〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
Dollsには、アイドルという『表の顔』と…国家機関の兵器という『裏の顔』がある。メンバー達全員、いつも一緒にいるのだが…今は違った。
では、本編へどうぞ
その頃、ミサキとユキとヤマダは……
ミサキ「戦闘終了、ね。」
ヤマダ「ヨォーッシャアッ!撃滅!殲滅!ミナゴロシッ!ってか……?」
一通り、ピグマリオンの討伐に成功し、戦闘を終えていたのだが……
ユキ「……ヤマダさん。楽しく、なかったですか?」
ヤマダ「……へっ。」
ユキ「……ミサキさん、うまく連携できなくて、ごめんなさい…」
ミサキ「……。」
雰囲気は、あまり良くなかった。
ユキ「あの……今なら間に合います。一緒に戻りませんか…?」
ユキはミサキとヤマダに声をかけてみる。しかし……
ミサキ「…無理ね。髪の毛、ボサボサだし、傷だらけだし。」
と、ミサキは言う。今の3人の状態は、ボロボロだった…だが、まだ戦う気力は残っているようだ。
ヤマダ「そもそも、新曲のレッスン1回もしてねーっすもん。」
ヤマダに至っては、新曲のレッスンに取り組んでいなかったのだ。
ヤマダ「それに----
----ジブンら、翔さんとの約束を破っちまったんですし……」
ミサキ「……。」
ユキ「……。」
ヤマダの言葉に、口角を下げるミサキとユキ。
ミサキ「…そうね……そのせいで、翔さんからは…失望されてしまったわ……」
ユキ「翔さん……とても、悲しそうでした……」
ヤマダ「……翔さん、めちゃくちゃ怒ってたっすもんね。ま、その原因を作ったのはジブンらですけど…」
3人は、翔との約束を破ったことを…今更ながら後悔していた。だが、後悔しても…もう遅い……
ユキ「まだ、蝶が……」
ピグマリオンは倒しても、まだ蝶は残っていた。そんな中で、いや…どのみちライブ会場には戻れない。
ユキ「わかりました……巡回を続けます。」
3人は引き続き、巡回を行うことにした。
その頃、ライブ会場では……
V「……。」
V(お兄さん…大丈夫かな…?)
翔が中々戻って来ないことに、Vは不安を感じていた。
カナ「…翔君、大丈夫でしょうか?」
V「…お兄さんを任されたのに…ごめんなさい……」
カナ「Vちゃん、今は…翔君が戻って来ることを信じましょう。」
カナはVにそう言うも、本心は不安でいっぱいだった。
V「……。」
ライブでは、Dolls全員で歌う筈だった新曲に入ろうとしていた。
カナ「…危ないところもありましたが…みなさん、さすがですね。」
V「あ…いよいよ、最後の新曲…」
翔はまだ戻ってきていない。
ナナミ『残念ながら、次はいよいよ、最後の1曲です。』
ヒヨ『心をこめて、いっしょーけんめー歌うよ!』
サクラ『…では、聞いてください!』
そして遂に、最後の新曲が始まった。ステージで歌うメンバー達の表情は、悲しげだった。バラード曲のため、感情を込めて歌うのだが……そうではなく、本当に悲しそうな顔をしている…この時のVは、そう感じていた。
V「……。」
V(お兄さん…まだ戻って来ないの?)
新曲が始まっても、翔の席には…翔の姿は無かった。
V「ほんとうに、すごい……」
カナ「彼女たちのアイドルとしての能力は、素晴らしいと思います。」
カナの言葉に、思わず頷くV。
カナ「今日のパフォーマンスを見て、ぶっつけ本番だなんて誰も思いません。」
V「…そうね。私も、Dollsのみんなが、大好きになりました。」
Vにとって、今回のミニライブが…ライブでのDollsを見たのは初めてだった。そして、すっかりDollsのファンになっていた。
カナ「……。」
カナ(だったら、いいんじゃないですか…戦わなくても……って、言ったら…翔君は何て言うんでしょうか……)
カナは少し考え事をし始めた。
V「……。」
ルリ「この曲…ルリ、好き…!」
Vの右隣に座っているルリは言う。
ルリ「聴いてると、胸がじわ~って温かくなる感じ!」
V「…そうだね。」
ルリ「ミサミサやヤマダちゃん、ユキちゃん…みんな揃ってたら、きっともっと素敵だよね!」
ルリの言葉に、思わずVは言葉を詰まらせた。ステージには、ミサキとユキとヤマダの姿が無い……その理由を、ルリは知らない。彼女だって、今日のライブを楽しみにしていたのだから、本当のことを言うことはできない。そのため……
V「……そう、だよね。」
と、答えるしか無かった。その後、何事もなく…墨田区ミニライブは無事に終了したのだが…結局、翔がライブ会場に戻って来ることは無かった。
V「みんな、お疲れ様。お客さんたちはみんな、喜んで帰っていったよ。」
ステージ裏に来たDollsに、Vは声をかけた。
レイナ「ふふっ、当然よ。」
レイナは言う。
レイナ「どんなときでも、観客を裏切らない。それがDollsのステージだもの。」
レイナの言葉に、笑顔を見せるメンバー達。
アヤ「あれ、翔が居ないわね……V、翔はどこにいるの?」
V「えっと……」
Vはメンバー達に翔からかけられた言葉を話した。Vはメンバー達に文句を言われると思っていたが……
