
校長「本当に…申し訳ありませんでした!!」
イジメが有った事を漸く認めた。
そして弓削はこの一件以来、周りからはかなり怖がられた存在になってしまい、話し掛ける時も、話し掛けられた相手はビクビクして話すくらいになってしまった。だが、その一件以来からか…
イジメを受けてた生徒「君のお陰で…イジメが無くなった…本当に感謝の言葉しか無いよ…!! ありがとう、本当にありがとう…!!」
イジメを受けてた生徒の母親「貴方のお陰で娘が…助かりました…本当にありがとうございました…!!」
その他にもイジメ被害者もイジメを受けなくなり、その人やその両親からはヒーローのような扱いをされ、生徒会長選には前代未聞の満票で弓削は半ば強引に生徒会長をやる事になった。学校自体も弓削が卒業するまでの間は、イジメ自体が学校中から無くなり平和な学校生活を送る事になった。あの主犯達と教師は…結局、卒業式まで姿を見せる事は無かったそうだ。
弓削「これは、私が中学生の頃の過去だ。」
翔「…ほぅ。」
翔は驚くどころか、落ち着いていた。
弓削「青空君…やけに落ち着いているが……驚かないのか?」
翔「あんたのやったことには、正直驚いたよ……ま、俺もあんたと似たようなことをやったしな。」
そう言ってお茶を啜る翔。
弓削「君は……確か、『ストライカー』だったかな?」
翔「…おぉ。」
弓削「彼女達に追われているんだろう?」
翔「…そうだが?」
弓削「奴らを再起不能にさせようとは、思わないのか?」
弓削のこの質問に、翔は少しだけ黙り込んだ。そして、口を開く。
翔「…いつかはそうしてやるさ……いつかな……」
低い声で言う翔だが、その表情は暗く冷たいモノだった。
斑目「青空、あまり一人で抱え込まなくても良いんだぞ?」
カナ「私たち、微力ながらも…いくらでも力になりますから。」
翔「分かってる、ありがとうな。」
斑目とカナに言葉をかけられ、翔は冷たい表情から無表情になった。その後、やって来たDolls達にも弓削を紹介し、弓削とドールハウスの関係者達との間に、信頼関係が芽生え始めていた。
いかがでしたか?今回はここまでです。
翔「俺から少しだけ話すことがある……この物語の作者が、『IF~心に深い傷を抱えし者~』っていう物語を書き始めたんだ。まぁ、もしもの物語なんだけどな……それだけだ。」
やさぐれショウ「俺が言いたかったことを代わりに言ってくれてありがとう。」(苦笑)
翔「俺に礼を言うな。礼を言うなら『アーサー』さんに言いな?」
翔「次回も楽しみにな?
それと、アーサーさん。またコラボしてくれてありがとうな。」