〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
眠りにつく翔に、ある人物が彼に会いに来る…その人物とは…
そして、翔を叱った時の愛の心情が明らかになる…!?
では、本編へどうぞ
翔「…?」パチッ……
翔(…ここは、ドールハウスの庭…?)
翔が目を開くと、いつの間にかドールハウスの庭にいた。
翔(俺は、医務室で寝ていた筈…何でここに…?)
その時……
「翔さ~ん!」
どこからから、翔を呼ぶ少女の声が聞こえてきた。
翔(…?…この声…)
すると、翔の目の前に眩い光が現れ、徐々に光が弱くなっていく。その光から、1人の少女が姿を現した。
翔「…お前は……!?」
チヒロ「翔さん♪」
光から姿を見せたのは、かつてDollsチームAのメンバーだった『チヒロ』であった。
翔「……チヒロ…」
チヒロ「ありがとう!未知の怪物から私達を守ってくれて!」
翔にお礼を言うチヒロ。
翔「…1つ聞きてぇことがある。」
チヒロ「何々?」
翔「…ストライカー達の魔の手から救ってくれたのは……チヒロ、お前なのか…?」
チヒロに問い掛ける翔。
チヒロ「ストライカー達?…あぁ、あの娘達のことだよね。」
チヒロの言葉を聞いた翔は、自分を救ってくれたのはチヒロであったことを大方確信した。
チヒロ「あの娘達、とても正気じゃなかったよ…何だろう、まるでゾンビみたいだったし……」
そう言って、少し身体を震わすチヒロ。
翔「ありがとうな…俺を、助けてくれて……」
チヒロ「ううん、お礼を言うのは私の方だよ♪」
チヒロはそう言うと、少し移動し…翔の元に向きを変える。
チヒロ「いつもお供え物を持って来てくれて、側にいてくれてありがとう、翔さん♪」
そして、太陽の如く眩しい笑顔を見せた。
翔「…チヒロ。」
その時、翔の視界が眩い光に包まれていく。
翔「なっ!?」
チヒロ『翔さん、また会おうね~!』
段々チヒロの声が遠くなっていく。
翔「ちょっと待て!まだ聞きてぇことが--」
翔「…っ!?」ガバッ!
気が付くと、翔は医務室のベッドの上にいた。
翔(…夢、だったのか……?)
深雪「大丈夫ですか、翔君?」
勢いよくベッドから身体を起こした翔に声をかける深雪。
翔「…ちょっと、変な夢見ちまって……まぁ、問題はねぇよ。」
深雪「そうですか、それなら良かったです。」
深雪は微笑むと、何やら作業をし始める。
深雪「翔君、温かいココアを淹れました。」
翔「…お、おぉ…ありがとう。」
深雪からココアが入ったマグカップを受け取り、飲もうとするが……
翔(…ダメだ…やっぱり怖ぇな……)
あのトラウマが頭から離れず、飲めずにいた。そして、マグカップを置いてしまう。
深雪「やっぱり、怖いですよね…」
翔「…あぁ。」
深雪「では、ちょっと持っててくださいね?」
深雪はスプーンを手に取ると、ココアを一杯救い、翔の目の前で飲んでみせた。所謂、毒味である。深雪が毒味をしたことで、翔はマグカップに入っているココアをゆっくりと飲み始めた。その後の朝食も、深雪が毒味を終えると、少しずつ食べた。
朝食を完食した翔は、ベッド上で少し休憩していた。
翔「……。」
何気なくテレビをつけると、ストライカー達が拠点代わりにしていたあの廃旅館が突然崩れたと、ニュースに報道されていた。
翔(…突然崩れた、か……そう報道して貰えると、正直助かる……それに、あのストライカー共はどうなったんだ…?)
