〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。



Dollsには、アイドルという『表の顔』と…国家機関の兵器という『裏の顔』がある。メンバー達全員、いつも一緒にいるのだが…今は違った。

では、本編へどうぞ


第百九十六話 表の世界、裏の世界

その頃、ミサキとユキとヤマダは……

 

ミサキ「戦闘終了、ね。」

ヤマダ「ヨォーッシャアッ!撃滅!殲滅!ミナゴロシッ!ってか……?」

一通り、ピグマリオンの討伐に成功し、戦闘を終えていたのだが……

 

ユキ「……ヤマダさん。楽しく、なかったですか?」

 

ヤマダ「……へっ。」

 

ユキ「……ミサキさん、うまく連携できなくて、ごめんなさい…」

 

ミサキ「……。」

 

雰囲気は、あまり良くなかった。

 

ユキ「あの……今なら間に合います。一緒に戻りませんか…?」

 

ユキはミサキとヤマダに声をかけてみる。しかし……

 

ミサキ「…無理ね。髪の毛、ボサボサだし、傷だらけだし。」

 

と、ミサキは言う。今の3人の状態は、ボロボロだった…だが、まだ戦う気力は残っているようだ。

 

ヤマダ「そもそも、新曲のレッスン1回もしてねーっすもん。」

 

ヤマダに至っては、新曲のレッスンに取り組んでいなかったのだ。

ヤマダ「それに----

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----ジブンら、翔さんとの約束を破っちまったんですし……」

ミサキ「……。」

ユキ「……。」

 

ヤマダの言葉に、口角を下げるミサキとユキ。

ミサキ「…そうね……そのせいで、翔さんからは…失望されてしまったわ……」

ユキ「翔さん……とても、悲しそうでした……」

ヤマダ「……翔さん、めちゃくちゃ怒ってたっすもんね。ま、その原因を作ったのはジブンらですけど…」

3人は、翔との約束を破ったことを…今更ながら後悔していた。だが、後悔しても…もう遅い……

 

ユキ「まだ、蝶が……」

 

ピグマリオンは倒しても、まだ蝶は残っていた。そんな中で、いや…どのみちライブ会場には戻れない。

 

ユキ「わかりました……巡回を続けます。」

 

3人は引き続き、巡回を行うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ライブ会場では……

 

V「……。」

V(お兄さん…大丈夫かな…?)

翔が中々戻って来ないことに、Vは不安を感じていた。

カナ「…翔君、大丈夫でしょうか?」

V「…お兄さんを任されたのに…ごめんなさい……」

カナ「Vちゃん、今は…翔君が戻って来ることを信じましょう。」

カナはVにそう言うも、本心は不安でいっぱいだった。

V「……。」

ライブでは、Dolls全員で歌う筈だった新曲に入ろうとしていた。

 

カナ「…危ないところもありましたが…みなさん、さすがですね。」

V「あ…いよいよ、最後の新曲…」

 

翔はまだ戻ってきていない。

 

ナナミ『残念ながら、次はいよいよ、最後の1曲です。』

ヒヨ『心をこめて、いっしょーけんめー歌うよ!』

サクラ『…では、聞いてください!』

 

そして遂に、最後の新曲が始まった。ステージで歌うメンバー達の表情は、悲しげだった。バラード曲のため、感情を込めて歌うのだが……そうではなく、本当に悲しそうな顔をしている…この時のVは、そう感じていた。

V「……。」

V(お兄さん…まだ戻って来ないの?)

