〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。



前回は『胡蝶 深雪』が主役の回を書きましたが、今回は『七草 蜜璃』が主役の回です。

では、本編へどうぞ


第百九十五話② SAD STORY『七草 蜜璃』

私は『七草(さえぐさ) 蜜璃(みつり)』!今はドールハウス専属医として働いてるんだ。それは一先ず置いといて…今から私の過去のことを話すね。

 

 

 

私には、両親とお姉ちゃんがいたんだ。当時、私は双子……姉妹の妹だったの。でも、お父さんとお母さんはお姉ちゃんばかりを溺愛していて、私は全く愛されなかったんだ……お誕生日の日は、お姉ちゃんにはプレゼントとケーキはあったのに、私には何もない。親戚からもお姉ちゃんばかりが溺愛され、私は誰からも相手にされなかった。私は、お父さんとお母さんに構って欲しくて、勉強を頑張ったの。小学校では、何回もテストで100点満点を取ったんだ。それをお父さんとお母さんに見せたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父「おい蜜璃!それは朱里(あかり)に対する嫌がらせか!?」

母「蜜璃、お姉ちゃんに謝りなさい!」

 

どういうわけか、怒られた。私が「何で?」と聞いても、お父さんもお母さんも「いいから謝れ」と言うだけ……私は何を謝るのかが分からないまま、お姉ちゃんに謝るしかなかった。でも……

 

朱里「えーん、えーん、蜜璃がアタシを虐めるー!」

 

お姉ちゃんは泣き真似をするだけで、私の話を聞いていないみたいだった。それを見たお父さんとお母さんは私に怒鳴り立て、私を外に放り出した。更に、ご飯も食べさせて貰えなかった。お姉ちゃんだけが優遇される日々が続き、いつしかお姉ちゃんは私を見下すようになった。私が中学生になった頃、お姉ちゃんは私をバカにし、更には宿題を押し付けてくるようになった。

 

朱里「蜜璃ってさぁ、ほんとブスで無能よねw」

蜜璃「えっ?」

朱里「あ、アタシ友達と遊ぶから~、アタシの分の課題やっといて~♪」

蜜璃「えっ!?いやいや、自分の課題は自分でやんなきゃ!!」

朱里「はぁ?何、アタシに逆らうつもり?」

蜜璃「そうじゃなくて!自分の課題は自分でやらないと、力にならないよ!?」

朱里「へぇ…パパとママに言っちゃお~っと。」

 

この時の私は……お父さんもお母さんもお姉ちゃんを叱ってくれると思っていた。でも、現実は違った。

 

母「朱里ちゃんはお友達と遊びたいんだから、朱里ちゃんの課題はアンタがやりなさい!」

父「そうだぞ!朱里は蜜璃と違って天才なんだ!対してお前は、勉強しか能がない無能だからなぁw」

 

お父さんもお母さんもお姉ちゃんを叱らず、私に無茶苦茶なことを言ってくる始末。お姉ちゃんはニヤニヤと笑うだけ……そして、中学を卒業した後……

 

父「蜜璃!今日からこの家を出ていけ!」

 

何故か、お父さんから出ていけと言われた。

 

蜜璃「えっ、どうして!?」

父「お前は昔から生意気だったなぁ!?」

母「私たちの言うことなんかちっとも聞かないし!アンタなんて産むんじゃ無かったわ!」

父「オレもお前みたいなクズを育てたくなかったんだ!!」

 

私はお父さんとお母さんにこう言われた時……今までの自分の努力はなんだったのか、そもそも自分は何のために存在しているのか分からなくなった。お姉ちゃんには色んなことをやらせているのに、私は何もやらせて貰えなかった。「お金が無駄になる。」と言われ、林間学校や修学旅行はもちろん……ましてや、ボランティア体験までさせてくれなかった。

混乱していた私に、お父さんとお母さんはこう言った。

 

父「蜜璃!お前とは絶縁だ!!2度と帰ってくるな!!」

母「私たちの娘は朱里ちゃんだけよ!アンタなんていらないし、居たって邪魔なだけよ!!」

 

一方的に絶縁され、最低限の荷物と共に、私は追い出された。親戚にも相手にされなかった私は、どうしたら良いのか分からず、公園で1人……泣いていた。

 

私を愛してくれる人は誰もいない…

 

