〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。






第百九十二話 強襲

数十分後、ライブ会場に着いた一同。

アヤ「…いつもながらの満員御礼ね。うれしいわね、こんな時でも。」

会場は、Dollsのパフォーマンスを楽しみにしている客でいっぱいだ。

レイナ「…それだけ人々は忘れたいのよ。」

ヒヨ「悲しいこと……たくさんあったから……」

ヒヨが言うように、悲惨な事件があったことで……墨田区民のほとんどが、心に深い傷を負っているのだ。

ヒヨ「でも……ううん、だからこそ!ヒヨたちが元気をあげなきゃ!」

ヒヨの言葉に、メンバー達(一部を除く)の表情が明るくなる。

レイナ「美しい心がけね。」

 

サクラ「私たちが助けられなかった人たち……せめて、残された人たちの心を少しでも軽くしてあげられるのなら--」

シオリ「頑張る甲斐、ありますよね。」

 

シオリの言葉に、笑顔を見せるサクラ。

サクラ「はい!」

ナナミ「…とはいえ、ハードなライブ構成。いつも以上に連携が必要なステージです。今の精神状態でうまくいくんでしょうかね…」

ナナミの言っていることは最もだ。今のメンバー達の精神状態は不安定である。

ヒヨ「だ、大丈夫だよ!ねっ!みんな!」

ヒヨはそう言うが、

 

ミサキ「……。」

ヤマダ「……。」

 

大丈夫だという保証はどこにもない。

ユキ「はい……」

ユキは渇いた声で、返事をした。

翔「……。」

今の翔にできることは……ただ、彼女達を信じることだけだった。

 

「あっ、みんなー!」

 

その時、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。

ヒヨ「ひよっ!?ルリちゃん!」

声の主はルリであり、会場の出入口から出て来て、こちらに向かってくる。

ヒヨ「きてくれたんだねー!」

ルリ「うん!お姉ちゃんたちの新曲、初披露だもん!」

ルリの言葉と無邪気な笑顔は、Dollsに元気を与えるには充分だった。

ルリ「ルリ!一生懸命、応援する!」

アヤ「ありがとね!私たち、頑張るからね。」

ルリ「うん!じゃあ、また後でね!」

ルリはそう言うと、会場に戻っていった。

 

サクラ「またルリちゃんに元気、もらっちゃったな。」

アヤ「そうだね。くよくよしてらんないね。」

翔「…お前達。観客の想いを、ルリちゃんの想いを……決して無駄にするなよ?」

メンバー「「「はいっ!」」」

 

ライブ開催まで、後少し……

サクラ「…もうすぐ時間ですね。私たちも移動しましょう。」

その後、一同は会場に入り、ステージ裏にある控え場所へと足を運んだ。

 

 

 

サクラ「いよいよ、開演ですね…」

アヤ「ライブ自体は1時間ちょっとだからね。幕が上がればあっという間よ。」

ライブ開催まで、後数十分である。

レイナ「そろそろ、ウォームアップを始めるわよ。みんな、集まって。」

レイナはメンバー達に号令をかける。

ナナミ「ほら、ヤマダさん!いい加減ログオフしてください!」

ナナミはパソコンを弄るヤマダに言う。

ヤマダ「あーもう、いいとこだったのに…」

ヤマダは文句を言いつつも、パソコンをログオフした。

シオリ「ミサキさん…準備はいいですか?」

 

ミサキ「……。」

 

シオリの問い掛けに、ミサキは黙ったままだった。

シオリ「ミサキさん……?」

ミサキ「っ!!……ああ、ごめんなさい。少し考え事をしてたの。」

サクラ「ミサキさん……」

そんなミサキを、サクラとシオリは心配していた。その時……

 

カナ「た、大変です、翔君!」

 

慌てた様子のカナがやって来た。

翔「どうした!?」

カナ「ドールハウスから緊急連絡が…」

翔「何?」

カナ「会場付近で、ピグマリオン反応が検出されたとのことです!」

翔「くそっ、こんな時に…!」

何と、ライブ会場の近くにピグマリオンが現れたのだ。

ミサキ「……!」

翔「害特の連中は何をしているんだ!?」

カナ「害特に出動要請をかけましたが、到着までは時間がかかるみたいで--どうしたら……」

カナは困ってしまう。

翔(何で会場付近に害特を待機させねぇんだよ…無能政府共め…!!)

政府の対応に、翔はますます不信を感じていた。そんな中……

 

ヤマダ「キタッ、キタキタキターッ!」

 

突如声をあげるヤマダ。そして……

ヤマダ「決まってるじゃないっすか!討伐1択っすよ!」

ヤマダの言葉に、

カナ「ダ、ダメですよ!戦闘行為は禁止ですから!」

カナはヤマダに注意する。

ミサキ「では、見殺しにするのですか!」

カナに抗議するミサキ。

カナ「そ、それは……」

言葉を詰まらせたカナを見た翔は……

 

翔「躊躇ってる場合か!害特の連中がやらねぇんなら、俺がやる!」

 

と、ピグマリオン討伐に向かおうとする。

カナ「で、ですが…!」

翔「じゃあどぉすんだよ!?」

ミサキ「止めても無駄です。…行くわよ、ヤマダ。」

ヤマダ「アイアイサー!」

翔とカナが言い争っている隙に、ミサキとヤマダは行ってしまう。

カナ「ちょ、ちょっと!」

翔「あっ!コラ、待て!…南田さん、俺たちも行く!」

どうしようもないことを察したカナは……

 

カナ「……やむを得ません。斑目さんにも緊急事態として連絡しておきます。」

 

急遽、斑目に連絡を取ることにした。

レイナ「もうめちゃくちゃ…!美しくない展開だわ…」

サクラ「自衛隊のみなさんが来れないなら、ほうっておけませんよ!」

アヤ「ああ、もう!何なのよ!みんな、いくわよ!」

自衛隊の対応にイラつきながらも、出撃していくDollsと翔。カナはやむを得ないということで、斑目に連絡を入れた。そして、万が一怪我人が出た時のために、深雪と蜜璃にはここで待機するようにと、カナは指示を出した。




いかがでしたか?今回はここまでです。



狂い始めた歯車は……ゆっくり、確実に…少しずつ、狂っていく方向へと進んでいた。

次回も、お楽しみに
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