新曲が始まっても、翔の席には…翔の姿は無かった。

V「ほんとうに、すごい……」

カナ「彼女たちのアイドルとしての能力は、素晴らしいと思います。」

カナの言葉に、思わず頷くV。

カナ「今日のパフォーマンスを見て、ぶっつけ本番だなんて誰も思いません。」

V「…そうね。私も、Dollsのみんなが、大好きになりました。」

Vにとって、今回のミニライブが…ライブでのDollsを見たのは初めてだった。そして、すっかりDollsのファンになっていた。

カナ「……。」

カナ(だったら、いいんじゃないですか…戦わなくても……って、言ったら…翔君は何て言うんでしょうか……)

カナは少し考え事をし始めた。

V「……。」

 

ルリ「この曲…ルリ、好き…!」

 

Vの右隣に座っているルリは言う。

ルリ「聴いてると、胸がじわ~って温かくなる感じ!」

V「…そうだね。」

ルリ「ミサミサやヤマダちゃん、ユキちゃん…みんな揃ってたら、きっともっと素敵だよね!」

ルリの言葉に、思わずVは言葉を詰まらせた。ステージには、ミサキとユキとヤマダの姿が無い……その理由を、ルリは知らない。彼女だって、今日のライブを楽しみにしていたのだから、本当のことを言うことはできない。そのため……

 

V「……そう、だよね。」

 

と、答えるしか無かった。その後、何事もなく…墨田区ミニライブは無事に終了したのだが…結局、翔がライブ会場に戻って来ることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

V「みんな、お疲れ様。お客さんたちはみんな、喜んで帰っていったよ。」

ステージ裏に来たDollsに、Vは声をかけた。

レイナ「ふふっ、当然よ。」

レイナは言う。

 

レイナ「どんなときでも、観客を裏切らない。それがDollsのステージだもの。」

 

レイナの言葉に、笑顔を見せるメンバー達。

アヤ「あれ、翔が居ないわね……V、翔はどこにいるの?」

V「えっと……」

Vはメンバー達に翔からかけられた言葉を話した。Vはメンバー達に文句を言われると思っていたが……

 

アヤ「…そう。それが、翔の判断なら…あたし達は何も言わないわ…」

 

メンバー達がVに文句を言うことは無かった。

シオリ「はあ……さすがに今日はとても緊張しました…」

ライブが終えたことで、緊張が解けたシオリは疲れた顔をしていた。

サクラ「ユキさんのパートを歌ったんですもんね…しかも、決まったの直前ですし!」

サクラが言うように、ユキのパートを歌ったのはシオリだった。ヤマダのパートをレイナが、ミサキのパートをアヤが歌った。

アヤ「もう…ほんっとゴメン!」

アヤはシオリとレイナに謝罪する。

 

アヤ「ウチのバカふたりのせいでみんなに…特にシオリとレイナにはすごい迷惑かけちゃった。ヤマダとユキが戻ってきたら、今度こそ、ガツンと言っておくから!」

 

シオリとレイナは怒っていなかった。だが、メンバー達は口角を下げていた。

ヒヨ「ヤマダちゃん、ユキちゃん、それにミサキちゃん……戻って、くるよね…?」

ヒヨの言葉に、メンバー達は不安そうな顔を浮かべる。

ナナミ「来るはずですよ。」

ナナミの言葉は、メンバー達を安心させる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そんな都合の良い言葉では無かった。

 

ナナミ「というか我々の行動は、国土調査院に常時モニタリングされていますから。本気で逃げようと思ったら……

 

……それこそ死ぬしか--」

 

サクラ「ダメだよ、ナナミちゃん。そんなこと言ったら……!」

ナナミの言葉に、思わず声をあげるサクラ。

ナナミ「……すいません。」

謝罪するナナミ。

サクラ「大丈夫、3人とも戻ってきます!そして今度こそ一緒に、新曲を----」

ミサキ、ユキ、ヤマダを信じるサクラは、ナナミに……いや、メンバー達に言う。いや、むしろそう言うしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミサキ「ライブ、終わったみたいね。」

ユキ「……。」

ミサキ、ユキ、ヤマダの3人は…最後までライブ会場に戻ることはなく、巡回を続けては、ピグマリオンを倒し続けていた。

ヤマダ「いつもながらの大盛況っすな。ジブンらがいなくても、いいんじゃないっすか?」

ヤマダがそう言うと……

 

