〜プロジェクト東京ドールズ〜『化け物とドールの絆』   作:やさぐれショウ

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やさぐれショウです。



【プロジェクト東京ドールズ】がサービス終了して、そろそろ1ヶ月が経とうとしていますね。未だに、寂しさが拭えない私です。

では、本編へどうぞ


第二百七十三話 沿線の記憶

深雪と蜜璃と話を終えた翔は、Dollsの様子を見るために…女子寮へと向かう。

 

翔(さて、アイツらはどうしてるかな…?)

 

ドールハウスの廊下に、翔の杖の音がカツンッ…カツンッ…響き渡る。やがて、寮の前に到着すると…ノックをする。

 

コンコンッ…

 

すると、寮のドアがガチャッ…と開き……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シオリ「あら、翔君♪」

 

DollsチームAのリーダー、シオリが翔を出迎えた。

 

翔「よぉ、調子はどうだ?」

 

シオリ「えぇ、大丈夫です。さぁ翔君、中へどうぞ♪」

 

翔「あぁ、邪魔するぞ?」

 

シオリに招かれ、寮へと入っていく翔。

 

 

 

シオリ「……。」

 

翔「……。」

 

少しの間、沈黙が続いたが…翔がそれを破った。

 

翔「…シオリ…?」

 

シオリ「…ッ!?はい、どうしました?」

 

翔「いや、俺はどうもしてねぇが…ただ、お前達の様子を見に来ただけだ。」

 

シオリ「心配してくれてるんですね、ありがとうございます♪」

 

翔「……。」

 

シオリ「あ…すみません。もう少し、明かりを暗くしておけば良かったですね。」

 

翔「それは気にする必要はねぇよ…てか、もう夜中の3時を過ぎてる。ほどほどにしておけ…」

 

時刻を見ると、もう午前3時となっていた。

 

シオリ「…そうですね。読書をしていると、時間を忘れてしまって…」

 

シオリの手には、明治時代の小説家が書いたと思われる勇名な小説があった。

 

シオリ「これは、明治時代の小説家が書いた、随筆です。古い東京の文化や風俗が描かれていて…築地、両国、神楽坂…大江戸線の駅にゆかりのある土地が、たくさん出てきます。」

 

翔「そうか。」

 

シオリの話に耳を傾ける翔。

 

翔「名前はよく聞くが…あんまり馴染みのねぇ土地だなァ……」

 

シオリ「ふふ、そうですよね。普段はなかなか出掛けない場所です。」

 

翔「……。」

 

シオリ「でも、私たち…Dollsになる前の私たちにとっては、つながりの深い場所なんです。」

 

翔「Dollsになる前の、お前達…?」

 

シオリは、昔のDollsのことについて…翔に語り始める。

 

 

シオリ「アヤさんとレイナさんがここに来たばかりのころ…歌とフィールについての話がいろいろあって、フィール収集の手段として実験がはじまって…」

 

翔「……。」

 

シオリ「最初は3人。私とアヤさんとレイナさんで、公演みたいなことをやってみようってなって…でも仕切るのはお役所ですから、歌うのは賛美歌、場所も公民館や教会だったりして。」

 

翔「……。」

 

シオリ「その頃、よく行っていたのが大江戸線沿いの街でした。」

 

翔「…成る程…思い出の街なのか。」

 

シオリ「それが…おかしいかもしれませんけど、思い出らしい思い出は、ないんです。」

 

翔「…?」

 

シオリ「古い町並みを車の窓からぼんやり眺めて…川沿いに建つ教会へ行って…きっと今ならみんなで老舗(しにせ)の甘味屋さんに寄り道したりするんでしょうけど。」

 

翔「……。」

 

シオリ「ユキさんは本番以外はほとんど眠っているし、ふたりも感情を取り戻していなくて。私たち、まるでロボットみたいに賛美歌を歌って、役目を終えたら帰る、それの繰り返しでした。」

 

翔「……。」

翔(てことは…帰りの雑談とかも、無しか……)

 

シオリの話に、口角を下げる翔。

 

シオリ「でも、思った以上に歌は人の心を動かして、私たちの命を繋ぐフィールを集められると分かって…もっと多くなって人からフィールを回収できるように『アイドル』という形式で本格的に動き始めて…大江戸線だけを使うこともなくなり、教会への足取りも遠のきました……」

 

翔「……。」

 

シオリ「チヒロさんやミサキさんがやってくるよりも前…アイドルでもなんでもない時代の私たち…感情も無く神に祈りを捧げる歌だけを歌っていた、本当に、人形のようなころの……」

 

翔「……。」

 

シオリ「だから、つながりは深いけど思い出はない。そんな街なんです。」

 

話を終えたシオリは、口角を下げていた。

 

翔「…でもさ…きっと、大事な場所だと思うぞ。シオリ達にとって、その街は。」

 

シオリ「……。」

 

翔「大事な仲間と過ごした時間がある街なんだからさ…どんな過去であっても、今のお前を形作る大切な記憶……俺はそう思うぞ。」

 

シオリ「…翔君。」

 

翔の言葉に、少し黙るシオリ。

 

 

シオリ「…そうですね。どんな過去でも、私を形作る大切な記憶。」

 

翔「…あぁ。」

 

シオリ「いつかみんなでまた、“あの教会”へ行ってみたいです。あの時、行けなかった甘味屋さん…まだ残っているといいんですけど。」

 

翔「老舗はそう簡単に潰れねぇはずだ…きっとな。」

 

ふと、時計を見ると…時刻は午前3時30分になっていた。

 

シオリ「あ…すみません、お喋りが長くなってしまって。そろそろ、眠たくなってきました。」

 

翔「あぁ、俺も限界だ…もう寝るか。」

 

シオリ「はい。おやすみなさい…翔君♪」

 

翔「あぁ、おやすみ。」

 

シオリが自室に入るのを見届けた翔は、寮から出ていき…医務室へと戻って行った。

 

 

 

小さな明かりだけが残っているドールハウスの廊下を、翔はゆっくりと歩いていた。

 

翔(俺にも…今の俺を形作る記憶がある……だが、そのほとんどは…大事な記憶なんかじゃねぇ……忘れ去ってしまいたい…そう思っちまう記憶(不要品)だ…)

 

明るさを失い…冷酷非道となった今の翔の記憶……それは、あのストライカー達の隊長をしていた頃の記憶だ。毎日毎日、楽しい一時は無く…辛く、苦しい日々ばかりであった。ストライカー達だけではなく、時空管理局からも虐めを受けていたのだ……それに耐えられなくなった彼は、隊長を辞めると同時に、高校を中退……

 

翔(毎回地獄を見せられたんだ…それからか…『泣き寝入り』することが嫌いになったのは…?)

 

ストライカー達からは毎回散々な仕打ちを受け、時空管理局からは見て見ぬふりをされていた当時の彼は、隊長を辞めた後…インターネットを通じて、時空管理局の本性を世間に暴露した。その頃から、彼は絶対に泣き寝入りをしなくなっていたのだ。

 

 

翔「やられたらやり返す…それが、俺のやり方だからな……いつか必ず、時空管理局の連中を……」

 

 

時空管理局への復讐心を秘かに抱く翔の顔には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか…

 

流れる涙のようなモールドが浮かび上がり…

 

空色の光を放っていた。




いかがでしたか?今回はここまでです。



それぞれの悲しみを秘め、戦い続けるDolls……この【プロジェクト東京ドールズ】…仮面ライダーと似ているところ、結構あるんですよ。私にとってはね?

次回も、お楽しみに
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