〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
高射砲のエネルギーチャージがストップし、絶望に飲まれそうになるミサキ。しかし、そんな彼女の背中を押したのは……
では、本編へどうぞ
シレーヌが墨田区に歌声を響かせる中……
ヴォオンッ……ヴォオンッ……
ミサキ「まだ……まだなの……!?」
PPP--
カナ『チャージ85%、86%、87%……88%、89%、90%……』
高射砲のチャージは、まだ終わっていない。そして…
カナ『ダメです!出力限界です!これ以上は----』
とうとう、チャージに限界が訪れた。
ミサキ「ダメ……ッ!90%から、進まない…!」
チャージは90%となり……後、10%でシレーヌに十分届く。だが、何故か90%でチャージが止まってしまったのだ。
ミサキ「どうして……!?」
その原因は……
小鳥遊『EXAMを破壊した時に、フィールを放出してしまったせいか……』
どうやら、EXAMを撃破した際……フィールが漏れてしまったようだ。
小鳥遊『しかし、補助をしようにも今からでは、間に合わない----』
EXAMの高射砲を撃つには、通常のオートギアよりも…莫大な量のフィールが必要なのだ。それを補助するとなっても、今からでは到底間に合わない。
ミサキ「そんな…!」
小鳥遊『……やむを得ん。』
残された選択肢は1つ…それは……
小鳥遊『90%の出力なら、その地点からならギリギリでシレーヌまで到達する。』
小鳥遊『撃つしかあるまい……!』
一か八か、撃つしかない…とのことだ……だが…
ミサキ「ッ……!」
ミサキには迷いがあった。
ミサキ「でも、もしも届かなかったら……届いても、その出力でシレーヌに致命傷を与えられるの…?」
今の状態なら、シレーヌに届くのはギリギリであると小鳥遊大臣は言っていたが……必ずしも、シレーヌに届くとは限らない……仮に届いたとしても…シレーヌに十分なダメージを与えられるという保障は、何処にもない。
ミサキ「違う…!そんな不確かな作戦に、命を賭けるなんて…私のやり方じゃない…!」
何より……確実な方法が無い中で、命を賭けること自体に、迷いがあった。
ミサキ「もっと、他のやり方が----」
翔「……。」
翔(アイツ、迷ってるな……)
そのミサキの様子を、翔は見ていた。そして…
翔「モシュネ、モルガナ、ミネルヴァ…ちょっと良いか?」
モシュネ達とモルガナ、ミネルヴァにあることを頼んだ。
翔「…というわけだ、ここを…任せても良いか?」
翔の言葉に対して、一海達と元ストライカー達、小春と翠は……
一海「あぁ、任せろ!」
紫「承知した。」
友香「わかりました!」
諒芽「おう!」
ほたる「確かに、任されました!」
雪枝「隊長さん、ミサキさんをお願いします。」
小春「了解です!」
翠「OK!」
躊躇うことなく、承諾した。それを聞いた翔はモシュネ達に乗り、とある高層ビルの屋上に向かった。
翔「よし、ここで良い。」
翔達がやって来たのは、ミサキがいる高層ビルとは別の高層ビルの屋上だ。
モルガナ「何をするつもりですか?」
翔「俺のフィールを、ミサキに届ける。通信機がぶっ壊れた今、こうするしかねぇんだ……」
翔はそう言うと、自分の身体の正面で腕をクロスさせ、集中し始める。すると…彼の腕に纏われているフィールが、天の川のような光の帯を描き、ミサキの方へと飛んでいく。だが……
翔「ぐあっ……ッ!!」
翔にかかる負担が大きく、彼はとうとう倒れてしまう。
モルガナ「隊長さん!!」
ミネルヴァ「青空隊長!!」
モシュネ「た、隊長さん!!」
倒れた翔に駆け寄るモルガナとミネルヴァとモシュネ。
翔「……まだだ…!!」
翔はヨロリと立ち上がり、再びミサキにフィールを送り始める。
翔(ミサキ…ミサキ……!)
その頃、ミサキは……
ミサキ「くっ、どうしたら……」
ミサキ(翔さん、お願い……助けて……!)
不安に包まれ、今にも絶望しそうだ。その時…彼女の近くで、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
(ミサキ…ミサキ……聞こえるか?)
ミサキ「っ!?」
ミサキ(この声は……翔、さん……)
その声は、紛れもなく……青空 翔の声だった。
翔(お前の感情を、フィールに変えろ。)
ミサキ「私の、感情を……?」
翔(足りねぇ分は--ミサキ、お前自身が補え。)
ミサキ「……!」
ミサキ(でも、それじゃあ…あの時と、同じ……)
翔(ミサキ、お前ならできる。)
ミサキ「感情を……燃やす…………」
ミサキは黙り込んでしまう。そんな彼女の背中を押すかの様に、翔の声が聞こえてくる。
翔(お前にだって、守りてぇモンがあるんだろ?いや…守らなければいけねぇ存在が、あるんだろ!?それが分かってるお前なら、ぜってぇできる!それと……)
ミサキ「……。」
ありがとう--
また、1つになってくれて----
ミサキ「…ッ!?…翔さん。」
翔(お前の守りてぇモンも、お前が守らなければいけねぇ存在も…俺が一緒に守ってやる!!だから……頑張れ、ミサキ!!)