ユキ「ヤマダさんの……バカ…」

 

ユキが静かに怒った。

ヤマダ「おおっ、ユキさんがキレた…!」

怒ったユキに、少し驚くヤマダだが……

ミサキ「馬鹿いってないで。まだ、敵はいるのよ。」

まだ、ピグマリオンは残っている。

ヤマダ「へーい。んじゃ、ちゃっちゃとやりますか。」

ユキ「戦闘、開始します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、翔は……

 

翔「……。」

ライブ会場に戻る気力が失せたのか、しょんぼりと会場近くにあるベンチに座っていた。顔を上げると、そこにはアバドンの姿は無かった。

翔「……ちっ。」

その時……

 

「「翔くーん?」」

 

翔を呼ぶ深雪と蜜璃の声が聞こえてきた。

深雪「蜜璃さん、あそこに…!」

蜜璃「あっ、翔君!」

そして、深雪と蜜璃が翔の元に駆け寄って来る。

蜜璃「大丈夫、翔君!?」

翔「…しくじっちまったが…大したことはねぇよ。」

翔はそう言うも、服はボロボロになり、身体の至るところにガーゼが貼られ、包帯が巻かれている。

翔「…なぁ。」

深雪「どうしました?」

 

翔「…アバドンが、俺を助けてくれたんだ……」

 

小さな声で、翔は言う。

蜜璃「それって…深雪ちゃんが言ってた『仮面ライダーアバドン』のこと?」

翔「…あぁ。」

深雪「翔君、すぐに駆け付けられなくてごめんなさい…」

翔「謝んなよ、胡蝶さん…あんたは何も悪くねぇんだし……」

翔はそう言うと、

 

翔「んで、ミニライブは…新曲はどうだった?」

 

深雪と蜜璃にミニライブの感想を尋ねた。

深雪「実は私たち…ミニライブを途中で抜けて来ちゃいました。」

蜜璃「うん…だから、Dollsのみんなの新曲、聴けなかったんだ……」

翔「……そうか。」

翔(XとY、妖魔達をぶっ潰した後…すぐに戻れば良かったな……いや、一部メンバーが欠けたDolls(アイツら)を見たって、面白くねぇや……)

翔は黙って夜空を見上げる。夜空には数多の星が輝きを放っていた。

深雪「ドールハウスに戻りますか?」

翔「…いや、まだ戻りたくねぇ……あんたらこそ、戻った方が良いんじゃねぇのか?」

深雪「私はもっと翔君と居たいですので、遠慮しておきます。」

蜜璃「私も、翔君と居たいな…良いかな?」

翔「…良いぞ。」

蜜璃「ありがとう、翔君♪」

深雪と蜜璃は、翔の近くに居ることにした。その後、深雪が買ってきたホットコーヒーを飲みながら、3人は夜空を見ていた。

 

翔「…夜遊び、っと…言ったところか?」

蜜璃「そうだね、何だか新鮮だな~。」

深雪「昔の私は勉強ばかりしていたので、夜遊びは初めてです。」

蜜璃「あ、私もだ…夜遊びなんてしたこと無かったな~…」

深雪「翔君は、夜遊び…したことありますか?」

翔「…いや?…俺も、夜遊びすんのは初めてだ。」

蜜璃「みんな初めての夜遊び…お揃いだね、翔君、深雪ちゃん♪」

深雪「そうですね、蜜璃さん。」

翔「…お揃い、か……面白いこと言うじゃねぇか。」

蜜璃「えへへへ…♪」

 

翔は深雪と蜜璃とコーヒーを飲みながら、自分なりの『夜遊び』を楽しんだ。




いかがでしたか?今回はここまでです。



結局、翔はライブ会場に戻ることはなく……翔を探しに来た深雪と蜜璃と『夜遊び』をしたのだった。

次回も、お楽しみに
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