〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれのショウです。



夏はどこかへお出掛けしたい……って、思っても…コロナが怖くて外に出られん……

では、本編へどうぞ


第二百五十四話 青春 in Summer Resort

準備を終えた一同は、バーベキューを楽しんでいた。バーベキューグリルに食材を乗せると、ジューッという音が出る。やがて、香ばしい香りが広がっていき…一同の嗅覚を擽る。

 

あから「うん、良い香りだ…!」

モニカ「あたし、故郷でよくバーベキューしてたから…この香りが懐かしく感じるよ♪」

サクラ「モニカちゃん、それ楽しそうだね!」

アヤ「それに…戦いで頑張ったんだし、遠慮無しで食べても良いわよね?」

シオリ「この季節は熱中症になりやすいので、栄養と水分をしっかり摂りましょうね。」

 

会話を弾ませながら、食材が焼き上がるのを待つメンバー達。

翔「…そろそろ、良さそうだな。」

食材が焼けると、翔が紙皿に食材を盛り付け、メンバー達に配っていく。

ヒヨ「わーい!ありがとう、翔さん!!」

ミサキ「ありがとうございます、翔さん♪」

愛「あたしも手伝うよ、翔君。」

翔「助かる。」

愛も翔の手伝いをし、メンバー達に食材を配っていく。

 

百合「よし、全員分あるね?それじゃ、いただきま~す♪」

 

一同「「「いただきます!!」」」

 

焼きたての食材にかぶり付くメンバー達。

一海「うっ、うまっ!!」

紫「あぁ、最高だ…!」

友香「う~ん、美味しいです♪」

諒芽「うんめぇ~♪」

レイナ「DELICIOUS♪」

ナナミ「流石は高級ホテルの食材、中々のお味です。」

ほたる「美味し~♪」

雪枝「このお野菜も、みずみずしくて美味しいです♪」

メンバー達は食材に舌を巻いていた。

翔「……。」

翔も食材を口の中へと運んでいく。

翔「……。」コクッ

翔(この肉、柔らかくて食いやすい……トマトには甘味がぎっしり詰まっているし、レタスも中々いける。…パプリカは焼けば更に甘味が増すな……)

黙って食事をする翔だが、心の中では大満足しているようだ。

諒芽「おし、ジャンジャン焼いてくぜ!!」

一足早く食べ終えた諒芽は、次々と食材を焼いていく。

翔「焼くなら程々にしておけ、食いきれなくなるから。」

諒芽「OK!」

諒芽が食材を焼き始めると、辺りには再び…香ばしい香りが広がっていく。食材の焼き色が良くなって来た頃、諒芽は食材を盛り付け、メンバー達に配っていく。深雪と蜜璃も盛り付けを手伝い、メンバー達に提供していく。

深雪「翔君もどうぞ♪」

翔「あぁ、ありがとう。」

深雪から焼けた食材を受け取った翔は、早速いただこうとする。

一海「なぁ、翔。」

翔「…?」

一海「肉とハッシュドポテトをバンズに挟んで食うの…結構美味いぜ!」

翔「…そうか?」

一海の言葉を聞いた翔はバンズを取ると、肉、ハッシュドポテト、レタスやトマトを挟んだ。そして、かぶり付く。

翔(…おぉ、こりゃあ美味い…!)

一海「どうだ!?」

翔「あぁ、美味いよ。」

ミア「翔さんが絶賛するなら、ボクもやってみよっと♪」

ミアもバンズに肉やハッシュドポテト、野菜等を挟むと…豪快にかぶり付いた。

ミア「ほぅほぅ、これは中々美味だね。」

翔「考案したのは一海だ。そういや、お前達にはまだ紹介してなかったな…」

翔は一海、紫、友香、諒芽を呼び…NumberSに紹介する。

 

翔「紹介する、コイツらは俺の友人だ。左から『木場 一海』、『東雲 紫』、『浅井 友香』、『鏡 諒芽』だ。」

 

翔の軽い紹介が終わると、NumberSも自己紹介する。

 

