〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
深雪と蜜璃が愛に寄り添い、共に翔を助けるべく、本格的なケアを開始した。だが、その数日前……翔が意識を失ったことは『自分のせい』と、自身を責める者がいた。
では、本編へどうぞ
数日前……
ミサキ「……。」
ドールハウスの寮にある自室で、ミサキは1人……落ち込んでいた。
ミサキ(私が身勝手な行動をしたせいで……私のせいで……翔さんが……)
責任を強く感じたミサキは、毎晩眠れない日が続いていた。それだけではなく……
シオリ「ミサキさん…また残してますね…」
サクラ「いつもなら、完食するのに……」
次の日もその次の日も、ミサキの食事が残っていた。最近では、食事が段々喉を通らなくなっているのか……残してしまうことが多くなっていた。
ヒヨ「ミサキちゃんもそうだけど…ユキちゃんもヤマダちゃんも大丈夫かな?」
落ち込んでいるのは、ミサキだけではなかった。ユキとヤマダも、翔が意識を失ったのは『自分のせい』だと…自分を責めていた。
ユキ「……。」
ヤマダ「……。」
普段は感情を面に出すことが少ないユキだが……最近は悲しげな表情を浮かべている。ヤマダは普段、自室でゲーム三昧なのだが……最近はゲームをする気力が無いようだ。
アヤ「なんか……翔がいないと、寂しいよね……」
ナナミ「寂しい、ですか……まぁ、そうですね……」
レイナ「誰のせいでも無いのだけれど……でも、翔君の声が聞けないのは、私も寂しいわ……」
Dollsは皆…翔の声が聞けないことや、彼との会話が出来ないことに、寂しさを感じていた。
ガチャッ…
ミサキ「……。」
その時、ミサキが自分の部屋から出てきた。
サクラ「あ、ミサキさん…」
ミサキ「翔さんのところに、行くだけだから……」
ミサキはそう言うと、寮から出ていってしまった。
医務室に着いたミサキは、戸をノックする。
コンコンッ……
愛「はーい。」
部屋からは愛の声が聞こえてきた。
ミサキ「あ、あの…えっと……」
ミサキ(翔さんが傷付いたのは、私のせい……そんな私が、翔さんの近くに来ても…いいの…?)
翔が眠っている医務室に入ることを、ミサキは躊躇っていた。
愛「ミサキちゃん?」
ミサキ「ッ!?…は、はい……」
愛に声をかけられ、ハッとするミサキ。
愛「入って来ても良いんだよ?」
ミサキ「……。」
ミサキは医務室の戸に右手をかけると……
ミサキ「し、失礼します……」
医務室に入ってきた。
愛「ミサキちゃん、来てくれてありがと♪」
愛は笑顔でミサキを出迎えたが……髪は少しボサボサになっており、目の光も消えかけていた。愛は明らかに無理をしていた。
ミサキ「……。」
そんな愛を見たミサキは、暗い顔をしてしまう。
愛「そんなに暗い顔しないで、ミサキちゃん。翔君が悲しんじゃうよ?」
愛はミサキに優しく言葉をかける。
ミサキ「…愛さん……」
ミサキ(愛さんがこうなったのも…私のせい、なのね……)
愛の言葉に、口角を下げるミサキ。
愛「ミサキちゃん、翔君もミサキちゃんを待ってたと思うよ?」
ミサキ「……なわけない。」
愛「…え?」
ミサキ「そんなわけない!!」
とうとう声を荒げるミサキ。彼女の目には、涙がたまっていた。
ミサキ「翔さんが傷付いたのは、私のせい!!私が…私が……翔さんとの約束を破ったから、翔さんはこんなに傷だらけになった!!」
愛「…ミサキちゃん…!」
ミサキ「私が身勝手だったから!翔さんは…翔さんは…!!」
ミサキはそう言うと、医務室から飛び出していった。
バァンッ!
