〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。



現在、翔とDollsの仲はあまり良好とは言えない……そんな中、ミニライブの日が迫っている。しかし……

では、本編へどうぞ


第百八十九話 約束とメンバー達の戸惑い

シミュレーションルームには、案の定……シミュレーターを最高難易度に設定し、幻想ピグマリオンや幻想妖魔等の敵をがむしゃらに薙ぎ倒すミサキとヤマダ、そんな彼女達と共に敵を薙ぎ倒すユキの姿があった。

翔「……。」ハァ……

翔(大丈夫なのか、コイツら……)

シミュレーターを使っている3人を見て、翔はため息をついてしまう。

ヤマダ「ふぃ~……あぁ、実戦じゃあないと、何かつまんねぇっすねぇ……」

ミサキ「…同感ね。」

ユキ「……。」

3人の様子を見てみると……暗い感じだった。

ユキ「…あ、翔さん。」

ユキの言葉で、ミサキとヤマダも翔の方を向いた。

翔「お前らに伝言だ……」

3人「「「……。」」」

 

翔「ライブは3日後…構成はまだ何も決まっていない。」

ヤマダ「うへぇ…相変わらず無茶言うっすね~……」

翔「後は、俺個人からお前らに伝えておく。」

翔はミサキ、ユキ、ヤマダの3人にこう言った。

 

翔「シレーヌにより、心に傷を負った者は大勢いる。そして、お前らDollsのパフォーマンスを楽しみに待っている者も大勢いる。その事を、忘れるなよ?」

 

彼もシレーヌの影響によって、あの大事件が起こってしまったことに、心を痛めていた……そして、彼自身もDollsのパフォーマンスを楽しみにしているのだ。

翔「それと、あまり無理をするなよ?」

ユキ「ありがとうございます、翔さん。」

翔「……あぁ。」

この時の翔には、心配事が1つあった。それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔(ヤマダはともかく…ミサキがライブレッスンに積極的に取り組まなくなってる……ユキもちょっと心配だな……)

 

約2ヶ月、ミサキとユキとヤマダの3人は翔に『必ずライブを成功させる』と“約束”をしたのだった。しかし、現段階の彼女達の行動から…翔は次第に3人を疑うようになってきていた。

ミサキ「…翔さん。あの時の約束、覚えていますか?」

翔「…あぁ、お前ら…必ずライブを成功さけてくれるんだろ?」

ヤマダ「そういや、そんな約束してたっすね。」

ユキ「はい、私も覚えています。」

 

翔「…約束、守ってくれるか?」

 

翔の問い掛けに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミサキ「はい、約束は守ります。」

ヤマダ「ま、そうっすね。」

ユキ「私も、頑張ります。」

 

と、3人は答えた。

翔「…信じてるぞ。」

翔はそう言うと、シミュレーションルームから去っていった。

 

 

 

シミュレーションルームから去った後、翔は女子寮に向かっていた。その道中……

V「お兄さん。」

Vと深雪と蜜璃と会った。

翔「どうした?」

蜜璃「胸が苦しくなったりとか、してない?」

翔「大丈夫だ。それに……」

何やらポケットをゴソゴソし始める翔。

 

翔「もしもの時のために、コイツを持ち歩くようにした。」スッ…

 

そして、彼が取り出したのは……

 

3人「「「た、卵…?」」」汗

 

卵だった。

翔「ただの卵じゃあねぇ……半熟ゆで卵だ。」

彼が携帯しているのは自分で作った『ゆで卵(半熟)』だ。深夜辺りから、胸が苦しくなり……ダブチがその場に無かったのか、やむを得ず生卵を食べた。すると、胸の苦しみが治まったので、今朝からゆで卵を作り、持ち歩くようにしたのだ。

翔「俺はこの後、Dollsの寮に向かう。あんたらはどーすんだ?」

深雪「そうですね…でしたら、私たちも付き添って良いですか?」

翔「良いぞ?」

V、深雪、蜜璃は翔の後を着いていく形で、Dollsの寮へと足を運んだ。

 

 

 

寮の玄関につき、ドアをノックする。

 

