〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
今回は、翔とシオリの回でございます。優しく、聞き上手な性格でDolls達の心の拠り所になっている彼女も、一匹狼に優しく接していく。
では、どうぞ
この物語は、サクラがDollsに加入し、翔がDollsに心を開く前の物語……
ドールハウス、女子寮にて…
ミサキ「…。」
ミサキは目を閉じ、何やら考え事をしているようだ……そんな彼女に、
シオリ「ミサキさん?」
シオリが話しかける。ミサキは目を開く。
ミサキ「シオリ、ちょうどよかったわ。少し、相談があるのだけど…」
シオリ「はい、いいですよ。」
ミサキは、3日前に翔と接し、自分なりの翔への接し方を全て話した。
シオリ「…そうなんですね。」
ミサキ「えぇ、それで私…翔さんに不快な思いをさせてしまったみたいなの…」
シオリ「ミサキさん、翔君に『答えていただけると』って言ったって、先程言ってましたよね。」
ミサキ「…えぇ。」
シオリはミサキに言う。
シオリ「そう言ってしまいますと、相手は…『ミサキさんの質問に、“絶対に”答えなければいけないのか』と思い、不安を抱いてしまうかと…」
ミサキ「…そうなのね…」
ミサキは口角を下げる。
シオリ「今度、また翔君とお話をするとき、『答えたくないことがあれば、答えなくても大丈夫です。』と、事前に説明をすると良いと思いますよ?」
ミサキ「成る程…あらかじめ保険を備えておけば、翔さんも安心するかもしれないわ…ありがとう。シオリに相談して、よかったわ。」
ミサキは口角を上げた。
シオリ「ふふっ、良かったです。」
シオリは微笑むと、「では、失礼しました。」と言い、部屋を出た。そして、散歩に出掛けた。
その頃、翔は……
翔(おぉ、これは…!)
とある自然公園に来ており、オンラインショッピングアプリ『アマゾン』で、仮面ライダーの変身アイテムを見ていた。
翔(『エイムズショットライザー』まで、発売されているのか!)
翔は注文するか迷ったが…
翔(…買うのは、また今度にするか。)
注文をせず、スマホを閉じた。
翔は噴水の方を見る。周りには、スズメ達がおり、「チュンチュン」「チュクチュク」と鳴いている。
翔「…。」
翔はスズメ達を見るのをやめ、再び噴水を眺める。そこに…
シオリ「あら、翔君♪」
シオリがやって来た。
翔(またDollsか…どんだけ来んだよ……)
シオリ「翔君、隣に座ってもいいですか?」
翔「…勝手にしろ。」
翔は吐き捨てるように言う。シオリは微笑むと、彼の左隣に座った。翔は噴水を眺めている。
シオリ「ふふっ、翔君♪」
翔「…。」
翔はシオリを無視して、噴水を眺め続いている。
シオリ「こうして、翔君に会えて嬉しいです♪」
翔「…俺はちっとも嬉しくねぇよ。」
シオリ「そうですか。」
シオリは翔を見て、微笑んでいた。彼にどれだけ冷たいことを言われても、彼女は全てを受け止め、ありのままの翔を受け入れている。そして何より…翔と会話が出来たことに、喜びを感じていた。
シオリ「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。私はDollsチームAのリーダー、『シオリ』と申します。“シオリン”で構いませんよ、なんちゃって♪」
翔「…。」
シオリは自己紹介をしてみせたが、翔は彼女を無視して噴水を眺め続けている。
シオリ「少し、お話でもしませんか?」
翔「…お前に話すことなんてねぇ。」
シオリ「それでも構いません。それと、答えたくないことがあれば、無理に答えなくても大丈夫です。」
翔「…。」
翔はシオリにつき合うことにしたが…内心、彼女を警戒していた。
シオリ「翔君?」
翔「…?」
シオリ「3日前、ミサキさんと接してくださって、ありがとうございました♪」
翔「…向こうから話しかけて来たんだろ…」
シオリ「そうなんですけど…ミサキさんは、翔君が私の言葉に耳を傾けてくれたと、嬉しそうに話していましたよ♪」
翔「…んな事知るか。」
素っ気ない反応をする翔。彼はシオリの方に視線を向けず、噴水の方に視線を向けていた。シオリは、話題を変えてみた。
シオリ「私、最近は『仮面ライダー』にはまっているんです♪」
それは、翔の大好きな『仮面ライダー』の話題である。しかし、翔は反応を示さないが……
翔(何だ…コイツも、ライダーが好きなのか…)
シオリの話に少し興味を持ち、耳を傾けていた。女性とあまり話をしたことがなかった翔にとって、“仮面ライダー女子”は未知なる話相手である。
シオリ「昭和の仮面ライダー全員の変身ポーズを覚えたほどなんですよ♪ちなみに私は、『仮面ライダーV3』が好きです♪翔君は、どんな仮面ライダーがお好きですか?」
翔「……ゾン…」
シオリ「…?」
翔「……アマゾンだな。」
シオリ「アマゾンですか、他のライダー達と違って、野性的な戦闘が魅力的ですよね♪」
翔「…。」コクッ
シオリの言葉に相づちを打つ翔。
シオリ「モチーフはオオトカゲで、主な必殺技は『大切断』、『アマゾンキック』、そして『スーパー大切断』で、ベルトではなく『ギギの腕輪』で変身するライダーですよね♪」
翔「…なぁ。」
翔はシオリに話しかける。
シオリ「…っ!どうしました、翔君?もしかして私、翔君に嫌な思いをさせましたか?」
シオリはハッとし、心配そうに翔に訊ねる。
翔「そうじゃねぇ…お前は、怒らねぇのか?」
シオリ「…それは、どういう…?」
翔の質問に、困惑するシオリ。
翔「お前は、一生懸命話をしてるが…俺はお前に視線も身体も向けていないんだぞ?怒らねぇのかよ?」
今の翔はシオリに身体を向けていないが、視線を向けている。
シオリ「…ふふっ、怒りません♪」
翔「…何故?」
シオリ「だって、翔君は私の話に、一生懸命耳を傾けてくれていますから♪」
翔「…それはお前の思い込みだろうが…」
シオリ「翔君からすると、そう思うかもしれません…でも、私の「翔君は、どんな仮面ライダーがお好きですか?」という質問に答えてくれましたよね?」
翔「…それがどうしたって言うんだよ?」
シオリは微笑み、
シオリ「それは、翔君が相手の話に耳を傾けているという証です♪」
と、翔に優しく言った。彼女の聖母のような微笑みは、周囲を和ませるが…
翔「…そうか。」
翔は視線をそらし、噴水を眺める。
シオリ「では、私はそろそろ行きますね。」
シオリはベンチから立ち上がると、翔に向きを変え、彼の斜め左側にしゃがむ。
シオリ「翔君。私と話をしてくれて、ありがとうございました♪」
シオリは翔の視線と同じ高さにあわせ、彼にお礼を言った。
翔「…。」
翔もベンチから立ち上がり、何も言わず、シオリに背を向けてその場を去っていった。シオリは翔の姿が見えなくなるまで、彼を見送った。
いかがでしたか?今回はここまでです。
今回は、ジャドウは登場しませんでしたが、番外編でもチラチラ登場させるつもりです。
次回は、翔とヒヨの回になります。お楽しみに。
では、またね