私を必要としているところは、どこにもない…

 

ただただ、絶望していた私は……その場で意識を失った。気が付いた時には、病院のベッドで寝てたんだ。病院から先生からは、

 

女医「軽い肺炎をおこしているわね。」

 

と、告げられた。更に、先生は…

 

女医「どうしてあそこに1人でいたの?教えてくれる?」

 

と、声をかけて来た。私は、これまで堪えていた何かが爆発し、泣きながら先生に全てを話した。それを聞いた先生は、私を優しく抱き締め、「よく頑張ったね」と言ってくれた。私は先生の胸の中で、声を上げて泣いた。やがて、泣き止んだ私に先生は……

 

女医「良かったら、私が住んでるマンションに来ない?」

 

と、言ってくれた。流石に私は断ったけど……

 

女医「じゃあ…せめて、貴女の住む場所が見つかるまで居ない?」

 

と、先生は言った。住む家が無かった私は、

 

蜜璃「…でしたら、私……家事も料理も、何でもやります…!…少しだけ、私を置いてください…!」

 

少しばかり…先生の自宅マンションにお世話になることになった。先生は喜んで私を受け入れてくれた。先生の名前は『如月(きさらぎ) 雨音(あまね)』…雨音先生と生活していく上で、私は手料理を雨音先生に振る舞った。すると雨音先生は…涙を流しながら「美味しい」と言ってくれた。後から雨音先生から聞いたんだけど……雨音先生は、料理が苦手だったんだ。今までは外食やカップ麺とかで済ませていたみたい……それで、雨音先生からは…

 

雨音「蜜璃ちゃん、料理人になれるよ!!」

 

って、言ってくれた。でも、私の夢は既に…決まっていた。

 

蜜璃「雨音先生…私は、雨音先生みたいな医者になりたいです!」

 

きっかけは、私が入院している時……病院の先生達も看護婦さん達も、私を助けようと必死で頑張っていた。それが嬉しくて、いつか私も……病気や怪我で苦しんでいる人達を助けたいと思うようになったんだ。

 

雨音「そっか。でも、医者への道は厳しいよ?それでも目指す?」

蜜璃「目指します!どんなに厳しくても、ぶつかって行きます!!」

 

雨音先生は私を応援してくれた。数日後、私は安いアパートを見つけ、そこに住もうとしたんだけど……

 

雨音「蜜璃ちゃん!お願い、ここにいて欲しい!!」

 

雨音先生にごねられちゃって、雨音先生のところに住むことになった。更に、雨音先生は「高校や大学の学費も出す」と言ってくれた。何でも、手料理を振る舞ったことや家事をやったことに対するお礼みたいだった。私は断ったんだけど、雨音先生の押しが強く……結局、断れなかった。私は、雨音先生に感謝したくて勉強も運動も頑張った。勉強では学年トップを維持して、運動では空手部に所属して、全国まで出場して優勝した。それを雨音先生に報告したら…

 

雨音「蜜璃ちゃ~ん!!頑張ったね!ホントに頑張ったね!!うぅっ…ううぅぅっ……」ボロボロ

 

雨音先生は号泣しながら喜んでくれた。初めて努力を認められた私は、嬉しくて…雨音先生と一緒に号泣しちゃった。でも、楽しい一時は突如…終わりを告げることになった。

雨音先生は……通り魔に襲われて、命を落とした…通り魔は逮捕されたんだけど、取り調べで……

 

通り魔『人を殺してみたかった。』

 

って、言ってた……そんな勝手な理由で、何で雨音先生が死ななければいけないんだ……私は、犯人を憎んだ。でも、いくら憎んでも雨音先生は戻ってこない……だから私は、勉強も運動もひたすら頑張った。大学入試では、京都府にある有名な医療大学にトップで合格して、特待生になったんだ。それで、学費が免除になったの。雨音先生のお通夜では、棺の中で眠る雨音先生にそれを報告した……その時、雨音先生の知り合いの弁護士さんがやって来て、遺言書を私に渡してきたの。

 

『蜜璃ちゃん

 

私ね、蜜璃ちゃんと似たような環境で育ってたの。だから、蜜璃ちゃんを助けたいって思ったの。蜜璃ちゃんと一緒に過ごせて、私は毎日が楽しかった。蜜璃ちゃんは優しい性格だから、私の娘だったら良かったのにって、何度も思った。だから、私の遺産は蜜璃ちゃんが使って。大学で勉強できるためにも、友達と遊ぶためにも……蜜璃ちゃんなら、絶対に素敵な医者になれるわ。今までずっと頑張っているんだから、きっと大丈夫!応援しているわ、頑張れ!