コンコンッ……

 

『はい!』

ドア越しからは、サクラの返事が聞こえてくる。

翔「俺だ。後、Vと胡蝶さんと七草さんもいる。」

『はーい、どうぞー!』

入室許可が出たため、翔、V、深雪、蜜璃の4人は寮に入る。

 

ガチャッ……

 

翔「邪魔するぞ。」

サクラ「……あ、翔さん!Vさん、深雪さん、蜜璃さん!」

入ってきた4人を歓迎するサクラ。

サクラ「あの、翔さん……」

翔「…?」

サクラ「ミサキさんの様子は……」

サクラは翔に、ミサキの様子を尋ねる。

 

「…私が、どうかした?」

 

その時、蜜璃の後ろからミサキが姿を見せた。

蜜璃「ひゃわっ!?み、ミサキちゃん…!」

思わずビックリする蜜璃。

サクラ「ミサキさん!あ、あの、パウンドケーキ焼いたんです!シオリさんにお茶をいれてもらって…一緒に食べませんか?」

ミサキをお茶に誘うサクラ。だが……

 

ミサキ「……遠慮しておくわ。」

 

ミサキはサクラの誘いを断ってしまう。

サクラ「え……」

ミサキ「ただでさえ、任務がなくなって体がなまりがちだから。ウエイトコントロール、しっかりしておきたいの。」

そして、寮から出ていってしまった。

サクラ「み、ミサキさん……!」

ショックを受けるサクラの近くに移動する翔。

翔「アイツ…シミュレーター・バトルでも、ずっとあんな調子だった…」

サクラ「…ミサキさんの気持ち、分からなくはないです。いままで一生懸命やってたことが、全部無意味だって言われてるみたいで……」

翔「……。」

深雪「……サクラさん。」

サクラの話に口角を下げる深雪。

サクラ「だけど、私たちにしかできないことがなくなったわけじゃない。」

翔「……。」

サクラ「そう…ですよね……?」

不安そうに翔に尋ねるサクラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「あぁ……俺は、そう信じている。」

 

今の翔がサクラにかけられる言葉は、これしか無かった。『分からない』と言ってしまえば、かえってサクラを……彼女のみならず、Dolls全員を余計に不安にさせてしまうと感じたからだ。

蜜璃「わ、私も…私も、信じてるよ。」

蜜璃も翔と同じ意見を口にする。

 

シオリ「…私も、ですよ。」

 

そこに、シオリがやって来る。

サクラ「シオリさん…!」

シオリ「ミサキさんは人一倍、ピグマリオンとの戦いに深い想いがありますから。」

シオリの言葉を耳にした翔は…

 

翔「俺はまだ、その理由を知らねぇ。何がアイツをそこまで駆り立ててんだ…?」

 

と、シオリに聞く。シオリは少し黙り込み……語り始める。

 

 

 

シオリ「----約束。ミサキさんを縛っているのは『約束』です。」

翔「…約束だと?」

シオリ「私の読みが甘かったです。ミサキさんは、まだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……チヒロさんのことを--」

 

翔「……?」

翔(チヒロ……まさか……)

シオリ「あっ、ごめんなさい。今のは失言です。忘れてください。」

慌てて言うシオリだが……

翔「……。」

翔だけは、シオリの言葉に……『チヒロ』という言葉に、引っ掛かっていた。

シオリ「ミサキさんなら…大丈夫。戦闘活動の禁止……すぐに飲み込むことはできないかもしれない。だけど、本当に大事なものを投げ出すほど、弱い心の持ち主ではありません。」

シオリの言葉に、不思議と安心感を覚えるサクラ。

 

シオリ「大丈夫。必ず戻ってきてくれますよ。チームAのエース。No.1ドールですもの。」

サクラ「そう、ですよね…きっと……いつかは……」

 

シオリもサクラも、ミサキが戻ってくることを信じ続けていた。

サクラ「今は信じるしか、ありませんよね…」

チームAに出来ること……それは……メンバーを信じることだった。

 

 

 

その頃、チームBは……

 

