〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。



ドールハウスに戻ることが無くなった翔は、久しぶりにドールハウスに戻ってきた。そこで、カナに呼び出され、話を聞くことになる。更に、そこに愛がやって来て……

では、本編へどうぞ


第二百五話 叱られて

翔は傷の手当ても十分にしていないまま、ドールハウスに戻ってきた。ジャングレイダーをファクトリーに停め、庭へと向かった。

 

翔(ミサキの、存在意義……Dollsの、存在意義……俺はまだ…その答えを見つけられてねぇ……ミサキにも『新たな存在意義を探せばいい』なんて言ったが…多分、見つけられてねぇだろう……)

 

そう思っていると、庭へと到着した。だが、何故ここに来ようと思ったのか…それは、翔自身にも分からなかった。

 

???「……翔君。」

 

すると、庭の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。声が聞こえてきた方へ向くと……

 

翔「…南田さん。」

 

そこには、カナの姿があった。

カナ「少し、いいですか?」

翔「…?…良いぞ。」

翔の許可を得たカナは、彼をある場所へと案内した。

 

 

 

翔「ここって……」

やって来たのは、木の下にあるモニュメントだった。そこには、『Chihiro』という文字が刻まれている。

カナ「……お墓、です。」

翔「…墓…?」

カナ「前に少し話したと思います。もう1人のチームA…Dollsの『新しいエース』チヒロちゃんのね。」

そこは、かつてチームAに所属していたメンバー『チヒロ』の墓だった。

翔「チームAのエース……だが、何故覚えている?化け物に殺されたら記憶が--」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナ「チヒロちゃんは……その命を燃やし尽くしたから…」

翔「…何?」

カナ「ドールの動力は感情エネルギー。チヒロちゃんは、ね--」

カナはゆっくりと、翔に語り始める。

 

カナ「自分の感情を燃やし尽くして戦ったの。2人を守るために。」

翔「……。」

カナ「あの時の、鬼神のような姿は……今でも、目に焼きついている。最期に、チヒロちゃんは言ったんです----」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ミサキちゃん、泣かないで。もっと、貴女は強くならないとね……』

 

『シオリちゃん、貴女を失うわけにはいかないの。みんなを守ってくれる、私たちのリーダー…!』

 

ミサキちゃん、強くなって。

 

いつか守りたいものができた時に…

 

それを守れるくらい--

 

--強くなって--

 

 

 

カナの話を聞いた翔は、ミサキが戦うことにこだわる理由を理解し始める。

 

カナ「それがチヒロちゃんとミサキちゃんの約束--いいえ、『呪い』ね……」

翔「……。」

翔(呪い、か……今のミサキは、その呪いに縛られてるってことか……?)

考えことを始める翔。

カナ「今の9人のDolls。私は、とっても好き。」

翔「……?」

カナ「今はすこしだけボタンが掛け違っているだけ。きっと、みんなの思いは同じところにある。」

翔「…アイツらの思いは、同じところに…?」

驚いたような顔をする翔に、カナは言う。

 

カナ「…翔君--『青空 翔』君。みんなをつないであげて。」

 

カナの笑顔は、とても優しかった。だが……

翔「……。」

カナの言葉に、翔は何も言えなかった。そこに…

 

愛「あっ、翔君!!」

 

愛が翔の元に駆け寄って来た。

愛「こんなに傷だらけになって…大丈夫!?ドールハウスに帰って来ないから、心配しちゃったよ…!」

翔「…ケガのことはどうだって良い。俺には、やるべきことがあんだからよ…」

愛「やるべき、こと…?」

すると、翔は2人の前から立ち去ろうとする。

 

愛「待って翔君!!」

 

愛は翔を呼び止め、再び翔の前に移動する。

翔「…何だよ?」

愛「あたし…翔君に言いたかったことがあるんだ。」

翔「…言いたかったこと?」

愛「…うん。」

愛は翔に語り始める。

 

愛「今までこうして翔君と関わって来たけど、あたしね……正直、翔君にどう接したら良いのか、分からなかったんだ……それは、ドールハウスの皆も同じなの……」

 

翔「……。」

愛「少し、話がそれるけど……翔君は、今のDollsは好き?あ、恋愛的な意味じゃないよ?」

愛の質問に、翔は……

 

翔「…まぁ、嫌いじゃねぇよ。」

 

と、曖昧に答えた。

愛「どちらかと言うと、『好き』の方かな?」

翔「……まぁな。」

翔はそう言うも、終始口角を下げていた。それを見た愛は、翔に言う。

 

愛「翔君、いつものDollsのみんなが見られなくて…寂しかったのかな…?」

翔「……!!」

 

愛の言葉に、驚いた顔をして言葉を失う翔。

カナ(だから、ドールハウスに…)

そんな翔の顔を見て、カナは翔が戻って来なかった理由を察した。

愛「いつものみんなじゃなかったから、寂しかったんだよね?」

翔「……平気に決まってんだろ。」

愛「……本当に?」

翔「……あぁ。」

翔は最後まで強がっていたが、その顔は寂しそうだった。

 

愛「…そっか……それじゃあ、話を戻すよ。」

翔「…?」

愛「…翔君のことを、怒ることはできないって言ったんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……今からあたし、翔君のこと…叱るよ?」

愛はそう言うと、深呼吸をし……キッと、厳しい表情を翔に向ける。そして、翔にこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛「寂しい時ぐらい、平気って言わないでちゃんと『寂しい』って言ってよ!!」

 

翔「……!?」

 

愛「辛い時には『辛い』って、痛い時には『痛い』って言ってよ!!」

 

