〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
謎の仮面ライダーを『アバドン』と呼んでいた登史郎だったが……Z達に怪我を翔とVは、どこへ運ばれたのか……?
では、本編へどうぞ
翔「……ッ?」ハァッ………ハァッ………
どれぐらい意識を失っていたのだろう……ゆっくりと意識を取り戻してきた翔は、ほのかに感じる温かさで目を覚ました。
翔「…………。」
翔(あの謎のライダー達は……Vは……どこだ……?)
翔は身体を起こそうとするも、思うように動かなかった。首を少し持ち上げて自分の身体を見ても、特に拘束はされていなかった。ただ、丁寧に手当てされていた。
翔(縛られてねぇなら…まだマシか……)
その時……
「翔君。」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。その直後……翔の視線から見て左側からひょこっと誰かが顔を見せる。
翔「…ッ…!」
そこにいたのは……
深雪「目が覚めましたか、翔君?」
優しい笑顔を見せる深雪だった。続いて……
蜜璃「翔君、大丈夫!?」
心配そうな表情を浮かべる蜜璃も翔に顔を見せた。
翔「……そこに…座りたい……」
翔は壁際を指差す。
蜜璃「あ、うん分かった…翔君、ちょっとごめんね?」
蜜璃は軽々と翔を抱えると、彼を壁際に寄りかからせた。
翔「……。」
蜜璃「気になるとこはない?」
翔「…大丈夫。」
翔は壁に寄りかかった状態になったところで……
翔「…胡蝶さん…七草さん……何で、ここに…?」
と、深雪と蜜璃に尋ねる。
深雪「翔君が心配だったので、来ちゃいました。」
蜜璃「私も、翔君が心配で…つい……」
翔「つい、来ちゃいましたって……」
深雪と蜜璃の返答に困惑する翔。
翔「…なぁ…Vは、どこに…?」
深雪「彼女なら、そちらに。」
深雪の視線の先を見てみると、丁寧に手当てされたVが、寝息を立てていた。
翔「…無事なのか?」
蜜璃「うん、命に別状は無いよ。」
翔「…そうか、良かった…」
翔は緊張が解けたのか、壁に深く寄りかかった。
蜜璃「あ、そうだ。翔君、お腹空いてない?何か軽食作るよ?」
翔「…あぁ、頼んでも良いか?」
蜜璃「分かった、すぐ作るね。」
蜜璃はカセットコンロと小さな鍋を用意すると、軽食を作り始めた。
深雪「翔君。これ、温かいココアです。飲みますか?」
深雪はマグカップに入ったミルクココアを翔に渡す。
翔「…ありがとう。」
深雪からココアを受け取った翔は、ゆっくり少しずつ飲み始めた。
翔「…ふぅ。」
蜜璃「翔君、ベーコンとウインナー焼いたよ。」
蜜璃が盛り付けた紙皿を持ってくる。そこには、一口サイズにカットされたベーコンやウインナーが並んでいた。
翔「…ありがとう、そこに置いといてくれ。」
蜜璃「うん。」
翔の指定された場所に、軽食を置く蜜璃。
翔「…聞きてぇことがあんだけど、良いか?」
翔は軽食を食べながら、深雪と蜜璃に尋ねる。
深雪「大丈夫ですよ?」
蜜璃「何でも聞いて?」
そして、翔は…突如現れた2人の仮面ライダーについて…覚えている限りの特徴をできるだけ具体的に伝えたる。
深雪「…うーん、私にはよく分からないです。お力になれず、申し訳ありません。」
蜜璃「灰緑色で、黄色い目…一人が右肩のアーマーと首元のパイプが赤、もう一人は青……うーん……」
深雪と蜜璃では分からないだろうと感じた翔は…
翔「そういや…珠美って名乗ってきた女が『アバドン』って言ってたような……」
…と、ボソッと呟いた。
蜜璃「あばどん(?)……って、何…?」
深雪「『ヨハネの黙示録』に登場する天使の一種で、ヘブライ語で「破壊の場」「滅ぼす者」「奈落の底」を意味するんです。また、奈落の主とも言われていまして、奈落の鍵を管理し、千年もの間サタンを閉じ込めていたそうですよ。」
深雪の説明に「へぇ~、そうなんだ!」と納得した様子の蜜璃。
翔「……。」
深雪「翔君、先程話してくださった仮面ライダーに、こう名付けるのはどうでしょうか?