 

如月 雨音』

 

遺言書を見た私は、雨音先生の名前を何度も呼んで、声を上げて泣いた。

 

数日後、私は晴れて大学生になって、一人暮らしすることになったんだ。友達にも先生にも恵まれて、楽しい大学生活を過ごせたんだ。現場実習や国家試験を乗り越えて、私は研修医になった。雨音先生を心配させたくなかったから、医療技術や知識を身に付けることに必死になった。私は主に、重い病気で苦しむ子ども達を担当していたんだ。治すことが難しいと言われている病気がある子の手術を担当したこともあった。私は今まで培ってきた技術や知識を奮って、手術に挑んだ。そしたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…その子の病気が、治ったの!私は手術を成功させて、その子を助けることができたんだ!ご家族からは泣いて感謝されて、私も貰い泣きしちゃった。そこから、私は自信を持てて…多くの患者さんを助けることに成功したんだ。気が付いた時には私、『奇跡の三大女医』って呼ばれるようになったんだ。良い意味でビックリしたんだけど……ある日……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元母「蜜璃ちゃ~ん♪」

元父「久しぶりだな!」

 

どこから嗅ぎ付けたのか……私がつとめている病院に、元両親がやって来たの……髪はボサボサで服もボロボロ……お風呂に入って無いのか、変な臭いもする。

 

蜜璃「申し訳ありません、どちら様でしょうか?」

 

私がそう言うと……

 

元母「そんな他人行儀みたいに言わなくても良いじゃない♪」

元父「そうだぞ蜜璃、感動の再会なんだからもっと喜んでくれよ♪」

 

…と、元両親は言う。他人のフリをしても無駄だった。まぁ、どちらにせよ…もう赤の他人なんだけどね……

 

蜜璃「…今更何の用?」

元父「いやいや、実の娘の顔を見に来ただけだぞ?」

元母「そうよ、元気そうで良かったわぁ♪」

蜜璃「…邪魔者扱いして、一方的に絶縁して追い出したくせに。」

元母「それはぁ、敢えて追い出したのよ?」

元父「そうだぞ、お前は褒めるとすぐに調子に乗るんだから、敢えて厳しくしたんだ。いやぁ、お前を追い出して正解だったよw」

 

……は?

 

今、何て言った…?

 

元両親の言葉に、私はとうとう……堪忍袋の緒が切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蜜璃「ふざけないで!!

 

私の怒鳴り声に、その場にいた人達は全員…驚いた様子でこっちを見ていた。でも、この時の私はそんなのお構い無しだった。

 

蜜璃「今までお姉ちゃんだけを甘やかして、私は邪魔者扱い…貴方達に散々な仕打ちをされて、私がどれだけ辛い思いをしたと思ってるの!?」

元父「だからそれは謝るって」

蜜璃「ごめんで済めば警察は要らないよ!!いくら謝られたって、貴方達がしてきたことは消えないんだからね!!」

元母「そんな事言わないで?朱里を追い出すから、また一緒に暮らしましょうよ。」

蜜璃「…は?」

 

元母の言葉に困惑していると、元父が勝手に語りだした。

どうやらお姉ちゃん……高校生になった時から遊んでばかりいて、学業を疎かにしていたみたい……更に、柄の悪い人達と騒ぎを起こして、高校を中退……それ以来、働こうとしないで、両親のお金を食い潰しているらしい……

 

元父「そういう訳なんだ、蜜璃。助けてくれ、な?」

元母「お願い蜜璃ちゃん、昔のことは水に流して…ね?」

 

その言葉を聞いた私は……

 

蜜璃「都合の良いこと言わないでよ!!」

 

元両親に言いたかったことをぶつける。

 

蜜璃「お姉ちゃんがそうなったのも、貴方達が今まで散々甘やかしてきたからでしょう!?都合が悪くなったら見捨てて、都合の良い方に乗り換えようとするなんて…貴方達は子どもを何だと思ってんの!?都合の良い道具じゃないんだよ!!言っておくけど、貴方達がどうなろうと、私には関係ない!!だって、私は貴方達の子ではありませんから!!」