レイナ「ワン・ツー、スリーエンフォー…」

レッスンに励んでいた……と、思いきや……

ナナミ「…あのー…」

レイナ「ここでターン、それからボックスステップ--」

ヒヨ「レイナちゃーん…」

レイナ「……まだ、曲の途中よ。」

レイナのみがレッスンをしている様子だった。その理由は……

 

ナナミ「いやいや…ぶっ通しで1時間、踊り続けてますよ…?」

ヒヨ「ヒヨ、もう腕が上がらないよー…」

 

1時間…休憩することなく、ずっと踊り続けていたため、ナナミとヒヨはもうヘトヘトだった。しかし、レイナだけは無理して踊り続けているのだ。

愛「レイナちゃん、流石にもう休んだ方が良いよ…無茶は体に毒だよ?」

愛も心配してレイナに言う。レイナが時計を見てみると…

 

レイナ「あら……」

 

レッスン開始から、既に1時間が経過していた。どうやら、彼女は時間を忘れていたようだ。

レイナ「…ごめんなさい。私としたことが、休憩を忘れていたわ。充実したパフォーマンスに、適度な休憩は必要不可欠よ。」

そう言うレイナに、笑顔を見せるヒヨとナナミと愛。だが……

 

レイナ「ふたりは、少し休んでいて。私はその間に、全体フォーメーションを愛さんと練っておくから。」

 

レイナはまだ休まないようだ。ナナミとヒヨと愛は、レイナの言葉にビックリして言う。

ナナミ「えっ…ちょ……そうじゃなくてですね…!」

ヒヨ「さっきから、レイナちゃんが1番いっぱい踊ってるんだよ?」

レイナ「……。」

ヒヨ「いっしょに休憩しようよー!」

愛「そうそう、ヒヨちゃんの言うとおりだよ!ね、レイナちゃん?一緒に休もうよ。」

レイナを説得し、休ませようとしても……

 

レイナ「ごめんなさい、それはできないわ。」

 

レイナに拒否されてしまう。

レイナ「チームA、チームCが問題を抱えているいま、チームBまで崩れるわけにはいかないの。」

レイナの言葉に、ナナミとヒヨ、愛は黙り込んでしまう。

レイナ「全ては最高のパフォーマンスのため。BESTを尽くす、それがチームBよ。」

ヒヨ&ナナミ「「……。」」

愛「…レイナちゃん。」

レイナ「それじゃあ、ゆっくりね!」

そして、レッスンを再開するレイナ。

愛「あ、ちょっ…レイナちゃん!」

ヒヨ「レイナちゃん…」

ナナミ「BESTって言っても…この状態じゃ限界がありますよ…」

チームBは、『チームB自体』のメンバーが欠けることは無かったのだが……他のチームメンバーが欠けていたことに、戸惑いを隠せずにいた。

ヒヨ「愛ちゃん…ホントに、だいじょーぶなのかなぁ…」

深刻そうな表情を浮かべるヒヨとナナミを前に、愛は何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、翔は……

 

深雪と蜜璃による診察を終え、再び寮に向かっていた。その道中……

あから「やあ、隊長殿。」

元ストライカー達と会った。

翔「おぉ、訓練は終えたのか?」

雪枝「はい、一先ず区切りがついたところです。」

翔「そうか。」

翔(コイツら、シミュレーターで訓練してんのは予想できるが……ミサキらとの模擬戦もやってたりすんのか?)

気になった翔は、元ストライカー達に尋ねる。

 

翔「お前ら、ミサキらと模擬戦することって、あったりすんのか?」

 

モニカ「うん。いやぁ、ミサキさん達結構強くてさ~……1度も勝ったことないよ、あはは。」

モニカは苦笑いしながら答えた。彼女の返答から、ミサキらと模擬戦をしていることが大方判明した。

翔「アイツらに、何か変わったことはねぇか?」

幸子「変わったこと、ですか…?…いえ、今は特に何も…」

翔「そうか、分かった。」

翔はそう言うと、寮に向かうため、再び歩き出した。

 

 

 

コンコンッ……

 

寮の玄関に着いた翔は、ドアをノックしてみせる。

 

ガチャッ……

 