アヤ「…そう。それが、翔の判断なら…あたし達は何も言わないわ…」
メンバー達がVに文句を言うことは無かった。
シオリ「はあ……さすがに今日はとても緊張しました…」
ライブが終えたことで、緊張が解けたシオリは疲れた顔をしていた。
サクラ「ユキさんのパートを歌ったんですもんね…しかも、決まったの直前ですし!」
サクラが言うように、ユキのパートを歌ったのはシオリだった。ヤマダのパートをレイナが、ミサキのパートをアヤが歌った。
アヤ「もう…ほんっとゴメン!」
アヤはシオリとレイナに謝罪する。
アヤ「ウチのバカふたりのせいでみんなに…特にシオリとレイナにはすごい迷惑かけちゃった。ヤマダとユキが戻ってきたら、今度こそ、ガツンと言っておくから!」
シオリとレイナは怒っていなかった。だが、メンバー達は口角を下げていた。
ヒヨ「ヤマダちゃん、ユキちゃん、それにミサキちゃん……戻って、くるよね…?」
ヒヨの言葉に、メンバー達は不安そうな顔を浮かべる。
ナナミ「来るはずですよ。」
ナナミの言葉は、メンバー達を安心させる……
……そんな都合の良い言葉では無かった。
ナナミ「というか我々の行動は、国土調査院に常時モニタリングされていますから。本気で逃げようと思ったら……
……それこそ死ぬしか--」
サクラ「ダメだよ、ナナミちゃん。そんなこと言ったら……!」
ナナミの言葉に、思わず声をあげるサクラ。
ナナミ「……すいません。」
謝罪するナナミ。
サクラ「大丈夫、3人とも戻ってきます!そして今度こそ一緒に、新曲を----」
ミサキ、ユキ、ヤマダを信じるサクラは、ナナミに……いや、メンバー達に言う。いや、むしろそう言うしか無かった。
ミサキ「ライブ、終わったみたいね。」
ユキ「……。」
ミサキ、ユキ、ヤマダの3人は…最後までライブ会場に戻ることはなく、巡回を続けては、ピグマリオンを倒し続けていた。
ヤマダ「いつもながらの大盛況っすな。ジブンらがいなくても、いいんじゃないっすか?」
ヤマダがそう言うと……
ユキ「ヤマダさんの……バカ…」
ユキが静かに怒った。
ヤマダ「おおっ、ユキさんがキレた…!」
怒ったユキに、少し驚くヤマダだが……
ミサキ「馬鹿いってないで。まだ、敵はいるのよ。」
まだ、ピグマリオンは残っている。
ヤマダ「へーい。んじゃ、ちゃっちゃとやりますか。」
ユキ「戦闘、開始します。」
その頃、翔は……
翔「……。」
ライブ会場に戻る気力が失せたのか、しょんぼりと会場近くにあるベンチに座っていた。顔を上げると、そこにはアバドンの姿は無かった。
翔「……ちっ。」
その時……
「「翔くーん?」」
翔を呼ぶ深雪と蜜璃の声が聞こえてきた。
深雪「蜜璃さん、あそこに…!」
蜜璃「あっ、翔君!」
そして、深雪と蜜璃が翔の元に駆け寄って来る。
蜜璃「大丈夫、翔君!?」
翔「…しくじっちまったが…大したことはねぇよ。」
翔はそう言うも、服はボロボロになり、身体の至るところにガーゼが貼られ、包帯が巻かれている。
翔「…なぁ。」
深雪「どうしました?」
翔「…アバドンが、俺を助けてくれたんだ……」
小さな声で、翔は言う。
蜜璃「それって…深雪ちゃんが言ってた『仮面ライダーアバドン』のこと?」
翔「…あぁ。」
深雪「翔君、すぐに駆け付けられなくてごめんなさい…」
翔「謝んなよ、胡蝶さん…あんたは何も悪くねぇんだし……」
翔はそう言うと、
翔「んで、ミニライブは…新曲はどうだった?」
深雪と蜜璃にミニライブの感想を尋ねた。
深雪「実は私たち…ミニライブを途中で抜けて来ちゃいました。」
蜜璃「うん…だから、Dollsのみんなの新曲、聴けなかったんだ……」
翔「……そうか。」
翔(XとY、妖魔達をぶっ潰した後…すぐに戻れば良かったな……いや、一部メンバーが欠けた
翔は黙って夜空を見上げる。夜空には数多の星が輝きを放っていた。
深雪「ドールハウスに戻りますか?」
翔「…いや、まだ戻りたくねぇ……あんたらこそ、戻った方が良いんじゃねぇのか?」
深雪「私はもっと翔君と居たいですので、遠慮しておきます。」
蜜璃「私も、翔君と居たいな…良いかな?」
翔「…良いぞ。」
蜜璃「ありがとう、翔君♪」
深雪と蜜璃は、翔の近くに居ることにした。その後、深雪が買ってきたホットコーヒーを飲みながら、3人は夜空を見ていた。
翔「…夜遊び、っと…言ったところか?」
蜜璃「そうだね、何だか新鮮だな~。」
深雪「昔の私は勉強ばかりしていたので、夜遊びは初めてです。」
蜜璃「あ、私もだ…夜遊びなんてしたこと無かったな~…」
深雪「翔君は、夜遊び…したことありますか?」
翔「…いや?…俺も、夜遊びすんのは初めてだ。」
蜜璃「みんな初めての夜遊び…お揃いだね、翔君、深雪ちゃん♪」
深雪「そうですね、蜜璃さん。」
翔「…お揃い、か……面白いこと言うじゃねぇか。」
蜜璃「えへへへ…♪」
翔は深雪と蜜璃とコーヒーを飲みながら、自分なりの『夜遊び』を楽しんだ。
いかがでしたか?今回はここまでです。
結局、翔はライブ会場に戻ることはなく……翔を探しに来た深雪と蜜璃と『夜遊び』をしたのだった。
次回も、お楽しみに