その時…ミサキの胸部に、ほのかな温かみが表れ始める。ミサキは目を閉じると……
ミサキ「私は……
私の名前は『ミサキ』!
…敵を倒したい。強くなりたい。
No.1でいたい。だって、No.1でいれば--
一番先頭で戦える。
一番危険な任務を背負える。
私の力で、みんなを守れる。
それが私の、存在意義。
そう思ってた。」
自分の想いを口にし始め、目を開く。
だけど--違う。
ミサイル「守られていたのは私の方。
傷つくのを怖がってたのは私の方。」
ミサキの周りに光が集まって来て、彼女の身体を包み始める。
ミサキ「私は、チヒロの言葉を盾に…
…戦うことに逃げていた。
私、私は----!」
その時…
ミサキ「私は!」
ミサキのドレスの胸部にあるハート型の宝石が光出し、彼女の衣装が変わった。覚醒人形のドレスに身を包んだミサキに、沢山のフィールが流れてくる。すると、先程まで止まっていた高射砲のチャージが、急激なスピードでエネルギーをチャージし始める。
ミサキ「私は、みんなと一緒にいたい。
この先も、ずっと、ずっとこうして。
歌でも、踊りでも、
もちろん、戦いでも……!
そう…私が戦う意味は……」
大切な人を、もうこれ以上--
誰も失わないために---!!!
『これ以上、大切な人を誰も失わせない』…それこそが、ミサキの戦う意味であった。
PPP--
カナ『すごい……!97、98、99……100%、突破!
チャージ…完了です!!もしかして…翔君が…ううん、きっと…翔君が!!』
斑目『青空…よくやってくれた。
お前は、正しい答えを出した。』
カナも斑目も微笑んでいた。
小鳥遊『開いた口がふさがらないとは、このことか…
ドールに、こんな運用方法があるとは……』
小鳥遊大臣も驚いて、言葉を失っていたが……その表情は、嬉しそうな表情だった。
ミサキ「翔さん…ありがとうございます……!!」
翔『礼を言うのは、俺の方だ。』
その時…翔の幻がミサキの隣に現れた。
翔『ありがとな、ミサキ。』
ミサキ「…ッ!」ウルッ……
ミサキは目に涙を溜めていた。
ミサキ「翔さん、命令を。
今の私なら、必ず届くはずだから。」
翔『…あぁ。』
翔の幻は、ミサキの左肩に右手を置くと、歌声を響かせるシレーヌへと、向きを変える。
シレーヌ……これで、終わりだ。
そして、ミサキの方に顔を向け、
と、ミサキに告げた。
ミサキ「了解です、翔さん。」
ミサキは翔に微笑むと、シレーヌの方に向く。
ミサキ「曇天に舞う、醜い歌姫。
この一撃で、大地を舐めろ----」
そして……
ミサキ「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
雄叫びと共に、高射砲をシレーヌ目掛けて発射した。
ピカッ……ズッドォォオオオオオオンッ!!
高射砲から放たれた光線は、真っ直ぐシレーヌへと飛んでいく。そして、シレーヌに到達すると……
カッ…ズドォォオオンッ!ドッゴォォオオオオオオオオオンッ!!
大爆発を起こし、シレーヌを包んだ。
翔「……ッ!!…ヴッ!?ゴハァッ!!」ビチャッ!
フィールを使って念力を起こした翔は、とうとう地面に倒れ、血を吐いた。
モシュネ「隊長さん!」
モシュネ達は翔を包み込み、下へと降りていく。モルガナとミネルヴァもモシュネ達の後を追って、下へと降りる。
紫「翔、大丈夫か!?」
既にボロボロな翔だったが、更にボロボロになっていく翔を見て、メンバー達は驚いた。
一海「翔、もう休んだ方が良い!!このままじゃ、お前が死んじまう!!」
翔「まだだ!!」
声を荒げる翔。
翔「俺には、まだ……やるべき、ことが…あんだよ……!!」
蜜璃「やるべき、こと…?」
深雪「それって何ですか、翔君?」
翔がやるべきことは、2つあった。それは……
翔「
…仮面ライダー、バールクスを……Zを…ぶっ潰す、ことだ!」
1つは『Dollsがシレーヌに勝つ瞬間を見届ける』こと…
もう1つは……
平成ライダーの力が通用しないという、強大な力を持つ最後のジャドウ…『転生者 Z』を、この世界から追い出すことだった。
やるべきことが分かった今、メンバー達は翔と共に、スカイタワー付近へと移動を開始した。
いかがでしたか?今回はここまでです。
昨日から、私は『新社会人』になりました。大袈裟かもしれませんが「諦めたら、全て終わりなんだな。」と感じられた日でもありました。
この物語では、『挫けそうな時、支えてくれる仲間がいる』ということを、知って欲しいという願いで書きました。
※『フィール念力』……纏ったフィールを使い、遠くにいる者と会話が可能。また、これを使って敵に攻撃することもできる。
但し、発動者にかかる負担は大きく、最悪の場合……命を落とす可能性もある。
参考…『ウルトラセブン』の『ウルトラ念力』
次回も、お楽しみに