〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。



ドールハウスに戻ってきたメンバー達に、衝撃的な言葉が告げられる。それを聞いてしまった翔は……

では、本編へどうぞ


第百九十八話 崩れゆく、日常

あの後、ドールハウスに戻ってきた翔は、逃げるように自室に入り、そのまま眠った。

 

次の日……

 

Dollsが恋しくなったのか、翔はDollsの寮に足を運んだ。シオリとサクラが翔を招き入れる。

翔「……。」

翔(久しい気がするな…ここに全員集合するの……)

中に入ると、Dollsが全員集合していたのだが……

 

ミサキ「……。」

ユキ「……。」

ヤマダ「……。」

 

空気が重い……そのせいか、誰も会話をしない。

ヒヨ「あ、おやつにしよーか!」

サクラ「そ、それよりもパズル…やっぱり、トランプのほうがいいですか?」

ヒヨとサクラはこの雰囲気を無くそうと、提案をするが……

ナナミ「この空気でトランプとか、無茶言わないでください。」

かえって空気を重くするだけだった。

サクラ「ご、ごめん……」

ナナミ「あ…いえ、私も言いすぎました。すいません。」

翔「……。」

翔(気分が(わり)ぃな……)

翔も口を挟むことなく、黙っていた。

アヤ「あー、もうヤダ!何よ、このしみったれた空気!」

レイナ「…美しくないわね。」

アヤとレイナがそう言うと……

 

翔「…んな事言ったって、何にもならねぇだろ。」

 

…ついに、翔が口を開いた。そして、ミサキとユキとヤマダの方に向きを変える。

 

翔「自分の強さに餓えるなと言ったはずだ…こうなることが分からなかったのか!?」

 

3人「「「……。」」」

 

翔「お前らは、約束を破った…ミニライブを放棄し、ファン達の想いまでも踏みにじった…それを自覚してんのかこの野郎!!」

段々声を荒げて行く翔。

翔「てめぇらは自分の都合を優先し、場を掻き乱した……その結果がこれだ!!」

翔に怒鳴られ、次第に暗い顔をしていくミサキとユキとヤマダ。

 

シオリ「…あの、すみません。」

 

そこに、シオリがやって来る。

翔「…何だ?」

シオリ「いま、カナさんから連絡が入りました。作戦室に集合してほしいと。」

どうやら、話があるようだ……

アヤ「戦闘禁止なのに、作戦室…?」

シオリの言葉に、違和感を持ったアヤだが……

シオリ「ともかく、行ってみましょう。」

渋々向かうことにした。

 

 

 

作戦室に入ると、ドールハウス3巨頭とV、深雪と蜜璃、そして元ストライカー達の姿があった。

 

カナ「--全員、集合しましたね。」

 

翔「何の用だ…?」

翔が問い詰めると、斑目が口を開いた。

斑目「よく来てくれた。--単刀直入に言うぞ。」

メンバー「「「……。」」」

斑目「害特が登場してから、多くの変化が我々にあった。わざわざ言うまでもない。誰よりも、皆が思っているだろう。」

翔「……。」

斑目「現状のDollsは、瓦解寸前と言っても過言ではない。」

斑目の言葉に、口角を下げるカナと愛……深雪と蜜璃、V、元ストライカー達も、口角を下げた。

翔「……何が言いたい…?」

翔は声を震わせながら、再び斑目に問い詰める。

斑目「政府の上層部では、このままの状態が続くようなら--」

次に斑目が放った言葉は、メンバー達にとって衝撃的なモノだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斑目「メンバーの整理…すなわち『破棄』も視野に入れ、今後の処遇を検討するとのことだ。

 

翔「…は……破棄…?」

斑目の言葉に、混乱する翔。シオリは重い口を開く。

 

シオリ「…ギアを抜く、ということです。翔君。」

 

翔「…は?」

 

シオリ「使用可能なギアの数は限られています。同時に、防衛戦略上の重要な機関ですから。その使用方法の決定権は、国にあります。」

翔「ギアを抜くって……そんな事したら、お前らは…!」

次に、レイナが口を開いた。

 

レイナ「命の灯は消え、その存在を消失する。

 

--みんなの記憶から消滅する。

 

レイナの言葉に、翔の頭の中が真っ白になる。それと同時に、目の前が真っ暗になっていくのを、彼は感じていた。

サクラ「そんな!そんなの……ひどい!!」

翔「……。」

膝から崩れ落ちた翔は、その場にへたりこみ、項垂れてしまう。

愛「翔君、まだ完全に決まった訳じゃないから、ね?」

そんな彼に声をかける愛だが、彼からの返答は無い。

斑目「片山が言っていたように、これは決定事項ではない。このままの状況が続けば、の話だ。」

メンバー「「「……。」」」

斑目「当面、アイドル活動の予定はキャンセルになった。上層部も運用を決めあぐねているようだ。」

翔「……。」

斑目「我々の有用性を示すことも不可能ではないはずだ。オートギアもドールの研究成果なのだからな…話は以上だ。」

斑目は話を終え、メンバー達に解散を促した。斑目の話が終わった後でも、翔はその場で項垂れたままだった。

翔(そんな……そんなことって……)