その名はアバドン、『仮面ライダーアバドン』です♪」
翔「…仮面ライダー、アバドン……まぁ、いいんじゃねぇの?」
蜜璃「仮面ライダーアバドンかぁ~、何だかカッコいいッ!!」
深雪の提案により『仮面ライダーアバドン』と名付けられた謎の2人の仮面ライダー達。
深雪「あ、そうです。」
翔「…?」
蜜璃「どうしたの、深雪ちゃん?」
深雪は少し頬を膨らませ、翔に言う。
深雪「私、怒っているんですよ、翔君?」
翔「…あれか。勝手に医務室を抜け出したことだろ?」
深雪「そうです。どうして抜け出したりしたんですか?」
怒っていると言った深雪だが、声は優しい。
翔「墨田区があんな状況になっちまったんだ…じっとしてられなかったんだよ。」
墨田区のシンボルであるスカイタワーでは、シレーヌの影響で、一般市民達による殺し合いが発生し、多くの犠牲者が出てしまったのだ。そんな中での検査入院は、翔にとっては無理な話だった。
翔「それに…俺は害特の連中を信用できん……シレーヌ取り逃がすわ、防衛大臣は至極名言という名のくだらねぇセリフをほざくわ……とにかく、信用なんてできん。」
今の翔は、害特を信用していない様子。
深雪「そうですか…まぁ、とにかく今日はゆっくり休んでくださいね?」
翔「わかった、流石にこんな身体じゃ戦えねぇし……」
その後、Vも目を覚まし、この場で少し身体を休めた後、ドールハウスへと戻った。
愛「翔君、傷だらけじゃん!どうしたの!?」
ドールハウスについた時、愛は翔を心配した。
翔「少し油断した…」
愛「少しどころじゃないよ!!と、とにかく医務室に!!」
翔「分かったから…後、
V「あ、初めまして…私はVです。」
愛「あたしは『片山 愛』、これでも医者なんだ。えっと、Vちゃんは翔君の知り合いかな?」
翔「まぁな。」
愛はVをドールハウスに招き入れ、医務室で治療することになった。斑目もカナも初めはビックリしていたが、翔の説明もあり、Vは翔のボディーガードとなった。
その頃……
Y「おい!箒達はまだ来ねぇのかよ!?」
X「知らないよ…まぁ、洗脳済みだし…その内戻って来るでしょ?」
Z達はとある廃墟に身を潜め、身体を休ませていた。
Z「……。」
終始不機嫌な様子のZは、眉間にシワを寄せていた。
Z(くそが…たかが量産型ライダーごときに、このオレが……負けるはずが無い!!あんなの、まぐれだ…まぐれに決まってる!)
既に負けているにも関わらず、心の中で負け惜しみをしているZ。
Y「くそ!オレは待てん…お前らが探さねぇなら、オレ1人で箒達を探して連れ戻してやる!!」
X「勝手にすれば?」
Y「おいZ!お前も行くだろ!?」
Z「黙れ!オレは今、機嫌が
Y「ッ!!…この腰抜け共が!!」
イライラが収まらないYは2人にそう吐き捨てると、箒達を探しにどこかへ行ってしまった。続いて、Xも立ち上がる。
X「オレもオレで好きにやらせてもらうよ。」
Z「何?…X、貴様裏切るのか!?」
X「裏切るも何も、オレらは初めから仲間じゃないでしょ?いつまで寝惚けてるのさ?ヒロイン達がいなくなった今、Quartzerは終わりさ。」
Xはそう言うと、立ち去っていった。
Z「ッ!!!!」ガッ!!
Zは足元に転がっていたポリタンクを蹴飛ばす。
Z「…ふざけるな、ふざけるなふざけるなフザケルナ!!」
Z(アイツら、騙していたのかオレを…ずっと…!…これも、全部青空 翔…貴様のせいだ!貴様だけは、絶対に殺す!!)
今のZには、翔に対する殺意だけが原動力となっていた。洗脳して自分のモノになった推しのヒロイン達を失い、Quartzerは静かに崩壊していった。
いかがでしたか?今回はここまでです。
その名はアマゾンではありません。その名は“アバドン”です。
次回も、お楽しみに