アヤ「あ、翔…!」

翔「よぉ。」

アヤ「来てくれたんだ、あがって♪」

翔「なら、邪魔するぞ。」

アヤに招かれ、翔は寮にあがっていく。

ユキ「あ、翔さん。」

翔「おぉ、邪魔するぜ?」

寮にあがると、ユキも翔を迎え入れた。だが、そこにはヤマダの姿がない。

アヤ「はー、ヤマダのヤツ……」

ユキ「……。」

ヤマダの部屋の方を見るアヤとユキ。どうやらヤマダは、自室にいるらしいのだが……

アヤ「部屋をノックしても、居るんだか、居ないんだか……」

翔「……。」

アヤ「っていうかもはや、生きてるか死んでるかも分かんない。」汗

アヤはそう言うと、ジト目になる。

アヤ「はぁ……どーすんのよ。新曲のダンスだって、まだできてないのに…」

どうやらチームCのメンバーは、まともにレッスンが出来ていないようだ。

ユキ「…わたしたちだけで、練習しますか?」

ユキはそう提案するも……

アヤ「……ってできたらいいけど、無理。歌はともかく、ダンスはフォーメーションだもん。」

ダンスとなると、全員で息を合わせなければならないため、一人が欠けてしまうと…もはやレッスンどころではない。

ユキ「ヤマダさん、部屋にいるとおもいます。」

翔「…どうする?」

ユキ「隠れて見ていたら、どうでしょうか。出てくるかもしれません。」

隠れて観察することを提案するユキ。

翔「…それで行くか。」

アヤ「んー…そうね、それしかないか。」

翔とアヤはユキの提案に賛成した。

アヤ「じゃあ、そこに隠れて…翔もこっちで平気?」

アヤが指定した隠れ場所は、ソファーの裏だ。

翔「問題ねぇ。」

そう言うと、さっそくソファーの裏に隠れた。息を殺して数分間待っていると……

 

ガチャッ……バタンッ…

 

ヤマダ「……。」

ヤマダの部屋のドアが開き、ヤマダが出てきた。

 

タンッ…タンッ、タンッ、タンッ、タンッ……

 

ヤマダ「あー…だる……」

気だるげに言いながら、階段から降りて来た。彼女が向かったのは、冷蔵庫だ。

ヤマダ「水分補給だけはしねーと、命に関わるっすからなー…」

そう言いながら、飲料水を取り出すヤマダ。

ヤマダ「…ゴキュ…ゴキュ…ゴキュ…ぷはぁ……」

飲料水を飲む終えると……

 

ヤマダ「……命にかかわる、か。」

 

と、一人…ボソッと呟く。

 

ヤマダ「…ま、どっちにしろこの状態じゃ、生きてんのか死んでんのか……ひひひひ……」

 

何やら意味ありげな言葉を呟き、生気の無い声で笑っている。

翔「……。」

翔(存在意義を奪われれば、こうなっちまうのも無理はねぇか……)

ソファーの裏に背を預けながら、翔は思った。

 

ピロンッ♪

 

ヤマダ「…?」

スマホを確認するヤマダ。

ヤマダ「おっと、ギルメンが呼んでる。王国へ帰りましょーかね……」

そう言うと、2階に上がり…再び自室へと入っていった。

 

 

 

ヤマダが自室に入った後、リビングに姿を見せる翔とアヤとユキ。

ユキ「…とても、よくない状態です。」

アヤ「あそこまで、廃人化が進んでるなんて……」

翔「……。」

アヤ「ど、どうしよう…アレ、絶対ヤバいよね…?」

いくらメンバーの調子が悪くても……

 

アヤ「ああ、もう…!ライブまで、もう時間がないのに…!」

 

ライブの日は止まることなく、ゆっくりと迫りつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔(ミサキ、ヤマダ……俺は、お前らを信じているぞ……)

そんな状況に立たされた翔は……ただ、彼女達を信じるしか無かった。




いかがでしたか?今回はここまでです。



投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。プレミアムバンダイから届いた商品を弄っていたら……時間を忘れていました……

次回も、お楽しみに
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