〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。



『アマゾン細胞覚醒抑制薬』が中々完成せず、頭を悩ませるドールハウス専属医達。そんな彼らに、ヒントを渡したのは……

では、本編へどうぞ


第二百三十三話 アマゾンズレジスターの秘密

ドールハウスにある研究室にて……

 

翔のために、『アマゾン細胞覚醒抑制薬』の開発を行うドールハウス専属医達だが……

 

 

愛「…失敗かぁ…」

蜜璃「うーん…」

深雪「これもダメですね…」

 

 

幾つか試作品を開発し、あらかじめ採取した『アマゾン細胞』に投与してみたものの……中々上手く行かなかった。その時……

 

コンッコンッ…

 

研究室の戸がノックされた。

蜜璃「ん?誰だろう?」

蜜璃が戸を開けると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「よぉ。」

 

そこに、松葉杖をついた翔が立っていた。

蜜璃「翔君!?」

まさかの人物の訪問に、蜜璃はビックリする。

深雪「あら、翔君。入ってどうぞ~♪」

深雪がそう言うと、翔は研究室に入室した。

愛「おっ、どうしたの翔君?」

翔「何を作ってんだ?」

愛「あぁ、これ?」

愛は1本の試験管を見せる。

愛「アマゾン細胞の覚醒を抑えるための薬を作ってるんだ。」

翔「…ほぅ?」

愛「でもね~…中々完成しなくてね、あたし達も頭抱えちゃって…」

そう言って首を掻く愛。愛だけでなく……深雪と蜜璃も、苦戦していた。

翔「……。」

翔は少し黙り込み、何やら考え事を始める。

蜜璃「翔君、ここ座る?」

翔「…ん、あぁ…ありがとう。」

蜜璃が出した椅子に座る翔。そして……

 

翔「…ちょっと良いか?」

 

愛、深雪、蜜璃に声をかける。

3人「「「…?」」」

 

翔「俺さ、この腕輪をしているからか…俺の中のアマゾン細胞が中々覚醒しねぇんだ。」

 

そう言って、左腕の腕輪『アマゾンズレジスター』を見せる翔。

愛「ねぇ、翔君?この腕輪って、ずっとつけてるの?」

翔「ずっとって訳じゃねぇな…風呂に入って身体を洗う時は外してる。」

蜜璃「長い間は外せないのかな…?」

翔「そうだ。」

深雪「では、長い間外していれば……」

翔「恐らく…アマゾン細胞が覚醒し、理性を保てなくなる……」

翔の言葉に、再び頭を悩ますドールハウス専属医達。

 

翔「悩む必要はねぇ……まずは俺の身体を縛って身動きを取れなくし、その間にこの腕輪を外せば良い。この腕輪には針がついてる。そこからこの腕輪に入っている薬液を採取してくれ。」

 

翔は左腕のアマゾンズレジスターを見せながら言う。

愛「でも、翔君にとって…それは、苦痛じゃない?」

翔「平気だ。俺だって、あんたらの力になりてぇんだよ。」

愛「…翔君。」

翔「アマゾン細胞覚醒抑制薬、作るんだろ?」

愛「……うんっ、ありがとう翔君…!」

ドールハウス専属医達は、翔に言われた通り…彼の身体を縛りつけ、身動きを取れなくする。そして、彼の左腕についているアマゾンズレジスターを外した。

蜜璃「翔君、終わったらすぐに腕輪をつけるからね。」

翔「あぁ、頼む。」

ドールハウス専属医達は、アマゾンズレジスターを分析し、中に入っている薬液を採取した。

 

翔「…ヴッ!?」ドクンッ……

 

腕輪を外して数分後、翔が呻き声を出し始める。

翔「ヴッ、アァッ…アガァァアアアアッ!!」ドクンッ、ドクンッ……

愛「っ!?蜜璃ちゃん、翔君の左腕に腕輪を!!」

蜜璃「う、うんっ!」

蜜璃は翔の元に向かい、彼の左腕にアマゾンズレジスターをつける。だが、アマゾンズレジスターの針が翔の左腕に触れた瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「ギャァァアアアアアアアア!!

 

左腕に激痛が走り、翔は凄まじい断末魔を上げた。

蜜璃「っ!?」

翔の断末魔にビックリする蜜璃。

 

翔「…なニヲたメらッテいル…ハやグッ!!」

 

少しだけ理性を取り戻した翔は、蜜璃に言う。それを聞いた蜜璃は、翔の左腕にアマゾンズレジスターをしっかり装着した。

翔「ゼェッ……ゼェッ……」

数分間、荒い呼吸をしていた翔だが…更に数分経過すると、次第に落ち着いて来た。

蜜璃「…翔君…!!」

翔「ゼェ…ハァ……だ、大丈夫だ……」

蜜璃に笑顔を見せる翔。

深雪「…こ、これは…!」

翔のアマゾンズレジスターから採取した薬液をアマゾン細胞に投与すると……糸を伸ばしていた全てのアマゾン細胞が、すぐに糸を引っ込めたのだ。

愛「どうしたの、深雪ちゃん!?」

深雪「先程、翔君の腕輪から採取した薬液をアマゾン細胞に投与してみたところ…アマゾン細胞がすぐに糸を引っ込めたんです…愛さん、蜜璃さん、まずはこの薬液を開発しましょう…!」