ミア「ボクはNumberSのミアだよ~♪」

ディオ「ディオはディオ……」

トリア「私はトリアと申します。」

 

NumberSが自己紹介を終えると、一海達も彼女達に自己紹介をする。

 

一海「さっき紹介されたが…改めて、俺は『木場 一海』、よろしくな!」

紫「私は『東雲 紫』、よろしく頼む。」

友香「『浅井 友香』です、よろしくお願いします♪」

諒芽「翔ちんの大大大親友『鏡 諒芽』とは、俺のことよ!へへっ、よろしくな!!」

 

一海達は持ち前の明るさで、すぐにNumberSと打ち解けることができた。

 

一海「ところで皆、翔の好物を知ってるか?」

一海の言葉に、メンバー達(翔以外)は彼に注目する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一海「俺も知らねぇ。」

 

一海がそう言った途端、ずっこけるメンバー達(翔以外)。

一海「翔、お前はどんな食べ物が好きなんだ?」

翔「…簡単には教えねぇよ。」

一海「教えてくれたって良いだろ?」

翔「それを知って何になる?」

一海「いや、ほら…俺さ、料理得意だからよ…何か振る舞うぜ?」

翔「料理なら俺もできる。」

自身の好物を中々教えてくれない翔。

ディオ「翔さん、料理も出来るんだ。」

アヤ「そうよ!翔の作る料理はどれも絶品なんだから!」

 

一海「なら…翔、俺と料理対決しないか?」

翔「料理対決だと?」

 

何と、一海は翔に料理勝負を仕掛けてきた。

一海「んで、俺が勝ったら…そうだな……翔、お前の好物を教えてくれ。」

翔「それは構わねぇが…仮にお前が負けたら、どーすんだ?」

一海「そうだな、うーん……」

数分悩んだ一海が出した答えは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一海「皆の前で、全力の変顔を披露する!」

 

この答えに翔は……

 

翔「…へぇ、面白い…良いだろう。」

一海と料理対決をすることにした。

紫「では、審査員は斑目所長、カナさん、愛先生、深雪先生、蜜璃先生にやって貰う。」

紫の言葉に、斑目とカナと愛は心の中でガッツポーズをした。

 

Dolls(…何だか、羨ましいです。)(いいなぁ、翔さんの手料理が食べられるなんて…)(できれば、私達も翔君の手料理を食べてみたいです…)

 

Dolls達は審査員に選ばれたメンバーを羨ましく思っていた。それを見た翔は、残りの食材を見る。

 

翔(…ん?食材って、こんなにあったか?)

 

不思議に思う翔に、百合がコッソリ話す。

百合「実は、オーナーがサービスしてくれたの。

翔「…ほぅ。」

翔(…米もあるのか…なら、あれを作るか。)

まず先に動いたのは翔だ。米は既に炊けてあったため、玉ねぎをみじん切りにし、卵を1つ割って溶くと、そこにひき肉とみじん切りにした玉ねぎを入れてコネ始める。更に、ナツメグと塩胡椒を振り、再びコネ出した。

一海「おし、俺も行くぜ!」

一海はパスタを茹で始めると、フライパンでアサリを蒸し焼きにし始める。

幸子「お二人は、一体…何を作るんでしょうか。」

紫「一海は得意料理の『パスタ』で攻めるか…しかし、翔の得意料理は私には分からない。」

友香「一海さんのパスタもそうですが、何より…翔さんが何を作ってくれるのかが疑問ですね。」

諒芽「ま、気長に待ってよーぜ?」

メンバー達が見守る中、仕上げに入ったのは一海だ。アサリの口が開いたタイミングで、お玉一杯分のパスタの茹で汁をフライパンに入れ、塩茹でにしたパスタを加えて混ぜ合わせる。

 

翔(そういや、あれを作るには…コイツがいるんだったな。)

 