混乱している翔には、斑目の話が途中から何も入って来なかった。そして……

 

ドクンッ……

 

翔「…ッ!?が、ああぁぁ…ア、アアァァッ!!」

 

ドクンッ…ドクンッ……

 

翔「うぐっ、ああアアァァッ!!」

 

翔の身体に、再びあの異変が起こった。彼は胸部をおさえ、苦痛の声をあげる。更に、彼の目が段々赤く濁って行く。

斑目「っ!!…青空っ!!」

カナ「翔君!?」

元ストライカー「隊長…!」「た、隊長さん!!」「隊長殿!!」

愛「翔君っ!…深雪ちゃん、蜜璃ちゃん!!」

深雪「はいっ!」

蜜璃「うんっ!」

愛と深雪と蜜璃は、翔に駆け寄った。すると、翔は……唸り声を上げながら、作戦室から急に出ていった。慌てて翔の後を追う専属医達…斑目もカナも元ストライカー達も釣られるように、翔の後を慌てて追った。

 

 

翔「グッ…がアッ!…グ、くソガ……!!」

翔(は、ハラガヘッダ…!!…ッ!?…このまマジャ…おレ、ハ……ミなヲ…くラッちマう…!!)

翔がやって来たのは、ドールハウスにある医務室。近くの椅子に座ると、自分の身体を縛ろうとした。そこに……

愛「翔君!!」

慌てて後を追ってきた愛と深雪と蜜璃が医務室に入ってきた。

翔「バヤ”グ…オレを…シバってクレェェエエエエエッ!!」プシュゥゥウウウウウウウッ!!

翔の身体中から、蒸気のような何かが噴き出した。愛と深雪と蜜璃は慌てて翔の身体を拘束した。

 

翔「ヴガァァアアアアアアアアアアッ!!」ガタンッ!ガタンッ!

 

翔は獣のような雄叫びをあげ、縛られたまま暴れていた。その目は血のように赤く、顔には涙のようなモールドが光っている。口元には牙が生え、爪は鋭い刃のようになっていた。

斑目「青ぞ…ら……っ!?」

カナ「ッ!!」

元ストライカー「た、隊長…さん……?」「隊長さん…!?…一体…何が……!」

斑目とカナと元ストライカー達も、変わり果てた翔の姿を見て、その場で固まった。

 

翔「ガァアアッ!…ッ!?」

 

翔は斑目の姿を見ると……

 

翔「ヴガァアアッ!!ガァッ!ガァッ!」ガタガタッ!!

 

斑目の元に向かおうとした。だが、椅子が倒れてしまい、翔は床に頭を打った。

愛「翔君!!」

翔「ウガァッ!ウゴァァアアアアアッ!!」

駆け寄る愛を無視して尚…斑目の近くに行こうとする翔。

カナ「斑目さん、今の翔君は……」

カナは言葉を詰まらせる…今の翔は、『危険』と言っても過言ではなかった。しかし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斑目は、翔の元にゆっくりと歩いていく。

カナ「斑目さんっ!!」

斑目「待て!青空は、何か訴えようとしている…私には、そう感じるんだ。」

斑目はカナにそう言うと、翔の近くにしゃがむ。

斑目「…どうしたんだ、青空…?」

そして、翔に声をかける。すると翔は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「…ッ!……ッ!!」ポロポロ…

 

目から大粒の涙を流し…

 

翔「ダノム!!アイヅラノ、イノヂヲ…ウバワナイデグレッ!!モウゴレイジョウ……オレガラダイゼヅナゾンザイヲ……ウバワナイデグレヨォォオオオオオオ!!」ボロボロ…

 

と、涙ながらに斑目に訴えてきた。

愛「…嘘、この状態だった時は……翔君の意思はなかったのに……」

翔の状況を見た愛は、驚いていた……翔が謎の生命体に覚醒した時、彼の意思はそこにはなかったのだった。だが、今の彼には意思がはっきりしていた。

斑目「…青空……」

翔「ヴッ…ヴウゥゥ……ッ!」ポロポロ……

斑目は翔にかける言葉が見つからず、ただ…彼の名前をポツリと呟くだけだった。その後、深雪が翔のダブチを持ってくると…翔は貪るようにダブチにかぶりついた。そして完食すると…元の姿に戻ったのだった。元に戻った翔は、医務室から出ていき、ある場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミサキ「……。」

ミサキは1人…シミュレーションルームにいた。そこに…

 

翔「…ここにいたのか。」

 

翔が入って来た。

ミサキ「…私には、これしかないですから。」

ミサキは呟くように、翔に言った。

翔「戦うことしかできねぇ。本当にそう思っているのか…?」

ミサキ「約束、だから----」

翔「…約束?」

 

ミサキ「私にとって戦うことは--戦い続けることは約束だから--」

 

翔「…。」

ミサキ「……私の存在意義は、戦うこと。それができなくなるなら、私はこの世界から、消えるべきだと思います。」

翔「…何?」

 

ミサキ「アイドルとしてのDollsになら、もっと相応しい女の子がいるはずですから。」

 

ミサキがそう言うと、翔は途端に黙り込んだ。

ミサキ「……失礼します。」

そして、シミュレーションルームから出ていこうとするミサキに、言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「その顔は何だ!?その目は何だ!?その言葉は何だ、ミサキ!!

