〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
いやぁ、アバドライザーは最高だ!!
それは置いといて……レッスンを意欲的に取り組めないメンバー達が現れた。戸惑うメンバー達を差し置いて、ライブの時はヒシヒシと迫りつつある。バラバラになったメンバー達を見た翔も、次第に戸惑いを見せる。
では、本編へどうぞ
今日は事務所に、Dollsのメンバー全員が揃った。
レイナ「EXCELLENT!全員、揃ったわね。」
アヤ「なんとかね……」
シオリ「無理矢理、でしたけど……」
揃った理由として、半ば無理矢理メンバーを連れてきたのだ。そのため、不機嫌そうな顔をするメンバーもいる。
レイナ「いいのよ。全員いることが何より大事。」
メンバー達がここに呼ばれた理由、それは……
レイナ「なぜなら今日は、新曲披露目ミニライブの、全体構成を決める期限なんだもの。」
今日が、ライブ構成決定の期限だからだ。
レイナ「今日決定した構成を元に、照明や舞台効果のスタッフが動くことになるわ。」
アヤ「色々なことは一旦忘れて、みんな、気合い入れて決めるわよ!」
アヤはメンバー達に言う。
ヒヨ「う、うん!ヒヨ、がんばるよー!」
ヒヨが気合いを込めたところで、シオリが資料を配り始める。
シオリ「では、まずは草案をまとめた資料を配ります。」
次々とメンバー達の手元に届けられる資料。一部メンバーが、資料を見てビックリする。
ナナミ「げっ……曲数、10曲!?」
なんと、ミニライブで披露する曲は10曲もあった。その中の一つが、今回の新曲だった。
サクラ「あ、あの…これってミニライブなんですよね…?」汗
困惑しながらチームリーダー達に尋ねるサクラ。
レイナ「ええ、そうよ?」
レイナはそうサクラに返した。
ユキ「…いつものライブと、あんまり、変わりません。」
アヤ「チッチッチ。」
アヤは右の人差し指を左右に降った後、こう言った。
アヤ「確かに曲数は多めだけど、各チーム単独曲が3曲ずつ。最後に全員で新曲やって、フィナーレってワケ。」
アヤの言葉から……チームA、チームB、チームCの単独曲を3つずつの合計9曲…最後はメンバー全員で披露する新曲を入れて10曲だと分かる。
ヒヨ「うわわわわ…!むずかしい曲ばっかりだー!」
資料に目を通し、再び驚くヒヨ。
ミサキ「…レイナ。あなたがこの構成を考えたの?」
ミサキはレイナに問い掛ける。
レイナ「ええ、そうよ。」
レイナはミサキに言う。
レイナ「いまの状況で、最も観客を沸かせることのできる構成のはず。」
これに対してミサキは……
ミサキ「無茶苦茶よ。こんな複雑なプログラム…こなせるはずがない。」
と、言う。レッスンも真面目に、本気で取り組む彼女が…こうして弱音を吐くのは珍しい。とはいっても、いつも通りの日常が奪われているのだから、弱気になってしまうのも無理はないだろう。
レイナ「いいえ、できるわ。
全員が本気で取り組めばね。」
ミサキ「……。」
レイナ「少し前の貴女なら「できない」、なんて言わなかったはずよ。」
ミサキ「…言うわね。貴女。」
レイナの言葉を聞いたミサキは、悔しそうな…恨めしそうな顔をしてレイナを睨む。
ヒヨ「れ、レイナちゃん…」
ナナミ「どうしたんですか、レイナさん。そんな言い方…らしくないですよ…」
アツくなるレイナに、戸惑いを見せるヒヨとナナミ。
レイナ「……。」
レイナが黙り込むと、シオリはこう言った。
シオリ「…できないと思う方は、この場で言ってください。そのためのミーティングですから。」
しかし、「できない」と言う者は、誰一人現れなかった。
アヤ「確かに、この構成なら盛り上がることは間違いない。だけどチーム別の曲が多いから、誰かが欠けたら成り立たないわ。」
アヤの言うように、チーム別の曲は……メンバーが一人でも欠けてしまっては、話にならない。
サクラ「大丈夫…ですよね……?」
不安な気持ちを隠せないサクラ。
ミサキ「……。」
ヤマダ「……。」
ミサキとヤマダは言葉を発することなく……ただただ、黙っていた。
レイナ「…意見がないなら、これで決定よ。ただし、責任はきちんと果たしてもらう。」
レイナはメンバー達に厳しく言った。そして……
レイナ「私は、信じているから。貴女たちの強さを、美しさを。」
最後は、優しくメンバー達に言う。
レイナ「ミニとは言え、大切な新曲披露ライブ。全身全霊で、取り組みましょう!」
一同「「「はい…!」」」
レイナの言葉に、ミサキとヤマダ以外のメンバー達は返事をした。こうして、ミーティングは終わったのだが……
シオリ「……。」
シオリは「大丈夫なのだろうか…」と言うような、心配そうな顔をしていた。その時……
翔「…ちょっと良いか?」
翔が口を開いた。
レイナ「どうしたの、翔君?」
翔「俺からも、お前達に言いてぇことがあるんだよ……なに、説教なんかじゃねぇさ。」
