〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。



深雪と蜜璃が愛に寄り添い、共に翔を助けるべく、本格的なケアを開始した。だが、その数日前……翔が意識を失ったことは『自分のせい』と、自身を責める者がいた。

では、本編へどうぞ


第二百二十二話 私のせいで……

数日前……

 

ミサキ「……。」

ドールハウスの寮にある自室で、ミサキは1人……落ち込んでいた。

ミサキ(私が身勝手な行動をしたせいで……私のせいで……翔さんが……)

責任を強く感じたミサキは、毎晩眠れない日が続いていた。それだけではなく……

 

 

 

シオリ「ミサキさん…また残してますね…」

サクラ「いつもなら、完食するのに……」

次の日もその次の日も、ミサキの食事が残っていた。最近では、食事が段々喉を通らなくなっているのか……残してしまうことが多くなっていた。

ヒヨ「ミサキちゃんもそうだけど…ユキちゃんもヤマダちゃんも大丈夫かな?」

落ち込んでいるのは、ミサキだけではなかった。ユキとヤマダも、翔が意識を失ったのは『自分のせい』だと…自分を責めていた。

ユキ「……。」

ヤマダ「……。」

普段は感情を面に出すことが少ないユキだが……最近は悲しげな表情を浮かべている。ヤマダは普段、自室でゲーム三昧なのだが……最近はゲームをする気力が無いようだ。

アヤ「なんか……翔がいないと、寂しいよね……」

ナナミ「寂しい、ですか……まぁ、そうですね……」

レイナ「誰のせいでも無いのだけれど……でも、翔君の声が聞けないのは、私も寂しいわ……」

Dollsは皆…翔の声が聞けないことや、彼との会話が出来ないことに、寂しさを感じていた。

 

ガチャッ…

 

ミサキ「……。」

その時、ミサキが自分の部屋から出てきた。

サクラ「あ、ミサキさん…」

ミサキ「翔さんのところに、行くだけだから……」

ミサキはそう言うと、寮から出ていってしまった。

 

 

 

医務室に着いたミサキは、戸をノックする。

 

コンコンッ……

 

愛「はーい。」

部屋からは愛の声が聞こえてきた。

ミサキ「あ、あの…えっと……」

ミサキ(翔さんが傷付いたのは、私のせい……そんな私が、翔さんの近くに来ても…いいの…?)

翔が眠っている医務室に入ることを、ミサキは躊躇っていた。

愛「ミサキちゃん?」

ミサキ「ッ!?…は、はい……」

愛に声をかけられ、ハッとするミサキ。

愛「入って来ても良いんだよ?」

ミサキ「……。」

ミサキは医務室の戸に右手をかけると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミサキ「し、失礼します……」

 

医務室に入ってきた。

愛「ミサキちゃん、来てくれてありがと♪」

愛は笑顔でミサキを出迎えたが……髪は少しボサボサになっており、目の光も消えかけていた。愛は明らかに無理をしていた。

ミサキ「……。」

そんな愛を見たミサキは、暗い顔をしてしまう。

愛「そんなに暗い顔しないで、ミサキちゃん。翔君が悲しんじゃうよ?」

愛はミサキに優しく言葉をかける。

ミサキ「…愛さん……」

ミサキ(愛さんがこうなったのも…私のせい、なのね……)

愛の言葉に、口角を下げるミサキ。

愛「ミサキちゃん、翔君もミサキちゃんを待ってたと思うよ?」

ミサキ「……なわけない。」

愛「…え?」

 

 

 

ミサキ「そんなわけない!!

 

 

 

とうとう声を荒げるミサキ。彼女の目には、涙がたまっていた。

ミサキ「翔さんが傷付いたのは、私のせい!!私が…私が……翔さんとの約束を破ったから、翔さんはこんなに傷だらけになった!!」

愛「…ミサキちゃん…!」

ミサキ「私が身勝手だったから!翔さんは…翔さんは…!!」

ミサキはそう言うと、医務室から飛び出していった。

 

 

 

バァンッ!

 

雪枝「はわっ!?ミ、ミサキさん!?」

幸子「ど、どうしたんですか!?」

ミサキ「…雪枝…幸子……私……私ッ!!」ポロポロ

寮に戻ってきたミサキは、とうとう泣き出してしまった。

雪枝「と、取り敢えずリビングに行きましょう!」

幸子「私、温かいココアを淹れて持ってきます!」

雪枝はミサキと一緒にリビングに向かい、幸子は台所に向かって温かいココアを淹れにいった。

 

雪枝「ミサキさん、大丈夫ですか?」

ミサキ「…ヒック……え、えぇ……」

ミサキはそう言うも、まだ泣きじゃくっている。

幸子「ミサキさん、温かいココアです。良かったらどうぞ。」

ミサキ「…ありがとう、幸子……」

幸子が持ってきたココアをゆっくり飲み始めるミサキ。

雪枝「あの、何かあったんですか?」

雪枝はミサキに尋ねる。するとミサキは…目に涙をためはじめ、ゆっくりと語り始める。

 

ミサキ「翔さん…傷だらけになって、医務室にいたの……とても苦しそうだった……愛さんが、翔さんのケアをしてくれている……でも…でも……愛さんも、ボロボロになっていたの……髪も乱れてて、目の光も消えかけていた……私の……私のせいで…ッ!」

 

翔が傷付き、愛はボロボロになり……自分を責めてしまうミサキ。何より……自分が翔との約束を破ったことで、翔から失望されてしまったことに、誰よりもショックを受けていたのだ。

