〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
墨田区の浄化に成功したDollsは、長期休暇を得ることができた。更に、ドールハウスに大勢の仲間が加わった。だが……
では、本編へどうぞ
墨田区の浄化に成功して、1週間が経とうとしていた。
新しくドールハウスにやって来たモルガナとモシュネ達、小春と翠とミネルヴァはドールハウスの人達に自己紹介を済ませた後……事務作業を元ストライカー達から教わっていた。モシュネ達はすぐに覚え、苦戦する者の手助けをした。どのメンバー達も、覚えが早く……仕事をさせても問題無い程のレベルになった。
そして……
翔「……。」
戦いが終わり、力尽きた翔は……一向に目覚める気配が無い。
愛「……。」
そんな彼を心配し、愛は四六時中…翔の側を離れられずにいた。
今から約、4日程前……
中々意識を取り戻さない翔を見て、愛は焦っていた。
このまま翔君が目覚めなかったらどうしよう……
もし、翔君が死んでしまったらどうしよう……
どうしよう……
どうしよう……
ドウシヨウ…
ドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウ
翔君がいなくなっちゃったら、あたし…あたし……
いや、そうじゃない……
あたしは医者……
あたしは…翔君の、お姉ちゃん……
だから、だから……
あたしが、翔君を…助けなきゃ…!!
この日から、愛は不眠不休で…翔のケアを開始したのだった。誰にも頼ることはせず、ただ…1人で……
今では…目の光は消え、髪の毛もボサボサに傷み……肌も少し荒れていた。
愛「…翔君。」
翔「……。」
いくら愛が話しかけても、翔は反応を示さない。それでも愛は…翔にたくさん話しかけた。
愛「今日は空が晴れてて、いい天気だよ?」
翔「……。」
愛「外には小鳥がいるね。」
翔「……。」
愛「お日様の光、温かいよ?」
翔「……。」
愛は話しかけるだけではなく……時より手を握ったり、彼の頭を優しく撫でたりもした。しかし…それでも翔は何も反応しない。
愛「……グスッ。」ポロッ…
次第に、愛の目から涙が落ちる。
愛「…翔君…ッ!!」ポロポロ
そして、とうとう泣き出してしまった。
深雪「…愛さん。」
蜜璃「ねぇ、深雪ちゃん…愛ちゃん、このままじゃ……」
深雪「……壊れてしまいますよ……」
蜜璃「斑目所長に相談しに行かない?私、愛ちゃんを放っておけないよ…!」
深雪「…そうしましょうか。」
そんな愛を心配した深雪と蜜璃は、すぐに斑目の元に向かい、このことを相談した。
斑目「…やはりそうか……」
深刻そうな顔をする斑目。
深雪「所長、知ってたんですか?」
斑目「あぁ……話しかけても、青空が寂しがる…青空が1人になってしまう…自分が助けなければ……と、言っていた……」
カナ「翔君が目を覚まさなくなってから、愛さん……すっかり元気が無くなってしまいました……でも、翔君が悪い訳では無いんですけどね…」
口角を下げながら言う斑目とカナ。
カナ「私も声をかけては見ましたが…愛さん、見向きもしなかったんです……深雪さん、蜜璃さん…愛さんのこと、おまかせしてもよろしいですか?」
蜜璃「わかった。」
深雪「わかりました。」
斑目「済まない…力になれずに……」
蜜璃「い、いえっ!!」
深雪「お話聞いてくださるだけでも、ありがたいです。」
深雪と蜜璃は事務室を出ると、すぐに愛の所へと向かった。
コンコンッ……
愛「…はい?」
蜜璃『愛ちゃん、蜜璃だよ?』
深雪『私、深雪もいます。』
愛「…入って。」
愛がそう言うと、蜜璃と深雪が医務室に入ってきた。
愛「翔君、深雪ちゃんと蜜璃ちゃんが来てくれたよ。」
