〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
愛「ねぇねぇ、翔君?」
翔「…?」
愛「グリード達のコアメダルを回収してたけど……」
翔「…自分で確かめたらどうだ?俺も確かめるためにここにいるんで……この物語を……グリード達のことを……」
翔「さて、じゃあ見てみるか。本編をな?」
この日は、涼生の護衛の最終日だった。
翔「…邪魔するぞ。」
愛「おはようございます、会長。」
涼生「青空君!ドクター片山!よく来てくれたね!!」
涼生は二人を出迎えた。
翔「それで、“アイツら”はどうなったんだ?」
涼生「あぁ、実体を取り戻すことに成功したよ!!見てみるかい?」
翔「……。」コクッ
涼生「少し着いてきてくれ。」
涼生は翔をとある場所に案内する。愛は不思議に思いつつ、翔と涼生の後を着いていく。
愛「ねぇ、翔君?アイツらって…?」
翔「来てみりゃ分かる。」
涼生の案内でやってきたのは、鴻上ファウンデーションの社員寮だった。
カザリ「お、来た来た。」
ウヴァ「あ、何だぁ?」
何と、倒されたはずのグリード達の姿があった。
ガメル「おれ、まだメズールと一緒にいられる…!」
メズール「それにしても、鴻上ファウンデーションの会長さん……貴方も物好きね。」
涼生「君たちを蘇らせたのは確かに私だが……それを提案したのは、青空君だ。」
涼生の言葉に、「えっ!?」と驚くグリード達。
翔「お前達に尋ねるんだが……ここ最近、何か変わったことは無かったか?」
ウヴァ「そういや……ガメルから貰う駄菓子の味が分かるようになったな。」
ウヴァがそう言うと、
メズール「そう言えばそうね。」
カザリ「あぁ、確かに。」
ガメル「あ、そうだった。」
他のグリード達も同じ反応をする。実は、グリード達を蘇らせ、人間の食べ物の味が分かるよう、特殊なメダルを彼らに使ったのだ。それを提案したのは、翔である。
メズール「ねぇ、アマゾンの坊や?」
翔「…?」
メズール「どうして私たちを蘇らせようと思ったの?私たちは敵対していたのに……」
メズールは翔に尋ねる。
翔「…別に、お前達が可哀想だなんて、微塵も思っちゃいねぇよ……ただな……
……『人間の世界』を、お前達にも体験して貰おうと思っただけだ。便利な物はあるし、美味い物だってある……目で見るだけじゃなくて、実際に触れてみたりして、全身で感じて欲しい……「人間の世界も、良いもんだ」ってな。」
翔はそう言うと、そっぽを向いた。
カザリ「成る程ね……まぁ、僕もガメルからよく駄菓子を貰っていたから、人間の食べ物には興味があるよ。」
カザリはそう言うと、ガメルから貰った駄菓子の1つを食べ始めた。
ガメル「みんな、お菓子を美味しいって言ってくれて…おれ、嬉しい。おれも、お菓子を美味しいって思える。」
ガメルは嬉しそうな顔をしていた。
ウヴァ「青空って言ったよな……今回ばかりは、お前に感謝する。言っておくが、今回だけだからな!!」
カザリ「そんなこと言っちゃって~…本当は嬉しいんでしょ?」
ウヴァ「う、うるせぇ!!俺はちっとも嬉しいとは思ってねぇぞ!?」
メズール「話が矛盾してるわよ、ウヴァ……」汗
ガメル「みんなが嬉しいなら、おれも、嬉しい!!」
グリード達は口々に言うが、その顔は嬉しそうだった。
翔「…おい。」
翔はグリード達に言う。
翔「…お前達、もう悪さはしねぇか?」
メズール「…そうね。私はもう悪さをするのはおしまいにするわ。」
ガメル「おれも、悪さしない。」
カザリ「人間の世界に興味あるし、社会勉強のためにも、悪さはやめるよ。」
ウヴァ「……仕方ねぇな…分かった、もう悪さはしねぇよ。」
翔「……。」
翔はグリード達の目をじっと見る。彼らは、目をそらすことは無かった。そんな彼らの態度を見て、翔は……
翔(よし、コイツらももう…悪さはしねぇようだな。)
と、思った。
涼生「…素晴らしい……青空君、君の提案は実に素晴らしい!!」
翔「こうでもしねぇと…俺の欲望は満たされねぇよ……」
翔は背を向けたまま、涼生に言う。
愛「…優しいね、翔君は。」
愛は翔に優しく微笑む。
翔「…笑わせんじゃねぇよ。昨日までは、ギタギタにしていたんだ。」
ガメル「……翔?」
ガメルは翔に近付くと、
ガメル「これ、あげる。」
