〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』 作:やさぐれショウ
アマゾン達との死闘を潜り抜け、安らぎの一時を迎えることとなった翔達。ホテルでの一時は……
では、本編へどうぞ
あの後、ホテルに着いた一同はバスから降りる。
大助「おいおい、めっちゃ良いホテルじゃん…!」汗
翔達が宿泊するホテルが、かなり豪華なことに…大助は困惑していた。
斑目「費用は我々が負担しよう、遠慮しないでくれ。」
微笑む斑目に、「所長ってすげぇ…」と言葉をもらす大助。
百合「おー、皆お帰り~♪」
戻ってきた彼らを迎える百合。
翔「天王寺さん、ちょっと来い。」
翔は百合を呼び出し、人目のつかない所へと移動する。
百合「どうしたの?」
翔「コイツを見てくれ。」
翔はスマホを取り出すと、溶源性細胞が入ったアマゾンの腕の写真と、ダムに放り投げたカプセルのデータの資料を百合に見せる。
百合「な、何これ…!?」
翔「沖縄にアマゾンが出没する原因は、この腕だ。海上保安庁とダムの職員と協力してコイツを引き上げ、このカプセルをダムに入れ、放流してもらった。これで、沖縄は元通りになる。」
百合「ほぅほぅ…よぉし、これで良い新聞が書けそうだ!やったね!!」
百合は原稿用紙を取り出し、新聞の記事にするための文を書き始めた。そのスピードは早く、自分だけの世界に入っているようだった。
翔(これで、この人は最高の記事を書けるだろう…)
そんな百合を見て、翔は立ち去って行った。立ち去る前に、予め集めた録音や資料等を、百合の近くに置いていった。
百合「よし!書けたよ、翔く…って、あれ?」
百合が記事を書き終えた時、そこには翔の姿はなかった。
百合「どこ行っちゃったんだろ?…お?」
そして、翔が置いていった資料に目を通す。
百合(成る程成る程…『時空管理局』が全ての黒幕だったんだね…よーし、こんだけあれば、全てをさらけ出してやるんだから!!)
沖縄の人々へ…いや、日本全国の人々へ真実を伝えるべく、彼女は再びペンを走らせた。
その頃、翔を始めとするドールハウスの一同は……
レストランにて、夕食を食べていた。
大助「青空はなぁ…」
大助は翔と共に仕事をしていた時のことを、ドールハウスのメンバー達に語る。
シオリ「まぁ、翔君は頑張り屋さんだったんですね♪」
レイナ「シオリ、翔君はいつだって頑張り屋さんよ?」
アヤ「それが翔の良いところなのよね~♪ま、他にも沢山あるんだけど♪」
大助が翔を褒めれば、Dollsも翔への褒め言葉を瞬時に言い放つ。
ミア「ねぇねぇ、翔さんの良いところって他に何があるの?」
ミアの質問に答えたのは愛だ。
愛「そうだね~…例えば、然り気無く気遣ってくれること…普段はクールだけど、本当は凄く優しいし…料理が上手だし、指導するのも上手い!後は、笑った顔が1番素敵♪それからそれから」
翔「もうやめろ…キリがねぇだろうが。」汗
翔はそう言いながら、ローストビーフを口に運んだ。
翔「ッ!!…~♪」ホワホワ…
余程ローストビーフが気に入ったのか、咀嚼する翔は笑顔を見せる。
トリア「おぉっ!!これが…同士愛が絶賛する、翔さんの笑顔!!」
翔の笑顔を見て、驚きを隠せないトリア。
諒芽「なぁなぁ、翔ちんの笑顔って…そんなに珍しいのか?」
諒芽の言葉に、Dollsと元ストライカー達は「え?当たり前じゃん。」と言うような表情を、諒芽に向ける。
紫「諒芽、言葉には気を付けろ。」
諒芽「あ、はい…サーセン…」汗
紫に注意され、謝罪する諒芽。夕食を食べ終えたメンバー達は、ホテルにて…それぞれ好きな時間を過ごすことにした。
その日の夜……
翔「……。」カツンッ、コツッ…カツンッ、コツッ…