元父「何言ってるんだ!!血は繋がっているだろう!?」

蜜璃「血が繋がってるから家族って訳じゃないんだよ!!一方的に絶縁しておいて、そっちこそ何言ってんの!?血が繋がっていても、関係上『赤の他人』です!!」

元母「ふざけんじゃないわよ!子どもは親を養う義務があるのよ、親の命令には従いなさい!!」

 

ギャーギャー喚く元両親は、狂気に満ちていた。すると、患者さん達が……

 

老人「こりゃあ!蜜璃先生に何をするんじゃあ!!」

子ども「蜜璃先生をいじめるな!!」

患者達「蜜璃先生に近づくな!!」「何が親の命令に従えだ!」「アンタらに、親を名乗る資格なんて無い!!」

 

私のために抗議してくれた。その時、誰かが警察を呼んだみたいで、警察がやって来て…元両親を連行していく。

 

元母「蜜璃ちゃん!お願いだから私たちを助けて!」

元父「今まで悪かった!悪かったから、助けてくれ!!」

蜜璃「私はもう、貴方達の娘じゃありません!!2度と関わらないでください!!」

 

元両親は暴れ続けたため、『公務執行妨害』の罪で現行犯逮捕された。後から聞いた話なんだけど……元父は会社のお金を横領していたこと…元母はスーパーやコンビニ等で万引きを繰り返していたことを知った。当然、彼等は牢屋行きとなり、前科がついた。当分、牢屋から出てこれないと思う……私は、弁護士さんに相談して、元両親と元姉に接近禁止令を出してもらった。元姉は接近禁止令がついているにも関わらず、約束を破り……自宅マンションに乗り込んで来た。

 

朱里「蜜璃!金を寄越しなさいよ!!そしてこのアタシを養いなさいよ!!無能なアンタは、アタシを養う義務があるんだから!!早く、ここを開けなさいよ!!」

 

怖かったので警察を呼ぶと、元姉はすぐに捕まった。その後、窃盗や殺人未遂等の余罪がいっぱい出て来て……30年以下の懲役刑となった。私は引っ越しを済ませ、多くの患者さんを助けるために、仕事に精を出した。その後、東京のとある大きな病院に移動が決まって、そこで深雪ちゃんと知り合ったんだ。壮絶な過去を経験した者同士(?)…で、意気投合して、すぐに仲良くなれたんだ。でもね……『Q』先生によって散々嫌がらせされて、挙げ句の果てには濡れ衣を着せられて、深雪ちゃんと一緒に医療業界から追放されちゃったんだ……

 

絶望していた時、国家機関である『ドールハウス』からスカウトされたの。初めはビックリしたけど、面接を受けることにしたんだ。結果は合格だった。後、斑目 セツナ所長さんと愛ちゃんから聞いた話なんだけど…ドールハウスに専属医を増やそうと提案したのは斑目所長さんじゃなくて、『青空 翔』君だったの。翔君のことは、愛ちゃんから話を聞いていたから知っていたんだ。まさか、翔君が私と深雪ちゃんを引き上げてくれたなんて……実際に翔君と会ってみると、翔君は幼い顔立ちをしていて、とっても可愛いっ!でも、翔君には辛い過去があって…心には深い傷がついてるんだって。愛ちゃんからの注意事項や翔君のフェイスシートに記載されている情報を踏まえて、翔君と関わっていくことになったんだ。関わっていくうちに、翔君が「ヤブ医者をぶっ潰しに行かないか?」って提案してきたの。私と深雪ちゃんは翔君の提案に乗って、Q先生に仕返しすることができた。

 

それがきっかけで、私も翔君に何か手助けをしたいって思うようになったんだ。愛ちゃんが仮面ライダーに変身できることは知っているんだけど……私も『仮面ライダー』に変身できるようになったんだ。なりたくてなった訳じゃ無いんだけど…これで、翔君を手助けしやすくなった気がする!

 

翔君が私と深雪ちゃんを助けてくれたんだから……今度は私が、翔君を助けて見せるよっ!!

 

『医者』として!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『仮面ライダー』としてっ!

 

 




いかがでしたか?今回はここまでです。



蜜璃が抱える悲しみ…医者になった経緯を、ここで書かせていただきました。

次回も、お楽しみに
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