翔は再び卵を割り、目玉焼きを作り始める。目玉焼きを作り終えると、ひき肉をフライパンに投入し、ハンバーグを作る。10分かけて両面を焼くと、ハンバーグをフライパンから取り、焼いて出た肉汁にソースの材料を入れて一煮立ちさせる。そこに、先程焼いたハンバーグを入れ、ソースに絡め始めた。

 

一海「よし、出来上がりだ!」

 

翔が料理をしている間、一海は自身の手料理を作り終えた。

 

一海「審査員の皆さん、こちら『スパゲッティ・ボンゴレ』です!」

 

一海が作った料理は、『スパゲッティ・ボンゴレ』である。審査員のメンバーは早速、一海の料理を口に運ぶ。

 

斑目「うむ…アサリの旨味がちゃんと出ている。それに、辛さも丁度良い。」

カナ「紫ちゃん達から話は聞きましたが…流石ですね、一海君。」

愛「おぉ~、これは美味しい!!」

深雪「パスタももっちりしていて、食べごたえがあります。」

蜜璃「ん~、幸せ♪」

 

一海の料理は、審査員達も絶賛している。審査員からの評価に、一海はドヤ顔をした。

 

その頃、翔も仕上げに取り掛かっていた。白いご飯を器によそり、ソースを絡めたハンバーグを乗せ、その上に半熟の目玉焼きを乗せ、その上にソースをかけた。

 

翔「待たせたな、『ロコモコ丼』だ。食ってくれ。」

 

翔が作った料理は、『ロコモコ丼』であった。審査員の前に料理を置いた翔は、すぐに調理場に戻った。

 

斑目「青空…調理場に戻って、何をするつもりだ?」

愛「それより、早速食べてみましょ!」

カナ「そうですね…ずっと待ちきれなかったです!」

 

審査員のメンバー達は、翔が作ったロコモコ丼を口に運ぶ。

 

審査員「「「「「ッ!!??」」」」」

 

口に入れてすぐ、驚いたような表情を見せる審査員。

 

一同「「「ッ!?」」」

 

見守る一同が、「これはマズイか!?」と感じた次の瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斑目「~♪」

 

斑目が普段は絶対に見せないような笑顔を浮かべた。

 

愛「ん~、ジューシー♪」

カナ「噛めば噛む程、口一杯に肉汁とソースが広がっていくのが…たまりません♪」

深雪「この半熟卵とソースを合わせると、もっと美味しいですね。」

蜜璃「はむっ…んっ!?ホントだ~♪」

 

翔のロコモコ丼を幸せそうに頬張る審査員。どうやら、勝負は決まったようだ。その頃、翔は審査員に選ばれなかったメンバー達に、ロコモコ丼を配って回っていた。翔のロコモコ丼を、メンバー達は嬉しそうに食べている。

 

一海「こりゃ、勝負ありだな。」

 

負けを悟った一海は翔がやって来た時、彼の右腕を取り…天に掲げた。

翔「…何してんだ?」

一海「何って、翔の勝利を祝福してんだよ。ボクシングの試合ではこうやって、勝者を祝うんだ。」

翔「…へぇ。」

その後、翔と一海は互いの手料理を食べ、その美味しさを分かち合った。ちなみにあの後、一海は一同に全力の変顔を披露したが、ややウケだった。

 

 

 