 

ミサキ「ッ!?」

 

翔「お前は今まで、どんなことにも文句一つ言わず、真剣に全力でぶつかって来ただろう!!なのに、Dollsにはもっと相応しい女がいるだと!?…ふざけるn、ッ!?」

 

そして再び発作が起きて、胸部をおさえる翔。

ミサキ「翔さん!」

ミサキは翔に駆け寄った。

ミサキ「翔さん、しっかり」

翔「黙れ!!」

ミサキ「きゃっ!?」

駆け寄ってきたミサキを、翔は突き飛ばし…声を荒げる。

 

翔「お前はDollsを何だと思ってんだ!?お前の覚悟は、そんな生ぬるいモンだったのか!?今までの取り組みは、全て芝居だったのかよ!?…皆が必死に試練を乗り越えようとしていると言うのに、自分だけ逃げようとするとか、恥ずかしいと思わねぇのか!!」

 

翔の厳しい言葉に、ミサキは何も言い返せなかった。ミサキが翔の顔を見ると……翔は、静かに泣いていた。

 

翔「…何がNo.1ドールだよ!現実と向き合い、必死に生きようとしねぇ奴に、No.1を名乗る資格なんてねぇ!!

 

ミサキ「……!」

 

翔「ミサキ!自分が守りてぇと思っているモンが何なのか…よく考えて見ろ!ゆっくりで良いんだ!まだ時間はある……真剣に、考えて見ろ。」

 

翔はそう言うと、シミュレーションルームから出ていった。

 

ミサキ「私が守りたいと、思っているもの……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、翔はファクトリーにやって来て、ジャングレイダーの方へと向かって行く。

クリム「翔、どこへ行くんだ!?」

翔「黙れ!お前には関係ねぇよ。」

翔はクリムにそう言うと、ジャングレイダーにまたがり、ヘルメットを被る。そんな彼の元に、再び愛がやって来る。

愛「あっ、ちょっと翔君!」

愛は慌てて翔の元に走ってくる。翔はジャングレイダーのエンジンをかけると……

 

グォオオオンッ!グォォオオオオオオオオオオッ!!

 

どこかへ走り去ってしまった。

愛「…翔君。」

翔が走り去ってしまい、呆然と立ち尽くす愛。

クリム「済まない、Dr.片山。私がもっと早く気付いていれば……」

愛に謝罪するクリム。

愛「…ベルトさん。翔君はきっと、『寂しい』んだよ……」

クリム「寂しい?…どういう事かね?」

愛はクリムに語り始める。

 

愛「あのね…今のDollsは、壊れる寸前な状態なの……名前は言えないんだけど、9人の内の3人が…ミニライブを放棄して、命令違反を犯しちゃって……それで、皆の仲があんまり良くなくなっちゃったの。」

 

クリム「……。」

 

愛「いつものDollsが見られなくなったから…翔君は『寂しい』って感じたんじゃないかなって思うんだ。」

クリム「…成る程、そんな事が……」

愛「翔君、素直じゃないから…どれだけ苦しい事があっても、じっと我慢してきたからね。辛いとも、苦しいとも、痛いとも言って来なかったから……」

愛はそう言うと、口角を下げる。

 

数分後、深雪と蜜璃がファクトリーにやって来て…翔がドールハウスから出ていってしまったことを知った。

深雪「あの、ライドブースターをお借りしても良いですか?」

蜜璃「わ、私も良いかな?」

クリム「…Dr.胡蝶、Dr.七草……理由を教えてくれ。」

クリムの質問に、深雪と蜜璃は……

 

深雪&蜜璃「「翔君を守りたいから(です)。」」

 

と、答えた。クリムはしばらく深雪と蜜璃の目を見て、黙っていたが……

 

クリム「ライドブースターは操縦者による操縦も出来れば、自立稼働も出来る。超高速回転するファンによる突風や圧縮エネルギー弾で敵を攻撃することも可能だ。」

 

ライドブースターの使い方を簡単に説明した。

愛「DollsはあたしとVちゃんに任せて…深雪ちゃんと蜜璃ちゃんは、翔君をお願い。」

深雪「分かりました。」

蜜璃「うん、任せて!」

深雪はライドブースター(青)に、蜜璃はライドブースター(赤)に乗ると、翔の支援をするために発進していった。




いかがでしたか?今回はここまでです。



突き付けられた現実を耳にした翔は、ショックを受け……ドールハウスから突然出ていった。そんな彼を支えるべく、深雪と蜜璃はライドブースターで彼の後を追った。

ある程度原作に添ったストーリーを書いたので、次回からはオリジナルストーリーを書いていきます。

お楽しみに
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