ストライカー達の巣窟から脱出に成功して以来、ストライカー達の姿を全く見なくなった。それどころか、消息も不明である。
翔(…だが、アイツらは執念深い性格だ……死んでいるとは考えがたい……)
消息は分からなくても、死んでいるとは思えない……それが、翔がストライカー達について感じていることである。
翔(ストライカー共だけじゃねぇ……ティエラと白河が襲撃してくる可能性もある…くそっ、どいつもこいつもムカつくぜ……)
ストライカー達だけでなく、ティエラと昇も……翔にとっては敵である。
コンコンッ…
翔「…ん?」
愛『翔君、愛だよ。小春ちゃんも一緒にいる。入っても良いかな?』
翔「あぁ。」
翔が入室許可を出すと、愛と小春が医務室に入ってきた。
愛「おはよ、翔君♪」
小春「お、おはようございます…隊長さん…!」
翔「…おはようさん。」
小春はどこか緊張している様子。
翔「お前、確か…湊 小春って言ったよな?」
小春「は、はい!」
翔は無表情で小春の様子を伺う。
翔「…まだまだ慣れねぇことだらけだと思う。だが、なるべく焦らずにな?」
小春「へっ?あっ、ありがとうございます…!」
小春と出会って間もない翔だが…あまり警戒はしていないようである。
愛(翔君が小春ちゃんを警戒していない?…珍しいな。)
翔「んで、用件は何だ?」
愛「…ん?あぁ、ちょっと翔君と話がしたいな~って思って。迷惑だったかな?」
翔「いや?俺も退屈だったんだよ…丁度良かった、あんたらが来てくれて。」
そう言って、ベッドに座る翔。
小春「あっ、隊長さん…松葉杖を、持ってきました。これ、どうぞ。」
翔に松葉杖を渡す小春。
翔「さんきゅ。」
小春から松葉杖を受け取った翔は、さっそく松葉杖を使って立ち上がって見る。
愛「おぉっ、スムーズに立てたね。」
翔「少し使い方を勉強したんだ。」
翔はそう言うと、三点歩行で歩き始める。
翔「少し外の空気でも吸いに行かねぇか?」
愛「そうだね♪」
小春「是非とも♪」
そして、愛と小春と共に…外へ向かった。
やって来たのは、ドールハウスの屋上にあるガーデンだった。ベンチに座り、会話を始める3人。
小春「風が気持ちいいですね、隊長さん。」
翔「そうだな。」
小春「それにしても…ドールハウスに、こんな素敵なガーデンがあったんですね。」
翔「あぁ、片山さんがこのガーデンを生み出したんだよ。」
小春「えぇっ!?か、片山先生が!?」
翔の言葉にビックリする小春。
愛「そう!斑目所長から許可を得て、ここをガーデンにしたんだ♪」
小春「ここ、居心地が良いですね♪」
小春もこのガーデンを気に入ったようだ。
愛「ねぇ、翔君?」
翔「…?」
愛は翔に話しかける。
愛「あたしが翔君のことを叱ったあの日のこと、覚えてる…?」
翔「あぁ、覚えてるぞ?」
愛「……。」
翔の言葉を聞き…口角を下げ、気まずそうにする愛。
翔「…?…どうした?」
小春「…片山先生?」
翔と小春に声をかけられ、愛は黙っていた口をゆっくりと開き始める。
愛「あたしね…翔君を叱った後……
『翔君に嫌われちゃったかな…』
…って、思って…怖かったんだ……毎晩毎晩、考え事をしちゃって眠れなかったの……」
翔を叱ったあの時……愛は、翔に嫌われてしまうのではないかと…恐怖を抱いていたのだ。そのため、『あの時、彼を叱って良かったのだろうか…』と考え、毎晩眠れない日が続いていたのだった。
愛「翔君…ちょっと変なこと聞いちゃうんだけど……」
翔「…変なこと?」
愛は深呼吸すると、翔に問い掛ける。
愛「翔君は、あたしのこと…嫌い?」
愛の質問に対し、翔はこう答えた。
翔「…嫌いじゃねぇよ。」
愛「…ほ、ホント…!?」
翔「あぁ。俺は、あんたを信頼している。あんたは、ありのままの俺を受け入れてくれた…嫌いになる要素なんてねぇよ。」
愛「…そっか……うん、良かった…!」
愛は笑顔を見せたが、彼女の目からは一筋の涙が流れた。
小春「良かったですね、片山先生。」
愛「…うんっ…うんっ!」ポロポロ…
不安が取り除かれたのか、愛の目からは大粒の涙がこぼれ始める。
翔「…涙はこれで拭いとけ。」
そう言って、愛にハンカチを差し出す翔。
愛「ズズッ…ありがとう、翔君…♪」
愛は翔からハンカチを受け取り、流れ落ちる涙を拭く。その後、愛は泣き止み…小春と翔と雑談を楽しんだのであった。
いかがでしたか?今回はここまでです。
今回は小春を登場させましたが、次回からは翠かミネルヴァのいずれか…もしくは、両方を登場させようと検討しています。
お楽しみに