愛は眠っている翔に優しく言葉をかける。だが、意識を失っている翔は、特に何も反応を示すことは無かった。
愛「…深雪ちゃんも蜜璃ちゃんも、どうしたの?」
蜜璃「どうしたの?じゃないよ…!」
深雪「どうしたのは、私たちの台詞です。」
蜜璃「愛ちゃん…こんなにボロボロになって……」
ボロボロになっていく愛を心配する深雪と蜜璃だが……
愛「あたしの身体はどうだっていい…翔君は、あたしが助けないといけないから……」
と、愛は譲らない。
深雪「どうしてそう思うんですか?」
深雪がそう問いかけると……
愛「はぁっ!?深雪ちゃんは翔君が心配じゃないの!?」
と、愛は感情的になる。
深雪「私も翔君が心配です。」
それでも深雪は、冷静に愛に言う。
深雪「自分の身体はどうだっていいって思うのはどうしてですか?」
すると、愛は……
愛「だって、だって……あたしが休んでいる間に…翔君の、体調が…急変しちゃうんじゃないかって……そうなったら、あたしの…あたしのせいで……」ポロポロ
と、涙を流し始める。
蜜璃「辛いの?」
愛「グスッ…うんっ…!」
蜜璃「…そうだよね……でもさ、愛ちゃんは翔君の背中を押したんだよね?」
愛「…え?」
蜜璃は愛に言う。
蜜璃「初めて翔君を叱った時だよ。」
蜜璃は愛が翔に叱った時の言葉を言う。
蜜璃「寂しい時ぐらい、平気って言わないでちゃんと寂しいって言って?
辛い時には『辛い』って、痛い時には『痛い』って言ってよ。
辛い時に『辛い』って言えないと、いつか…人の痛みが分からない人になっちゃうよ?」
愛「…っ!!」
蜜璃「愛ちゃん、少しは私たちのことも頼ってよ。ほんの少しでも良いから……何でもかんでも1人で抱え込もうとしないで?」
深雪「愛さんが元気じゃなかったら、きっと翔君も…悲しんでしまいますよ?」
蜜璃と深雪の言葉を聞いた愛は、深雪と蜜璃に言う。
愛「翔君は…強いから、決して弱音を吐かない!
でも、本当は…誰よりも、辛い思いをしてると思うの!!
誰よりも、寂しい思いをしてると思うの!!
お願い…深雪ちゃん、蜜璃ちゃん……
…翔君を、助けて…!!」
それは、『翔のケアを手伝って欲しい』と…彼女なりのSOSだった。
深雪「勿論です♪」
蜜璃「うん、一緒に翔君を助けよう!!」
愛のSOSに応じた深雪と蜜璃は、笑顔を見せる。そして、翔の元に向かい……
蜜璃「翔君が元気になれるよう、私たちも頑張るね!」
深雪「微力ですが、私たちも協力します。ですから、一緒に頑張りましょう、翔君♪」
翔を励ましつつ、『一緒に歩んでいく』という思いを、翔に伝えた。
愛「ズズッ…ありがとう……深雪ちゃん、蜜璃ちゃん…!!」
再び涙する愛。
コンコンッ……
その時、医務室の戸がノックされた。
深雪「は~い。」
ミサキ「あ、あの…ミサキ、です……」
戸の向こうから聞こえてきたのは、ミサキの声だった。
深雪「どうぞ。」
医務室に入ってきたのは、ミサキとユキとヤマダの3人だった。
蜜璃「3人ともどうしたの?」
蜜璃は3人に尋ねる。
ユキ「あの……私たちにも、何か…お手伝いできること、ありますか……?」
ヤマダ「その…翔さんが痛い思いしてんの……ジブンらのせいでも、ありますので……」
ミサキ「お願いします、愛さん、深雪さん、蜜璃さん……私たちも、翔さんの力になりたいんです…!…どんな些細なことでも、何でもします…!!」
ユキもヤマダもミサキも、真剣な表情を愛達に向けている。
深雪「…そうですね……ミサキさん達には、翔君のことを小春さん達に教えていただきたいのですが、よろしいですか?」
深雪の言葉に、3人は「はいっ!」と躊躇いもなく答えた。
深雪「小春さんと翠さんとミネルヴァさんに教えていただきたいのは…『翔君が嫌いなこと』…『翔君が好きなこと』ですね。『翔君の隊長時代のこと』は、元ストライカーの皆さんが教えてくださっているので、大丈夫です。」