ランチを終えたメンバー達は、再び海で遊ぶことにした。

翔「……。」

海ではしゃぐメンバー達を、翔は見守っていた。そんな彼が退屈そうに見えたのか、NumberSのメンバー達が話しかけて来た。

ミア「ねぇねぇ、翔さん。」

翔「…?」

ミア「良かったら、ボク達と一緒に浅瀬を歩かない?」

翔「…そうだな、じっとしてんのも何だか退屈なんだよ。」

トリア「おぉっ!翔さんと共に、浅瀬を歩けるとは…光栄です♪」

ディオ「翔さんと歩けるの、ディオも嬉しい…♪」

翔はビーチチェアから立ち上がる。

愛「おっ、どうしたの翔君?」

翔「ちょっと浅瀬でも歩こうかと思ってな。」

愛「良いね♪あっ、あたしも一緒に来てもいい?」

翔「俺は構わねぇが、お前らはどうだ?」

ミア「いいよ~♪」

ディオ「ディオも、構わない。」

トリア「えぇ、同士愛も是非是非。」

愛「やったぁ!それじゃ、行こっか♪」

翔は愛とNumberSと共に、浅瀬を歩き…ちょっとしたリハビリを行うことになった。浅瀬を歩くと、小さな波が彼らの足にぶつかってくる。

愛「冷たくて気持ちいいね♪」

翔「…そうだな。」

水は冷たく、透明感があった。沖の方を見ると、そこにはコバルトブルーの海が広がっていた。

ミア「翔さん♪」

翔「…?」

 

パシャッ!

 

突然、翔の顔に水が飛んで来た。ミアが翔に水をかけたのだ。

翔「…フッ、やったな?」

翔は鼻で笑うと、ミアに水をかけ返した。

ミア「冷たっ!?」

トリア「おぉっ!これは海ならではの遊び『水かけっこ』と呼ばれるやつですね。それでは、私も…やっ!」パシャッ!

ディオ「ひゃっ!?むぅ、やったな…お返しだし…!」パシャッ!

トリア「うおっ!?」

愛「あはは、皆楽しそうだね♪それならあたしも…それっ♪」パシャッ!

翔「あっ!?…このやろぉ、そらよっ!」パシャッ!

愛「ひゃあっ!!」

浅瀬で水をかけあう翔とNumberSと愛。

諒芽「翔ちん、これを使ってくれ!」

翔「おっと。」パシッ…

諒芽から受け取ったのは、水鉄砲であった。それも、かなり大きいため…強力なモノである。

翔「くらえっ!!」

そして、翔は水鉄砲からNumberSと愛に向かって水を発射した。

ミア「あははは、冷た~い!!」

ディオ「わっ!?ふふっ、ふふふふ…♪」

トリア「おっと!?うふっ、あははは!!」

愛「ひゃあっ!?あっはははは!!」

翔に水をかけられるNumberSと愛は、とても楽しそうに笑っていた。

カナ「斑目さん、翔君、とっても楽しそうにしてますね。」

斑目「あぁ、そうだな。」

カナと斑目が優しく見守る翔は…普段は周りに見せないような笑顔を見せていた。

 

 

 

その日の夕方……

 

海で沢山遊んだ一同は、ホテルに戻り…バイキングレストランで夕食を摂ることになった。

トリア「おぉっ!これが『バイキング』というモノですね!翔さん、和食はあるのですか?」

翔「向こうにあるぞ。」

翔が指さすと、トリアは真っ先に和食コーナーに向かっていった。その後、翔もある程度料理を取り、席に戻った。

翔「っ!?」

蜜璃「あ、おかえり翔君♪」

席には深雪と蜜璃が座っていたのだが、蜜璃の皿を見てみると……そこには、山盛りになった様々な料理が乗っていた。

翔「……。」

ふと、近くにいるスタッフの様子を伺うと……

 

スタッフ「♪」グッ…(^-^)b

 

笑顔でサムズアップしたのだった。

翔(…ま、いっか…)

やがて、他のメンバー達も席に戻って来たので、食事を始めた。

深雪「ここの料理はどれも美味しいですね、翔君。」

翔「ん…あぁ、そうだな。」

友香「そういえば、ここ最近…中々翔さんと話ができてませんでしたよね。」

紫「それもそうだな。なら」

翔「食事の場だ。話をするのはダメじゃねぇが、程々にしておけ。食後でも雑談はできるだろ。」

一海「翔の言うとおりだな。」

諒芽「分かるぜ…俺だって、翔ちんと雑談できなくて寂しかったんだぜ、畜生…!」

泣き真似をする諒芽に…

 

翔「泣き真似はやめろ。」

 

