〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
寂しさに飲まれていた翔は、バラバラになったDollsと向き合おうとせず、戦いに逃げていた。しかし、愛に叱られ、ヒヨの涙を見て、Dollsと向き合うことを決心し、動き出した。
では、本編へどうぞ
夜が明けた時、翔は再びドールハウスにある庭に足を運ぶ。そこには、ミサキの姿があった。
翔「ミサキ。」
翔が声をかけると、ミサキは驚いて振り向いたが…すぐに翔に背中を向ける。
ミサキ「翔さん……今はちょっと----」
翔「チヒロに会いに来たのか?」
翔の言葉に、
ミサキ「----!」
驚いて言葉を失うミサキ。
ミサキ「…カナさんですね。余計なことを……」
翔「……。」
ミサキ「彼女のことに軽々しく触れるのは…翔さんといえども…」
翔「俺は、チヒロのことも…Dollsの過去のことも知らねぇ。お前は…チヒロのこと、好きだったんだな。」
真顔でミサキに語りかける翔。
ミサキ「……答える必要はありません。そんなことを聞きにここへ?」
翔「違ぇな、俺が聞きてぇことは別にある。」
翔はミサキの目をじっと見つめ……
翔「ミサキ…お前は何のために戦う?」
…と、彼女に問う。ミサキは少しの間、黙ったが…
ミサキ「----敵を、敵を倒すため。」
と、答える。
翔「ほぅ…敵を倒して、それで?」
ミサキ「ピグマリオンを一匹残らず倒して…それで……そしたら……」
翔が更に細かく問うと、次第にミサキの口数が減ってきた。
ミサキ「誰も……誰も死なないから。」
弱々しく答えたミサキに、翔は……
翔「死なねぇ…か……」
と、ボソッと言う。
ミサキ「こ、これに何の意味が……!私は失礼しまs」
ミサキは立ち去ろうとしたが……
翔「まだ話は終わってねぇ!!」
翔が怒鳴ったことで、
ミサキ「ひっ……!?」ビクッ
ミサキは足を止める。
翔「逃げるな、ミサキ!…ちゃんと教えてほしいんだよ。」
翔は再びミサキの目を見つめ…
翔「お前は、何故戦う…?」
と、再び問う。
ミサキ「……。」
何も言えず、黙り込むミサキ。少しして、ポツリポツリと語り始める。
ミサキ「わ、私は----怖い。
いつか、彼女のように…誰かが、いなくなってしまうことが----
だから、守らなきゃ……
私は強くならなきゃ、いけないのよ!」
翔「……。」
ミサキ「それが、私なの!彼女を死なせてしまった、私の責任なの!」
感情的になりつつも、答えたミサキ。
翔「チヒロが、そう言ったのか…?」
翔が聞くと、ミサキは再び黙り込む。そして……
ミサキ「彼女は……チヒロは……」
弱々しい声で、話し始める。
ミサキ「ミサキちゃん、強くなってって…
いつか守りたいものができた時に、それを守れるくらい----
強く--って……」
その後…
ミサキ「私の……守りたいもの……」
考え事を始めた。
翔「……。」
翔(…コイツ…大事なモノを見落としていやがったか……)
そう思った翔は…
翔「俺はお前に『自分の守りてぇモンが何なのか、考えろ』って言ったはずだ……どうだ、何か分かったか?」
…と、ミサキに聞く。
ミサキ「…それは……」
何も答えられないミサキ。
翔「ちっと言葉が足りなかったな……」
ミサキ「……え?」
翔「今、この場所に…お前が守りてぇモンはねぇのか?」
翔がそう聞くと、ミサキはハッとした顔をして驚いた。
翔「…どうなんだ?」
そして……
ミサキ「……あり、ます。」
と、答えた。
翔「言ってみろよ、何でも良いから。」
翔がそう声をかけると、