翔を叱る愛は、目に涙を浮かべていた。

 

愛「辛い時に『辛い』って言えないと、いつか…人の痛みが分からない人になっちゃうよ!?」

 

翔「……。」

翔(……そうか、これが…叱られるってことか……良いことじゃねぇか…叱られるのって……)

愛から叱られた……いや、初めて人から叱られた翔は、目を閉じた。今まで、理不尽な理由で怒られていた彼にとって『叱られる』ことは何なのか分からなかった。だか、今叱られたことで…『叱られる』ことの意味を漸く理解した。

翔「…片山さん。」

愛「……なぁに?」

翔は愛の方に顔を向け…

 

翔「…ありがとな。俺を、叱ってくれて……」

 

と、お礼を言った。

愛「…翔君。」

翔「…南田さん、俺……」

カナ「…?」

 

 

 

翔「Dolls(アイツら)を必ず…つなげてみせる。」

 

そして、カナにそう宣言すると、今度こそ立ち去っていった。

 

カナ「…翔君、とっても良い目をしてましたね。」

愛「…そうだね。きっと、翔君なら…みんなをつないでくれる……翔君を、信じよう。」

カナ「初めから私は…翔君を信じていますよ、愛さん。」

愛「…フフッ、あたしもだよ、カナちゃん♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、翔はドールハウスに入り、Vのところに向かった。

 

V「あ、お兄さん……ごめん、Dollsはまだ……」

翔「…V、済まなかったな……迷惑かけて…」

V「…えっ?」

翔に謝罪され、困惑するV。

 

翔「俺さ……いつものDolls(アイツら)が見れなくて、寂しかったんだ……だから、Dollsをお前に押し付けて…戦いに逃げちまったんだ……本当に、済まない……」

 

V「…お兄さん。」

翔「今度は…ちゃんと向き合う。」

V「…うん。」

Vに本音を話した翔はVに伝言を頼んだ後、自室に戻って行き……Dollsを元に戻すために、何をすべきなのかを考え続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜……

 

ガバッ!

 

ミサキ「…また、あの夢。」

 

ミサキは悪い夢を見たのか、ベッドから身体を起こしていた。

ミサキ「チヒロ……私、戦って強くなるから…」

1人…部屋の中で呟くミサキ。

 

ミサキ「もう、あんな悲しみ--繰り返させない。何を犠牲にしても----」

 

ミサキ「何を……犠牲にしても……?」

 

突然、戸惑い始めるミサキ。

 

ミサキ「私は……何のために戦っているの……?」

 

今のミサキは、『戦う理由』が分からなくなってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日付が変わった夜中……

 

翔「…ッ!!」ズキッ…

 

翔は全身の痛みに耐えながら、自分がすべきことを考えていた。一睡することなく……それは、彼にとって地獄のような時間だった。だが、そんな事言ってられない……

 

翔(変身のし過ぎで…身体に、負荷が掛かったか……)

 

その時……

 

???「ぐっす、ぐっす……」

 

ドアの向こうから、誰かが泣いている声が聞こえてくる。

翔「…っ!?」

ビックリした翔だが、深呼吸をして落ち着くと……

翔「…誰かいるのか?」

と、声をかけた。すると、

 

ガチャッ……

 

ドアが開いて……

 

ヒヨ「しょ、しょうさぁ~ん……」ポロポロ

 

涙を浮かべたヒヨが、翔の部屋に入ってきた。

翔「ヒヨ…どうしたんだよ!?」

翔はヒヨの前でしゃがみ、彼女に尋ねる。

ヒヨ「ひっく、ひっく……ヒヨ、やだよぉ。」ポロポロ

翔「……。」

ヒヨ「このまま、みんながバラバラになるの、いやだよぉ……」

翔「……。」

翔(Dollsがバラけて…誰よりも不安だったのは、Dolls(コイツら)だった……くそっ、こんな時に俺は…!!)

泣いているヒヨを見て、翔はドールハウスに戻らなかったことを後悔していた。だが、今の彼に…後悔している暇はない……不安を抱えるメンバー達に対して、自分がすべきことを考えなければならない。

ヒヨ「ヒヨ、なんでもするから!アイドルも、戦うのも、がんばるから!だから、また、みんなでわらおーよ。そうじゃないと、ヒヨ、いやだよ……」ポロポロ

翔「ヒヨ……」

ヒヨ「ヒヨはむずかしいことわかんないけど…みんなでアイドルやって、みんなで戦ったときは…みんな笑ってた。」

翔(アイドル活動の時も、戦った時も……アイツら、笑っていた……?)

ヒヨ「こんな日がずっと続けばいいと思ってた…それって、そんなに難しいこと……?」ポロポロ

翔(ずっと続けばいい…?……っ!!)

翔は何かを思い付いたのか、ハッとした表情を見せる。そして……

翔「ありがとな、ヒヨ……」

ヒヨにお礼を言う。

ヒヨ「ほえ……?」

何故お礼を言われたのか分からず、困惑するヒヨ。

翔「……そういうことだったのか。何だよ、簡単なことじゃねぇか。」

ヒヨ「翔さん……?」

翔はヒヨの肩に手を置くと……

 

翔「必ず、何とかする。俺に任せろ。」

 

と、ヒヨに言う。すると、ヒヨは……

 

ヒヨ「っ!!……うん!」

 

安心したのか、笑顔を浮かべた。一体翔は、何を思い付いたのか……




いかがでしたか?今回はここまでです。



愛が翔を叱るシーンですが、それはとあるライダー作品に登場するシーンを参考にしました。

次回も、お楽しみに
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