…と、表情を変えることなく冷静にツッコミをいれる翔。

ミサキ「翔さんはどんなときでも冷静ね…私も見習わなければならないわ。」

レイナ「そうね。ライブの時は特に緊張する…翔君のように、冷静にいなければならないこともあるわ。」

サクラ「翔さんは本当に凄いです…」

あまりの翔の冷静さに、Dollsのメンバーは感心していた。

ほたる(隊長サン…まだ隊長だった時、どんなに苦しい状況であっても……冷静だった時が多かったな…でも、それはあたし達に心配をかけさせないように振る舞っていたのかもしれない。)

あから(隊長殿が今までやって来たことは、決して無駄ではない…どんなに辛い時でも、弱音1つ吐くこと無く…隊長として頑張り続けていたんだ。だから、今の隊長殿は…報われていると、ボクは思う。)

幸子(隊長さんは、あの地獄から…私達を解放してくれた……ですから、私は…私達は……一生隊長さんについていこうと思えるようになったんです。)

元ストライカー達は今でも…心から翔に感謝し、今でもずっと…彼の味方であり続けている。

 

 

 

食事を終えたメンバー達は、各自好きなことをすることにした。

 

翔「……。」

 

カツンッ、コツッ…カツンッ、コツッ…

 

夜になろうとしているホテルの外を、翔は杖をついて歩いていた。歩き疲れてきたため、どこか休めそうな場所を探すと…近くに長ベンチを見つけ、そこに座った。

翔「……。」

翔(ストライカー共は相変わらず執念深い奴らだ……反省するどころか、自分等のことを棚に上げては俺が悪いと言う始末…それに、多くの無関係な連中に多大な迷惑をかけている……そんなアイツらを、この世界に野放しにしていて良いのか…?…今までは殺さずにいたが……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…殺すことも…

 

…検討した方が…

 

…良いかもしれねぇな……

 

 

翔(だが…ストライカー共を殺せば、俺は

 

殺人者

 

になっちまう…そのせいで、仲間達(アイツら)が非難を浴びせられ、社会的に抹殺されちまうのか…?俺は、見放されちまうのか…?俺はまた……あんな地獄を味わうことに…?

 

…俺は、どうすれば良い……?)

 

ストライカーの隊長を辞めた後、翔を諦められずにいるストライカー達は…周りのことはお構い無しで、彼を探し続け……どんな手段を使ってでも、彼を連れ戻そうとしている。そのため、彼はストライカー達を“殺す”ことも考えている。だが、そうすれば…自分は仲間達から

 

 

要らない存在

 

 

と、されてしまう…そう考えると、ストライカー達を殺すことを躊躇ってしまっていた。

翔(くそ…どうすりゃ良いんだよ、俺は……!!)

自分の中の迷いが抜けない翔は、思わず下を向き…頭を抱えてしまう。彼の目には、次第に涙がたまっていく。

 

一海「おーい、翔!ここにいたのか。」

翔「っ!?」ハッ!?

 

一海の声が聞こえた翔は、慌てて涙を拭い、無表情になった。

翔「何だ?」

紫「久しぶりに、雑談でもしないか?」

翔「別に良いけど…」

紫「けど、何だ…?」

翔は無表情を貫き…

 

翔「話すことは、何もねぇぞ?」

 