ミサキ「シオリ…アヤにレイナ…ユキと…ヤマダも…ヒヨに…ナナミに……サクラもいて…」
ミサキは少しずつ、自分が守りたいものを翔に伝え始めた。
ミサキ「アイドルとしてレッスンをして--
戦いではお互いに背を預ける----
くだらない話でお茶をして……
戦いのために、切磋琢磨する----」
翔「……。」
ミサキの言葉に、黙って耳を傾ける翔。
ミサキ「私たちの……日常。それが……それが--私の、守りたいもの。」
ミサキの守りたいものが見つかったことを理解した翔は、口角をあげた。
翔「あるじゃねぇか…お前にも、守りてぇモンが。」
ミサキ「……は、はは。」
翔が口角をあげたことで、ミサキも釣られて口角をあげる。
ミサキ「そんな簡単なこと……どうして、気づけなかったんだろ……」
翔「…良いじゃねぇか、こうして気付けたんだからよ。」
翔はそう言うと、
翔「……ありがとな、話してくれて。」
ミサキにお礼を言い、真顔に戻った。
翔「皆、同じ気持ちがあって…それがすれ違っていただけだ。」
ミサキ「……そう、なの?」
翔「あぁ、だから…心配すんな。」
ミサキ「翔さん……」
何か言いたげなミサキだが……
翔「行ってこい、ミサキ。今のお前なら…きっと大丈夫だ。」
と、翔はミサキに告げ、背を向ける。そして、彼女の前から立ち去っていく。しかし……
翔「ッ!?」ゴフッ!!
口元を右手でおさえ、咳をする。右手を見ると……
…そこには、真っ赤に染まったシミがあった。
ミサキ「翔さん…!」
それを見たミサキは、翔に駆け寄ろうとするが……
翔「何をしている…!?…守りてぇモンが見つかったんだろ、そこに行かなくてどうする!?」
と、翔はミサキに厳しく言う。
ミサキ「で、でも」
翔「行けぇ…ッ!!」ゴホォッ!ゴホッ!
再び血を吐き出す翔。
翔「俺だって…この世界の住人を守らなきゃいけねぇんだ……」
そう言ってゆっくりと立ち上がる翔。そして、全身の痛みを堪えながら…ゆっくりとその場を後にする。
ミサキ「……翔さん!!」
翔「…っ!?」
翔が振り向くと、ミサキは目に涙を浮かべていた。
ミサキ「私は、翔さんを…失望させてしまった……なのに、どうして…どうしてここまでしてくれるの…?」
ミサキは翔に聞く。
翔「…自分で、考えたらどうだ?」
翔はそれだけ告げると、ミサキの前から去っていった。ミサキは翔を見送った後、すぐに他のメンバー達の方へと向かっていった。
「そう、答えは出たのね。
では、よき旅路を。
貴方の旅路に、絶え間なく、光の祝福がありますように----」
ニ穂「むっ、なんだこれは…?」
ストライカーの1人であるニ穂は、何やら一部の部品が壊れた何かを拾い上げる。
楓「それ、もしかして…通信機?」
楓が通信機と思われる物の裏を見てみると、そこには『Doll House』という文字が刻まれていた。
ニ穂「ドールハウス…これって、翔がいた場所じゃないか!!」
依咲里「とにかく、そちらを持っていましょう。」
華賀利「はぅん…隊長様……早く、早く会いたいですわ……ウフフフ♪」
楓「後は、人質を探して…隊長さんを待つのみ……」
ニ穂「あぁ、翔は独自で人命救助を行っているそうだ……人質を出せば、必ず食い付くだろう。さぁ、赤ん坊を連れた母親を探すぞ。」
翔が叩きつけた通信機を拾ったストライカー達は、人質の捜索を再開した。
ただ、彼を連れ戻すために…
いかがでしたか?今回はここまでです。
翔はミサキに寄り添い、一緒に行くのではなく……寄り添い、彼女の背中を押したのだった。
次回も、お楽しみに