誰もいないホテルのイベント広場にやって来た翔。雲一つ無い夜空を見上げると、満天の星空が広がっていた。
翔「……。」
観客席と思われる石の長椅子に座り、星空を眺める翔。
翔(アマゾンになって、3年…か……いや、
墨田区での戦いで、ストライカー達に連れ去られ…自分が人喰いの化け物『アマゾン』であることを告げられた翔。最初は混乱していた彼だったが…時が進むにつれ、次第に自身がアマゾンであることを受け入れ始めていた。
大助「…おっ、ここにいたのか。」
そんな彼の元に、大助がやって来た。
翔「…大助さん、ケガは大丈夫なのか?」
大助「へーきへーき。俺は頑丈だからな!」
そう言うと、「ははは」と笑う大助。
大助「そういや、青空。」
翔「…?」
大助「お前は今、どこで暮らしてんの?」
翔「東京。」
大助「東京のどこだ?」
翔「目黒区。」
大助「目黒区かぁ、とりいちず目黒東口店っていう和食の店があるんだけどよ…そこのチキン南蛮や唐揚げ、結構美味いんだぜ?」
何故、大助がここまで詳しいのかと言うと……この世界に来て、大助は食べ歩きを始めたのだ。ブログにて紹介した所、フォロワーがどっと増え、収入が入るようになったのだ。
大助「んで、目黒区のどこに住んでんの?」
翔「……。」
大助の質問に、黙り込んでしまう翔。
大助「あれ、聞いちゃマズかった?」
翔「いや……」
翔は大助に語る。
かつては、マンションを借りて生活していたのだが……何故か、ストライカー共に居場所がバレ、凸されたのだ。ドアを開けずにいたら、ストライカー共はドアを破壊して入ってこようとしたため、排水溝を滑り、地上へと逃げた。
翔「んで、今はドールハウスに匿って貰ってる。」
大助「マジで!?」
翔の言葉に、大助は驚く。
大助「ドールハウスって、あの超国民的アイドル『Dolls』がいる事務所じゃねぇか!お前すげぇな!?」
翔「そーでもねーよ。」
大助「俺さ、今はブロガーやってんだけど…お前はどんな仕事してんの?」
翔「ドールハウス専属の用心棒。」
大助「用心棒かぁ…って、えぇっ!?ドールハウス専属の!?」
翔「あぁ。けどな……」
翔は左足を見ながら言う。
翔「ストライカーの1人に、左足をやられた…こんなんじゃ、まともに仕事ができん…だから今は、Dollsを陰でサポートをしている。」
大助(だから杖をついてたのか…)
翔の左足を見ると、僅かではあるが…血が滲んでいた。それを見て、口角を下げる大助。
翔「俺は東京で化け物や妖魔、そして…ストライカー共をぶっ潰す。大助さん、あんたはどうする?」
大助「俺はここに残って、残りのアマゾン達を狩る。そんで、ここが大丈夫になったら…東京に遊びに来るよ。」
翔「そうか…斑目さんにも、よろしく伝えておく。」
大助「はっはっはっはっ、よろしく頼んだよ。」
大助と談笑する翔は、子どものような無邪気な笑顔を見せていた。
大助「でな、そこの大食い大会で優勝したんだけどよ…壇上で盛大にゲロっちまってさぁwww」
翔「何でゲロったんだよw」
大助「いや、ほら……あれだよ、あれ……あr…プッハッハッハッハ!!www」
翔「いやいや、笑ってちゃわかんねぇだろ大助さんwww」
大助の大きな笑い声につられ、翔も声を出して笑った。そんな2人は、まるで仲の良い親子のようにも見えた。
カナ「斑目さん、翔君…とっても楽しそうですね。」
斑目「あぁ、あんなに無邪気な顔をして笑うなんてな。」
カナ「ふふっ、私はどんな翔君も大好きですけど…あんな風に笑う翔君、何だか可愛くて愛らしいですね。」
斑目「そうだな。まるで、親子のようにも見えるな。」
カナ「親子…ですか。」
斑目の言葉に、口角を下げるカナ。