…と、一海達に言う。

友香「無理に話そうとしなくても大丈夫です。」

諒芽「聞くことだって、立派な雑談だぜ?」

一海は紫と友香の間に座り、翔は友香と諒芽に挟まれる形となった。

諒芽「そういやこのホテル、ゲームセンターもあるんだぜ!クレーンゲームやコインゲーム、とにかく色んなヤツがある。」

一海「それ良いな、後でそのゲーセン行こうぜ。」

諒芽「よっしゃ、そう来なくちゃ!」

一海「今回は賭け事は無しでな。」

諒芽「ははっ、分かってるって!」

紫「全く…お前らは……」汗

最近、一海と諒芽は何かと勝負をし、賭け事をすることが多くなっていた。それを見かねた紫は、2人をきつく説教したのだった。

翔「……。」

友香「あの、翔さん?」

翔「…?」

さっきから黙ったままの翔に、友香が話しかける。

友香「バイキングレストランの料理、美味しかったですね♪」

翔「…そうだな。」

友香「私はローストビーフやミニケーキが美味しかったです。翔さんは何が美味しかったですか?」

翔「…何でも、だ。」

食事に関しては、翔は特に好き嫌いは無い。かつて、劣悪な環境にいた彼は、食事を摂ることすら許されなかった。そのため、食べ物の有り難みは誰よりも理解している。

紫「何でも、か…私は、レバーが苦手だ……あのエグミは、耐えられん……」汗

諒芽「俺はピーマンが嫌~い…」

一海「おいおい、諒芽お前…この前、ピーマン入りのパスタ食えてたじゃねぇか。」

諒芽「刻まれてたから食いやすかった。」

いつの間にか、食べ物の話になり…一海達は話を弾ませていた。

翔「…なぁ?」

そんな彼らに、翔は話しかける。

一海「ん、どうした?」

そして、こんなことを尋ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「もし、俺が…誰かを殺しても……

 

 

 

…お前らは、俺の友で…いてくれるのか?

 

友香「…どういうことですか?」

翔「……いや、何でもねぇ…今のは忘れてくれ。」

翔はそう言うと、ゆっくりと立ち上がり…立ち去っていった。

 

友香「一海さん、紫さん、諒芽さん……」

紫「…あぁ、何かありそうだな……」

諒芽「もしかして、翔ちん…自分がアマゾンであることを、気にかけてるんじゃ…」

一海「それもそうかもしれん……」

一海(それか…別の悩みを、抱えているか……)

一海達は、先程の翔の問い掛けが頭から離れずにいた。

 

 

 

一海達の前から立ち去った翔は、ホテルの敷地内にある『琉球庭園 イベント広場(サンセットガーデン)』に来ていた。

翔「……。」

夜空を見上げると…満天の星空が広がっており、三日月が月明かりを放っていた。翔が星空を眺めていると……

 

カナ「翔君。」

斑目「ここにいたのか、青空。」

 

そこに、カナと斑目がやって来て、翔の隣に座る。

斑目「どうした、何か悩み事でもあるのか?」

カナ「私達でよろしければ…話、聞きますよ。」

斑目とカナの言葉を聞いた翔は、2人に問い掛ける。

 

翔「なら…もし俺が罪を犯しても……あんたらは…俺の味方で、いてくれるのか?」

 

翔の問い掛けに、カナと斑目はビックリしたが…何かを察したのか…

斑目「当たり前だろう…?」

カナ「私達はいつまでも、翔君の味方です。だから、安心してください。」

…と、答えた。

翔「…そうか。」

翔はそれだけ言うと、「部屋に戻ってる」と告げ、去って行った。

 

 

 

部屋に戻ると、着替えやタオル類も持ち、温泉へと向かう翔。脱衣場で服を脱ぐと、傷だらけの身体が露になるが…幸い、この時間は人がほとんどいなかったため、あまり身体の傷跡を気にすること無く、温泉を満喫できている翔。

翔「……。」

翔(ここの温泉、本当に気持ちがいい……それに、ここから眺める景色も最高だ。)

このホテルの温泉『美ら海の湯』から眺める夜景は、彼の傷付いた心身を癒すのには十分であった。

翔(てか、温泉の出入りにスタッフがいたのはビックリしたな…この足乗せ台を用意してくれていたとは、頭が上がらねぇよ。)

ケガをした左足がお湯に浸からないよう、このホテルのスタッフは丁度良い高さの足乗せ台を用意してくれていたのだ。そのお陰で、翔は温泉に入ることができている。

翔(さて、そろそろ上がるか…んで、足乗せ台は…ここに置くのか。)

足乗せ台を指定の場所に返した翔は温泉から上がり、脱衣場で着替えを済ませ、部屋に戻った。

 

 

 

部屋に戻ると、

 

