〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
ドールハウスに戻ることが無くなった翔は、久しぶりにドールハウスに戻ってきた。そこで、カナに呼び出され、話を聞くことになる。更に、そこに愛がやって来て……
では、本編へどうぞ
翔は傷の手当ても十分にしていないまま、ドールハウスに戻ってきた。ジャングレイダーをファクトリーに停め、庭へと向かった。
翔(ミサキの、存在意義……Dollsの、存在意義……俺はまだ…その答えを見つけられてねぇ……ミサキにも『新たな存在意義を探せばいい』なんて言ったが…多分、見つけられてねぇだろう……)
そう思っていると、庭へと到着した。だが、何故ここに来ようと思ったのか…それは、翔自身にも分からなかった。
???「……翔君。」
すると、庭の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。声が聞こえてきた方へ向くと……
翔「…南田さん。」
そこには、カナの姿があった。
カナ「少し、いいですか?」
翔「…?…良いぞ。」
翔の許可を得たカナは、彼をある場所へと案内した。
翔「ここって……」
やって来たのは、木の下にあるモニュメントだった。そこには、『Chihiro』という文字が刻まれている。
カナ「……お墓、です。」
翔「…墓…?」
カナ「前に少し話したと思います。もう1人のチームA…Dollsの『新しいエース』チヒロちゃんのね。」
そこは、かつてチームAに所属していたメンバー『チヒロ』の墓だった。
翔「チームAのエース……だが、何故覚えている?化け物に殺されたら記憶が--」
カナ「チヒロちゃんは……その命を燃やし尽くしたから…」
翔「…何?」
カナ「ドールの動力は感情エネルギー。チヒロちゃんは、ね--」
カナはゆっくりと、翔に語り始める。
カナ「自分の感情を燃やし尽くして戦ったの。2人を守るために。」
翔「……。」
カナ「あの時の、鬼神のような姿は……今でも、目に焼きついている。最期に、チヒロちゃんは言ったんです----」
『ミサキちゃん、泣かないで。もっと、貴女は強くならないとね……』
『シオリちゃん、貴女を失うわけにはいかないの。みんなを守ってくれる、私たちのリーダー…!』
『ミサキちゃん、強くなって。
いつか守りたいものができた時に…
それを守れるくらい--
--強くなって--』
カナの話を聞いた翔は、ミサキが戦うことにこだわる理由を理解し始める。
カナ「それがチヒロちゃんとミサキちゃんの約束--いいえ、『呪い』ね……」
翔「……。」
翔(呪い、か……今のミサキは、その呪いに縛られてるってことか……?)
考えことを始める翔。
カナ「今の9人のDolls。私は、とっても好き。」
翔「……?」
カナ「今はすこしだけボタンが掛け違っているだけ。きっと、みんなの思いは同じところにある。」
翔「…アイツらの思いは、同じところに…?」
驚いたような顔をする翔に、カナは言う。
カナ「…翔君--『青空 翔』君。みんなをつないであげて。」
カナの笑顔は、とても優しかった。だが……
翔「……。」
カナの言葉に、翔は何も言えなかった。そこに…
愛「あっ、翔君!!」
愛が翔の元に駆け寄って来た。
愛「こんなに傷だらけになって…大丈夫!?ドールハウスに帰って来ないから、心配しちゃったよ…!」
翔「…ケガのことはどうだって良い。俺には、やるべきことがあんだからよ…」
愛「やるべき、こと…?」
すると、翔は2人の前から立ち去ろうとする。
愛「待って翔君!!」
愛は翔を呼び止め、再び翔の前に移動する。
翔「…何だよ?」
愛「あたし…翔君に言いたかったことがあるんだ。」
翔「…言いたかったこと?」
愛「…うん。」
愛は翔に語り始める。
愛「今までこうして翔君と関わって来たけど、あたしね……正直、翔君にどう接したら良いのか、分からなかったんだ……それは、ドールハウスの皆も同じなの……」
翔「……。」
愛「少し、話がそれるけど……翔君は、今のDollsは好き?あ、恋愛的な意味じゃないよ?」
愛の質問に、翔は……
翔「…まぁ、嫌いじゃねぇよ。」
と、曖昧に答えた。
愛「どちらかと言うと、『好き』の方かな?」
翔「……まぁな。」
翔はそう言うも、終始口角を下げていた。それを見た愛は、翔に言う。
愛「翔君、いつものDollsのみんなが見られなくて…寂しかったのかな…?」
翔「……!!」
愛の言葉に、驚いた顔をして言葉を失う翔。
カナ(だから、ドールハウスに…)
そんな翔の顔を見て、カナは翔が戻って来なかった理由を察した。
愛「いつものみんなじゃなかったから、寂しかったんだよね?」
翔「……平気に決まってんだろ。」
愛「……本当に?」
翔「……あぁ。」
翔は最後まで強がっていたが、その顔は寂しそうだった。
愛「…そっか……それじゃあ、話を戻すよ。」
翔「…?」
愛「…翔君のことを、怒ることはできないって言ったんだけど……