カナ「愛さんからお聞きしたんですけど…翔君の親を自称する、あのクズ2人…結局どうなったんでしょうか?」
斑目「風の噂では…どこか遠い国で、マグロ漁船で強制的に重労働を強いられているとか…な。」
カナ「無様なモノですね。そのまま戻って来なければ良いのに……」
斑目「……そうだな。」
カナ(翔君は帰って来てくれた…沢山辛い思いをしながらも、沢山の人達を守ってきた。ですから、彼は報われるべきなのです。)
斑目(
大助と楽しそうに談笑する翔を、斑目とカナは遠くから優しく見守っていたのであった。
大助「…あぁ、笑った笑った。」
翔「…俺もだ。こんなに笑ったのは、久しぶりだ。」
大助「俺はそろそろ部屋戻るわ。んじゃ、また明日な。」
翔「あぁ、楽しかったぜ。」
大助がホテルに入っていくのを見届けた翔は、しばらく星空を眺めていたが……
翔(もうこんな時間……そろそろ寝るか。)
22:30になった頃、ホテルに入り、自分の客室へと戻って行った。部屋に戻ると、一海と諒芽は既に眠っていた。
翔「……。」
翔も布団に入ったのだが…中々眠れずにいた。そして、客室から出ると、再びイベント広場へと向かった。
翔「……。」
翔(星空って、本当に綺麗だ……)
眠れない翔は、ホテルのイベント広場に座り、星空を眺める。
翔(ほとんどの奴らは眠っているだろう…だが、まだ寝てそうにない奴らは……)
そう思っていると……
翠「おぉっ、隊長ちゃん!」
深雪「あら、こんばんは翔君。」
翠と深雪が、翔の元にやって来て、彼の近くに座った。
深雪「今日は星空が綺麗ですね。」
翔「…あぁ、そうだな。」
翠「あぁっ!?深雪先生、隊長ちゃん、あれ見て!!」
翠が指差す方角に目を向けると……
翔「…あれは…」
深雪「流れ星ですね。」
そこには、無数の流れ星が夜の空を駆けていた。翠は両手を組み、そっと目を閉じる。
翔「…?」
その行動に気になった翔だが、深雪も翠と同じように両手を胸の前で組み、そっと目を閉じた。数分後、両手を組むのをやめ、目を開く翠と深雪。
翔「…何をしたんだ?」
翠「何って、願い事だよ。」
翔「願い事?」
翠「そそ!星に願い事をするって、何だかロマンチックじゃない?」
翠はそう言うが、翔にはそれが理解できないようだ。
翔(願い事っつったって…それが叶うって保証はねぇし、結局は自分次第じゃねぇか……)
翠「まぁ、結局は自分次第なんだけどさ…でも、思いを伝えるのと伝えないのって、全然違うからさ。」
翔「……。」
深雪「翔君は願い事、しないんですか?」
夜空を見上げると、数多の流れ星が夜空に光の筋を描いている。
翔「……。」スッ…
翔は長椅子から立ち上がると、黙って目を閉じ…黙祷を始めた。黙祷を終えると、再び長椅子に座る翔。
翠「わたしは、『皆と沢山思い出を作って、人生ポイントを貯められますように』って願いを込めた!深雪先生は?」
深雪「そうですね、私は…『皆さんと、楽しい日々をずっと過ごせますように』…と、願いました。」
翠「最高の願いだね!!」
深雪「ウフフッ、翠さんのも素敵じゃないですか。」
会話を弾ませる翠と深雪。
翠「ねぇねぇ、隊長ちゃんはどんな願い事をしたの?」
深雪「私も気になっちゃいます。」
翔は「フッ」と鼻で笑うと……
翔「教えねぇよ。」
と、少し意地悪した。
翠「えぇ~、気になる気になる~♪」
深雪「私もです。翔君、どうにかして教えていただけないでしょうか?」
翔「…願いが叶ってから教える。」
この時の、翔の願い事は…これだった。
いかがでしたか?今回はここまでです。
ドールズサービス終了が日に日に近付きつつありますが、どうか…Dollsが…NumberSが…ドールハウスの人達が、この先ずっと…笑っていられる日が来ることを、私は願っております。
次回も、お楽しみに