駄菓子を1つ、翔に渡した。
翔「…お前」
ガメル「お前じゃなくて、おれ、『ガメル』。」
翔「あ、あぁ…悪い……ガメル、一体どういうつもりだ?」
ガメル「おれ、翔と、仲良くできるかな?」
翔「さぁな。」
ガメル「仲良くなりたいから、これ、あげる。」
翔「気持ちだけで良いのによぉ……だが、ありがたく頂戴するよ。」
翔はそう言うと、ガメルから駄菓子を受け取った。
翔「じゃあ、これ、お返しだ。」
そして、ガメルに『仮面サイダー』を渡した。
ガメル「それ、なぁに?」
翔「サイダーって言う飲み物だ。シュワシュワするんだぜ?」
ガメル「しゅわしゅわ?」
ガメルはサイダーを開けると、さっそく飲み始める。
ガメル「っ!!」
翔「どうだ?」
ガメル「お、美味しい……それに、しゅわしゅわだぁ~♪」
初めて飲むサイダーに、ガメルは満足していた。そんな彼を見た翔は、思わず微笑んだ。
メズール「そんなに美味しいの?」
翔「気になるなら、飲んでみな?ほら。」
メズールに仮面サイダーを渡す翔。
カザリ「僕も貰って良いかな?」
翔「良いぜ。」
カザリも翔から仮面サイダーを貰った。
ウヴァ「……。」
翔「…お前も飲むか?」
翔はウヴァに仮面サイダーを渡す。
ウヴァ「……お、おう。」
ウヴァはサイダーを受け取ると、さっそく飲み始める。
ウヴァ「う、うめぇ…!!」
メズール「あら、美味しいじゃない。」
カザリ「うん、丁度良い甘さだね。」
グリード達は皆、仮面サイダーに舌を巻いていた。
涼生「青空君、今日で私の護衛は終わりになるんだが……何か欲しい物は無いかね?報酬金とは別でな。」
翔「……ねぇよ。俺の欲望は既に満たされた……一時的だがな。だから、何もいらねぇよ。」
涼生「そうか、分かった。だが、これだけは渡させてくれ……
…護衛してくれて、ありがとう。」
涼生は翔にお礼を言った。
翔「……。」
翔は何も言わずに、寮を去っていく。
愛「翔君ったら…素直じゃないな~。」
涼生「ははは、それも彼の個性なんだろう。」
愛「じゃあ、会長。あたしもこれにて失礼致します。」
涼生「うむ、ドクター片山もありがとう。」
その時、
ガメル「翔……また、遊びに来てね?」
ガメルは翔に言った。翔はガメルに背を向けたまま、彼にグッドサインを見せた。
愛「じゃあ、グリードの皆も元気でね。」
カザリ「あぁ、また会おうね。」
メズール「えぇ。」
ガメル「うん、またね~♪」
ウヴァ「……。」コクッ
鴻上ファウンデーションから去っていく翔と愛を、涼生とグリード達は彼らの姿が見えなくなるまで見送った。
後日、ドールハウスにて……
鴻上ファウンデーションから、新作スイーツが贈られてきた。コアメダルをモチーフにしたチョコレートである。他にも、キャンディーやビスケットもある。
サクラ「凄いですね、まるで本物みたいです!!」
ナナミ「こんなに細かく再現してるなんて……鴻上ファウンデーション、恐るべし…」
アヤ「仮面ライダーのロゴクッキーなら作ったことあるけど、流石にここまでは再現できないわね。」
蜜璃「メダルの形をしたお菓子かぁ~……可愛い!!」
深雪「こんなに贈ってくださると……何だか、申し訳ないですね。」
カナ「これ、皆で食べましょうか♪」
斑目「そうだな、休憩の時に頂くとしよう。」
メンバー達は鴻上ファウンデーションの新作スイーツに、舌を巻くのであった。
愛「…?…手紙?」
愛は1枚の手紙を見つける。
蜜璃「どうしたの、愛ちゃん?」
愛「あぁ、鴻上会長からの手紙を見つけたんだ。」
手紙を見ると……
『青空君は、本当に良い子だった。依頼をこなしてくれただけでなく、グリード達にも生きるチャンスを提供してくれた。そんな彼の姿に、心を打たれたよ。今後、何か困ったことがあれば、いつでも連絡してくれ。ドールハウスと鴻上ファウンデーションとの間に生まれた信頼関係に、ハッピーバースデー! 鴻上 涼生』
と、涼生の直筆で書かれていた。彼の直筆の手紙に、愛は思わず笑ったのであった。
いかがでしたか?今回はここまでです。
愛「そうだったんだね。」
翔「人間の世界の素晴らしさってのを、アイツらにも知って欲しかっただけだ。」
やさぐれショウ「翔らしいやり方だな。」
翔「う、うるせぇよ…」
愛「…素直じゃないなぁ。」
やさぐれショウ「あははは…次回も、お楽しみに~」