ミサキ「雪枝、幸子…私、翔さんに…嫌われたら、どうしよう…!」

雪枝「…ミサキさん…」

幸子「……。」

幸子は、ミサキに尋ねてみる。

幸子「どうして、隊長さんに嫌われたらって思ったんですか?」

幸子の問い掛けに、ミサキは当時の状況を話し始める。

 

 

その当時……墨田区にて小規模なライブが開催されることになっていた。だが、その時のDollsは戦闘活動を禁止されており、戦えないことに不満を爆発させたミサキは、ライブを放棄し、ユキとヤマダと共にピグマリオンをひたすら狩っていた。ヤマダもミサキと同じく、戦えないことに不満を爆発させたが…ユキは不満を爆発させたミサキとヤマダを放っておけず、2人に着いていったのだった。この時の3人は『ライブを必ず成功させる』と、翔との約束をしていた。ライブを楽しみにしていた人々よりも自分達の都合を取った3人に、翔は失望してしまったのだ。

 

 

幸子「…そうだったんですね。」

ミサキ「……えぇ…ッ!」

涙ながらに頷くミサキ。

幸子「…不安、ですよね?」

ミサキ「ヒック……えぇ…ッ!」

雪枝「あの、ミサキさん?隊長さんが、背中を押してくれた……と、前にお話していましたよね?」

ミサキ「……えっ?」

雪枝の言葉に、顔を上げるミサキ。

雪枝「私、ちょっと気になったんですけど……」

雪枝はミサキにこう言った。

 

雪枝「もし…隊長さんが本気で失望していたら、ミサキさんの背中を押さないと思います。ミサキさんの、Dollsの皆さんの背中を押してくれたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…隊長さんは、皆さんのことを本気で信じていたからではないかなと、私は思います。

 

ミサキ「…翔さんが、私達を…本気で、信じてくれている……」

翔の理解者の1人である雪枝の言葉を聞いたミサキは、自身の…そして、Dollsのメンバー全員の背中を押した翔の言葉を、思い出していく。

 

 

 

翔『今、この場所に…お前が守りてぇモンはねぇのか?

 

言ってみろよ、何でも良いから。』

 

 

翔『皆、同じ気持ちがあって…それがすれ違っていただけだ。

 

だから…心配すんな。』

 

 

翔『行ってこい、ミサキ。今のお前なら…きっと大丈夫だ。』

 

 

翔『戦おう。全員で。

 

俺は、お前達と一緒にいて……楽しい。

 

お前達9人とすごした時間は、かけがえのねぇモンだ。

 

そして、その大切な時間から戦うことは切っても切り離すことはできねぇ。

 

運命からは、解放されねぇ。』

 

 

翔『Dollsは国土調査員の組織。

 

フィールを集めて、ドールを運用する----

 

目的は化け物の殲滅。

 

東京の解放----

 

……そんなの、知らねぇよ!!

 

 

翔『アイドルで、多くの人々に希望を与える。

 

ドールとして、困っている人々を助ける。

 

いずれも目指すことは同じ。

 

Dollsはいつでも……

 

誰かの幸せを守るために、戦う。

 

その権利を、誰にも奪わせやしねぇ。』

 

 

翔『俺は……戦う。お前らは……どうする?』

 

 

翔『何を躊躇っている?

 

…未知なる脅威から人々を守り、東京を解放する…

 

…それが、お前達『Dolls』の役目だろ!!

 

俺は大丈夫だ…

 

だから、お前達の助けを求めている大勢の人々の元に向かえ!!』

 

 

翔『今のお前達なら、何者にも負けねぇ…

 

…必ず、シレーヌをぶっ潰せる…

 

…俺は、お前達を信じているからな。』

 

 

ミサキ「…そうだった、のね…」

ミサキ(翔さんは私とユキとヤマダに対して、「失望した」ってはっきり言った……でも、本当は…私たちの心が1つになるのを…ずっと、信じていたのね…)

ミサキは少し間、黙っていたが……

ミサキ「…雪枝、幸子…ありがとう。」

何か決心したのか、スッと立ち上がる。

ミサキ「私…ユキとヤマダを呼んでくるわ。翔さんの手助けをしたいから…」

その後、ミサキはユキとヤマダを呼び、話し合った。

 

ヤマダ「翔さんは、ジブンらを…信じていた?」

ミサキ「えぇ。本気で失望していたなら、そもそも私たちになんて見向きもしない。」

ユキ「…そう、だったんですね。」

 

話し合いをする3人を見守る雪枝と幸子。

雪枝「ミサキさん…良い顔してますね。」

幸子「そうですね…少しは不安が和らいでると良いんですけど。」

雪枝「大丈夫そうですよ。」

雪枝と幸子が見ているミサキは、いつになく真剣な顔をしていた。

ミサキ「ユキ、ヤマダ。翔さんのために、私たちにも何かできることがあるはずよ。」

ユキ「はい。」

ヤマダ「そっすね。んじゃ、翔さんのとこに行きますか?」

ミサキ、ユキ、ヤマダの3人は翔が眠る医務室へと足を運んだ。

 

 

 

そして、今は小春と翠とミネルヴァに、ある程度だが…翔のことを教えている。時より、翔に声をかけたり、翔の手を握ったりもした。




いかがでしたか?今回はここまでです。



翔が背中を押した理由を漸く理解したミサキは、ユキとヤマダと共に動き出した。何か少しでも、翔の役に立つために……

次回も、お楽しみに
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