……今からあたし、翔君のこと…叱るよ?」
愛はそう言うと、深呼吸をし……キッと、厳しい表情を翔に向ける。そして、翔にこう言った。
愛「寂しい時ぐらい、平気って言わないでちゃんと『寂しい』って言ってよ!!」
翔「……!?」
愛「辛い時には『辛い』って、痛い時には『痛い』って言ってよ!!」
翔を叱る愛は、目に涙を浮かべていた。
愛「辛い時に『辛い』って言えないと、いつか…人の痛みが分からない人になっちゃうよ!?」
翔「……。」
翔(……そうか、これが…叱られるってことか……良いことじゃねぇか…叱られるのって……)
愛から叱られた……いや、初めて人から叱られた翔は、目を閉じた。今まで、理不尽な理由で怒られていた彼にとって『叱られる』ことは何なのか分からなかった。だか、今叱られたことで…『叱られる』ことの意味を漸く理解した。
翔「…片山さん。」
愛「……なぁに?」
翔は愛の方に顔を向け…
翔「…ありがとな。俺を、叱ってくれて……」
と、お礼を言った。
愛「…翔君。」
翔「…南田さん、俺……」
カナ「…?」
翔「
そして、カナにそう宣言すると、今度こそ立ち去っていった。
カナ「…翔君、とっても良い目をしてましたね。」
愛「…そうだね。きっと、翔君なら…みんなをつないでくれる……翔君を、信じよう。」
カナ「初めから私は…翔君を信じていますよ、愛さん。」
愛「…フフッ、あたしもだよ、カナちゃん♪」
あの後、翔はドールハウスに入り、Vのところに向かった。
V「あ、お兄さん……ごめん、Dollsはまだ……」
翔「…V、済まなかったな……迷惑かけて…」
V「…えっ?」
翔に謝罪され、困惑するV。
翔「俺さ……いつもの
V「…お兄さん。」
翔「今度は…ちゃんと向き合う。」
V「…うん。」
Vに本音を話した翔はVに伝言を頼んだ後、自室に戻って行き……Dollsを元に戻すために、何をすべきなのかを考え続けた。
その日の夜……
ガバッ!
ミサキ「…また、あの夢。」
ミサキは悪い夢を見たのか、ベッドから身体を起こしていた。
ミサキ「チヒロ……私、戦って強くなるから…」
1人…部屋の中で呟くミサキ。
ミサキ「もう、あんな悲しみ--繰り返させない。何を犠牲にしても----」
ミサキ「何を……犠牲にしても……?」
突然、戸惑い始めるミサキ。
ミサキ「私は……何のために戦っているの……?」
今のミサキは、『戦う理由』が分からなくなってしまっていた。
日付が変わった夜中……
翔「…ッ!!」ズキッ…
翔は全身の痛みに耐えながら、自分がすべきことを考えていた。一睡することなく……それは、彼にとって地獄のような時間だった。だが、そんな事言ってられない……
翔(変身のし過ぎで…身体に、負荷が掛かったか……)
その時……
???「ぐっす、ぐっす……」
ドアの向こうから、誰かが泣いている声が聞こえてくる。
翔「…っ!?」
ビックリした翔だが、深呼吸をして落ち着くと……
翔「…誰かいるのか?」
と、声をかけた。すると、
ガチャッ……
ドアが開いて……
ヒヨ「しょ、しょうさぁ~ん……」ポロポロ
涙を浮かべたヒヨが、翔の部屋に入ってきた。
翔「ヒヨ…どうしたんだよ!?」
翔はヒヨの前でしゃがみ、彼女に尋ねる。
ヒヨ「ひっく、ひっく……ヒヨ、やだよぉ。」ポロポロ
翔「……。」
ヒヨ「このまま、みんながバラバラになるの、いやだよぉ……」
翔「……。」
翔(Dollsがバラけて…誰よりも不安だったのは、
泣いているヒヨを見て、翔はドールハウスに戻らなかったことを後悔していた。だが、今の彼に…後悔している暇はない……不安を抱えるメンバー達に対して、自分がすべきことを考えなければならない。
ヒヨ「ヒヨ、なんでもするから!アイドルも、戦うのも、がんばるから!だから、また、みんなでわらおーよ。そうじゃないと、ヒヨ、いやだよ……」ポロポロ
翔「ヒヨ……」
ヒヨ「ヒヨはむずかしいことわかんないけど…みんなでアイドルやって、みんなで戦ったときは…みんな笑ってた。」
翔(アイドル活動の時も、戦った時も……アイツら、笑っていた……?)
ヒヨ「こんな日がずっと続けばいいと思ってた…それって、そんなに難しいこと……?」ポロポロ
翔(ずっと続けばいい…?……っ!!)
翔は何かを思い付いたのか、ハッとした表情を見せる。そして……
翔「ありがとな、ヒヨ……」
ヒヨにお礼を言う。
ヒヨ「ほえ……?」
何故お礼を言われたのか分からず、困惑するヒヨ。
翔「……そういうことだったのか。何だよ、簡単なことじゃねぇか。」
ヒヨ「翔さん……?」
翔はヒヨの肩に手を置くと……
翔「必ず、何とかする。俺に任せろ。」
と、ヒヨに言う。すると、ヒヨは……
ヒヨ「っ!!……うん!」
安心したのか、笑顔を浮かべた。一体翔は、何を思い付いたのか……
いかがでしたか?今回はここまでです。
愛が翔を叱るシーンですが、それはとあるライダー作品に登場するシーンを参考にしました。
次回も、お楽しみに