翔はメンバー達の目を見た後、言いたかったことを言い始める。
翔「俺から見ても、このプログラムには無理があるって思う。だが、お前達はその無理があるプログラムを、何度も乗り越えて来た、そうだろ?」
メンバー「「「……。」」」
翔「何故お前達が乗り越えられたか、分かるか?」
翔の言葉に、メンバー達は考え始める。
翔「難しく考える必要はねぇ…簡単なことだ。」
ヒヨ「かんたんな、こと…?」
翔「あぁ。それはな……
……お前らが、真剣に、本気で取り組んできたからだ。」
翔は続ける。
翔「まぁ、途中でダラける奴も現れたが…それでも、途中から本気で取り組んでいた。分からねぇことや困ったことがあれば、全員で助け合って、悩み、苦しみ…最後は笑って……そうやって全員が真剣に、本気になったから、今のお前達があるんだ。それだけは、決して忘れるなよ?」
翔の言葉を、メンバー達は全員、黙って聞いていた。
翔「…俺だって、お前達を信じている。」
翔はメンバー達に笑顔を見せる。メンバー達が見た翔の笑顔は優しかったが……不思議と、どこか悲しげなモノに見えた。
翔「俺からは以上だ。」
翔はそう言うと、メンバー達に背を向けて、事務所から出ていった。
あの後、翔は夜の公園にやって来ていた。
翔(化け物と戦うドールとしてのDolls、アイドルとしてのDolls…今までは、どれも全力で9人のバランスが取れていた。だが、突如として一方を奪われた今--)
翔は俯く。
翔(……アイツらの気持ちが、バラバラになっちまった。)
その時……
???「…翔君。」
背後から聞き覚えのある声がしたため、振り向くと……
翔「…シオリか?」
シオリ「はい、シオリです♪」
シオリが立っていた。
シオリ「静かに考え事をしたいとき、私もここに来るんです。」
どうやら彼女、考え事があってここに来たようだ。
翔「…そうか。」
シオリ「お一人のほうが、考えがまとまりますか…?」
翔「気を使う必要はねぇよ……」
翔はそう言うと…
翔「話を聞いてもらえると、ありがたい。」
と、シオリに言った。
シオリ「……翔君も、戸惑っていますよね。」
翔「…まぁな。」
シオリ「私も、です。」
翔「……。」
シオリ「もう、戦わなくていいと安堵している自分と…なぜ私はここにいるんだろうっていう、不安と…」
翔「…Dollsって、なんなんだ。」
翔は語り出す。
翔「お前は以前、オートギアと同じ駒だと言っていたな。だが…俺はそう思わない。」
翔の言葉に、口角を下げるシオリ。
翔「アイツらは、駒なんかじゃねぇ。生き、悩み、泣き、笑い…お前達が傷つかなくて済むのは、俺にとっても嬉しい。だが……
……運命から解放されるだなんて、あり得ねぇ……」
シオリ「……。」
翔「…すまん。考えがまだまとまってねぇんだ……」
口角を下げる翔。
シオリ「……いいんです、翔君。」
そんな翔に、シオリは優しく言葉をかける。
シオリ「どんな結論になったとしても、私は…いいえ、多分、『私たち』は--
--翔君についていく。」
翔「……。」
シオリ「だから、まずは翔君の本当の気持ちを…ゆっくりでいいんです。固めてください。」
月明かりに照らされるシオリの笑顔は、美しく…優しいモノだった。
翔「…シオリ……」
翔は少しだけ黙り込み……
翔「…考えておく。」
と、告げた。
シオリ「はい♪では、ドールハウスに戻りましょう。皆さんが心配していると思いますので。」
翔「…あぁ。」
そして、翔はシオリと共に、ドールハウスへと戻っていった。
天音「んで、ターゲットは見つかったの?」
リョウコ「それが…全然見つかんないんだ……」
天音「はぁっ!?何やってんのよ、それじゃあ翔を連れ戻せないじゃない!!」
イミナ「っせぇな!そう簡単に見つかりゃ苦労はしねぇっての!!」
その頃、とある廃旅館では……翔を連れ戻したいがあまり、ストライカー達が何やら揉めているようだった。
昇「やめろ!こんなことして何になる!?」
昇が止めに入ったことで、ストライカー達の口論はピタリと止んだ。
昇「青空隊長を連れ戻す方法は簡単なことなんだ…そう焦ることはない。」
真野「確か……子連れの大人を人質にして、隊長に脅しをかけるんでしたよね?」
昇「そうだ。青空隊長は優しい性格だ……罪のない人間を放っておけないはずだよ。」
遥「うん!隊長さんはすっごーく優しいからね!!」
昇(もうすぐだ……もうすぐ、彼女達は救われる……!彼女達を救うには、青空隊長が必要不可欠なんだ……ご対面まで、もう少しの辛抱だ…!)
いかがでしたか?今回はここまでです。
戸惑っているのは、ドールハウスだけではなく……裏切り者達もだった。だが、戸惑う理由は違う……裏切り者達はただ、獲物を捕らえることで…戸惑っていた。
新たに星10の評価をくださった『宇治松切歌』さん、星8の評価をくださった『後州人』さん、ありがとうございます!
次回も、お楽しみに