雪枝「はわっ!?ミ、ミサキさん!?」
幸子「ど、どうしたんですか!?」
ミサキ「…雪枝…幸子……私……私ッ!!」ポロポロ
寮に戻ってきたミサキは、とうとう泣き出してしまった。
雪枝「と、取り敢えずリビングに行きましょう!」
幸子「私、温かいココアを淹れて持ってきます!」
雪枝はミサキと一緒にリビングに向かい、幸子は台所に向かって温かいココアを淹れにいった。
雪枝「ミサキさん、大丈夫ですか?」
ミサキ「…ヒック……え、えぇ……」
ミサキはそう言うも、まだ泣きじゃくっている。
幸子「ミサキさん、温かいココアです。良かったらどうぞ。」
ミサキ「…ありがとう、幸子……」
幸子が持ってきたココアをゆっくり飲み始めるミサキ。
雪枝「あの、何かあったんですか?」
雪枝はミサキに尋ねる。するとミサキは…目に涙をためはじめ、ゆっくりと語り始める。
ミサキ「翔さん…傷だらけになって、医務室にいたの……とても苦しそうだった……愛さんが、翔さんのケアをしてくれている……でも…でも……愛さんも、ボロボロになっていたの……髪も乱れてて、目の光も消えかけていた……私の……私のせいで…ッ!」
翔が傷付き、愛はボロボロになり……自分を責めてしまうミサキ。何より……自分が翔との約束を破ったことで、翔から失望されてしまったことに、誰よりもショックを受けていたのだ。
ミサキ「雪枝、幸子…私、翔さんに…嫌われたら、どうしよう…!」
雪枝「…ミサキさん…」
幸子「……。」
幸子は、ミサキに尋ねてみる。
幸子「どうして、隊長さんに嫌われたらって思ったんですか?」
幸子の問い掛けに、ミサキは当時の状況を話し始める。
その当時……墨田区にて小規模なライブが開催されることになっていた。だが、その時のDollsは戦闘活動を禁止されており、戦えないことに不満を爆発させたミサキは、ライブを放棄し、ユキとヤマダと共にピグマリオンをひたすら狩っていた。ヤマダもミサキと同じく、戦えないことに不満を爆発させたが…ユキは不満を爆発させたミサキとヤマダを放っておけず、2人に着いていったのだった。この時の3人は『ライブを必ず成功させる』と、翔との約束をしていた。ライブを楽しみにしていた人々よりも自分達の都合を取った3人に、翔は失望してしまったのだ。
幸子「…そうだったんですね。」
ミサキ「……えぇ…ッ!」
涙ながらに頷くミサキ。
幸子「…不安、ですよね?」
ミサキ「ヒック……えぇ…ッ!」
雪枝「あの、ミサキさん?隊長さんが、背中を押してくれた……と、前にお話していましたよね?」
ミサキ「……えっ?」
雪枝の言葉に、顔を上げるミサキ。
雪枝「私、ちょっと気になったんですけど……」
雪枝はミサキにこう言った。
雪枝「もし…隊長さんが本気で失望していたら、ミサキさんの背中を押さないと思います。ミサキさんの、Dollsの皆さんの背中を押してくれたのは……
…隊長さんは、皆さんのことを本気で信じていたからではないかなと、私は思います。」
ミサキ「…翔さんが、私達を…本気で、信じてくれている……」
翔の理解者の1人である雪枝の言葉を聞いたミサキは、自身の…そして、Dollsのメンバー全員の背中を押した翔の言葉を、思い出していく。
翔『今、この場所に…お前が守りてぇモンはねぇのか?
言ってみろよ、何でも良いから。』
翔『皆、同じ気持ちがあって…それがすれ違っていただけだ。
だから…心配すんな。』
翔『行ってこい、ミサキ。今のお前なら…きっと大丈夫だ。』
翔『戦おう。全員で。
俺は、お前達と一緒にいて……楽しい。
お前達9人とすごした時間は、かけがえのねぇモンだ。
そして、その大切な時間から戦うことは切っても切り離すことはできねぇ。
運命からは、解放されねぇ。』
翔『Dollsは国土調査員の組織。
フィールを集めて、ドールを運用する----
目的は化け物の殲滅。
東京の解放----
……そんなの、知らねぇよ!!』
翔『アイドルで、多くの人々に希望を与える。
ドールとして、困っている人々を助ける。
いずれも目指すことは同じ。
Dollsはいつでも……
誰かの幸せを守るために、戦う。
その権利を、誰にも奪わせやしねぇ。』
翔『俺は……戦う。お前らは……どうする?』
翔『何を躊躇っている?
…未知なる脅威から人々を守り、東京を解放する…
…それが、お前達『Dolls』の役目だろ!!
俺は大丈夫だ…
だから、お前達の助けを求めている大勢の人々の元に向かえ!!』
翔『今のお前達なら、何者にも負けねぇ…
…必ず、シレーヌをぶっ潰せる…
…俺は、お前達を信じているからな。』
ミサキ「…そうだった、のね…」
ミサキ(翔さんは私とユキとヤマダに対して、「失望した」ってはっきり言った……でも、本当は…私たちの心が1つになるのを…ずっと、信じていたのね…)
ミサキは少し間、黙っていたが……
ミサキ「…雪枝、幸子…ありがとう。」
何か決心したのか、スッと立ち上がる。
ミサキ「私…ユキとヤマダを呼んでくるわ。翔さんの手助けをしたいから…」
その後、ミサキはユキとヤマダを呼び、話し合った。
ヤマダ「翔さんは、ジブンらを…信じていた?」
ミサキ「えぇ。本気で失望していたなら、そもそも私たちになんて見向きもしない。」
ユキ「…そう、だったんですね。」
話し合いをする3人を見守る雪枝と幸子。
雪枝「ミサキさん…良い顔してますね。」
幸子「そうですね…少しは不安が和らいでると良いんですけど。」
雪枝「大丈夫そうですよ。」
雪枝と幸子が見ているミサキは、いつになく真剣な顔をしていた。
ミサキ「ユキ、ヤマダ。翔さんのために、私たちにも何かできることがあるはずよ。」
ユキ「はい。」
ヤマダ「そっすね。んじゃ、翔さんのとこに行きますか?」
ミサキ、ユキ、ヤマダの3人は翔が眠る医務室へと足を運んだ。
そして、今は小春と翠とミネルヴァに、ある程度だが…翔のことを教えている。時より、翔に声をかけたり、翔の手を握ったりもした。
いかがでしたか?今回はここまでです。
翔が背中を押した理由を漸く理解したミサキは、ユキとヤマダと共に動き出した。何か少しでも、翔の役に立つために……
次回も、お楽しみに