蜜璃「うん、分かった!」

愛「了解!!」

翔のアマゾンズレジスターには、アマゾン細胞の覚醒を抑える薬が入っていることが分かったドールハウス専属医達は、アマゾン細胞覚醒抑制薬の開発を再開した。

翔「……。」

翔(これで、少しは力になれただろう…)

漸く左腕の痛みが治まった翔は、一気に緊張がほどけたのか…眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「……?」

 

気が付くと、翔は何故かドールハウスの庭と思わしき場所にいた。

翔(ここに来たってことは…)

翔「…チヒロ、いるのか?」

翔がチヒロの名前を出すと、彼の目の前に光が現れ、そこからチヒロが姿を見せた。

チヒロ「翔さん、大丈夫?」

翔「…何がだ?」

チヒロ「さっき、すっごく痛そうにしてたでしょ?大丈夫?」

翔「あぁ、あれか…大したことはねぇよ。」

翔はアマゾンズレジスターをチラ見すると、チヒロに言う。

 

翔「俺は人間じゃねぇ…人喰いの化け物『アマゾン』なんだ…それも、人の手で無理矢理化け物にされた……だが、この腕輪のおかげで…俺は人間の姿でいつづけることができるんだよ。」

 

今の翔は人間ではない…『アマゾン』という人工生命体である。細胞の一つ一つが本能レベルでヒトのタンパク質を求める。つまり……人喰いの欲求を持っている、生まれついての食人生物という極めて危険な存在である。だが、左腕についている腕輪『アマゾンズレジスター』の中に入っている『アマゾン細胞覚醒抑制薬』のおかげで、本能が極限に抑えられ、人間の姿でいることができるのだ。

チヒロ「そうなんだ。でも、ドールハウスの皆はどう思ってるの?」

翔「…俺がどんな姿だろうと関係ねぇってよ。」

チヒロ「受け入れてくれているんだね。」

翔「…あぁ。」

翔は無表情ではあるが、チヒロから見た翔は…どこか安心しているように見えていた。

翔「まずは…ケガを治さねぇといけねぇからな。」

チヒロ「そうだね。私は見守ることしかできないけど…翔さんを応援してるよ♪」

翔「あぁ、ありがとう。」

翔がチヒロにお礼を言ったその時……翔の視界が眩い光に包まれていく。

翔(今日はここまでか…ま、いずれ会えるだろう……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……くん…翔君?」

翔「……?」パチッ…

目が覚めると、翔は研究室の椅子に座っていた。

愛「大丈夫、翔君?」

翔「…あぁ、大丈夫。」

目を擦りながら返事をする翔。

蜜璃「翔君、『アマゾン細胞覚醒抑制薬』ができたよ!」

そう言って、瓶に入った薬液を見せる蜜璃。アマゾン細胞覚醒抑制薬を作ることに成功したようだ。

深雪「翔君の協力があってこそ、完成しました。ありがとうございます♪」

深雪の言葉に、蜜璃と愛も「うんうん」と頷く。

翔「…そうか…だが、礼を言うのは俺の方だ……」

そう言うと、椅子から立ち上がる翔。

翔「…ありがとう…アマゾン細胞覚醒を抑える薬を作ってくれて……」

そして、愛と深雪と蜜璃に頭を下げた。

愛「顔を上げて、翔君。」

翔「…?」

愛は翔に優しく声をかける。

 

愛「あたし達は、翔君が少しでも早く元気になれるよう、一緒に歩いて行くよ。もちろん、翔君のペースでね♪だから、焦らずにゆっくり頑張ってこ♪」

 

翔「…嬉しいぜ、片山さん。」

愛からの言葉を受け取った翔は、口角を上げてみせた。

 

 

 

あの後…医務室に戻った翔は、ベッド上で休んでいた。

翔(…あぁ、風呂入りてぇ……だが、こんな足じゃなぁ……)

風呂が大好きな翔は、風呂に入れないことに落ち込んでいた。

 

コンコンッ…

 

その時、医務室の戸がノックされた。

翔「…?…入れ。」

翔が入室許可を出すと……

モシュネ「隊長さん。」

モシュネが医務室に入ってきた。

翔「おぉ、モシュネ。」

モシュネ「隊長さん、調子はどうモシュか?」

翔「体調に関しては問題ねぇ…だが、左足は相変わらず痛ぇな……」

モシュネ「……。」

翔「まぁ、俺は大丈夫だ…それより、少しはここに慣れてきたか?」

モシュネ「そうモシュね。私達もちょっとずつ慣れて来ているモシュ。」

翔「そうか。」

モシュネの言葉に安堵する翔。

モシュネ「…隊長さん、どうかしたモシュか?何か、元気無さそうに感じるモシュよ?」

翔「…あ、いや……風呂入りてぇなって思ってさ…でも、この足じゃ流石に入れねぇよな…ははは……」

左足を見て苦笑いする翔。

モシュネ「……。」

モシュネは少し考え込むと……

 

モシュネ「隊長さん、斑目所長に相談してみても良いモシュ?」

 

と、翔に聞く。

翔「…良いぞ。」

翔がそう言うと、モシュネはお礼を言って医務室から出た。

翔「……。」

翔(モシュネ…一体何をするつもりだ……?)




いかがでしたか?今回はここまでです。



翔のアマゾンズレジスターから採取した『アマゾン細胞覚醒抑制薬』を作ることに成功したドールハウス専属医達。
だが、彼の身体からレジスターが外れると…彼の中のアマゾン細胞が覚醒しやすくなってしまう。再び装着すると、彼はとてつもない激痛を味わうことになることが分かった。

次回も、お楽しみに
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