サクラ「あっ、こんばんは♪」

ヒヨ「あそびにきたよー♪」

アヤ「良かったら、翔も一緒に遊ぼ♪」

モニカ「隊長さん、グッドイヴニング♪」

翠「おぉっ隊長ちゃん、こんばんは~♪」

 

メンバー達が部屋に遊びに来ていた。

一海「これから神経衰弱をやるんだ。翔、お前もどうだ?」

翔「神経衰弱?」

諒芽「トランプを使うんだけどよ、同じ数字を揃えていくゲームなんだ。例えば、ハートの1とスペードの1とか、クローバーの2とダイヤの2、ジョーカーとジョーカーみたいに、同じ数字を揃えたら貰えるんだ。んで、最終的にカードの持ち数が多い人が勝ち。」

翔「へぇ、面白そうじゃねぇか。」

翔もメンバー達と共に、『神経衰弱』をやることにした。

サクラ「あれっ、違っちゃったなぁ~…」

ヒヨ「ひよっ、そろわな~い。」

アヤ「う~ん…ここ!えっ、違う!?」

モニカ「これ、結構難しいね。」

翠「むむむ…夜は眠くないのに、これは段々眠くなって来ちゃうな……」

一海「…ダメか。」

諒芽「ここかっ…んがっ!?違った…」

中々同じ数字が揃わないメンバー達。そんな中、翔の番が来た。

翔(確か…こことここ…だったな。)

そして、6回程数字を揃え、サクラの番へ……数分後、神経衰弱は終わり、買ったのはモニカだった。ちなみに翔は、2位である。遊び終えた時には、時刻は11:00になろうとしていた。メンバー達は「また明日」と言い、各自宿泊する部屋へ戻って行った。部屋には翔、一海、諒芽の3人だけとなった。

諒芽「なぁなぁ、このまま寝るのも…何か勿体なくねぇか?」

一海「どういうことだ?」

諒芽「ほらほら、この際だから俺らで語ろうぜ。」

翔「語るって…何を語るんだよ?」

諒芽「そうだな……あ、ほら…セツナさんとカナさん、水着めちゃくちゃ似合ってたよな。」

一海「それなら、紫と友香だって誰よりも似合ってるぞ?」

諒芽と一海は、誰の水着が似合っていたのかを語り合っていた。

諒芽「翔ちんは、誰の水着が良かったのか?」

一海「俺も気になるな。」

翔「…そうだな、俺的には…」

諒芽「ぬおっ!?」

翔「…?…何だよ?」

翔が喋ろうとすると、何故か驚く諒芽。

諒芽「い、いやぁ…こんな質問、翔ちんは答えないだろうなって思ってな…ははは。」汗

翔「なら、答えねぇ方が良かったか?」

諒芽「いやいや、答えてください!」

翔「…冗談だ、ちゃんと答えるよ。」

一海「んで、誰の水着が良かったんだ?」

翔「そうだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…NumberSの3人、かな…?」

 

翔の答えに「おぉ~!」と言う一海と諒芽。

翔(NumberS(アイツら)は…初めて水着を披露していたな…ま、Dollsの一部メンバーや片山さんは、たまに見せに来る時があるからなぁ…)汗

翔「さて、俺からは以上だ。」

翔はそう言うと、布団に入り…眠りについた。

諒芽「よし、明日も思いっきり遊ぶために…俺も寝よ!」

一海「だな、明日のためにも…お休み。」

諒芽と一海も眠りにつき、身体を休めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミア「へくしゅっ!」

ディオ「くしゅんっ!」

トリア「はっくしゅ!」

 

ミア「…っとぉ、誰かがボク達の噂でもしてんのかな?」

ディオ「気持ち悪い…でも、翔さんなら許す。」

トリア「なんとっ!?翔さんが私どもの噂をしているのかもしれないと…!?」




いかがでしたか?今回はここまでです。



メンバー達が青春を満喫する中、翔だけは……迷いが心の中で渦巻いていたのだった。

次回も、お楽しみに
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