新しく入ってきた小春と翠とミネルヴァに、翔について教えて欲しいと、深雪は3人に頼んだ。蜜璃はすぐに、小春と翠とミネルヴァを医務室に呼んだ。呼んですぐに、医務室に到着する小春と翠とミネルヴァ。
ミサキ「改めて…私は『ミサキ』、DollsチームAのメンバーよ。」
ユキ「DollsチームCのメンバー、『ユキ』です。」
ヤマダ「同じくDollsチームCのメンバー、ダラドルの『ヤマダ』っす。」
改めて小春達に自己紹介するミサキとユキとヤマダ。
小春「『湊 小春』です、よろしくお願いします。」
翠「わたしは『隼坂 翠』だよ、よろしくね。」
ミネルヴァ「私は『ミネルヴァ』、よろしくね。呼びにくかったら『ミネル』で構わないよ。」
小春、翠、ミネルヴァも改めて自己紹介を済ませる。
ミサキ「私たちからは、翔さんが嫌いなことと翔さんが好きなことを教えるわ。」
小春「は、はいっ!…あっ、メモしても良いですか?」
ヤマダ「良いっすよ。」
小春、翠、ミネルヴァがメモを構えたところで、3人は話し始める。
ユキ「翔さんは…『裏切り行為』や『束縛をされること』…『しつこくされること』が、嫌いです……後は、若い女の人が苦手です。」
ヤマダ「翔さん…『仮面ライダー』とか『ライダーマシン』とかが大好きなんすよね。」
ミサキ「後、『温泉』とかも大好きよ。」
3人の言葉を一語一語聞き逃さず、メモを取っていく小春達。
ヤマダ「ま、こんな感じですね。深雪さん、どうっすか?」
深雪「OKです。」
ヤマダ「ありがとうございやす。」
ユキ「何か…聞きたいことは、ありますか?」
その時、小春が挙手をした。
小春「裏切り行為って、具体的にどんなことですか?」
ヤマダ「あぁ、例えば…『ドタキャンされること』とか、『約束を破ること』っすね。」
小春「はい、ありがとうございます。」
ヤマダからの返答をメモしていく小春達。
ミサキ「他に聞きたいことはある?」
次に挙手したのは翠だ。
翠「隊長ちゃんは『仮面ライダー』とか『ライダーマシン』とか『温泉』が好きって言ってたけど……他に何か好きなことってあったりする?」
ミサキ「そうね…皆が楽しそうにしているのを見たり聞いたりすることが好きね。」
翠「はーい、ありがとう♪」
ミサキ「他に聞きたいことはある?」
次にミネルヴァが挙手をした。
ミネルヴァ「青空隊長に接する時、何か意識していることはあったりするかな?」
ミサキ「話す時には、翔さんの視界に入って、少し離れた場所から話すように……話が終わった時は、『話してくれてありがとう』と、お礼を言うようにしているわ。」
ミネルヴァ「ありがとう。」
小春達がメモを終えたところで、愛が話を始めた。
愛「みんなも聞いてると思うけど……
翔君には心の病気があるの……
だから、信頼関係を構築するには物凄く時間が掛かると思う…色々戸惑ったりすることもあると思う……
それでも、諦めないで翔君と向き合っていけば、いつか……
翔君は心を開いてくれるから…
あたし達も、サポートするし、一緒に頑張ってこ?」
愛の言葉に、メンバー達は「はいっ!」と返事をした。
その後、小春は愛の助手に…翠は深雪の助手、ミネルヴァは蜜璃の助手となった。そして…蜜璃はアマゾン細胞の研究を含め、朝の7時から夕方の18時までの間、翔のケアを……夕方18時から朝の7時までの間、深雪が翔のケアを担当することになった(アマゾン細胞の研究も含む)。愛はたまに深雪らのサポートを担当することになった。
いかがでしたか?今回はここまでです。
悩みに悩んで書いた物語が、こちらでした。小春達が、翔がアマゾンであることを知るのは、少し先になります。
次回も、お楽しみに